「大規模マンション」か「小規模マンション」のどちらがいいのでしょうか。メリットとデメリットを考えてみましょう。
大規模物件のメリット
大規模マンションに明確な定義はありませんが、だいたい100戸以上の物件を指すことが多いようです。そのメリットは、スケールメリットを活かせること。大勢の住民が管理費を出し合うので、管理人を常駐させることもできます。人件費は高いので、管理人やフロントレディ、警備員が常駐ができるのは、大規模マンションに限られます。
共用施設も充実しています。大規模マンションは、デベロッパーが販売促進のために、さまざまな共用施設を設けることが多いです。かつてはジムなどが流行りましたが、最近は図書室や自習室など、静かに過ごせる施設が増えています。会議室やゲストルームがあるのも大規模マンションだけです。その維持費は当然、住民が負担しますが、戸数が多いと一戸あたりの負担は小さくなります。
つまり、管理人がいて、共用施設も充実したマンションライフを好むなら、大規模物件を選んだ方がいい、ということになります。ホテルライクな物件も、大規模物件にしかありません。
管理費そのものの金額も、相対的に安いです。修繕積立金も低めです。これもスケールメリットのおかげです。
大規模物件のデメリット
大規模マンションにはデメリットもあります。最大のデメリットは、戸数が多すぎるために、大きな決議を必要とする際に、意思統一が図りにくい点でしょう。とくに心配されるのが老朽化した際の建て替え決議。
区分所有法の規定では、区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成による決議が必要ですが、数百戸の大規模マンションで、これを集めるのは至難の業です。そのため、将来的な建て替え時については心配が残ります。
日常的なデメリットとしては、建物が大きいため、居室から外に出るまで時間がかかるということ。とくに上層階ではエレベーター待ちが生じるので、朝などは玄関からマンションの出入口まで5分程度かかることすらあります。
小規模物件のメリット
小規模マンションにも明確な定義はありませんが、100戸以下を「中・小規模マンション」と呼ぶことが多いようです。当サイトでは、50戸未満を小規模マンション、50戸~100戸を中規模マンションと呼びます。
中・小規模マンションのメリットは、戸数が少ないだけに、機動的な点でしょうか。居室から外に出るまで1分かからない物件も多いですし、将来的に建て替えが生じたときも、40~50人程度なら、決議をまとめる苦労は小さいでしょう。
マンション管理組合の役員も数年ごとに回ってきますので、マンション内で顔見知りが増えていきます。それを好むかどうかは人それぞれですが、誰が住んでいるかわかる安心感はあるといえます。
小規模物件のデメリット
中・小規模マンションでは、スケールメリットが働きにくいので、共用施設は最低限になりますし、管理人も常駐しないことがほとんどです。ただ、共用施設などなくてもいい、という人もいるでしょうし、管理人の常駐にこだわらない人も多いので、これはデメリットとまではいえません。
デメリットとしては、管理費や修繕積立金が相対的に高くなってしまうことでしょう。とくに、小規模マンションの修繕積立金は、大規模物件に比べてだいぶ高くなります。
どっちがいいの?
全体的にいえば、マンションは大規模のほうがメリットは多いといえます。大規模であることがマンションだ、と断言する評論家すらいるほどです。
ただ、都心など立地のいい場所では大きな土地が確保しにくいので、小規模マンションが多いです。郊外の大規模マンションと、都心の小規模マンションといった構図なら、都心の物件のほうが資産価値が高いのはいうまでもありません。
つまり、大規模、小規模というのは、マンションの数ある指標のうちの一つにすぎません。