マンションを購入するとき、必ず確認しなければならないのが「登記簿」。とくに、中古マンションを買うときは、登記簿で現状がどうなっているかを見ておかなければなりません。とはいうものの、登記簿ってちょっと見ため難しいですよね。ここでは、登記簿の超カンタンな読み方、見方を解説します。
登記簿は3部構成
不動産の登記簿とは、「登記事項証明書」のことです。このうち、すべての内容が記されているものを「全部事項証明書」といいます。右上に「全部事項証明書」と書かれていたら、それが登記簿だと理解していただいてかまいません。
登記簿は、「表題部」「甲区」「乙区」の3部構成になっています。
建物全体の表題部
マンションの登記簿は、一戸建てとは少し異なり、最初に「マンション全体」(一棟の建物の表示)の表題部があり、次に、個別の部屋「専有部分」の表題部が記載されています。
「表題部」とは、その土地・建物がどこにあるかを示すもの。マンション全体の表題部には、「専有部分の家屋番号」「所在」「構造」「床面積」「敷地権の目的たる土地の表示」などがあります。
「専有部分の家屋番号」とは、各部屋に付けられた番号のことで、「○○○-101~○○○-1020」というように、表されます。この場合は、自分の購入しようとしている部屋番号があるか確認してください。
「所在」(住所)は、私たちが一般に使う「住居表示」の住所とは異なることがあるので、少し違和感があります。その住所がどこなのかは、「公図」という図面で確認できます。マンション売買時には、不動産屋が公図を用意してくれます。
「建物の名称」には、マンション名が記されています。この名称が購入しようとしているマンション名と完全に一致していることを確認してください。これが一致していれば、「所在」に違和感があってもあまり気にしないでいいでしょう。
「構造」は、マンション全体の構造材料などが記録されています。これも気にしないでかまいません。
その次に「敷地権の目的たる土地の表示」があります。マンションの場合は、土地と建物が一体となって取引されるので、この表示があります。これもとくに気にしないでかまいません。
専有部分の表題部
マンション全体(一棟の建物の表示)の表題部の次に「専有部分の建物の表示」という欄があります。ここは、マンション全体についての表示ではなく、各戸の専有部分、つまり各部屋についての表示です。
「家屋番号」、「種類」、「構造」、「床面積」、「敷地権の表示」などが記録されています。自分の買おうとしている部屋の階数や床面積を確認すれば、それでOKです。
注意点として、登記上の床面積は、「内法面積」(うちのりめんせき)が記載されていて、不動産広告の「壁芯面積」より少し狭くなっています。「壁芯面積」は壁の中心線で囲まれた面積で、「内法面積」は「壁芯面積」よりも壁の厚さの半分ほど面積が小さくなっています。「広告の面積と違う!」と思うかもしれませんが、これは数パーセントは違っていてOKです。(あまり大きく違う場合はおかしいです)。
「敷地権の表示」には、「敷地権の割合」という項目があります。マンションを購入した場合、専有部分の「建物」の権利と、敷地権という「土地」の権利の両方を取得することになります。そして、土地の権利は、マンションの他の購入者と「共有」になります。
「敷地権の割合」は、「○○○分の○○」というように、敷地に関するその人の所有権の持分を表します。きっとかなり小さいですが、それほど気にしないでいいでしょう。
甲区では、「所有者」が「売り主」と同じか確認する
次に、「甲区」は所有権に関する情報を示しています。そのマンションが誰の所有かを確認できます。「甲区」の最後に書かれている人物が、所有者です。マンションを購入する場合、登記上の「所有者」と契約書に書かれている「売主」と同じか、確認しておきます。
通常、マンションの売り主は、「甲区」の一番最後に載っている登記名義人です。不動産売買契約書を交わす際に、その「売主」と「登記名義人」が一致しているかは重要です。売主と登記名義人が一致しない場合、トラブルの香りがします。
登記名義人と売主の間で売買契約済みで、それがあなたに転売される、というケースもなくはありませんが、きわめてレアです。そのため、契約書の「売主」と登記の「名義人」が異なる場合、その物件は買わないほうが安全です。
乙区には抵当権が書かれている
最後が「乙区」。これは、所有権以外に関する権利関係の情報を示しています。不動産登記簿の見方としては、この乙区がもっとも重要です。
乙区に何も書かれていなければ、何の問題もありません。でも、そういうケースは少なく、実際は、乙区の最後に抵当権が書かれています。抵当権が載っている場合、そのマンションは借金の「担保」となっています。
マンションを買うときは住宅ローンを組むので、借金の担保となっていることはおかしくはありません。ただ、中古マンションを購入する際には、この抵当権が完全に抹消されなければ買ってはいけません。
どんな会社の抵当に入っているか
通常は、マンションの買主の払ったお金で売主にかかっている抵当権を抹消しますので、契約時に抵当自体があることは問題ではありません。ただ、その金額があまりに大きくないか、マンションの売買価格で抹消できる範囲なのかは確認しなければなりません。
抵当権が大きくても、設定の日付が古ければ、実際のローンの残債は小さいので問題はありません。しかし、設定して数年のローンなら、かなりの残債があると考えられますので、ちょっと心配になります。売主のローン残高証明書などを確認しておいたほうがいいでしょう。
住宅ローンの抵当は「住宅金融公庫」や「●●保証株式会社」などといった名称が書かれています。ふつうは、●●は銀行名です。たとえば、「みずほ信用保証株式会社」なら、みずほ銀行の抵当に入っていることになります。
住宅ローンとは無関係と思われる抵当権が設定されている場合も、要注意です。抵当権者がどんな人か、どんな会社なのか、きちんと説明を求めましょう。