マンション購入で最も気になるのは「欠陥マンションではないか」ということでしょう。マンション購入は一生に一度になるかもしれない、大きな買い物ですから、用心に用心を重ねたいところです。
リスクを小さくする
と書きましたが、「欠陥マンション」を買わないための完璧な方法はありません。欠陥マンションは、世の中にたくさんありますし、購入者がそれを見抜く方法は限られているからです。たとえば、コンクリートの密度が基準より低かったとして、購入者が気付く方法はほとんどないといっていいでしょう。
それでも、欠陥マンションを買わないための自衛策はあります。自衛の基本は、欠陥マンションを抱え込むリスクを少しでも小さくすることです。その方法をご紹介しましょう。
売主を選ぶ
最も重要なのは、マンションの売主(販売する不動産会社)を選ぶことです。いいデベロッパーを選ぼう、ということです。
分譲マンションの販売会社のうち、大手企業が集まったグループを「メジャーセブン」といいます。住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスの7社です。まずは、この7社のマンションを買うようにすることで、欠陥マンションをつかまされる可能性は低くなります。
これらの大手販売会社が分譲したマンションでも、過去には欠陥や手抜き工事が発生しています。ただ、欠陥が発覚した場合に、補償してくれやすい会社が、これらメジャーセブンです。なかでも、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンシャルの2社は、大手不動産会社の双璧ですので、この2社であれば、言うことありません。
ただ、三井や三菱だからと言って、絶対に欠陥マンションがない、というわけではありません。安心感が相対的に高く、万一の場合の補償も得られやすい、というだけの話です。
建設会社を選ぶ
次に重要なのは、建設会社です。マンションを施工するのは、建設会社のなかでも技術力のある「ゼネコン」です。これも大手企業のほうが信頼感が高く、大林組、大成建設、清水建設、鹿島建設、竹中工務店の「スーパーゼネコン5社」なら言うことありません。
中低層マンションでは、スーパーゼネコンの施工は少ないので、そ準大手のゼネコンであればベターです。長谷工コーポレーション、五洋建設、フジタ、戸田建設、前田建設工業、安藤ハザマ、三井住友建設、西松建設あたりが、準大手です。
そのほか、中堅ゼネコンとして、東急建設、熊谷組、奥村組、鴻池組、錢高組、淺沼組などがあります。これらの会社も、まずまずの安心感です。
設計事務所の確認も
設計事務所も重要です。マンションの設計事務所はさまざまなので、自分が購入を検討しているマンションの設計事務所がわかったら、その実績をきちんとチェックすることです。同じ設計事務所から複数の欠陥マンションが出てきた例も過去にあります。
不動産会社、建設会社、設計事務所の3者が、マンションの質を大きく左右します。検討中マンションと同じ組み合わせのマンションが過去に分譲されていたら、仕上がりがどうだったか、足を運んでみるのもいいでしょう。
設計図書を確認する
忘れてはならないのが、設計図書の閲覧です。設計図書を自分で読みこなすのは難しい場合もあるでしょうが、新築マンションの設計図書の見方は、こちらの記事に記してあります。
モデルルームに行ったら、かならず設計図書はチェックするようにしましょう。モデルルームに設計図書が置いてない場合、そのマンション購入はおすすめしません。
工事期間を確認する
そして、工事期間を確認することも大事です。短期間で建設したマンションほど、手抜きが起こりやすいからです。適切な工期で施工されたかを確認するために、工事期間の確認が大事なのです。
工事期間を確認するには、建築確認申請欄で、「建築確認許可」の取得年月日を確認し、さらに「竣工予定日」を確認します。この二つの日にちの間が「工事期間」です。
適切な工事期間は、通常の中低層マンションなら、階数プラス3~4ヶ月です。11階建てマンションなら、15ヶ月くらいが標準工期です。この標準工期に内覧会の期間や、修正工事の日程を2ヶ月ほど加えると、安心できる「工事期間」となります。つまり、11階建てなら、建築確認許可から竣工日まで、17ヶ月くらいあれば安心です。
ごくまれにですが、建築確認許可から、竣工日までが5~6年以上かかっているものもあります。その場合、途中で何らかのトラブルが生じた可能性が高いので、工事期間が長い理由を確認した方がいいでしょう。工事期間が長すぎる物件は、基本的には避けた方が無難です。