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既存不適格マンションの問題点。転売時に買い手が付くか?

世の中には「既存不適格」のマンションがあります。既存不適格とは、着工時には適法だったものの、工事中や完成後に建築基準法の改正や都市計画変更などがあり、法令に適合しない部分が生じた建築物です。既存不適格マンションは、購入時には注意が必要です。 違法建築物ではない 既存不適格建築物は、違法建築物とは異なります。違法建築物は着工時から法令に違反して建てられた建築物ですが、既存不適格は着工時は合法だったものです。そのため、住み続けても違法ではありません。 たとえば、すでに建っている「マンションA」のエリアで容積率や高さ制限が変更になり、同じ大きさのマンションを建てることが禁じられたとします。このとき、「マンションA」は既存不適格ですが、違法ではありません。マンションAの住人は合法的に住み続けることができますし、売買も可能です。 新築マンションでも不適格が 中古マンションだけでなく、新築マンションでも、既存不適格が問題になることがあります。建築確認申請審査を終了し、着工後の工事期間中に、建築基準法の改正や都市計画変更などが公示されて、マンション完成時に「既存不適格建築物」になってしまうケースが考えられます。 こうした「完成時不適格マンション」は、偶然既存不適格になったとは限りません。法令変更を察知したデベロッパーが、駆け込みで建築したものもあります。 実際にあった話としては、、東京のあるエリアで高さ規制の変更が公示された後、中堅デベロッパーが、新規制を上回るタワーマンションの建築確認申請を出し、施行される前に審査終了し着工しました。 このマンションは完全に合法ですが、建ったとたんに既存不適格になってしまったわけです。それでも分譲され、時間はかかりましたが全戸完売したようです。 重要事項説明で伝える義務 こうした「既存不適格の新築マンション」については、販売業者は販売時に、「既存不適格建築物である」旨を購入予定者に知らせなければなりません。実際には、重要事項説明書で「現在の法令に適合しておらず、建て替えるときに同じ大きさの建物が建てられない」などという表現で伝えられます。この重要事項説明を聞いた上で、購入者はイヤなら買わなければいいのです。 ただ、法令に詳しくない人は、既存不適格と聞いてもぴんときません。業者に説明を求めても、「将来建て替えるときに、同一の高さのマンションが建てられないというだけです。70年や100年後のことです」などとかわされることが多いでしょう。 「近くに同じ高さのマンションは今後建ちませんから、眺望は保証されたようなものですよ」などと、デメリットをメリットに言い換えて説明する不動産業者もいます。 100年もつなら問題ない? 既存不適格物件とはいえ、100年間建物がもつのなら問題ない、と考える人もいるでしょう。100年後には法律がどう変わっているかわからないし、そんなこと気にしても仕方がない、という意見もあります。住み続ける前提ならば、それはそうかもしれません。 一方で、既存不適格のマンションには明快なデメリットもあります。最大のデメリットは、転売しにくいという点でしょう。中古物件として売却するときも、当然、重要事項説明で購入者に説明しなければならないのですが、新築時には「あと100年大丈夫」とあなたが思って購入した物件も、中古となるとそう気楽に構えられるものではなくなります。 最後はババ抜きのババになる 中古として30年、40年、50年と経つうちに、「あと70年は大丈夫」「あと60年は……」「あと50年くらいは……」と、先行きが短くなっていきます。既存不適格にもいろいろな種類がありますが、同じ大きさで建て替えられる場合は、大きな問題にはなりません。問題なのは、容積率が低くなったりし、高さ制限が厳しくなったりして、同じ容積での建て替えができなくなってしまった物件です。 こうした既存不適格マンションは「同じ大きさで建て替えのきかない問題物件」として扱われるようになり、ババ抜きのババと化す可能性が高くなります。 そういう将来が想像できるマンションを購入したい人は少ないですから、転売時にどうしても不利になります。似た条件の適格マンションよりも売却価格は低くなるでしょうし、築年数が深まるにつれ買い手が付かなくなる恐れもあります。総合的に考えて、既存不適格物件は買うべきではない、というのが当サイトの結論です。 深刻な問題でない場合も どうしても買いたい物件がある場合は、建て替えるときにどの程度の建物を建てられるのかをきちんと確認したうえで、それに見合った価格であるかどうかを判断してからでしょう。 仮に2分の1の大きさの建物しか建て替えられないのだとすれば、相場価格の2分の1で買うべきです。一方、既存不適格とはいえ、不適合内容が軽微なものだったり、敷地に余裕があるなどして、同じ容積の建物を建て替えられる物件なら、それほど深刻な問題ではないと考えることもできます。

マンション「15階建て」と「14階建て」のメリットとデメリット

マンションの階数で「15階建てよりも14階建てのほうがいい」という議論がよくきかれます。高さ制限のあるなかでマンションを建設する場合に、1階あたりの階高が高いほうがいいマンションだ、という考え方です。でも、これって正しいのでしょうか? 「15階建て」「14階建て」それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。 15階建ては階高が低い マンションでは15階建てと14階建てが多いです。その理由はいくつかありますが、一番大きな理由は非常用エレベーターの設置義務だといわれています。 建築基準法では、高さ31mまでとそれを超える4階部分までの建物であれば、非常用エレベーターを設置しなくてもよいとされます。一般に、高さ31mとは、10階か11階に該当します。つまり、高さ31mが10階ならば、全部で14階建てのマンションとなり、11階ならば全部で15階建てとなります。 マンションの階高(1フロアあたりの高さ)は、3m程度が理想といわれます。しかし、階高3mとするには、高さ31mで10階までしか入りません。逆に11階を高さ31mに収めようとすれば、階高を低くしなければなりません。そのため、15階建てのマンションは、どうしても階高が低くなります。 マンションの階高は、低いよりは高い方がいいです。高いほうがリフォームの際の自由度もありますし、部屋が広々としています。階高が大きいことは、14階建てマンションのメリットといえるでしょう。 15階建ては敷地に余裕が出る? ただ、15階建てにもメリットはあります。マンションを建てる際には、容積率の範囲内でしか建てられません。容積率をめいっぱい利用して建てる場合、15階建てにすればマンション全体の天地が高くなりますので、マンション全体の平面(建物の建築面積)は小さくなります。逆に、14階で容積率をめいっぱい利用する場合、15階建てよりも平面は大きくなります。 そのため、15階建ては14階建てよりも、敷地に対して余裕ができます。余裕があれば、建物の形を決める際の設計の自由度が高まりますし、敷地利用の選択肢も増えます。たとえば、中庭の面積を広くすることができたりしますし、南向きの部屋を増やすことが可能になることもあるわけです。 また、15階建てにすれば、1戸あたりの建築原価も小さくできますから、結果として分譲価格も安くできます。「安くできる」からデベロッパーが「安く売る」とは限りませんが、購入者としては安く買える可能性が高まるわけです。 高級感を求めるときは14階建て 階高という視点からみれば、15階建ては14階建てよりデメリットが大きいのは事実です。でも、階高に少し目をつぶれば、少し安い価格でマンションが手に入り、固定資産税もちょびっとだけ安くなるわけです。 いちがいに「15階建てが14階建てより悪い」とは限りません。ただ、マンションに高級感を求める場合は、15階建てを購入するときは注意しましょう。14階建てのほうが、階高が高いだけに天井が高く、高級感では満足度が高そうです。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

マンションは「南向きがいい」は本当か?

マンション購入時に気になるのは「方角」。住戸の方角で人気が高いのは日当たりの良い南向き、次が東向きです。当然、方角は価格に反映します。 南向きは昼間の熱を夜に放散 マンションで人気の南向き。日中に長い時間太陽の光が差しますから、部屋は明るいですし、冬は暖かいです。 マンションはコンクリートでできています。南向きの部屋では、日中の太陽熱をコンクリートが吸収し、夜になって外気温が下がると、その熱が室内に放散されます。そのため、冬は夜でも暖かく、外が0度でも室内は暖房なしで10度以上の気温だったりします。 一方、夏も昼間の太陽熱が夜に室内に放散されるのは同じです。そのため、真夏の夜はエアコンなしでは夜眠れなくなる、という人もいます。昼間留守にしていると、日中は部屋を閉め切っているため、夜は居室全体が蒸し風呂のようになっていることもあります。 とくに、タワーマンションの上層階の南向きは、夏の暑さはかなり厳しいです。 東向きより西向き? となると、南向きよりも、適度に日が当たる東向きや西向きのほうが良い、という考え方も出てきます。東向きと西向きでは、人気があるのは東向きですが、これは午前の日当たりか、午後の日当たりかという差になります。 「早起きするなら東向き」「西日はきつい」という意見が強く、東向きのほうが西向きより人気です。そのため、価格は西向きのほうが安いです。日の当たる時間に大差はありませんから、西向きのほうが割安な分、選ぶなら西向きがいい、という考え方もあります。 北向きは日当たりが全くありません。そのため、夏は涼しく、冬は寒いという特徴があります。北向き住戸は人気がありませんが、そのぶん北向きは価格が圧倒的に安いです。 また、北向きは日が差さない分、景色を見るのに適しています。そのため、タワーマンションの中上層階では北向きも意外に人気がありますし、子供がいない方なら、北向きでOK、という人も多いようです。 マンションは風通しも大事 北向きの不安点は、日当たりがないと部屋がカビてくるのではないか、ということです。これに関しては、日当たりと湿気にはあまり相関関係はなく、北向きの部屋だからカビやすいという事実はありません。 カビを防ぐには湿気がこもらないようにすることが大事です。そのためには、風通しを良くすることです。マンションは密閉性が高いため、湿気がこもりやすいという性質があります。そのため、風通しは大事です。 風通しの良いマンションとは、異なる二方向(北と南、西と北、など)に外気に面した窓があるマンションです。同じ方向に窓が二つあっても風通しは得られませんし、一方の窓が内廊下に面していても、やはり風通しは良くありません。

スケルトン・インフィルがマンションで重要な理由

「スケルトン・インフィル」とは、マンションのメンテナンス性に関わる言葉。簡単にいえば、マンションの構造躯体と、設備の配管などを切り離しておこう、という考え方です。ここでは、スケルトン・インフィルについて、わかりやすく説明しましょう。 構造躯体と内装設備を切り離す マンションのコンクリートそのものである構造躯体と、キッチンやお風呂の配管類は、耐用年数が異なります。コンクリートは100年持つこともありますが、配管はせいぜい数十年で交換です。 古いマンションでは配管をコンクリートに埋め込んでいたりしますが、これでは配管が劣化したときに修理ができません。そうすると、躯体そのものは問題ないのに配管が壊れて住めなくなる、という事態が起きかねません。 こうしたことを防ぐため、構造躯体と内装設備を切り離しておこうというのが「スケルトン・インフィル」という発想です。柱や梁、床などを支える構造躯体(スケルトン/S)と、内装や設備など(インフィル/I)をなるべく切り離し、住戸内の内装や設備を将来にわたって維持管理、更新できるようにしようという考え方です。 「SIマンション」とは? ただ、スケルトン・インフィルに明確な定義があるわけではありません。「SIマンション」とうたった物件もありますが、どんな配慮や工夫が盛り込まれているかは売主によって異なります。 「SIマンション」という名称では、単純に給排水管が住戸の外に出ていて交換のしやすいマンションを指すこともありますが、間取りを自由に配置できるマンションのことを指すこともあります。 間取りを自由に変更できる「SIマンション」の場合、売主は水回りや寝室の位置を自由にレイアウトできます。ただ、その場合は、寝室の隣が隣戸のお風呂になったりして、夜中に水の音がうるさかったりすることもあり、最近は取り入れるマンションは減ってきました。 住宅性能表示の評価対象 住宅性能表示の「4.維持管理・更新への配慮」に関する項目では、スケルトン・インフィルの思想も評価対象になっています。具体的には、全ての配管関係は評価対象です。 たとえば「専用配管の維持管理対策」では、配管をコンクリートに埋め込まないようにしていれば「等級2」、さらに掃除口および点検口を設けることで「等級3」になります。 また、共用配水管の更新対策では、共用配水管が貫通部を除いてコンクリートに埋め込まれておらず、共用部分や建物外周部に設置され、分解可能な配水管の使用や新しい配水管の設置スペースをあらかじめ設けておくなどの対策をとっていれば、「等級3」になります。 絶対に「等級1」にすべき マンションをメンテナンスやリフォームなどの「可変性」で見た場合、水道・ガス・下水などの配管類の扱いは非常に重要です。前述した通り、マンションの場合、構造躯体の鉄筋コンクリートは50年や100年持たせることも可能ですが、内装や配管類は数十年で更新が必要になりうるからです。 もし、コンクリートに配管類が埋め込まれたりしていると、配管を取り替えるためにコンクリートを壊さなければならなくなることもありえます。 実際には、コンクリートに配管類が埋め込まれたりしていた場合、更新時にはその配管は放棄して、新しい配管を壁の外側などに設置することが多いです。そうすることでマンションに住み続けることはできますが、更新に巨費がかかりますし、見た目も悪くなります。 最近の新築マンションで、コンクリートに配管類が埋め込まれていることは、まずありません。しかし、配管の更新への配慮が行き届いていないマンションは時折見受けられます。住宅性能表示の「維持管理対策等級」の配管に関する項目は、絶対にオール「等級1」のマンションにするべきです。

マンションの階高、躯体天井高、室内天井高の違いとは?

マンションを購入するときに気になるのが、天井の高さ。これを「天井高」といいます。天井高には躯体天井高と室内天井高があります。また、階の高さを「階高」といいます。これらの違いについて説明しましょう。 重要なのは躯体天井高 まず、「階高」とは各階のコンクリートの床(スラブ)の上面を基準にした高さです。コンクリート間の高さといってもいいでしょう。 つぎに、「躯体天井高」とは、階高から天井のスラブ厚を差し引いたものです。天井のスラブは共有部分で、階高から共有部分を差し引いた専有部分の高さといってもいいでしょう。躯体天井高とは、所有者が内装などで自由に変更できる空間を示します。 躯体天井高が高ければ高いほど、将来の配水管のメンテナンスや取り替えがしやすく、リフォームによる間取りの変更などの自由度も高まります。 マンション分譲時のパンフレットに記載されている「天井高」は、「室内天井高」を指します。この躯体天井高からさらに床や天井の仕上げ部分を差し引いたものです。 たとえば、水回りの配管のために、二重床になっている場合はその厚さを差し引きます。天井も、電気配線や照明器具の取り付けのため二重天井になっていれば、その厚さを差し引きます。 つまり、マンションでは、住戸内の高さについて、「階高」「躯体天井高」「天井高(室内天井高)」の3つがあり、この順で高さが低くなります。もっとも重要なのは、専有空間の高さを示す躯体天井高といえます。 9割以上が2550mm以上 住宅性能表示制度では、新築マンションの「維持管理・更新への配慮」の評価対象の1つとして、躯体天井高を表示するように定められています。したがって、マンション購入時には、自分が申し込む住戸の躯体天井高を確認することができます。 ただ、同じ住戸内でも躯体天井高は全て同じではありません。廊下とリビングでは高さが異なったりします。配管のため天井を下げていることもありますし、梁が天井からはみ出ていることもあります。 住宅性能表示制度では、最も低い部分の躯体天井高と、それがどこなのかをを表示することになっています。 最新のデータでは、住宅性能表示制度を利用したマンションのうち、躯体天井高で最も多いのは2550mm以上2650mm未満で36.1%、次いで2650mm以上2750mm未満で33.1%です。2750mm以上が22.9%ある一方で、2550mm未満のマンションは8%程度にすぎません。最近のマンションは大多数のマンションが2550mm以上です。 これから新築分譲マンションを買う場合は、最低でも2650mm以上で、できれば2750mm以上が望ましいでしょう。床が直床の場合は、最低2550mm以上でも許容範囲です。

住宅性能評価「断熱等性能等級」は「等級4」が目安

マンションの住宅性能表示の「5. 温熱環境・エネルギー消費量に関すること」では、建物の省エネルギー性能(断熱等性能等級)について評価します。4段階の等級が付けられていますが、どのような意味があるのでしょうか。解説しましょう。 ほとんどのマンションが新省エネ基準をクリア 住宅の省エネルギー性能は、高くなるほど冷暖房などの効率がよくなり、電力やガスの消費が少なくなります。光熱費が安くなって家計にやさしく、結露を防ぐことで建物の劣化も防げます。 住宅性能評価制度においては、省エネ性を「断熱等性能等級」として評価しています。評価は4段階に分かれてて、等級1は何も省エネ対策が取られていないレベル、等級2は昭和55年の旧省エネ基準のレベル、等級3は平成4年の新省エネ基準のレベル、等級4は平成11年の次世代省エネ基準のレベルです。 最近のデータでは、等級4が60%程度、等級3が30%程度です。ほとんどのマンションは等級3の新省エネ基準を満たしており、多くのマンションが等級4の次世代省エネ基準を満たしているわけです。これからは、等級4がスタンダードになるとみられますので、できるだけ等級4のマンションを選びましょう。 複層ガラスや樹脂サッシも重要 日本の国土は南北に長く、地域によって気象条件はかなり異なります。そこで、省エネルギー対策等級では、全国を6つのエリアにわけ、等級2から4の基準を変えています。 マンションの断熱方法としては、屋上のコンクリートの上に板状の断熱材を敷き、外壁のコンクリートには室内側から現場発泡の断熱材を吹き付けるの一般的です。省エネルギー対策等級で問題になるのは、この断熱材の厚さです。 断熱材にはいくつか種類があり、使う断熱材によって必要な厚さは異なりますが、壁については首都圏で「等級3」なら20~25ミリ、「等級4」なら30ミリ~35ミリの厚さが必要です。 窓も重要です。「等級3」や「等級4」を取得するには、断熱性能の高い複層ガラスやエコガラスを用いる必要があります。サッシも樹脂やアルミ・樹脂の複合タイプが望ましいでしょう。

住宅性能表示の「劣化対策等級」は「等級3」が必要

マンションの住宅性能表示の「3.劣化の軽減に関すること」では、建物の構造躯体に用いられる材料の劣化を遅らせるための対策が、どの程度講じられているかを評価します。3段階の等級が付けられていますが、どのような意味があるのでしょうか。解説しましょう。 等級3なら3世代もつ 住宅がどれだけ長期間もつか、という評価が「劣化対策等級」です。ただ、その評価は簡単ではありません。というのも、住宅にはさまざまな材料がざまざまな場所で使われていて、その耐用年数はさまざまだからです。 たとえば壁紙と壁そのものでは耐用期間が全く違うのは理解いただけると思います。柱とドアでも耐用期間は違います。このように、すべての部材について一律の基準で耐用期間を評価するのは困難です。 そこで、「劣化対策等級」では、長期間にわたって建物を支えなければならない構造躯体などに使用される材料についてのみ、その劣化軽減対策を評価します。 評価の結果は3段階の等級で表示されます。「等級1」が建築基準法のレベルで、いわば標準的な耐用期間です(明確な耐用年数は決められていません)。「等級2」は2世代(おおむね50~60年間)、「等級3」は3世代(おおむね75~90年間)にわたり、建物がもつレベルとされています。 この耐用年数は、通常の自然条件で、建物の清掃、点検、補修を日常的に適切に行っていたと仮定したものです。 鉄筋コンクリートの質が評価される 住宅性能表示の「劣化対策等級」の評価対象は、柱や梁、壁など構造躯体などに使用されている材料に限定されます。マンションの場合は、ほとんどが鉄筋コンクリートです。つまり、鉄筋コンクリートの質こそが、「劣化対策等級」の評価になるわけです。 鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートで覆った材料です。コンクリートはアルカリ性の性質を持ちますが、時が経つにつれ、中性化していきます。そうすると、内部の鉄筋が錆びてしまいます。これが、鉄筋コンクリートの劣化のメカニズムです。 中性化による鉄筋コンクリートの劣化を防ぐには、2つの方法があります。 ① 鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚)を厚くする ② 水・セメント比の小さいコンクリートを使う ①については、かぶり厚が厚いほど、コンクリートの中性化が鉄筋の位置まで進行するのに時間がかかるため、鉄筋の劣化を防げます。②については、水・セメント比とは、コンクリートの材料である水とセメントの比率です。水・セメント比の大きいコンクリートとは、荒っぽくいえば「スカスカ」のコンクリートです。したがって、水・セメント比は小さいほど質が高く、中性化スピードが遅くなる、という性質があります。 質の高いコンクリートがたくさん使われているか 住宅性能表示では、この2つの方法の組み合わせで、等級が決まります。たとえば、水・セメント比が55%で、土に接しない部分の壁のかぶり厚が20ミリだと、「劣化対策等級」は「等級2」になります。同じかぶり厚で、水・セメント比が50%になると、「等級3」になります。 こうした組み合わせの詳細まで、素人が知っておく必要はありません。知っておけばいいのは、「等級が上がるほどコンクリートの量が多く使われているか、質の高いコンクリートが使われている」ということです。 それなりの価格のマンションは「等級3」 最近のデータでは、マンションでは劣化対策の「等級1」は1割程度、「等級2」が7%程度、「等級3」が90%程度です。首都圏や関西圏のそれなりの価格のマンションは、ほとんどが「等級3」になっています。 実際、「等級3」以外は時代遅れなので、今から新築マンションを買うのなら、「等級3」以外は買うべきではありません。「等級2」や「等級1」のマンションは、将来の資産価値に影響を及ぼす可能性があるからです。 ただ、いくら質の高いコンクリートを使い、かぶり厚が厚くても、日常の手入れが悪いマンションは劣化が早くなります。メンテナンスフリーで90年もつ、という性質のものではありません。その点は頭に入れておきましょう。
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