断熱材をコンクリートの躯体(建物そのもの)の内部に入れて作るのが内断熱。躯体の外側に入れるのが外断熱です。この二つの工法を比較してみましょう。断熱効果が高いのはどちらでしょうか。メリットとデメリットを見てみます。
理論上は外断熱が有利
結論を先に書いてしまうと、理論上は外断熱が有利です。なぜなら、コンクリートは熱しやすく冷めやすいので、躯体の内側に断熱材を入れると、外気の影響を受けたコンクリートと室内空調による気温差が大きくなるからです。それにより、内断熱ではカビの原因となる結露ができやすいという欠点があります。
一方、外断熱なら、外気によるコンクリートへの影響を減らせますので、結露ができにくいのです。結露が発生しないことで、躯体も長持ちします。つまり、外断熱にすることは、建物全体の寿命を長くすることにもつながるのです。そのうえ、外断熱の場合、同じコンクリートの躯体なら、断熱材の厚さのぶんだけ部屋が広くなります。
導入しやすいのは内断熱
ということで、外断熱か内断熱かどっちか選べ、といわれたら、外断熱のほうがいいに決まっています。しかし、現実には日本のマンションの99%は内断熱です。それには理由があります。
まず、マンションで完璧な外断熱を実現することは現実的には難しいという問題点が挙げられます。バルコニー部分などからの熱の伝導を防ぐには高度な技術が必要です。外断熱を謳っていても、実際には効果が乏しかったりすることもあるようです。
もっと現実的な問題として、外断熱にした場合、建設コストが内断熱の1割以上増えてしまいます。そのため、手頃な価格のマンションでは内断熱が主流。外断熱を採用しているマンションは、建設費の高さを価格に反映できる立地のいい豪華マンションに限られます。
導入しやすいのは内断熱。逆に、安いマンションが外断熱だったとしたら、慎重なチェックをしたほうがいいかもしれません。