既存不適格マンションの問題点。転売時に買い手が付くか?

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世の中には「既存不適格」のマンションがあります。既存不適格とは、着工時には適法だったものの、工事中や完成後に建築基準法の改正や都市計画変更などがあり、法令に適合しない部分が生じた建築物です。既存不適格マンションは、購入時には注意が必要です。

違法建築物ではない

既存不適格建築物は、違法建築物とは異なります。違法建築物は着工時から法令に違反して建てられた建築物ですが、既存不適格は着工時は合法だったものです。そのため、住み続けても違法ではありません。

たとえば、すでに建っている「マンションA」のエリアで容積率や高さ制限が変更になり、同じ大きさのマンションを建てることが禁じられたとします。このとき、「マンションA」は既存不適格ですが、違法ではありません。マンションAの住人は合法的に住み続けることができますし、売買も可能です。

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新築マンションでも不適格が

中古マンションだけでなく、新築マンションでも、既存不適格が問題になることがあります。建築確認申請審査を終了し、着工後の工事期間中に、建築基準法の改正や都市計画変更などが公示されて、マンション完成時に「既存不適格建築物」になってしまうケースが考えられます。

こうした「完成時不適格マンション」は、偶然既存不適格になったとは限りません。法令変更を察知したデベロッパーが、駆け込みで建築したものもあります。

実際にあった話としては、、東京のあるエリアで高さ規制の変更が公示された後、中堅デベロッパーが、新規制を上回るタワーマンションの建築確認申請を出し、施行される前に審査終了し着工しました。

このマンションは完全に合法ですが、建ったとたんに既存不適格になってしまったわけです。それでも分譲され、時間はかかりましたが全戸完売したようです。

重要事項説明で伝える義務

こうした「既存不適格の新築マンション」については、販売業者は販売時に、「既存不適格建築物である」旨を購入予定者に知らせなければなりません。実際には、重要事項説明書で「現在の法令に適合しておらず、建て替えるときに同じ大きさの建物が建てられない」などという表現で伝えられます。この重要事項説明を聞いた上で、購入者はイヤなら買わなければいいのです。

ただ、法令に詳しくない人は、既存不適格と聞いてもぴんときません。業者に説明を求めても、「将来建て替えるときに、同一の高さのマンションが建てられないというだけです。70年や100年後のことです」などとかわされることが多いでしょう。

「近くに同じ高さのマンションは今後建ちませんから、眺望は保証されたようなものですよ」などと、デメリットをメリットに言い換えて説明する不動産業者もいます。

100年もつなら問題ない?

既存不適格物件とはいえ、100年間建物がもつのなら問題ない、と考える人もいるでしょう。100年後には法律がどう変わっているかわからないし、そんなこと気にしても仕方がない、という意見もあります。住み続ける前提ならば、それはそうかもしれません。

一方で、既存不適格のマンションには明快なデメリットもあります。最大のデメリットは、転売しにくいという点でしょう。中古物件として売却するときも、当然、重要事項説明で購入者に説明しなければならないのですが、新築時には「あと100年大丈夫」とあなたが思って購入した物件も、中古となるとそう気楽に構えられるものではなくなります。

最後はババ抜きのババになる

中古として30年、40年、50年と経つうちに、「あと70年は大丈夫」「あと60年は……」「あと50年くらいは……」と、先行きが短くなっていきます。既存不適格にもいろいろな種類がありますが、同じ大きさで建て替えられる場合は、大きな問題にはなりません。問題なのは、容積率が低くなったりし、高さ制限が厳しくなったりして、同じ容積での建て替えができなくなってしまった物件です。

こうした既存不適格マンションは「同じ大きさで建て替えのきかない問題物件」として扱われるようになり、ババ抜きのババと化す可能性が高くなります。

そういう将来が想像できるマンションを購入したい人は少ないですから、転売時にどうしても不利になります。似た条件の適格マンションよりも売却価格は低くなるでしょうし、築年数が深まるにつれ買い手が付かなくなる恐れもあります。総合的に考えて、既存不適格物件は買うべきではない、というのが当サイトの結論です。

深刻な問題でない場合も

どうしても買いたい物件がある場合は、建て替えるときにどの程度の建物を建てられるのかをきちんと確認したうえで、それに見合った価格であるかどうかを判断してからでしょう。

仮に2分の1の大きさの建物しか建て替えられないのだとすれば、相場価格の2分の1で買うべきです。一方、既存不適格とはいえ、不適合内容が軽微なものだったり、敷地に余裕があるなどして、同じ容積の建物を建て替えられる物件なら、それほど深刻な問題ではないと考えることもできます。


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