住宅性能表示の「劣化対策等級」は「等級3」が必要

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マンションの住宅性能表示の「3.劣化の軽減に関すること」では、建物の構造躯体に用いられる材料の劣化を遅らせるための対策が、どの程度講じられているかを評価します。3段階の等級が付けられていますが、どのような意味があるのでしょうか。解説しましょう。

等級3なら3世代もつ

住宅がどれだけ長期間もつか、という評価が「劣化対策等級」です。ただ、その評価は簡単ではありません。というのも、住宅にはさまざまな材料がざまざまな場所で使われていて、その耐用年数はさまざまだからです。

たとえば壁紙と壁そのものでは耐用期間が全く違うのは理解いただけると思います。柱とドアでも耐用期間は違います。このように、すべての部材について一律の基準で耐用期間を評価するのは困難です。

そこで、「劣化対策等級」では、長期間にわたって建物を支えなければならない構造躯体などに使用される材料についてのみ、その劣化軽減対策を評価します。

評価の結果は3段階の等級で表示されます。「等級1」が建築基準法のレベルで、いわば標準的な耐用期間です(明確な耐用年数は決められていません)。「等級2」は2世代(おおむね50~60年間)、「等級3」は3世代(おおむね75~90年間)にわたり、建物がもつレベルとされています。

この耐用年数は、通常の自然条件で、建物の清掃、点検、補修を日常的に適切に行っていたと仮定したものです。

マンション

鉄筋コンクリートの質が評価される

住宅性能表示の「劣化対策等級」の評価対象は、柱や梁、壁など構造躯体などに使用されている材料に限定されます。マンションの場合は、ほとんどが鉄筋コンクリートです。つまり、鉄筋コンクリートの質こそが、「劣化対策等級」の評価になるわけです。

鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートで覆った材料です。コンクリートはアルカリ性の性質を持ちますが、時が経つにつれ、中性化していきます。そうすると、内部の鉄筋が錆びてしまいます。これが、鉄筋コンクリートの劣化のメカニズムです。

中性化による鉄筋コンクリートの劣化を防ぐには、2つの方法があります。

① 鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚)を厚くする
② 水・セメント比の小さいコンクリートを使う

①については、かぶり厚が厚いほど、コンクリートの中性化が鉄筋の位置まで進行するのに時間がかかるため、鉄筋の劣化を防げます。②については、水・セメント比とは、コンクリートの材料である水とセメントの比率です。水・セメント比の大きいコンクリートとは、荒っぽくいえば「スカスカ」のコンクリートです。したがって、水・セメント比は小さいほど質が高く、中性化スピードが遅くなる、という性質があります。

質の高いコンクリートがたくさん使われているか

住宅性能表示では、この2つの方法の組み合わせで、等級が決まります。たとえば、水・セメント比が55%で、土に接しない部分の壁のかぶり厚が20ミリだと、「劣化対策等級」は「等級2」になります。同じかぶり厚で、水・セメント比が50%になると、「等級3」になります。

こうした組み合わせの詳細まで、素人が知っておく必要はありません。知っておけばいいのは、「等級が上がるほどコンクリートの量が多く使われているか、質の高いコンクリートが使われている」ということです。

それなりの価格のマンションは「等級3」

最近のデータでは、マンションでは劣化対策の「等級1」は1割程度、「等級2」が7%程度、「等級3」が90%程度です。首都圏や関西圏のそれなりの価格のマンションは、ほとんどが「等級3」になっています。

実際、「等級3」以外は時代遅れなので、今から新築マンションを買うのなら、「等級3」以外は買うべきではありません。「等級2」や「等級1」のマンションは、将来の資産価値に影響を及ぼす可能性があるからです。

ただ、いくら質の高いコンクリートを使い、かぶり厚が厚くても、日常の手入れが悪いマンションは劣化が早くなります。メンテナンスフリーで90年もつ、という性質のものではありません。その点は頭に入れておきましょう。


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