マンションを購入するときに注意したいのが、隣地。とくに、メイン採光部となる窓の前の隣地がどういう状態かは、よくよく確認したほうがいいでしょう。空き地になっていたら要注意。そこにどんな建物が建つ可能性があるかを、予測しておかなければなりません。
空き地、駐車場は要注意
マンションの隣地が空き地の場合、「何か建ったら日当たりが悪くなるのでは?」と心配する人は多いです。心配は当然で、隣地にどんな建物が建つ可能性があるかは、マンション購入前にチェックしなければならない重要項目です。
空き地でなくても、駐車場も要注意。駐車場は空き地を一時的に活用しているだけの場合もあるからです。
すでに隣地に建物が建っていても、より大きなビルやマンションに建て替わる可能性もあります。その場合、南側なら日照に大きな影響がでますし、東側、西側では太陽位置が低いだけに日当たりへの心配があります。
北側は日照の影響はありませんが、目の前に高いビルが建てば、眺望が悪くなるのは間違いありません。眺望が悪くなれば、当然資産価値も下がります。
どのくらいの建物が建つか?
では、隣地にどんな建物が建つか、予測する方法はあるのでしょうか。
まずは、隣地の容積率と建ぺい率、高さ規制を確認します。容積率や建ぺい率が高ければ、高いビルやマンションが建つ可能性があります。一方、容積率や建ぺい率が低ければ、そんなに高い建物は建てられません。
具体的に、どのくらいの高さのビルやマンションが建つ可能性があるかを知る方法はあるのでしょうか。建設できるビルの高さは、容積率、建ぺい率、隣接する道路幅、高さ規制などさまざまな条件で決められますので、一概にはいえません。
ごくおおざっぱにいえば、たとえば容積率が300%なら5~6階の建物が建つ可能性があります。500%の場所なら7~8階建てのビルが建つ可能性はあります。絶対高さ規制が設定されているエリアだと、それ以上の高さのビルは原則として建てられません。
同じエリアでも、隣接する道路幅が広い土地ほど、高いビルが建つ可能性があります。大通り沿いには高いマンションが建ち並んでいますが、それは高さに対する規制が緩いからです。
用途地域を確認しよう
用途地域も確認しておきます。住居地域では、日当たりに影響が出るビルやマンションを建てる場合、さまざまな規制がありますが、商業地域ではそうした規制が緩いです。商業地域では、日照権があまり主張できません。そのため、商業地域での隣地はとくに要注意です。
一概にいえませんが、容積率が第一種住居専用地域なら、大きなマンションが建つ可能性は低いですが、それでも4階建てくらいは可能性があります。第一種住居地域なら、もっと高いマンションも建てられます。
古い家やビルも要注意
では、隣地が空き地でなければ大丈夫でしょうか? これも安全とはいえません。とくに、古い家が集まっているような場所は要注意。家をまとめて買い集め、敷地を広くしてマンションを建てたりするケースもあるからです。これを「地上げ」といいます。
古いビルが建っている場合も、心配があります。古いビルは建て替えられる可能性が高く、その場合、より高いビルになることがあるからです。
古いビルは技術的な問題などから、容積率を完全に使い切ってないことがあります。建て替えによって、容積率をフルに使った巨大にビルになるかもしれません。
マンションの場合も、見た目が余りに古いマンションは、これから建て替えられる可能性があります。
新しいビルやマンションなら安心
一方、安心なのは、新しいビルやマンションがすでに隣地に建っている場所。鉄筋のビルやマンションは、一度建ったら30~50年は壊しません。
また、新しいビルなら、それが高さの限界のだったりするからです。たとえ建て直しても、同じくらいの高さのビルやマンションしか建てられませんから、現時点で眺望や日照に問題がなければ、建て替えが行われても大丈夫でしょう。
ということで、私有地の隣地に面した開口部を持つマンションを買うときは要注意。できるだけ上層階を買い、どんな建物が建っても日当たりや眺望に影響がないようにしましょう。日当たりと眺望は資産価値にも大きく影響するからです。
大手デベロッパーならシミュレーションしている
大手デベロッパーなら、隣地が空き地などの場合、現在の法規制のなかで、その土地に建てられるもっとも大きな建築物を想定し、日陰がどのようにかかるかをシミュレーションしている場合があります。
そのため、空き地がある場合は、購入前に販売係員に尋ねてみるといいでしょう。きちんとした販売会社なら、それなりの答えを用意しています。「建築予定は今ところないから大丈夫です」なんていう販売員だったら、担当を変えてもらうか、買うのをやめた方がいいでしょう。