建ぺい率と容積率の基礎知識。制限値オーバーで既存不適格になっている場合は要注意

不動産の用語で良く出てくるのが「建ぺい率」と「容積率」。土地の利用範囲に関する制限であることは何となくわかる、という人も多いでしょう。でも、実際に何を意味するのか、ご存じでしょうか。わかりやすく説明しましょう。

建ぺい率とは?

まず、建ぺい率は、漢字で書くと「建坪率」です。土地面積に対する建築面積の割合を指します。たとえば、100平米の土地に50平米の面積の建物を建てると、建ぺい率は50パーセントとなります。このとき、50平米は延べ床面積ではありません。1階部分が占める面積と考えればいいでしょう。

逆にいうと、建ぺい率が50パーセントに設定されている区域では、100平米の土地があっても建物が建てられるのは50平米分だけです。

容積率とは?

次に「容積率」は、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合のことです。100平米の土地に延べ床面積200平米の建物を建てると、容積率は200パーセントとなります。

逆にいうと、容積率が200パーセント制限の区域では、100平米の土地に建てられる建物の延べ床面積は、上限が200平米となります。

容積率

どのくらいのマンションが建てられる?

もう少し具体的な例で説明しましょう。建ぺい率60パーセント、容積率200パーセントに制限されている区域に、100平米の土地があるとします。その場合、建物の1階面積は60平米が限度です。建物の延べ床面積は200平米が限度です。

したがって、各階が60平米の3階建ての建物なら、合計延べ床面積は180平米になり、制限内に収まります。でも、これだと容積率が20平米余ってしまうので、ちょっともったいない、と考えることもあります。

制限をめいっぱいつかうなら、各階50平米の4階建てにすると、延べ床面積は200平米となり、ぴったり収まります。

制限ぎりぎりまで建てられないことも

実際には高さ制限や隣地との斜線制限などがありますので、制限ぎりぎりいっぱいまで建てられるとは限りません。しかし、マンションを建てるとき、デベロッパーは、どうすれば建ぺい率と容積率をクリアしてより多くの住居面積をとることができるかを検討します。

そのため、多くのマンションは、建ぺい率や容積率がぎりぎりいっぱいで建てられていることが多くなっています。

用途地域によって決まる

建ぺい率と容積率は、用途地域などによっておおむね決まります。たとえば、用途地域が「商業地域」に指定されている場合、建ぺい率や容積率は高めに設定されています。建ぺい率と容積率の高い区域は、限られた面積をより有効に活用できますので、利用価値の高い土地といえます。

一方、建ぺい率や容積率が低い土地では、庭を多くとらなければならなくなります。また、高い建物を建てにくくなります。結果として、緑が多く低い町並みになります。第一種低層住居専用地域が代表例です。

既存不適格物件に注意

注意しなければならないのは、用途地域の変更があった場合です。用途地域はそう頻繁には変わりませんが、変更された場合は、建ぺい率や容積率も変わることがあります。また、用途地域の変更がなくても、容積率が見直されることもあります。

仮に容積率が400パーセントの土地に、容積率の上限で建てられたマンションがあったとします。しかし、規制が厳しくなり、容積率が300パーセントに変更になることもあります。そうした物件は「既存不適格」と呼ばれます。建てたときには適格でしたが、その後容積率が変更されたことで、「不適格物件」になってしまったわけです。

既存不適格物件は、住み続けるには問題はありません。しかし、老朽化して建て替えるときには、同じ大きさのマンションを建てることはできなくなります。そのため、建ぺい率や容積率がオーバーしている既存不適格物件を購入するときは、注意しましょう。

逆に、容積率が緩和される場合もあります。そうなると、より大きな建物を建てることができるようになり、マンションの建て替えは容易になります。こうしたマンションは、将来的に資産価値が維持されやすくなるでしょう。

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