マンションを購入するときに、必ずチェックしたいのが駐車場。「いまは使わないよ」という方も、将来はどうなるかわかりませんし、駐車場の状態や空き具合は管理組合の財政に関わりますから、マンション居住者全体の問題になります。
駐車場率は高いほどいいのか?
分譲マンションの駐車場率(駐車場台数/総戸数)は、立地によって大きく異なります。東京都心部のマンションだと50%を切っている場合も少なくありませんし、郊外なら100%が一般的です。当然ですが、駐車場率が高いほど、クルマを所有したいときに駐車場を確保しやすくなります。
しかし、駐車場率が高ければ高いほどいい、すなわち、駐車場台数が多ければ多いほどいい、とは限りません。多くのマンションで、駐車場収入は管理費の財源になっています。駐車場に空きが出れば、管理費会計で欠損が生じてしまいます。駐車場が埋まらなければ、その穴埋めを住人全員でしなければならなくなるのです。
最近は、駅から近いマンションではクルマ(自家用車)の利用率は下がる傾向にあります。都内の駅チカ物件では、あまりに駐車場が多すぎると、埋まらないリスクが大きくなります。
一般論をいえば、理想的な駐車場率は都心部や交通便利な場所で85%程度、郊外マンションで100%といわれています。しかし、実際は都心部なら50%あれば十分で、都心より少しはずれた準郊外で85%、郊外で100%、といったところでしょう。
ただ、これらはファミリー向けマンションの話で、DINKSや独身者向けの住戸があるマンションは、もう少し駐車場率は低くても大丈夫です。
駐車場は広さや車路幅も大事
駐車場は、その広さも大事です。区画が小さな駐車場だと、利用できるクルマの車種が限られるので、3ナンバーでも入れる広さ、ミニバンでも入れる高さが必要です。3ナンバー車の場合、1台分として5.5m×2.7mは最低限必要です。平面駐車場なら高さの心配はありませんが、立体駐車場の場合は、ミニバン対応か確認しましょう。
駐車場への車路の幅や切り返しスペースも見逃さないように。車路の幅は6m程度は必要です。切り返しスペースは、車路の奥にに位置する駐車スペースにクルマを出し入れする場合に必要になります。これが確保されていないと、遠い位置からバックで車庫入れしなければならなくなり不便です。
出入路の傾斜はきつすぎないか?
駐車場は立体式と自走式があります。使いやすいのは自走式であるのは言うまでもありません。また、機械式、立体式は管理コストや修繕費も高いので、できるだけ自走式が好ましいでしょう。
大規模マンションや高級マンションでは、自走式駐車場が地下に設置されていることが多いです。地下駐車場はセキュリティ面でも優れていますのでおすすめです。ただ、一つ大事なチェックポイントがあります。それは出入路の傾斜角です。
建築基準法では、マンションの大規模駐車場では、出入路の傾斜角を1/6までとしています。1/6というのは結構な勾配で、乗車人員が多いと、登り初めでクルマの排ガスパイプを擦ってしまうことがあります。また、登り切ったところでクルマの腹をすることもあります。
きちんとした設計のマンションなら、傾斜路の始まりと終わりは、勾配を緩くしています。多くのマンションはそういう配慮がされていますが、なかには「底を擦ってしまいそう」な出入路や、急斜面急カーブのジェットコースター型の出入路のマンションもあります。新築マンションの場合は、駐車場の出入路の傾斜をきちんと確認しましょう。