水曜日, 9月 23, 2020

住宅性能表示

住宅性能評価「断熱等性能等級」は「等級4」が目安

マンションの住宅性能表示の「5. 温熱環境・エネルギー消費量に関すること」では、建物の省エネルギー性能(断熱等性能等級)について評価します。4段階の等級が付けられていますが、どのような意味があるのでしょうか。解説しましょう。 ほとんどのマンションが新省エネ基準をクリア 住宅の省エネルギー性能は、高くなるほど冷暖房などの効率がよくなり、電力やガスの消費が少なくなります。光熱費が安くなって家計にやさしく、結露を防ぐことで建物の劣化も防げます。 住宅性能評価制度においては、省エネ性を「断熱等性能等級」として評価しています。評価は4段階に分かれてて、等級1は何も省エネ対策が取られていないレベル、等級2は昭和55年の旧省エネ基準のレベル、等級3は平成4年の新省エネ基準のレベル、等級4は平成11年の次世代省エネ基準のレベルです。 最近のデータでは、等級4が60%程度、等級3が30%程度です。ほとんどのマンションは等級3の新省エネ基準を満たしており、多くのマンションが等級4の次世代省エネ基準を満たしているわけです。これからは、等級4がスタンダードになるとみられますので、できるだけ等級4のマンションを選びましょう。 複層ガラスや樹脂サッシも重要 日本の国土は南北に長く、地域によって気象条件はかなり異なります。そこで、省エネルギー対策等級では、全国を6つのエリアにわけ、等級2から4の基準を変えています。 マンションの断熱方法としては、屋上のコンクリートの上に板状の断熱材を敷き、外壁のコンクリートには室内側から現場発泡の断熱材を吹き付けるの一般的です。省エネルギー対策等級で問題になるのは、この断熱材の厚さです。 断熱材にはいくつか種類があり、使う断熱材によって必要な厚さは異なりますが、壁については首都圏で「等級3」なら20~25ミリ、「等級4」なら30ミリ~35ミリの厚さが必要です。 窓も重要です。「等級3」や「等級4」を取得するには、断熱性能の高い複層ガラスやエコガラスを用いる必要があります。サッシも樹脂やアルミ・樹脂の複合タイプが望ましいでしょう。

住宅性能表示の「劣化対策等級」は「等級3」が必要

マンションの住宅性能表示の「3.劣化の軽減に関すること」では、建物の構造躯体に用いられる材料の劣化を遅らせるための対策が、どの程度講じられているかを評価します。3段階の等級が付けられていますが、どのような意味があるのでしょうか。解説しましょう。 等級3なら3世代もつ 住宅がどれだけ長期間もつか、という評価が「劣化対策等級」です。ただ、その評価は簡単ではありません。というのも、住宅にはさまざまな材料がざまざまな場所で使われていて、その耐用年数はさまざまだからです。 たとえば壁紙と壁そのものでは耐用期間が全く違うのは理解いただけると思います。柱とドアでも耐用期間は違います。このように、すべての部材について一律の基準で耐用期間を評価するのは困難です。 そこで、「劣化対策等級」では、長期間にわたって建物を支えなければならない構造躯体などに使用される材料についてのみ、その劣化軽減対策を評価します。 評価の結果は3段階の等級で表示されます。「等級1」が建築基準法のレベルで、いわば標準的な耐用期間です(明確な耐用年数は決められていません)。「等級2」は2世代(おおむね50~60年間)、「等級3」は3世代(おおむね75~90年間)にわたり、建物がもつレベルとされています。 この耐用年数は、通常の自然条件で、建物の清掃、点検、補修を日常的に適切に行っていたと仮定したものです。 鉄筋コンクリートの質が評価される 住宅性能表示の「劣化対策等級」の評価対象は、柱や梁、壁など構造躯体などに使用されている材料に限定されます。マンションの場合は、ほとんどが鉄筋コンクリートです。つまり、鉄筋コンクリートの質こそが、「劣化対策等級」の評価になるわけです。 鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートで覆った材料です。コンクリートはアルカリ性の性質を持ちますが、時が経つにつれ、中性化していきます。そうすると、内部の鉄筋が錆びてしまいます。これが、鉄筋コンクリートの劣化のメカニズムです。 中性化による鉄筋コンクリートの劣化を防ぐには、2つの方法があります。 ① 鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚)を厚くする ② 水・セメント比の小さいコンクリートを使う ①については、かぶり厚が厚いほど、コンクリートの中性化が鉄筋の位置まで進行するのに時間がかかるため、鉄筋の劣化を防げます。②については、水・セメント比とは、コンクリートの材料である水とセメントの比率です。水・セメント比の大きいコンクリートとは、荒っぽくいえば「スカスカ」のコンクリートです。したがって、水・セメント比は小さいほど質が高く、中性化スピードが遅くなる、という性質があります。 質の高いコンクリートがたくさん使われているか 住宅性能表示では、この2つの方法の組み合わせで、等級が決まります。たとえば、水・セメント比が55%で、土に接しない部分の壁のかぶり厚が20ミリだと、「劣化対策等級」は「等級2」になります。同じかぶり厚で、水・セメント比が50%になると、「等級3」になります。 こうした組み合わせの詳細まで、素人が知っておく必要はありません。知っておけばいいのは、「等級が上がるほどコンクリートの量が多く使われているか、質の高いコンクリートが使われている」ということです。 それなりの価格のマンションは「等級3」 最近のデータでは、マンションでは劣化対策の「等級1」は1割程度、「等級2」が7%程度、「等級3」が90%程度です。首都圏や関西圏のそれなりの価格のマンションは、ほとんどが「等級3」になっています。 実際、「等級3」以外は時代遅れなので、今から新築マンションを買うのなら、「等級3」以外は買うべきではありません。「等級2」や「等級1」のマンションは、将来の資産価値に影響を及ぼす可能性があるからです。 ただ、いくら質の高いコンクリートを使い、かぶり厚が厚くても、日常の手入れが悪いマンションは劣化が早くなります。メンテナンスフリーで90年もつ、という性質のものではありません。その点は頭に入れておきましょう。

住宅性能表示の「耐震等級」は「等級2」が理想

マンションの住宅性能表示の「1.構造の安定」では、耐震性、耐風性、耐積雪性についての3段階の等級がつけられています。このなかで、特に重要なのが耐震性を示す耐震等級です。その意味を解説しましょう。 建築基準法の耐震性能 マンションの耐震性能の考え方は、建築基準法をベースにしています。建築基準法では、耐震性能は以下のように2種類の評価があります。 1 数百年に1度発生する地震(東京では震度6強から震度7程度)の地震力に対して、構造躯体が倒壊、崩壊しない 2 数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の地震力に対して構造躯体が損傷しない 1の震度6強から震度7程度というのは、かつての東日本大震災や阪神・淡路大震災クラスです。こうした激しい地震の際に、構造躯体(マンションの建物そのもの)が倒れたり壊れたりしない、ということです。 逆にいえば、倒れたり壊れたりしなければ、多少、柱が折れたり壁が崩れたりしても仕方がない、という考え方ともいえます。建築基準法では、震度6から震度7では、壁が崩れても人命が損なわれなければOK、ということです。 そのため、実際に東日本大震災クラスの地震に襲われたら、補修費用がかかったり、場合によっては建て替えが必要になる可能性もあります。 2の震度5強というのは、年に数回は日本のどこかで起きている程度の地震です。そうした規模の際は、マンションそのものが無傷でなければならない、ということです。 建築基準法の耐震性能をまとめると「震度5でも損傷しない、震度6でも倒れない」ということです。これが法律が規定する最低限の耐震性能です。 住宅性能表示の「等級」の意味は? さて、ここからが住宅性能表示の話です。新築マンションの住宅性能表示における耐震等級は、3段階になっています。「等級1」は上記の建築基準法レベル、「等級2」はその1.25倍の耐震性能、「等級3」は1.5倍の耐震性能です。 つまり、「等級1」であっても、震度6強から震度7程度の地震でも人命が損なわれないように造られています。建築基準法の基準を守って造られていれば、「等級1」がもらえるわけです。 「等級2」「等級3」となるにつれ、マンションの建物はより頑丈になります。ただ、いずれのマンションでも、基本的に東日本大震災レベルの地震でも、バタリと倒れたりすることはないように造られています(そのはずです)。 ほとんどの新築マンションは「等級1」 マンションの耐震性能を上げるのには巨費がかかります。そのわりに、購入者は耐震性能をあまり重要視しない傾向があります。そのため、デベロッパーも耐震性能を上げる努力に消極的です。耐震性能が「等級2」や「等級3」のマンションは、それほど消費者受けしないわりに、価格が上がりすぎるため、デベロッパーは作りたがらないのです。 最近の調査では、「等級3」のマンションはほとんどなく、「等級2」も2%程度にすぎず、大多数の新築マンションは「等級1」というデータもあります。 「等級1」でも、東日本大震災に耐えられるとは書きましたが、万が一大震災が起きれば、その補修にかかる費用がいくらになるのか、見当もつきません。万一に備えるなら、多少価格が高くても「等級3」が理想ですが、一部の高級マンションにしか導入されていませんから、選びたくても選べません。現実的な理想は「等級2」といえます。 なお、免震構造のマンションについては、2007年から表示が追加され、等級とは別で、その旨が表示されています。免震構造マンションは耐震等級の評価対象外です。
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住宅性能表示制度の基礎知識。絶対確認すべき32項目

住宅の性能を客観的に比較・検討できる物差しが「住宅性能表示」です。2000年に導入された制度で、最近の新築マンションでは、かなり一般的になってきました。住宅性能表示制度の基礎知識をご紹介します。 住宅性能表示制度とは? 住宅性能表示制度とは、住宅に関するトラブルを未然に防ぎ、万が一のトラブル時にも消費者保護の立場から紛争を速やかに処理できるように作られた仕組みです。2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)がその根拠法令です。 品確法の柱は主に3つです。 1 新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例の設定。構造耐力上主要な部分と雨水の進入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を義務づけています。 2 住宅性能表示制度の設定。 3 住宅専門の紛争処理体制の整備。各地の弁護士会に指定住宅紛争処理機関が設置されています。 これらの3つのうち、マンション購入時に最も役立つのが2の「住宅性能表示制度」です。これは、住宅の性能について客観的に比較検討できる物差しで、新築、中古どちらのマンションも対象にしています。 住宅性能表示制度の項目 新築マンションの住宅性能表示項目は、10分野32項目あります。それぞれ共通のルールで評価し、多くは3段階か4段階の等級で表示されます。10分野の内訳は以下の通りです。 1 構造の安定(耐震等級、耐風等級、耐積雪等級) 2 火災時の安全(感知警報装置設置等級、脱出対策、耐火等級) 3 劣化の軽減(劣化対策等級) 4 維持管理・更新への配慮(維持管理対策等級、更新対策) 5 温熱環境(省エネルギー対策等級) 6 空気環境(ホルムアルデヒド対策、ホルムアルデヒド発散等級、換気対策、局所換気対策) 7 光・視環境(単純開口率) 8 音環境(重量床衝撃音対策、軽量床衝撃音対策、透過損失等級) 9 高齢者への配慮(高齢者等配慮等級対策) 10 防犯(開口部の侵入防止対策等級) 全てで最高等級である必要はない これらの全ての分野・項目で最高等級をとっているマンションはおそらくないでしょう。全てを満たすにはお金がかかりすぎますし、ある項目の等級を高くするには何かを犠牲にしなければならないケースもあるからです。 たとえば、「9 高齢者への配慮」で専有部分の最高等級を取るには、車いす対応が必要なのでトイレなどの空間を広くしなければなりません。そのぶん、他のスペースが狭くなるというデメリットが生じてしまいます。 また、「2 火災時の安全」や「6 空気環境」といった項目は、法律に基づいて設計していくと、どんなマンションでも大きな差はなくなります。評価に差の出にくい項目と言えます。 差が出やすい表示項目は? では、物件によって差が出る項目にはどんなものがあるのでしょうか。 「1 構造の安定」「3 劣化の軽減」「4 維持管理・更新への配慮」「5 温熱環境」は、物件によって差が大きくなりやすい項目です。等級が高い方がいいですが、評価を上げればマンションの価格も高くなりがちです。 「8 音環境」については、評価を受けるかどうかは任意(選択制)になっています。そのため、住宅性能表示を使って表示しているケースはほとんどありません。というのも、遮音性能は周囲の環境の影響を受けやすく、また、建物自体の音の伝播、共鳴、共振などによっても変わり、設計段階で正確に予測するのが難しいからです。 住宅性能評価書を見せてもらおう 新築マンションで住宅性能表示をするかどうかは、デベロッパー(不動産会社)の任意です。手続としては、不動産会社が申請をして、それに基づき登録住宅性能評価機関が、国が定めた技術基準に従って性能評価を行います。その結果を、「住宅性能評価書」として交付します。 住宅性能評価書には設計段階の評価である「設計住宅性能評価書」と、施工・完成段階の現場検査を経た「建設住宅性能評価書」の2種類があります。   新築マンションの場合、青田売りが多く、契約時には「設計住宅性能評価書」しかないケースが多いです。設計上だけでも評価を確認しておくことが大切です。完成引き渡し時には「建設住宅性能評価書」ができあがっているはずなので、ぜひ見せてもらうといいでしょう。

ホームインスペクションとはなにか

中古マンションの購入を考えたとき、気になることは「このマンションに欠陥はないか」という点。中古の場合、すでに建物が建っているので、外見をみただけでも明白なひび割れなどがあればわかります。 ただ、それ以上のことになると、調べないとわかりません。その調査が「ホームインスペクション」です。 住宅診断サービス ホームインスペクションは、日本語に訳せば「住宅診断」となります。住宅に精通したプロフェショナルが、第三者の視点でマンションをチェックしてくれるサービスです。 アメリカでは不動産取引の大半で、ホームインスペクションが実施されています。日本においても中古不動産取引が増えるにつれ、ホームインスペクションが充実してきています。 ホームインスペクションのメリット ホームインスペクション利用のメリットを考えてみましょう。まず、住宅に欠陥や問題点がないか、専門家がチェックすることで安心して購入・居住することができます。そのため、欠陥住宅をつかまされるリスクが減ります。普通の内覧ではわからない、壁の裏側の配管類までチェックするので、安心感が違います。 また、購入後の修繕やメンテナンスについても、いつ頃、どこに、どのくらいのお金をかければよいかがわかります。 そのため、購入時の売り主との交渉でも、根拠を以て対応や値下げを求めることができます。それを売り主が受け入れるかどうかは別問題ですが、大きな論拠にはなるでしょう。 住宅の本質的な性能がわかる ホームインスペクションのメリットは、単に欠陥を見つけてくれるだけではありません。購入して住む場合、住宅の設備や構造などの本質的な性能がわかります。また、今後住むにあたってのアドバイスを専門家から受けられます。 マンション購入時にフラット35の利用を考えている場合は、ホームインスペクションを利用することで適用条件を満たすことができる場合もあります。ホームインスペクションの結果、耐震適合していることがはっきりすれば、その証明書をもらえるからです。 ホームインスペクションの費用は、会社によって異なりますし、マンションの規模でも違ってきますが、1件あたり5~6万円が相場です。かかる時間の目安としては、2~3時間程度です。 売主の協力が必要 マンション購入時にホームインスペクションを実施することの問題点は、売主の協力が必要である、という点です。そのため、実施する場合、購入申込みをした後がいいでしょう。 この段階では、ホームインスペクションの結果、問題が見つかれば違約金なしでキャンセルすることができます。 契約後にホームインスペクションを実施した場合、問題が見つかったときに契約を解除するには違約金が発生してしまいます。 購入申込みをする前に実施してもいいのですが、その段階では売り主が協力してくれない場合が多いでしょう。
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「晴海フラッグ」入居時期を1年程度延期へ

東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改修して販売する大型マンション「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の入居時期が、1年程度延期されます。 2024年入居へ 東京オリンピック・パラリンピックの延期を受け、晴海フラッグを販売する三井不動産レジデンシャルなどは、入居時期を当初予定の2023年3月から1年程度延期する方針を固めました。入居時期は2024年になる見込みです。 同マンションは分譲と賃貸を合わせて5,632戸で、約1万2000人が居住する見込み。すでに分譲住宅4,145戸のうち940戸が販売済。東京オリンピック・パラリンピックの開催の延期を受け、現在はマンションの販売を中止しています。 オリンピック・パラリンピックの延期で東京都などが引き続き選手村を使用するため、引き渡しが1年程度遅れるとみられます。購入者への説明はすでに始まっています。補償については未定ですが、不動産会社に延期の責任はないため、最終的にどのような形になるかはわかりません。
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中古マンションの建築年代別の特徴。マンションはこう進化した

中古マンションを買うときに気になるのは建築年代。「旧耐震」「新耐震」といったおおざっぱなくくりだけでなく、年代別の特徴と、マンションの進化について知っておきましょう。 1970年代 一般向けのマンション販売が本格化したのは、1970年代です。この頃は旧耐震構造で、コンクリートの床(スラブ)の厚さが12~15cmと、現在の標準(20cm)に比べて薄いものでした。この時代の物件は、今の物件に比べると、見た目にもコンクリートの貧弱さが伝わってくるものがあります。 直床、直天井が常識で、電気配線や照明器具のソケットはコンクリートに埋め込まれていました。配水管は下階の天井裏を通るのが一般的で、床の仕上げにはクッション材も入っておらず、遮音性も低くなっています。天井高は2.5m程度の物件が多く、躯体天井高と室内天井高が同じ、というのも珍しくありませんでした。 エアコンが一般的でない時代でしたので、外壁の吸気口やエアコン用のスリーブ(穴)がないのが一般的でした。火災報知器も法令で義務化されていない時代でしたので、竣功時は付いていませんでした。 間取りは「振り分け」といわれる2DKや3DKが主流。振り分けとは、キッチンやDKからそれぞれの居室への入口が分かれており、動線が各部屋に振り分けられている物件のことです。玄関を入るとキッチンがあり、その奥に居室が二つ並んでいる、というような間取りが多い時代でした。 1980年代 1980年代に入ると、間取りが多様化していきます。「田の字型」と呼ばれる現在も一般的な間取りが普及する一方、ワイドスパン、センターイン方式といったコストの高い間取りが高級マンションを中心に導入されていきます。設備面ではオートロックや住宅情報盤などが広まったのが、1980年代です。 構造面では、新耐震基準になり建物が頑丈になりました。スラブは18cm程度が標準的となり、配水管は自室の水回りの床下に通すようになりました。そのため、リビングとキッチン、お風呂に段差が生じることが多く、住戸内でのフルフラットは実現していません。 1990年代 1990年代は前半のバブル景気時と後半の不況時で特徴が異なります。バブル時は見た目を競うような物件が多く、室内に大理石を使うなど豪華な物件が流行しました。土地の高騰の影響で、専有面積は圧縮する傾向でした。狭い専有面積のなか、室内の見た目が広くなるように、苦肉の策としてクローゼットを設けなかったりといった、実用的には難のある物件も少なくありません。 その反省からか、1990年代後半になると、機能重視の物件が増えていきます。1990年代からは、見た目ではなく実際の居住面積が広くなり、間取りも多様化していきます。共用部も充実し、宅配ロッカーが標準化されたものもこの頃で、キッズルームや読書室などを設ける物件も出てきました。システムキッチンなど住宅設備も着実に進化していきます。 スラブ厚が20cmが標準的になったのも、1990年代後半です。バブル期のマンションよりも遮音性が重視されるようになりました。バリアフリーの重要性が認識されたのもこの時期からで、室内や共用部に段差のない物件が増えていきます。 一方で、この頃はまだ階高も低く、天井の小梁が室内にせり出したりといった圧迫感のある住戸も少なくありませんでした。二重床、二重天井が意識されるのも、もう少し後のことです。 2000年代 2000年代になると、マンションの品質が安定していきます。その理由は2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によるところが大きいです。同法では、構造耐力上主要な部分について売主による瑕疵担保責任が10年に延長されました。その結果、大手はもちろん、中小デベロッパーの物件でも、品質管理が徹底していきました。 スラブは20cmが標準的となり、22cmの物件も見かけるようになりました。室内の小梁をなくすボイドスラブの採用も増えていきました。二重床、二重天井も広まり、階高は3mが標準的になっていきます。住戸内の給水管が鉄管・先分岐工法から樹脂管のヘッダー工法に変わったのもこの頃からです。光回線などインターネット接続に対応した物件が増えてくるのも2000年代以降です。 2000年代は土地価格が低迷していて、バブルの不良債権処理でマンション用地の供給が多かった時代です。そのため、比較的低価格で高機能なマンションが建設された時期でもありました。 時代背景を理解したマンション購入を このように、マンションは建築時期によって特徴が異なり、当然新しいほど進化しています。品質管理という目に見えにくい部分も含めると、新しい物件のほうが品質が高い傾向にあるのは間違いありません。 中古マンションでは1970年代の物件が非常に安いですが、旧耐震という耐久性の問題に加え、給排水管をはじめとしたメンテナンスに不安があります。それに対し、新耐震となった1980年代後半以降の物件は、マンションの持続性にも一定の配慮がされています。 マンションの機能が大幅に上がったのは、1990年代後半からです。バリアフリーに配慮したマンションが普及するのもこの頃からです。そう考えると、永住目的でマンションを買うなら1990年代後半以降の物件がおすすめとなりますが、そのぶん、この時代以降の中古マンションは人気があり、立地のいい物件はとくに値下がり率が低くなっています。 このように、マンションの「築年数」は単に古さを示すだけではなく、建設された時代のトレンドも示しています。そうした時代背景を理解してマンションを購入するといいでしょう。

コロナショックでマンション価格はどう変わるか

コロナショックでマンション販売に急ブレーキがかかっています。景気の悪化にともない、販売価格も値下がりしていくのでしょうか。考えてみましょう。 マンション販売に急ブレーキ コロナショックで、新築分譲マンション販売に急ブレーキがかかっています。理由は簡単で、モデルルームなどでの対面販売が規制されたからです。また、景況感も急速に悪化してきており、先の見通しがわからない状況で、住宅ローンを組む人も減っており、それが分譲マンション販売に陰を落としています。 ここ数年、新築マンション価格は上昇をを続けてきました。不動産経済研究所によれば、2019年の首都圏分譲マンションの1戸当たりの平均価格は5,980万円、面積当たりの単価は87.9万円/m2に達しています。2012年は平均価格4,540万円、平均単価65万円/m2でしたので、7年間で約1.3倍の販売価格となり、平均単価は約1.4倍に上昇していることになります。 新築価格に引っ張られる形で、中古マンションの成約価格も上昇を続けてきました。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2012年の中古マンションの平均成約価格は2,500万円、平均単価38万円/m2でしたが、2019年の平均成約価格は3,220万円、平均単価は53万円/m2と、いずれも1.4倍となっています。 不動産価格の「平均」は立地条件などを無視していますので、平均がすべてを表しているわけではありません。そういう前提ですが、ざっくりといってしまうと、7年前に5,000万円で買えていた新築マンションが7,000万円に。3,000万円で買えていた中古マンションが4,200万円になったわけです。恐ろしいばかりの値上がりです。 マンションは暴落しない しかし、ここへきて、「コロナショック」が不動産市況を襲っています。新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済の混乱で、景気はリセッション入りが確実視されています。マンションの販売価格にも影響を及ぼさずにはいられません。 ただ、過去の例を見てみると、リセッション入りした直後に不動産価格が暴落したケースというのは見当たりません。たとえばバブル経済がピークを付けた1990年以降も、不動産価格はある程度の値を保ちましたし、リーマンショックの時も同じです。新築に限っていえば、平均価格は1~2割程度下がることはあるものの、株のような大暴落にはなりません。 マンション価格がすぐに暴落しない理由はいくつかありますが、最大の理由はマンション価格は数年かかる一連のプロジェクトであり、景況感がすぐに反映されない、という点でしょう。土地の仕入れ値や建築費が高騰したなかで動き出したプロジェクトは、そうそう安値販売できないのです。 「買う人がいなければ値下げするしかないのでは?」という考えもあろうかと思います。それは確かにそうですが、実際は値下げするのではなく、供給を絞ることで調整をします。大手デベロッパーは経営体力がありますので、安値販売するくらいなら供給を絞って値を保つ道を選びます。新築マンションを必要としている人はいつでも一定数いるので、供給さえ絞れば値下げをする必要はなくなるのです。 かつては、中小のデベロッパーが運転資金ほしさに値下げすることもありました。しかし、最近の分譲マンションは大手デベロッパーがメインになっていて、経営体力に乏しい会社は少なくなっています。そうした事情もあり、新築マンションの投げ売りは構造的に生じにくくなっているという指摘もあります。 買い急ぐ必要はない 実は、「供給を絞る」という状況は、コロナショック以前から生じています。2019年頃からマンション市場は明らかな過熱感があり、発売戸数は減少してきているのです。どんどん上昇する価格に、買い手の需要がついていけず、契約率は低下傾向でした。 そうしたトレンドのなかで、コロナショックが起きたこともあり、新築マンション供給は絞られていくでしょう。価格的にも当面の天井をつけたといってよく、今後は緩やかに値下がりしていくでしょう。 とはいえ、新築マンションは適地が限られてきており、とくに都心など人気エリアでは、デベロッパーが売り急いでいる雰囲気は感じられず、値下げの情報も聞きません。 明らかな価格低下が起こるとすれば、郊外立地でしょう。郊外の新築分譲マンションは、買い急ぐ必要はありません。 また、今後、不動産の過熱感が収まった後に取得した土地が開発されるようになると、新築マンションの価格も下がっていくとみられます。それには短くても2~3年かかるでしょうから、じっくり待つといいいでしょう。どの程度下がるかは見通せませんが、立地によっては1割程度の値下がりはあり得るでしょう。 中古マンション特有の事情 一方、中古マンションの価格はどうでしょうか。中古マンション価格は新築マンション価格の影響を受けますが、まったく同じではありません。その理由はいくつかありますが、大きいのは住宅ローンの残債です。 マンションを売却する人の多くは住宅ローンの残債を抱えています。そのため、残債以上の価格で売ろうとし、そうでなければ売る判断を先送りします。結果として、築年数の新しいマンションほど値を保ちやすいのです。実際、リーマンショックの後も、築浅の中古マンション価格は大きくは下がりませんでした。 要するに、中古マンションが出回りやすいのは高く売れる景気のいいときで、逆に景気が悪くなると、「今売る必要はない」と考える人や、残債で売るに売れない人が抱え込むので、中古マンションの流通が絞られます。結果として、築浅中古マンションは供給が維持され、値下がりしにくくなるのです。 築年数の古い中古マンションに関しては、リフォーム済物件が増えていることが、価格が下がりくい理由となっています。業者がリフォームした物件は、買値より2割程度高く売られることが多く、結果として中古マンション価格を底支えしています。 もちろん、景気が悪くなれば、経済的な事情で状態のいいマンションを手放す人も出てきますので、手頃で良質な物件が出てきやすいタイミングでもあることは事実です。とくに、リセッションの入口は「早めに売っておこう」と考える人もいますので、質のいい物件の買い時ではあります。 ただし、いい物件はすぐ売れるのが中古マンションの特徴です。お目当てのエリアの情報には目を光らせておくといいでしょう。

マンションの杭基礎と直接基礎の違いとは?

建物を地面としっかり結びつけるのが「基礎」です。マンションの基礎は、大きく分けて「杭基礎」と「直接基礎」があります。 地盤が良ければ直接基礎 杭基礎とは、地面の深い位置まで杭を打ち込んで、マンション全体を支える基礎です。マンションの立つ地盤が軟弱でも、地下深くの固い地盤まで杭をのばして建物を支えるわけです。 直接基礎とは、マンションの建物全体を、直接地面で支える基礎です。マンションの建つ地盤が硬ければ、こうした直接基礎が使えます。直接基礎にもいくつか種類がありますが、マンションの直接基礎はおもに「ベタ基礎」と呼ばれる工法を使います。 逆にいうと、直接基礎のマンションは、地盤のよい立地だということでせす。 杭が長くていいことはない 日本の大都市は主に平野部にあり、平野部では地盤の良好な場所は限られます。そのため、多くのマンションは杭基礎で建てられています。とくに、湾岸地域の埋立地に立っているタワーマンションは、ほぼ100%が杭基礎です。埋立地の場合、硬い地盤は地下50m程度は掘り下げないと行き当たらないので、杭はかなり深いところに届いています。 杭基礎の杭は、長くていいことはありません。杭が長いほど折れやすくなりますので、より頑丈なものを作らなければならなくなり、建設費がかさみます。 そのため、マンションを買うならできれば直接基礎の物件がいいでしょう。ただ、直接基礎の物件は少ないですから、そこにこだわりすぎると買えるマンションは限られてしまいます。 杭基礎でも建物の安全性に問題はないのは、言うまでもありません。購入する場合は、できれば杭の短い物件がいいでしょう。基礎の深さは、販売時に「設計図書」を見ればわかりますし、わからなければ販売員に尋ねてみるといいでしょう。