子育て中の家族のマンション選びは、意外と難しいもの。広さを求めて探す人が多いですが、手頃で広い間取りはなかなか見つかりません。
騒音で階下に迷惑をかけないか、子ども部屋の間取りをしっかりとれるか、といった建物の問題もあります。学区や利便性、環境とのかねあいも考慮にいれなければならないでしょう。
ここでは、子育て世代に向けた、マンションの選び方を考えてみましょう。
家族4人で何平米必要か?
まず、建物。家族が何人かにもよりますが、子ども部屋を作りたいなら、できるだけ広い間取りのマンションを探したくなります。
大都市の場合、国が住生活基本計画で定める「誘導居住面積」によりますと、望ましい居住面積は、 2人以上の世帯で、20平米×世帯人数+15平米とされています。たとえば3人家族なら75平米、4人家族なら、95平米です。これが国が考える「望ましい家の広さ」です。
実際には、家族4人で70平米3LDKでも、もちろん住むことは可能です。ただ、もう少し広い方が、子どもに十分なスペースを与えられます。エリアにもよりますが、最近は、一家4人なら80平米以上のマンションを選ぶ人が多いです。
「理想」は90平米以上ですが、その広さのマンションとなると、なかなか供給されていませんし、大都市圏では値段も手が届きにくくなります。
3LDKか4LDKか?
マンションの間取りは3LDKが一般的。夫婦の寝室と子ども部屋で、子どもが一人なら、残りの一部屋は書斎や倉庫になるでしょう。子どもが2人なら、子ども部屋も2つになります。
一方で、「3LDKでは狭い」「子ども2人が同性か異性かで異なる」などの意見もあります。4LDKのほうが使いやすいという意見も根強く、判断には迷います。70平米台なら3LDKにならざるを得ませんが、90平米以上なら4LDKも選択肢です。
筆者の意見では、部屋を増設することはできないけれど、使わないで放っておく(納戸にする)ことはできるので、4LDKを買えるならそのほうがいいと思います。
防音性に気を配る
子育て世代のマンション選びで気を配りたいのは、防音性です。最近のファミリー向けのマンションなら、だいたいどの物件でも防音性に配慮していますが、DINKSや単身者がメイン居住者のマンションは、防音性能が劣る場合もあります。
階下や隣戸とのトラブルを未然に防ぐためにも、防音性能は重視すべきです。LL-45以下、LH-50以下の遮音性能を持つマンションがいいでしょう。
いっそ、1階に住むのも手です。階下への気配りをしなくてよくなります。ただ、1階は売却時のリセールバリューがやや低くなりますので、あまり高い物件は避けるのが賢明です。
駐車場、駐輪場は十分か
子育て中はクルマがあると便利。そのため、駐車場が確保できる物件がいいでしょう。郊外マンションなら各戸1区画の駐車スペースのあるマンションがいいですし、都市部でもそれなりの数が用意されていたほうがいいでしょう。駐車場は、立体よりは平面がおすすめです。
子どもが複数いると、自転車が複数台必要になることもあります。そのため、駐輪場スペースが充実している物件がいいでしょう。駐輪場に空きがなくて、子どもが自転車に乗れない、ということになったら悲しいですしね。
駅、バス停までの道のりが明るいこと
立地面では、駅やバス停までの道のりが夜も明るく、治安がいいことが条件。小学校、公園や図書館、スーパーが近いと、なおいいでしょう。幼稚園や保育園も近くにあるに越したことはありませんが、これらは近い遠いというよりも、「入りやすいこと」のほうが大事です。すなわち、地域の待機児童が少ない物件がおすすめとなります。
小学校の学区を気にする人もいますが、学校の雰囲気は時代によって変わるので、あまり気にしても意味がない、という意見も。お受験をするなら、学区よりも駅に近く子どもが電車で通いやすいことのほうが大事です。
子ども医療費無料のエリアか?
子どもは病気をすることも多いです。そのため、病院が近いと安心。同時に、地域の医療補助についても調べておきましょう。東京23区なら中学生までの医療費は無料ですが、こうした自治体は多くありません。
医療費無料なのが小学校までだったり、親の収入によって有料か無料かが決まる、という自治体もあります。
自然環境も大事
自然環境がよいことを条件にする人も多いです。緑があって、自然にふれられる立地なら、子育てにはすばらしいでしょう。自然環境は大事です。
とはいえ、あまりに自然が多い場所は、通勤・通学に不便で、住むには現実的ではありません。利便性と環境が両立しやすいのが郊外のニュータウン。そのため、交通の便のいいニュータウンで駅に近い利便性のあるマンションは、今も子育て世代に根強い人気があります。
一方、郊外ニュータウンでも、駅から遠かったり、鉄道路線が不便だったりする物件は不人気です。環境がいくら良くても、利便性の悪い物件は売却しにくいので、お気を付けください。