住宅ローンの契約を結ぶとき、加入が義務づけられるのが団体信用生命保険。最近はがん保障付きや三大疾病保障付き、八大疾病保障付きなども見かけるようになってきました。こうした保障付きローンはおすすすめなのでしょうか?
住宅ローンは「死んだらチャラ」
住宅ローンで加入が義務づけられる団体信用生命保険は、ローン返済者が死亡した場合や失明などの重病が回復不能になった場合に、ローン返済が免除になります。死んだらローンはチャラで、後に残された家族はそこに住み続けることができる、というわけです。
この団信は、銀行の住宅ローンでは加入が義務づけられますが、とくに保険料は不要。住宅ローンの費用のなかに含まれています。住宅金融支援機構の「フラット35」では別に保険料が必要で、金額は借入期間などにより異なりますが、借入1,000万円につき35,000円くらいです。
三大疾病保障特約とは?
最近増えている三大疾病保障特約付きは、死亡した場合だけでなく、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾病にかかった場合に債務が免除になるという保障です。つまり、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかったら、死んでなくてもローンがチャラになります。
三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中ですが、これに加えて、高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎といった病気にかかった場合も、ローンがチャラになるという保障もあります。七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などと名付けられていて、特約内容は銀行によって異なります。
こうした疾病保障特約は、ふつうの団信とは違って保険料が別途がかかります。その金額は銀行によって異なり、住宅ローン金利に加え+0.25~0.3%くらいが主流。1,000万円の住宅ローン債務につき、毎年2.5~3万円の保険料がかかることになります。
返済免除の条件を確認
これを高いとみるか安いとみるかは、具体的な保障内容によって違ってきます。
たとえば、がんといってもさまざまで深刻さも異なります。ある銀行では「上皮内ガン、大腸の粘膜内ガン、膀胱・尿路・乳管等で発生する非浸潤ガンなど、ガンが浸潤していない状態は、お支払の対象外となります」と書いています。つまり、がんになったら全てローン返済免除、というわけではありません。
とあるネット系の銀行では、8大疾病保障特約で「3つの特定疾病(がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中)または5つの重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により就業不能状態となり、その状態となった日からその日を含めて12ヵ月を経過した日の翌日午前0時までその状態が継続した場合」のみ、ローン返済が免除になる、とあります。
就業不能状態が12ヶ月も続いていて、その後回復するというのはなかなか想像しづらいです。ほとんどの場合、就業不能状態が12ヶ月も続けば、命に関わってしまうでしょう。あまりいい書き方ではありませんが、就業不能が12ヶ月も続けば、多くの場合「重病が回復不能」か、死ぬことになるので、ふつうの団信でもケアされるわけです。
実際、あなたの身近に、12ヶ月間休職して、その後回復した人がいますか? そのくらいレアなケースのみ保障するので、保険としてはアテにしないほうがいいでしょう。
ということで、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約については、あまりおすすめしません。どうしても入りたい人は、もう少し保障の範囲が広い医療保険に、別で加入した方がいいでしょう。