基礎知識

マンション購入の手続きの流れをまとめてみた。モデルルーム見学から契約、入居まで

新築マンションを購入するなら、その手続きの流れを最初に理解しておくことが大切。購入申込から引き渡しを受けて実際に入居するまでは、長い道のりが待っています。わかりやすくご説明しましょう。 情報収集 まずは新築マンションの物件情報を集めます。インターネットの住宅情報サイトで希望条件を登録しておけば、定期的に新規分譲開始のマンションの情報をメールで送ってくれます。あわせて、駅に置いてある無料の住宅情報誌などもチェック。 モデルルーム見学 多くの新築マンションは、建物が完成する前に販売を開始します。しかし、買う方にとっては、建物ができていない段階ではイメージが湧きません。そこで、不動産会社は、実際の建物内装を模した「モデルルーム」を設置します。 モデルルームでは、代表的な間取りの住戸の室内を再現しています。内装の雰囲気や仕上げ、設備などをチェックできます。設計図面など重要な情報を閲覧することもできます。モデルルームは販売事務所も兼ねていますので、価格などの情報を知ることができます。 モデルルームは一つだけでなく、希望条件に近い物件なら、なるべくたくさん見て回りましょう。 購入申込 気に入ったマンションが見つかれば、購入を申し込みます。「購入申込書」を不動産会社に提出します。これは契約ではありませんから、提出後、どんな理由でも「やめる」ことができます。購入申し込み段階でのキャンセルにはキャンセル料はかかりません。 住宅ローンを利用する場合は、購入申込を行った段階で、仮審査を受けておくといいでしょう。自分で銀行を回って審査を受けてもいいですし、不動産会社の紹介で受けることもできます。 抽選 購入申込は、部屋ごとに行います。同じ部屋に複数の申込者があれば、抽選となります。当たれば、実際に購入へと進みます。抽選で当たっても、この段階なら辞退することもできます。 重要事項説明 抽選も終わり、いよいよ本当に購入する、という段階で重要事項説明に進みます。これは、法律に定められた一定の項目について、宅地建物取引主任者という国家資格を持った担当者が、書面に基づいて説明するものです。 説明日の前に、あらかじめ重要事項説明書のコピーをもらっておいて、家で読んでおくといいでしょう。不明点があれば、あらかじめ担当者に確認しておきます。 契約 重要事項説明書の朗読が終わったら、契約です。契約は重要事項説明の当日に行われるのが一般的ですが、日を改めることもできます。契約日の前に、あらかじめ契約書のコピーをもらっておいて、事前に読んでおき、不明点があれば前日までに確認しておきましょう。 契約書の内容を確認した後、署名と捺印を行います。この際、手付金を支払います。手付金は事前に銀行振り込みのこともあります。 いったん契約書にサインすると、キャンセルする場合に違約金が必要になります。違約金の金額は、かなり大きいのでご注意を。 住宅ローン申込 契約が成立したら、住宅ローンの申込を行います。実際に融資が行われるのは建物完成後ですが、この段階で申し込んで本審査を受けておきます。住宅ローンの本審査には収入を証明する書類など、書類がたくさん必要で、時間もかかります。 完成を待つ 契約が完了し、住宅ローンを申し込んで本審査を通れば、一段落。あとは建物の完成を待ちます。数ヶ月から1年以上待つこともあります。 入居説明会 建物の完成、引き渡しが近づくと、管理についての説明や、オプションの申込を行う入居説明会が開かれます。引き渡しから引っ越し、入居後の疑問などを尋ねることができます。 内覧会 建物工事が一通り終わると、内覧会です。各住戸の内部について購入者が確認することができます。不具合があれば、ここで指摘し、修繕してもらいます。建物チェックの専門家を同行する人も増えています。 決済・引き渡し 決済日はローンの実行日です。ローンを実行してもらい、不動産会社に残金を支払うと、カギの引き渡しがあります。この瞬間から、購入した部屋を自由に使うことができます。 登記 最後が所有権の登記です。登記は法律的に「この部屋はあなたのもの」であることを認証する作業です。司法書士が代行して行うのが一般的です。 登記が終了すれば、名実ともに、そのマンションの部屋はあなたのものになります。引っ越しは登記が終了する前でも行えます。

「2SLDK」「2LDK+S」の「S」ってなに? 「DEN」とか「F」とか「U」の意味も教えて!

マンションの間取りでたまに見かけるのが「2SLDK」などの「S」。このとき、2は部屋数、「L」はリビング、「D」はダイニング、「K」はキッチンというのは、よく知られた話。では、この「S」とはなんでしょう? 1部屋サービスしてくれる? 答えをご存じの方も多いと思いますが、「S」はサービスルームのこと。といっても「1部屋サービスしてくれるんだ♪」と無邪気に喜んだ人は要注意。そういう親切な意味ではありません。 建築基準法では「部屋」として表示できるには、換気や採光などでいくつかの条件があります。そうした条件を満たしていないものの、人が中に入って歩き回れる程度の広さがある部屋が、サービスルームと表示されます。つまり「部屋と呼ぶことができないスペース」がサービスルームなのです。 ある程度の広さがありますので、部屋として使うことはもちろん可能です。ただ、換気がしにくかったり、採光がしにくかったりしますので、一日中電気をつけて、ドアを少しあけて過ごさなければならなかったりします。そのため、子ども部屋には使わないほうがいいという意見もあります。 DENは書斎 こうした間取り図をめぐる「特殊記号」は、他にもあります。代表的なのが「DEN」。これは書斎の意味。「部屋」と表示できない程度の広さのスペースを「書斎」として表示しているわけです。 「F」はフリールームの略。これはサービスルームと意味は似ていますが、サービスルームよりはやや狭い場合に使われます。「U」はユーティリティスペース。さらに狭い部屋に使われたり、地下室の表示に使われたりします。 マンションではあまりみかけませんが、「STO」は倉庫、「GR」は大型倉庫、「STR」は大型収納室。意味は様々ですが、「部屋」とは認められない区画、という位置づけはだいたい同じです。

マンション「駅徒歩●分」はどんな速度で計ってる? 1分=80mだけれど、そんな早く歩けない!

マンションの販売広告でよく見るのが、「駅徒歩●分」の広告。この「徒歩」って誰の基準で計っているのでしょうか? 男と女では歩く速度は違いますし、子どもと大人ならもっと違いますよね? 答えをいうと、徒歩1分=80メートルと換算しています。つまり、徒歩5分なら約400メートルです。 車は1分400メートル 不動産広告の「徒歩●分」というのは、「徒歩所要時間」といいます。徒歩1分=80メートルの計算になります。ちなみに、クルマの場合は、車1分=400メートルです。バスは実際にかかる時刻表上の所要時間で表示されます。 徒歩の場合、1分未満の端数が生じたときは、1分として計算します。そのため、徒歩5分は321メートル~400メートル、という幅があります。この距離は、直線距離ではなく、実際の道のりに即して計測されます。 起点の駅は改札口ではない 起点となる駅の位置は改札口やホームではなく、駅の出入口です。地上駅の場合は改札口と出入口は近いことが多いですが、地下鉄の場合は注意が必要。道路に出ている地下鉄の出入口から改札口まで2~3分かかることもありますし、改札口からホームまで2~3分かかることもあります。 終点となるマンションの位置も、エントランスではなく敷地の出入口です。大規模物件の場合は、敷地出入口から自分の棟の建物出入口まで、さらに時間がかかることもあります。 また、途中の信号待ちの時間などは考慮されません。坂道も無関係。上り坂なら平地より徒歩の時間がかかるはずですが、そういうことは考慮されていません。 時速4.8kmで歩ける? こうした理由があるので、マンションの「徒歩●分」は、実際にかかる距離と乖離する場合が少なくありません。不動産の広告では「徒歩5分」となっているのに、歩いてみたら7分かかった、なんてことは当たり前で、エレベーター待ちの時間まで含めると、「徒歩所要時間」の倍くらいかかることもあります。 そもそも、本当に80メートルを1分で歩けるのか、という疑問もあります。80mを徒歩1分とすると、時速4.8kmとなります。徒歩で不可能な速度ではありませんが、普通の人は時速4.8kmは「早足」だと思います。 正確を期したいなら、自分で距離を測ることです。最近はグーグルマップで道路距離を測ることができますので、測定してみましょう。正確な距離がわかるはずです。 グーグルマップでも徒歩所要時間が表示されますが、これも1km80mで計測されています。実際に歩いてどのくらいかかるかは、自分の足で確認してみたほうがいいでしょう。

2021年、首都圏マンションは30%の供給増に。注目物件は?

2021年の首都圏の新築マンション販売個数は、30%程度増えそう。新型コロナ感染症は広がりを見せていますが、マンション販売は堅調です。 埼玉県が48%増 不動産経済研究所によりますと、2021年の首都圏の新築マンションの発売戸数は、2020年に比べ31.1%増の3万2000戸と見込まれています。2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行で前年比20%減でしたが、2021年は回復しそう。都心部では引き続きタワーマンションの供給が続く一方、郊外物件も活況になりそうです。 地域別にみると、東京23区は前年比30.8%増の1万4000戸。都下が25.0%増、神奈川県が34.6%増、埼玉県が48.1%増、千葉県が17.6%増で、全エリアで発売が増える見通しです。 注目物件は? 新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、在宅勤務が徐々に定着。そのため、2020年は在宅勤務に向いた広めの郊外物件を探す動きが強まっていました。 この流れは2021年も続く見通しです。郊外で注目の大型物件は、東京建物などによる「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」。京王線の聖蹟桜ケ丘駅から徒歩4分の、33階建て免震タワーです。 都心物件の人気も根強く続きます。都心では、三井不動産の高級マンション「パークコート千代田四番町」「パークコート神宮北参道 ザ タワー」あたりが注目でしょうか。 新型コロナ感染症の収束は見えませんが、新築マンションは堅調に供給されていきそうです。

マンションの「権利書」と「登記識別情報」の管理方法。なくしたらヤバイので、銀行の貸金庫にでも入れておこう

マンションの所有権を証明する書類、それが「権利書」。と書きましたが、じつは、「権利書(登記済証)」というものは、すでにありません。平成17年に紙の権利書は廃止され、現在は「登記識別情報」という番号の書かれた紙に変わりました。そのため、現在は、この登記識別情報を権利書代わりに大切に保管することが重要になりました。 不動産登記に必要な12桁のコード かつての「権利書」は、不動産所有者であることを証明する書類でした。これに対し、「登記識別情報」は、不動産所有者であることを証明する「パスワード」とでもいうべきものです。英数字の組み合わせでできた12桁のコードです。 このコードを知っている者が、不動産の所有者であることを示す証拠となります。そのため、不動産の登記をする際は、この12桁のコードが必要です。 目隠しシールははがさずに 登記識別情報が書かれた紙が「登記識別情報通知書」です。この通知書にはコード部分に目隠しシールが貼り付けられています。 コードを第三者に見られたりコピーされたりすると、従来の権利書が盗まれたのと同様の危険性が生じます。そのため、登記識別情報通知書は、目隠しシールをはがさず、従来の権利書同様に、厳重に保管しておかなければなりません。 登記識別情報の12桁のコードは変更ができず、再発行もできません。そのため、紛失したら面倒なことになります。貴重な財産を守る書類ですし、できれば銀行の貸し金庫など、安全な場所に保管することをおすすめします。

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お金と税金

財形って役に立つの? サラリーマンの頭金作りの王道だけれど、低金利下では意味がない。

サラリーマンの方なら、会社に「財形」の制度がある人も多いでしょう。「財形住宅貯蓄」という名称で、住宅取得に関するお金を貯める場合に、一定金額まで利子が非課税になるものです。昔は、マンションなどを購入するときの頭金作りの王道とされました。 が、今でも役に立つのでしょうか? 目的別に3つの財形 財形とは、勤労者財産形成貯蓄制度のこと。サラリーマンの勤務先が、銀行などと提携して、給与やボーナスから天引きでお金を貯蓄してくれる制度です。 財形は目的別に3種類あります。「住宅」「年金」「その他」です。それぞれ「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」という名称です。 財形の最大のメリットは、利子が元利合計で550万円まで非課税である、という点。普通の預貯金では利子に20%の税金がかかりますが、住宅財形と年金財形は、合算して元利550万円まで非課税になるのです。 また、住宅財形の場合、財形貯蓄を1年以上継続して、積立金額が50万円以上になると、積立金額の10倍(最高4000万円)まで、住宅取得に必要なお金を低利で借りることができます(全体の80%まで)。これを「財形住宅融資」といい、財形のメリットとされてきました。 金利が高ければ有利だが 金利が高い局面なら、住宅財形はなかなか有利な制度です。ただ、現在のような低金利下では、正直、それほどメリットはありません。利子に課税されないといっても、低金利では利子自体が非常に少ないので、課税されてもされなくてもせいぜい数十円や数百円の差にしかなりません。銀行の定期預金と比べて、大差ありません。 財形住宅融資にしても、最近は銀行の10年固定金利よりも金利が高かったりします。となると、金利面や税金面から財形の優位性は失われてきているのが実情です。 貯められない人にはいい制度 あとは、給与天引きをどう考えるかです。給与から一定金額が毎月差し引かれて貯蓄に回されるというのは、お金を貯めるにはいい制度でしょう。貯蓄が苦手な人には素晴らしい制度といえなくもありません。 でも、自分で計画的に貯められる人にはどうでもいい話ですし、財形は、いざ使うときに、お金を引き出す手続きがちょっと面倒というデメリットもあります。自動的に積み立てるなら、銀行の積立貯金でも似た効果が得られます。 ということで、現在の低金利下において、住宅財形は銀行の定期預金と比べて大きなメリットはありません。財形が無駄だとはいいませんが、銀行の積立貯金のほうが使いやすくて便利でしょう。

中古マンションの値段はどうやって決められるのか

中古マンションは売り主が個人がほとんどです。個人が売りたいときに売るので、物件が出るタイミングはバラバラで、そのため価格の「相場」はわかりにくいものです。 実際のところ、中古マンションの価格は、売り主が「この価格で売りたい」という、希望販売価格です。その前段階として、仲介する不動産業者が、「査定」をします。 中古マンションの「査定」の方法 査定の方法はさまざまですが、一般的には、築年数や駅からの距離などの条件の近いマンションの最近の取引価格を調査するのが最初でせう。それを参考に、売却対象のマンションの坪単価を査定し、当該住戸の面積に応じて値付けします。 このとき、階数の上下や方角、ルーフバルコニーや専用庭の有無などによって微調整するのは、新築マンションと同じです。 査定の範囲は、上下20%くらいの幅があります。3000万円が中心価格の場合、2700万円~3300万円、といった形で査定します。そうした査定を受けたうえで、売主と仲介業者が協議して販売価格を決めます。 販売価格は売り主によって異なる 販売価格には、売り主の意向が強く反映されますので、売主の都合により価格が異なります。「早く売りたい」という場合は控えめな値付けになりますし、慌てて売ろうとしていない場合は、強気の価格を設定して、反応をみたりします。 販売開始して、反応が悪かったりしたら、価格を再設定、つまり値下げします。購入者の立場としては、最初は「高いな」と思った物件でも、少し待てば値が下がってくることもあるわけです。 立地や階数などで条件のいい住戸は、多少高めの値付けでもすぐに売れてしまいます。また、割安な住戸も購入希望者がすぐに現れます。 大規模マンションの場合は「競争」も 購入希望者と売主の間では、値段交渉が行われるのが一般的です。ただ、割安な物件の場合は、売主は値段交渉に応じず「この価格で買わないなら、次の人に」と、別の人と交渉してしまう場合もあります。 こうしたやりとりを経て、最終的に売主と購入希望者が金額で合意すれば、それがその中古マンションの価格となります。 大規模マンションの場合は、同時期に似たような条件の住戸が売りに出されることもあります。そういう場合は、売主側に「競争」が生まれて、比較的安く買えることもあります。 情報を早くキャッチすることが大切 中古物件を安く買うコツは、なんらかの事情で価格設定が低くなっている物件を狙うことです。そうした物件を、他の購入希望者より早く見つければ、安く買える可能性が高くなります。そのためには、中古物件を扱う不動産業者のメルマガなどに登録し、いち早く情報をキャッチすることが大事です。 強気の価格設定の物件を狙うときは、とにかく待つことです。3000万円が適正な物件が3300万円で売りに出されていた場合、すぐに交渉しても、安くしてもらえないことがあります。 でも、売れなければ、売主は価格を下げてきます。少し時間が経って、値段を下げたときがねらい目です。値段を下げたと言うことは、売る気が強くなってきたと言うことですから、買う側も安く買えるチャンスといえます。 適正価格を自分で判断する いずれにしろ、大切なのは、このマンションの適正価格はいくらなのか、を自分で判断し、売主の事情を考慮しながら上手に交渉することです。 適正価格とは、資産価値を維持しやすい価格のことです。将来的に「この価格で買っておけば、将来大きな損をすることはないだろう」という価格が、購入者再度の適正価格といえます。 中古マンションには、ときどきとんでもなく「高い」値付けもありますし、不動産業者はそれを「適正」と言い張ることもあります。したがって、買うときは自分の価値基準の判断が大切です。

新築マンションの値段はどうやって決められるのか

新築マンションの価格は、どうやって決められるのでしょうか。通常は、売主の不動産会社(デベロッパー)が、マンション1棟ごとに、各住戸の販売価格をまとめて設定します。 最初に「売上総額」を設定 具体的には、まず、土地の購入価格に建物の設計費や建築費、販売費などのコストを積み上げ、そこに一定の利益を加え、マンション全体の「売上総額」を設定します。 次に、その売上総額を住戸の床面積の合計で割って、平均単価を算出します。この平均単価を基準に、階数の上下や方角、ルーフバルコニーや専用庭の有無などによって価格に差を付け、各住戸の値付けをしていきます。このとき、特定の住戸に人気が集まらないように配慮します。 さらに、周辺で競合する他社物件の価格や売れ行きも調査します。それによって、より強気にいくか、弱含みにするか調整します。周辺の中古物件の相場や売れ行きも参考にします。 値下げは最終手段 戸数が多い場合は、何回かに分けて分譲します。「第1期」「第2期第3次」などの分け方があります。第1期の売れ行きを参考に、後のほうの期では価格を設定し直すこともあります。 売れ行きが悪かったり、完成後も売れ残っている物件(完成在庫)では、値引きすることもあります。 値下げは、デベロッパーの利益を圧縮することですが、もちろんこれは、売り主としては最終手段で、どうしても売りさばけなかったときにしか行われません。 土地代が高かった場合は マンションの価格のうち、土地代はすでに仕入れた物ですので、後から変更はできません。土地代が相場より高かった場合は、分譲価格を上げるか、建設費を圧縮するかの二者択一になります。 分譲価格を上げる場合は、マンションの仕様を豪華にして「高級マンション」として売り出したりします。ただし、これは立地が良くなければできないワザです。 建設費を圧縮する場合は、階高を下げたり、設備の仕様を下げたりします。立地が標準的なマンションでは、建設費を圧縮して販売価格を抑えるのが一般的です。

東京のマンション価格がピークを超えたことを断言しよう。不動産下落局面の「買い時」はいつか?

東京のマンション価格が、ピークを超えました。これまでも「そろそろ天井じゃないかな?」という意見は出ていましたし、筆者もそう思っていましたが、ついに「断言」してもいい段階に到達しました。その理由を書いていきましょう。 世界で利上げが本格化 マンション価格が天井を付けた、そう判断する理由はなんでしょうか。それは、世界で利上げが本格化したことです。とくに、米ドルの利上げのピッチが上がってきたことは、大きな情勢変化です。 「海外の利上げなんて関係ないじゃん?」と思っている人は、金利が住宅販売に及ぼす影響を軽視しすぎています。世界的に利上げがトレンドになり始めたことは、日本の住宅市況に大きく影響します。 それは、日本の最近のマンションバブルの担い手は誰だったか、を考えればわかるでしょう。海外の投資家です。 これまで、海外の投資家は、世界的な低金利でめぼしい投資先が見当たらず、日本の不動産に投資してきたという背景があります。しかし、世界で利上げが始まったいま、投資先は広がり始めています。 海外投資家が日本の不動産へ投資しつづける可能性は、少しずつ減ってきているとみるべきでしょう。というよりも、日本の不動産を売り、海外の別の投資先にお金を回す動きが活発化するとみられます。 2017年に入り、中国で海外送金の規制が厳しくなったことも、マンション販売に影を落としています。新築タワーマンションを爆買いしてきた中国勢の勢いが衰え、湾岸エリアのタワーマンションの売れ方が鈍ってきているという話も耳に入ってきました。 黒田総裁の任期切れも目前 そして、日本では、黒田東彦日銀総裁の任期が見えてきました。過激な金融緩和で超低金利を導いてきた黒田総裁は、2018年3月が任期です。インフレターゲットを掲げながら実現できなかった黒田総裁の続投は微妙です。安倍政権が続く限り黒田総裁は続投しそうですが、交代の可能性を指摘する人も少なくありません。 実際のところ、日本にこれ以上の金融緩和余地は乏しく、異常なマイナス金利は経済への悪影響が指摘されはじめました。そのため、誰が次期日銀総裁になっても、金融引き締めに転じなければならない状況になっていると思います。 現在の超低金利は、そう長くは続かないでしょう。大幅な利上げは当面ないと思いますが、マイナス金利はいつまでも続けられる政策ではありません。 海外が利上げに踏み切る中、日本だけが超低金利政策を続ければ、円安がどんどん進んでしまいます。ある程度の円安は日本経済にとってプラスですが、進みすぎると国民の購買力低下につながり、国が貧乏になってしまいます。そうなると政治不安が起きるので、そう遠くない時期に利上げは訪れるとみたほうがよさそうです。 住宅ローン金利が上がると… 利上げとは、すなわり住宅ローンの金利アップを意味します。金利が上がれば、購入できる不動産の上限価格は下がります。 それでもサラリーマンのお給料が増えていれば、問題ないのですが、国内労働者の実質賃金は頭打ちで、高額な不動産を購入できる世帯は限られています。買い手が減ればマンション価格はじりじりと値を下げて行かざるを得ません。 実際、最近の新築マンションの値付けを見ていても、これまでとは違って、デベロッパーに慎重な姿勢が見て取れます。従来以上に分譲期をずらし、事前調査を綿密にして、手探りで価格を決めています。 都心の超人気エリアのマンションは別として、郊外など、立地に多少の難のある物件は、じわじわと価格を下げている様子もうかがえます。具体的な物件名を挙げるのは避けますが、「値付け失敗で売れていなさそう」というマンションもいくつかあります。 買い急がないこと! では、これからマンションを買おうとしている人は、どういうスタンスで望めばいいでしょうか。 それは、買い急がないこと、に尽きます。 そもそも、日本は人口減少という大きなトレンドにいます。したがって、マンションを急いで買う理由はないのですが、それでも、家庭の事情などで、なるべく早く買いたいとお考えの方も多いと思います。 そういう方も、マンションを購入するときは、しっかりと値段交渉をして、新築であれ中古であれ、買い急がないことです。 好物件が出やすい 不動産価格がピークを付けた時期は、いい中古マンションを手に入れる絶好のタイミングでもあります。というのも、マンションの値下がり開始局面では、好物件が出てきやすいからです。「まだ上がるだろう」と虎の子物件を抱えていた人が、「これから下がるなら売ってしまおう」という姿勢に転じるのです。こうした物件は、マンション不況で値段が下がりきっているときにはあまり出てきません。 その意味で、中古マンションを狙う方は、絶好の買い時ともいえます。いい物件が出てきたらすぐに連絡し、多少の値引きをしてもらって買うのがいいでしょう。 駅に近い好物件は、不動産不況になっても大きくは値崩れはしないので、「値段が下がりきるまで」なんて思っていると、なかなか買えません。決断が大事な時期です。 まとめると、新築物件は買い急ぐ必要はない。 中古物件も、基本的には値下がり待ちで良い。 エキチカの好物件は、買い時である。 ということです。

マンションの資産価値を決める要素

「マンションの資産価値とは何か」という記事で、マンションの資産価値とは「値下がりしにくさ」と「貸した場合の賃料利回りの高さ」であることを述べました。 では、マンションの資産価値を決める要素は何でしょうか。言葉を換えれば、資産価値の高いマンションを買うには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか。 資産価値を決める3つの要素 結論から言ってしまうと、資産価値を決める要素は以下の3つです。 ・立地 ・タイミング ・購入価格 マンションは立地が全て 興味深い統計があります。首都圏の場合、平均すると70平米のマンションは年100万円ずつ値下がりする、というもの。これは、立地を問わず、どこでもだいたい同じなのです。 都心の70平米のマンションは新築で1億円くらいはしますので、100万円値下がりしても1%程度の値下がり率です。一方、郊外では3000万円くらいで70平米のマンションが買えます。それが100万円値下がりすると、3パーセントの値下がり幅です。 すなわち、立地のいいマンションのほうが、価格は高くても値下がり率は低く、「値下がりしにくいマンション」といえるのです。 都心で物件価格が高いほど、マンションは値下がりしにくく、資産価値が高いと言えます。「マンションは立地が全て」といいますが、こういう意味なのです。 タイミングも大切 次に、タイミング。不動産には相場の波があり、需要が多ければ値上がりし、少なければ値下がりします。 当然ですが、値下がりした「底」のタイミングで買えば、価格の下落の可能性は小さくなります。「底」のタイミングで購入したマンションは、あなたにとって資産価値の高いマンションとなります。 逆に、相場の高いときに購入すると、どんなに立地の優れたマンションでも、資産価値を維持するのは難しくなります。立地の悪いマンションならなおさらで、大損する可能性もあるでしょう。 安く買うことが大事 さいごが、購入価格です。相場の高いときであっても、上手に値切ることができたりして安く買えれば、資産価値は維持されやすいでしょう。 「不動産に掘り出し物はない」という人もいますが、実際には、同じ時期に同じような物件でも、10%くらいの価格差は新築・中古問わず発生しています。 3割、4割安いような「掘り出し物」はそうそうありませんが、1割程度でも安く買えれば、資産価値にとってはプラスになります。安く買うことは、資産価値の維持には重要です。

リフォーム

リノベーション済みマンションを避けるべき、たった1つで、最大の理由

中古マンションで最近多く見かけるのが、「室内リノベーション済み」マンションです。中古物件を業者が購入し、内装のリフォームなどを施して、「リノベーション済み」として販売しているのです。こうしたマンションは、おすすめでしょうか。それとも、避けるべきなのでしょうか。 結論は「おすすめしない」 中古マンションでは、たいてい、前の住人の生活の痕跡が残っているものです。リノベーション済み物件は、そうした痕跡をまっさらに消してしまっていて、買ってすぐに気持ちよく住めます。なかには、新築マンションかと見まがうようなきれいな内装にしていることすらあります。 では、こうした「リノベーション済みマンション」を購入することは正解なのでしょうか。 答えは「おすすめしない」です。 リノベマンションを避けるべき理由 その理由は、たった1つ。割高だからです。 リノベーションマンションは、リノベーション費用が思いっきり上乗せされています。リノベ業者は「プロがやっているので、素人のお客さんが頼むより安くリノベできるのです」などという決まり文句を使います。しかし、そんなことは、まずありません。 リノベーション業者が発注すると、たしかに効率的な発注はできます。そのため、無駄なコストを生じさせませんので、素人よりも多少安くすることは可能でしょう。 しかし、リノベーションを実際に行うのは職人さんであり、その人件費は個人で発注しても業者が発注しても大きくは変わりません。キッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備も、リノベ業者だけが格安で買えるわけではありません。 結局、リノベーション費用は、素人がやっても業者がやってもそれほどの差にはなりません。業者がやると、多少安くはできますが、そのぶんリノベ業者の手数料が思いっきり上乗せされます。その結果、リノベ済みマンションは、割高な価格設定になっていることが多いのです。 1500万円も上乗せ 筆者が実際に見た例を申し上げましょう。都内の3LDKマンションの例です。最初に個人が5400万円で売りに出していた物件を、リノベ業者が4800万円で購入し、リノベーション(というかリフォーム程度)を施した上で、6300万円で販売していました。 5400万円で販売していたマンションを600万円も値切って買ったあげくに、リノベ費用を1500万円も上乗せしているのです。そのリノベの内容は、筆者が見た限り、素人がリフォーム業者に依頼したとしても、せいぜい400万円程度で行える内容です。 つまり、素人が5400万円の「売値」で購入したとしても、5800万円で手に入れることが出来る程度の内装のマンションを、6300万円で売っているわけです。買う側から見れば、500万円、約1割も割高になります。 リノベ済み物件はもったいない ちなみに、そのリノベ-ションは、壁紙を張り替えて、ユニットバスとトイレを入れ替え、あとは念入りにハウスクリーニングをした程度です。ユニットバスとトイレも、安物ではありませんが、標準的なランクの設備でした。プロが上手に発注したら、300万円もかからない内容です。 もし個人がそのマンションをリノベ前の状況で買ったとして、6200万円あれば、キッチンや洗面台も入れ替えて、フローリングも貼り変えることができるでしょう。キッチンやユニットバスも、ちょっと上等なものにできます。 金額的な面もさることながら、自分の思い通りのリフォームができないという点からも、このリノベーション済み物件を買うのは、いかにももったいないです。 「割高」で「それなり」 このように、リノベーション業者の販売するマンションは、率直にいって「割高」ですし、あつらえられた設備も「それなり」です。 リノベーションの内容も、必ずしも購入者が求める内容で行われているとは限りません。「新築そっくり」にする必要もないのに、何でも設備を交換して、費用を上乗せしている可能性もあります。 逆に、もっと設備を入れ替えてもいいのに、古い設備を「見た目」だけきれいにして販売していることもあります。上記のように、そもそも「リノベーション」といえるほどの内容を行っていないケースすらあります。 また、あまり想像したくはないのですが、欠陥が隠蔽されている可能性もあります。リノベ前に見たらわかるような穴やヒビなどが、表面上、壁紙を張り替えてきれいにされていたりすることもあります。 「リノベーション業者」が悪徳というつもりはありません。良心的な業者が適正な利益を乗せているだけだったとしても、個人で買ってリフォームする方が、安く確実なリノベーションができる、ということです。

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

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