スケルトン・インフィルがマンションで重要な理由

「スケルトン・インフィル」とは、マンションのメンテナンス性に関わる言葉。簡単にいえば、マンションの構造躯体と、設備の配管などを切り離しておこう、という考え方です。ここでは、スケルトン・インフィルについて、わかりやすく説明しましょう。

構造躯体と内装設備を切り離す

マンションのコンクリートそのものである構造躯体と、キッチンやお風呂の配管類は、耐用年数が異なります。コンクリートは100年持つこともありますが、配管はせいぜい数十年で交換です。

古いマンションでは配管をコンクリートに埋め込んでいたりしますが、これでは配管が劣化したときに修理ができません。そうすると、躯体そのものは問題ないのに配管が壊れて住めなくなる、という事態が起きかねません。

こうしたことを防ぐため、構造躯体と内装設備を切り離しておこうというのが「スケルトン・インフィル」という発想です。柱や梁、床などを支える構造躯体(スケルトン/S)と、内装や設備など(インフィル/I)をなるべく切り離し、住戸内の内装や設備を将来にわたって維持管理、更新できるようにしようという考え方です。

団地

「SIマンション」とは?

ただ、スケルトン・インフィルに明確な定義があるわけではありません。「SIマンション」とうたった物件もありますが、どんな配慮や工夫が盛り込まれているかは売主によって異なります。

「SIマンション」という名称では、単純に給排水管が住戸の外に出ていて交換のしやすいマンションを指すこともありますが、間取りを自由に配置できるマンションのことを指すこともあります。

間取りを自由に変更できる「SIマンション」の場合、売主は水回りや寝室の位置を自由にレイアウトできます。ただ、その場合は、寝室の隣が隣戸のお風呂になったりして、夜中に水の音がうるさかったりすることもあり、最近は取り入れるマンションは減ってきました。

住宅性能表示の評価対象

住宅性能表示の「4.維持管理・更新への配慮」に関する項目では、スケルトン・インフィルの思想も評価対象になっています。具体的には、全ての配管関係は評価対象です。

たとえば「専用配管の維持管理対策」では、配管をコンクリートに埋め込まないようにしていれば「等級2」、さらに掃除口および点検口を設けることで「等級3」になります。

また、共用配水管の更新対策では、共用配水管が貫通部を除いてコンクリートに埋め込まれておらず、共用部分や建物外周部に設置され、分解可能な配水管の使用や新しい配水管の設置スペースをあらかじめ設けておくなどの対策をとっていれば、「等級3」になります。

絶対に「等級1」にすべき

マンションをメンテナンスやリフォームなどの「可変性」で見た場合、水道・ガス・下水などの配管類の扱いは非常に重要です。前述した通り、マンションの場合、構造躯体の鉄筋コンクリートは50年や100年持たせることも可能ですが、内装や配管類は数十年で更新が必要になりうるからです。

もし、コンクリートに配管類が埋め込まれたりしていると、配管を取り替えるためにコンクリートを壊さなければならなくなることもありえます。

実際には、コンクリートに配管類が埋め込まれたりしていた場合、更新時にはその配管は放棄して、新しい配管を壁の外側などに設置することが多いです。そうすることでマンションに住み続けることはできますが、更新に巨費がかかりますし、見た目も悪くなります。

最近の新築マンションで、コンクリートに配管類が埋め込まれていることは、まずありません。しかし、配管の更新への配慮が行き届いていないマンションは時折見受けられます。住宅性能表示の「維持管理対策等級」の配管に関する項目は、絶対にオール「等級1」のマンションにするべきです。

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