駅前のタワーマンションが大人気です。ここでいう「駅前」とは、駅から徒歩2~3分の、本当の駅前のマンションをいいます。「駅近マンション」と言い換えてもいいでしょう。いま売れているマンションは、この「駅近」や「駅前」がキーワードです。
この駅前タワマンブームは、いつまで続くのでしょうか。そして資産価値は維持されるのでしょうか?
誰がタワマンを買っている?
駅前のタワーマンションの購入層を挙げてみましょう。相続税対策の富裕層、日本への資産分散を計る外国人投資家、そして定年退職前後のシニア層。これが3大購入層です。
このうち、話題になるのは、富裕層や外国人投資家です。しかし、実際に駅前タワーマンションの隆盛を支えているのは、定年退職前後のシニア層。特徴的なのは、その駅から少し離れた位置にある郊外の一戸建て住民の買い換えケースが多いこと。つまり、郊外の一戸建てを手放して、近くの駅前タワマンに引っ越してきているのです。
都市部への生活流入
これらの方々は、もともと駅から離れた郊外の戸建て住宅を購入し、毎日都心にある会社まで勤め続けたサラリーマンです。駅に近いタワーマンションを購入して、通勤時間を短くしようという考え方にも見えますが、さにあらず。すでにリタイアしている人か、リタイア寸前の人が多いのです。これから通勤する必要のない人が、駅前マンションを買っているのです。
こういう現象が、全国の大都市圏で起きています。その意味するところは、郊外部から都市部への人口流入が起きていること。高齢になるほど、クルマがなくても生活可能なエリアへ移り住みたいと考える人が多いのでしょう。
ただ、こうした「資産価値が維持される駅前タワマン」は、背景に一戸建ての住宅地を擁する駅周辺に立地するものに限ります。湾岸部のように、移り住んでくる人が近くに少ないエリアでは、上記のような人口移動が起こりにくいので、資産価値が維持されるのかは微妙です。
団塊ジュニアのリタイアまでは大丈夫?
背景に住宅街を擁するエリアでは、今後、駅前タワーマンションの人気が落ちる可能性は少なそうです。日本の高齢化社会はまだまだ続きます。少なくとも、団塊ジュニアがリタイアを迎える頃までは、駅前マンションは人気を博すでしょう。なかでも、耐久性に優れ、資産価値も維持しやすいタワーマンションの人気は衰え知らずなのではないでしょうか。
高齢化社会の進展は、郊外へ郊外へと広がっていた住宅地を、都市の中心部へ集約する動きにつながっています。足腰が弱ってきた世代には、郊外生活よりも、生活に便利な駅前が魅力的に移ります。そうした背景があるからこそ、今後も駅前タワーマンションの人気は続くと考えていいでしょう。