基礎知識

持ち家と賃貸、マンションに住むならどっちが有利?「永遠の議論」を再検討してみた

マンションを買う際に、永遠のテーマといえるのが、「持ち家と賃貸、どっちが有利か」という点。一戸建てならともかく、マンションを買うのなら、分譲物件を購入しなくても、賃貸物件で十分じゃないか、とう声もたしかにあります。実際はどちらが有利なのでしょうか。「永遠の議論」を再検討してみました。 居住性では分譲マンションに軍配 一般論として、持ち家、つまり分譲マンションは、賃貸マンションより住宅設備が高いグレードになっています。建物の構造を見ても、地震対策のしっかりした頑丈な作りの物件は、分譲マンションに多いといえます。分譲マンションは最低50年は住み続けることを前提に設計されていますので、使いやすく快適性な設備が整えられています。 これに対し、賃貸マンションは、20~30年で投資を回収し、その後取り壊すことまで考慮に入れて作られていますので、過剰に頑丈な構造にはなっていませんし、設備もほどほどに収めてしまっています。したがって、居住性では分譲マンションに軍配が上がります。 一方、賃貸のメリットは、なんといっても転居の自由度が高いという点。仕事や子どもの事情にあわせて引っ越ししやすいというのは大きなアドバンテージでしょう。分譲マンションを購入してしまった場合、そう簡単には転居ができなくなります。 金銭面では互角 お金の面では、それほど大きな差はありません。住宅会社などのシミュレーションを見ても、一生涯の総支出額では、賃貸も持ち家購入も同じようなものです。ですので、単に支払い金額でみるならば、お好きなほうを選べばいいといえます。 分譲マンションを購入した場合、売却時に利益が出ることがあります。とくに、東京都心など立地のいいマンションは、大きな利益が出やすいので、「家賃を払わずにすんだ上に、売ったら儲かった」ということもあります。こうなれば、マンション購入派有利ですね。 しかし、逆に売却時に損失が出ることもあります。というより、マンションは消耗品の側面がありますので、売ったら損が出る可能性のほうが高いです。でも、その損失額が、家賃相当額を上回るとは限りません。家賃を支払い続けるより、マンションを買って売った方が安かった、というケースもあります。この点でも、ケースバイケースで、一概にはいえません。 住宅ローンを組むことのメリット・デメリット 分譲マンションを購入した場合の間違いないメリットは、住宅ローンの支払いを終えたら、住宅コストが劇的に低くなる点。管理費や修繕積立金、税金などを払い続ける必要ありますが、老後の住居費負担はぐっと下がるでしょう。 住宅ローンを組むこと自体にもメリットがあります。住宅ローンを組むと、団体信用生命保険に半強制的に入りますので、家計を支える人が万一死亡した場合、ローンが保険で完済されます。そのため、夫の死亡時に家族に家が残ります。賃貸では、家計を支える人が死亡した場合、逆に家賃負担に耐えられず引っ越すことになるかもしれません。 また、住宅ローンを組むと、多額の借金に向き合わざるを得ないので、家計をしっかり整えることができるというのも隠れたメリットです。「そんなの性格によるんじゃないか」という声もありそうですが、日本人はたいていまじめなので、住宅ローンを抱えたとたんに無駄遣いが収まったりします。これも、持ち家のメリットといえるでしょう。 大災害は大きなリスク 持ち家にはリスクもあります。地震などの大災害が起きて、住んでいるマンションに大きな被害が起きた場合です。賃貸なら退去すれば済みますが、持ち家はそうはいきません。マンションの修繕などの大問題に立ち向かわなければならなくなります。そんな大災害が起きなくても、マンションは50~60年経てば、建て替えを議論しなければならなくなりますが、一筋縄ではいきません。 また、マンションは共同住宅ですので、たとえば管理費を滞納する人が増えたり、空き室が増えたりしていくと、やがて劣化していく可能性もあります。そうしたマンションは管理も悪くて住みづらくなりますが、売るにも売れず「不良資産」となってしまいます。そうした不良資産を抱えてしまうリスクも、分譲マンション購入にはあるわけです。 結局のところ、分譲か賃貸かに、明確な結論はありません。その人の仕事の状況やライフスタイル、価値観に依る部分が大きいといえるでしょう。

「売主」と「販売代理」はどう違うのか

新築分譲マンションを購入する際に気をつけてほしいのが、「売主」です。このとき、「売主」にくわえ、「販売代理」という名称も記載されていることがあります。「売主」と販売代理では、全く立場が違うので、注意しましょう。 信用度を上げる手法 分譲マンションの業界では、「売主」に知名度やブランド力がない場合、「販売代理」に三井不動産や野村不動産といった大手を使い、信用度を上げるという手法を取ることがあります。 しかし、販売代理というのは、あくまでもマンションの販売を売主に代わって行う、というだけです。大事なのは売主です。 ですので、「販売代理」に三井や三菱、住友、野村などの大手が入っていて、「売主」がそれより格下の企業だった場合、「この売主は、自分の信用度に自信がないのだなあ」と筆者などは思ってしまいます。 なぜ売主が大事なのか なぜ売主が大事なのでしょうか。それは、売主がしっかりした物件は、中古マンションになっても信用度が高く、売りやすいからです。 マンション業界に参入して間もない売主のマンションの場合、間取りは設計事務所に丸投げし、建設はゼネコンに丸投げし、販売は販売代理に丸投げ、というケースもあります。実名はあげませんが、知名度のあるインフラ系の大手企業でも、マンション業界では日が浅い場合、こうした事例はよくあります。 こうした売主のマンションでは、購入後にトラブルがあったときなどのアフターケアが、大手デベロッパーより劣るケースがあります。劣る、というより、適切に対応できないこともあります。大手デベロッパーがすばらしいとは限りませんが、少なくとも、実績面では一定水準を保ってきているのが大手ですが、それと同等の対応を新興企業が行うのは難しいです。 マンションという高額商品では、製造者=売主の信用度はとても大切です。それは、ご自身が住むにも大切ですし、将来売却する際にも大事です。

マンションの資産価値を決める要素

「マンションの資産価値とは何か」という記事で、マンションの資産価値とは「値下がりしにくさ」と「貸した場合の賃料利回りの高さ」であることを述べました。 では、マンションの資産価値を決める要素は何でしょうか。言葉を換えれば、資産価値の高いマンションを買うには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか。 資産価値を決める3つの要素 結論から言ってしまうと、資産価値を決める要素は以下の3つです。 ・立地 ・タイミング ・購入価格 マンションは立地が全て 興味深い統計があります。首都圏の場合、平均すると70平米のマンションは年100万円ずつ値下がりする、というもの。これは、立地を問わず、どこでもだいたい同じなのです。 都心の70平米のマンションは新築で1億円くらいはしますので、100万円値下がりしても1%程度の値下がり率です。一方、郊外では3000万円くらいで70平米のマンションが買えます。それが100万円値下がりすると、3パーセントの値下がり幅です。 すなわち、立地のいいマンションのほうが、価格は高くても値下がり率は低く、「値下がりしにくいマンション」といえるのです。 都心で物件価格が高いほど、マンションは値下がりしにくく、資産価値が高いと言えます。「マンションは立地が全て」といいますが、こういう意味なのです。 タイミングも大切 次に、タイミング。不動産には相場の波があり、需要が多ければ値上がりし、少なければ値下がりします。 当然ですが、値下がりした「底」のタイミングで買えば、価格の下落の可能性は小さくなります。「底」のタイミングで購入したマンションは、あなたにとって資産価値の高いマンションとなります。 逆に、相場の高いときに購入すると、どんなに立地の優れたマンションでも、資産価値を維持するのは難しくなります。立地の悪いマンションならなおさらで、大損する可能性もあるでしょう。 安く買うことが大事 さいごが、購入価格です。相場の高いときであっても、上手に値切ることができたりして安く買えれば、資産価値は維持されやすいでしょう。 「不動産に掘り出し物はない」という人もいますが、実際には、同じ時期に同じような物件でも、10%くらいの価格差は新築・中古問わず発生しています。 3割、4割安いような「掘り出し物」はそうそうありませんが、1割程度でも安く買えれば、資産価値にとってはプラスになります。安く買うことは、資産価値の維持には重要です。

マンションの「権利書」と「登記識別情報」の管理方法。なくしたらヤバイので、銀行の貸金庫にでも入れておこう

マンションの所有権を証明する書類、それが「権利書」。と書きましたが、じつは、「権利書(登記済証)」というものは、すでにありません。平成17年に紙の権利書は廃止され、現在は「登記識別情報」という番号の書かれた紙に変わりました。そのため、現在は、この登記識別情報を権利書代わりに大切に保管することが重要になりました。 不動産登記に必要な12桁のコード かつての「権利書」は、不動産所有者であることを証明する書類でした。これに対し、「登記識別情報」は、不動産所有者であることを証明する「パスワード」とでもいうべきものです。英数字の組み合わせでできた12桁のコードです。 このコードを知っている者が、不動産の所有者であることを示す証拠となります。そのため、不動産の登記をする際は、この12桁のコードが必要です。 目隠しシールははがさずに 登記識別情報が書かれた紙が「登記識別情報通知書」です。この通知書にはコード部分に目隠しシールが貼り付けられています。 コードを第三者に見られたりコピーされたりすると、従来の権利書が盗まれたのと同様の危険性が生じます。そのため、登記識別情報通知書は、目隠しシールをはがさず、従来の権利書同様に、厳重に保管しておかなければなりません。 登記識別情報の12桁のコードは変更ができず、再発行もできません。そのため、紛失したら面倒なことになります。貴重な財産を守る書類ですし、できれば銀行の貸し金庫など、安全な場所に保管することをおすすめします。

定期借地権マンションは得か損か? 資産価値は低いが、50年後に解体が決まっているのはメリット

定期借地権とは、一定期間の借地権のことです。定期借地権付きマンション(定借マンション)とは、定期借地の上に建てられたマンションです。借地期間が終了したら建物を壊し、土地を更地にして地主に返還しなければなりません。 定借マンションでも、建物は区分所有者が所有権を持っています。一方、土地は買わずに借りるだけなので、分譲価格に土地代が含まれません。そのため、安いのが特徴です。 いったい、定期借地権マンションは、得なのか損なのでしょうか? 検証してみましょう。 土地付きマンションより2~4割安い 定期借地権付きマンションの魅力は、なんと言っても価格。土地を買わずに借りるだけなので、通常の土地付きマンションより2~4割くらい安いです。ただし、入居時には土地の保証金が必要で、月々の借地料の支払いもあります。借地料は場所によって異なりますが、50年間となると総額数百万円になります。一方で、土地の固定資産税はかかりません。 定期借地権は最低50年と決められていますので、定期借地権付きマンションも50年の借地権付きが一般的です。ですから、新築の場合、最低50年は済むことができます。 担保価値は低い 定期借地権付きマンションでは、購入時の価格に土地代が含まれません。そのぶん、分譲価格や中古価格が安くなります。安くて買いやすいのはいいですが、住宅ローンを組むときに、マンションの担保価値が低いのは注意点。土地部分に担保価値がないためです。 借地期間が終わったら、マンションは解体して更地にし、地主に返還しなければなりません。解体費用は、毎月積み立てます。そのため、定借マンションでは、管理費、修繕積立金とは別に、解体準備基金という積立金も毎月かかります。 50年後に、積み立てたお金でマンションを解体して、残金などは精算します。50年後に必ず更地にしなければならないとは限らず、契約条件によっては借地権を延長できることもあります。 老朽化リスクがない 定期借地権付きマンションをどう評価するかは、意見が分かれます。 「居住の終わり」が見えているので、ある意味安心、という声もあります。というのも、土地付きマンションでは老朽化とともに建て替えの問題が生じ、建て替えできない場合はスラム化したマンションを所有し続けなければならなくなる、といったリスクがあります。定期借地権付きマンションは解体が決まっていますので、そうしたリスクがありません。 定期借地権ではなく、一般借地権のマンションと比べるとどうでしょうか。一般借地権マンションは、解体費用を積み立てていない場合が多いので、老朽化したときにどうするか、という問題が生じます。定期借地権付きマンションでは、解体費用を積み立てているので、老朽化のリスクから逃れることができます。 売却が年々難しくなる 定期借地権付きマンションは、土地がないだけに資産価値では見劣りします。 とくに、借地権の残りが短くなると、売却しようにも価格がかなり低くなることが予想されます。借地権が0年になれば、資産価値が事実上ゼロになりますから、その時期が近づくにつれ売却じたいが、年々難しくなります。 「終の棲家」にならない 人が住宅を購入する理由の一つに、「終の棲家を手に入れる」という考え方があります。定借マンションがその条件を満たすかは疑問です。 人間の寿命は人によって違いますが、長ければ100歳まで生きることもあります。そのため、定期借地権を50歳で買えば、「死ぬまで住める」といえるでしょう。 しかし、たとえば30歳で購入すれば、80歳で住みかを失うリスクがあります。そう考えると、50歳以下で定期借地権付きマンションを買うのは、あまりおすすめできません。 残存期間が短くなっても補修できるか? こうした声を反映してか、最近は借地権の設定期間を長くした定期借地権住宅も出てきました。60年や75年などです。借地期間75年となると、25歳で買っても100歳まで住むことができますから、ほとんどの場合、「死ぬまで住める」ことになります。 とはいえ、たとえば築50年をすぎた段階で、建物が老朽化が目立ってきたときに、あと25年の所有期間のために大規模修繕をするかどうか、という問題が浮上するかもしれません。定借期間を延ばしたら延ばしたで、建物の補修という大問題が生じてしまうのです。 定借マンションの問題点として、借地権残存期間が短くなるにつれ、補修が行き届かなくなりやすいという点が挙げられます。築50年くらいなら心配なくとも、築60年や築70年となると、どうなるかわかりません。 買うなら都心部 こうして考えると、定期借地権付き住宅は、賃貸住宅に超長期で契約するのに似ています。あえて書けば、定期借地権付き住宅は「資産」ではありません。住宅の「長期利用権」にすぎません。 それでも都心部の交通至便な定借マンションなら、たとえ築45年になっても「利用したい」と考える人はいるでしょうから、使い道はあります。貸すことができれば、期限いっぱいまで無価値にはなりません。 私見ですが、定期借地権住宅を買うのなら、交通至便な都心部に限る、といえるでかもしれません。

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お金と税金

独身女性がマンションを買うときは、ここに注意!「1LDKで十分」と決めつけないほうがいいですよ!

最近は独身女性がマンションを買うことも増えています。毎月家賃を払うのはばからしいので、独身であっても不動産を購入することは、選択として悪くありません。このときの注意点をまとめてみましょう。 2LDK、50平米以上がおすすめ まず、独身女性がマンションを買うとき、30~40平米台、1LDK程度のマンションを選びがちです。予算の関係もありますし、1人で住むならこの程度で十分、という考え方からです。でも、せっかく買うなら、もう少し広く、50平米、2LDK程度の広さのマンションを選んだほうがいいでしょう。 その理由はいくつかあります。まず、登記簿面積ベースで50平米以上であれば、税制上の優遇措置が受けやすいこと。住宅ローン減税が受けられるのも50平米以上ですし、不動産取得税でも有利です。 登記簿面積ベースは広告などの不動産間取図の面積(壁芯面積)より数平米小さくなりますので、ご注意を。不動産業者の間取図で57平米以上あれば問題ありません。 また、少し広めのマンションなら、将来結婚などで同居相手ができたときに、そのまま住み続けられます。さらに、不要になって売るときも、50平米、2LDK以上のマンションのほうが売りやすいという現実もあります。 賃貸に出すにもハードルが では、賃貸に出すとしたら? じつは、住宅ローンを組んで買ったマンションは、不要になったからといって、そのまま賃貸に出せるとは限りません。なぜなら、住宅ローンは「買った人が住む」という前提で金利が安く設定されているので、賃貸に出したら住宅ローンを借り続けることができなくなり、金利が上がったり、全額返済を求められたりすることもあるのです。ですから、「使わなくなったら賃貸に出そう」と安易に考えない方がいいでしょう。 結局、独身女性であっても、買うなら50平米以上の2LDK以上のマンションがおすすめです。 予算上それだけ払えない、という場合は、30平米前後の1LDKにします。価格的にはワンルームのほうがいいのですが、ワンルームマンションは、すでに供給過剰なので、将来売却しにくくなる可能性があり、おすすめしません。 30平米前後の狭い1LDKは、価格が安いわりに、ワンルームより売ったり貸したりするには都合がいいでしょう。1LDKでも40平米前後になると、価格がそれなりにするわりに、上記のように税制面などで不利なので、こちらもおすすめしません。

「ミックスローン」のメリット、デメリット。住宅ローンを二つに分けて、返済期間をずらすと効果的

住宅ローンを選ぶときに、悩むのが「変動か固定か」という点。それぞれメリットデメリットがあり、選択に頭を抱えます。じゃあ、二つとも!というのが「ミックスローン」。住宅ローンを二つに分ければ、変動と固定を両方選択できます。そのメリット、デメリットを見てみましょう。 ミックスローンとは 住宅ローンの変動金利は安いですが、金利が上昇したら支払額が上がる可能性があります。一方、固定金利は高いですが、将来の金利動向に関わらず、支払額を一定にすることができます。どちらにするか迷うところですが、住宅ローンを2つに分け、1本を変動金利、1本を固定金利にする、という方法があります。これを「ミックスローン」といいます。 ミックスローンにすると、金利上昇という変動のリスクは減りますが、金利が低いという変動のメリットも減ってしまいます。また、支払額が変わらないという固定のメリットも減ってしまいます。変動と固定にローンを分けることは、それぞれのリスクとメリットを両方減らすことになります。 返済期間に差を付ける ローンを2つに分ける場合、返済期間を同じにする必要はありません。返済期間をずらすこともできます。返済期間に差を付けることが、ミックスローンを活用するコツです。 たとえば、子どもがいる家庭は、教育費がかさむピーク時が必ずあります。そのときに住宅ローンの支払い額を下げるわけにいかないので、一時的に家計は苦しくなり、赤字に陥ることもあります。 教育費のピークは15歳~22歳です。はじめからわかっていますので、ローンを2本に分けて、計画的に、教育費のピーク時のローン返済負担を軽くするように設定するのです。 借入金額も違う額にする 2つに分けるなら、借入金額も同じにする必要はありません。たとえば、3,000万円のローンを組むのなら、1,000万円と2,000万円の2本にローンを分けて、1,000万円は子どもの大学入学前に完済する計画にしてみます。 すると、教育費のピーク時には、1本を完済し、残りが1本になっているので、返済負担が減っています。 退職後までローンの返済が続く場合も、やはりローンを2本に分けておくといいでしょう。2本にして、1本は退職までに完済させ、もう1本は年金生活でも払いきれる返済に設定しておきます。返済額に応じて、ローンの比率を変えます。 繰り上げ返済で期間を短縮しようと目論んでいる人も多いでしょう。その場合も、2本に分けてあれば、より少額で繰り上げ返済が可能になります。2本に分けることで、返済計画をより機動的にできるというメリットがあるのです。 諸費用が高くなる ローンを2つに分けることと、変動・固定をミックスにすることは別です。2本とも変動にしてもいいですし、2本とも固定にしてもいいでしょう。2本に分けることは、返済不能に陥るリスクを減らすための施策であり、金利をミックスにすることは、金利変動のリスク(上がるにしろ、下がるにしろ)を減らすための施策です。 ローンを2本に分けることの明確なデメリットは、諸費用が増えることです。住宅ローンを組む場合、契約を2つに分けて行う必要があるため、登記費用などが余分にかかります。したがって、契約書の印紙代や抵当権設定費用が2倍かかります。結果として、5~10万円は余計にかかることになります。

財形って役に立つの? サラリーマンの頭金作りの王道だけれど、低金利下では意味がない。

サラリーマンの方なら、会社に「財形」の制度がある人も多いでしょう。「財形住宅貯蓄」という名称で、住宅取得に関するお金を貯める場合に、一定金額まで利子が非課税になるものです。昔は、マンションなどを購入するときの頭金作りの王道とされました。 が、今でも役に立つのでしょうか? 目的別に3つの財形 財形とは、勤労者財産形成貯蓄制度のこと。サラリーマンの勤務先が、銀行などと提携して、給与やボーナスから天引きでお金を貯蓄してくれる制度です。 財形は目的別に3種類あります。「住宅」「年金」「その他」です。それぞれ「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」という名称です。 財形の最大のメリットは、利子が元利合計で550万円まで非課税である、という点。普通の預貯金では利子に20%の税金がかかりますが、住宅財形と年金財形は、合算して元利550万円まで非課税になるのです。 また、住宅財形の場合、財形貯蓄を1年以上継続して、積立金額が50万円以上になると、積立金額の10倍(最高4000万円)まで、住宅取得に必要なお金を低利で借りることができます(全体の80%まで)。これを「財形住宅融資」といい、財形のメリットとされてきました。 金利が高ければ有利だが 金利が高い局面なら、住宅財形はなかなか有利な制度です。ただ、現在のような低金利下では、正直、それほどメリットはありません。利子に課税されないといっても、低金利では利子自体が非常に少ないので、課税されてもされなくてもせいぜい数十円や数百円の差にしかなりません。銀行の定期預金と比べて、大差ありません。 財形住宅融資にしても、最近は銀行の10年固定金利よりも金利が高かったりします。となると、金利面や税金面から財形の優位性は失われてきているのが実情です。 貯められない人にはいい制度 あとは、給与天引きをどう考えるかです。給与から一定金額が毎月差し引かれて貯蓄に回されるというのは、お金を貯めるにはいい制度でしょう。貯蓄が苦手な人には素晴らしい制度といえなくもありません。 でも、自分で計画的に貯められる人にはどうでもいい話ですし、財形は、いざ使うときに、お金を引き出す手続きがちょっと面倒というデメリットもあります。自動的に積み立てるなら、銀行の積立貯金でも似た効果が得られます。 ということで、現在の低金利下において、住宅財形は銀行の定期預金と比べて大きなメリットはありません。財形が無駄だとはいいませんが、銀行の積立貯金のほうが使いやすくて便利でしょう。

提携ローンと店頭申し込みの住宅ローンはどちらが得か? 勤務先の提携ローンがあれば、イチバンお得かも

新築マンションのモデルルームを訪れたとき、月々の支払い例として提示されるのは、不動産会社の提携ローンによる試算です。この提携ローン、金利も銀行店頭のものより有利で、「これを使わない手はない!」なんて思う人も多いそうです。実際、住宅購入者の6割は、こうした提携ローンを使っているというデータもあります。 でも、提携ローンって本当にお得なのでしょうか? 説明していきます。 低金利で審査にも通りやすい 不動産会社の提携ローンは、不動産会社が銀行と提携した住宅ローンです。同じ銀行で借りる場合でも、提携ローンなら銀行窓口で定時される金利と比べて低い金利を提示してくれることもあります。 さらに、店頭で申し込むよりローン審査に通りやすいという側面もあります。店頭申し込みしたらローン審査で減額査定された人でも、提携ローンなら満額OKだった、ということもあります。 要するに、不動産会社の提携ローンは、「低金利で審査にも通りやすい」ということで、いいことづくめにみえてきます。 手続も代行してくれる さらにさらに、不動産会社提携ローンを申し込むと、融資の審査手続きは不動産会社が代行してくれます。通常の住宅ローンでは、必要書類を自分でそろえ、金融機関に何度か出向かなければなりません。しかし、不動産会社提携ローンでは、自分でそろえる書類は収入証明や住民票などだけでよく、基本的な手続きは不動産会社が代行してくれます。 これは確かに便利で、不動産会社提携ローンのメリットは、ローン申し込み手続が簡単であること、と言う人すらいます。 手数料がかかることも しかし、不動産会社の提携ローンの場合、3~5万円程度の手数料を不動産会社に支払わなくてはならないこともあります。その場合、住宅ローンにかかる諸費用が増えることになります。 5万円払っても店頭申し込みより金利が低ければ元が取れることもあるでしょう。しかし、最近は銀行の店頭申し込みでもかなり金利は安いので、不動産会社提携ローンがそれよりさらに低い金利を提示することは少なくなっています。 そうしたことを勘案すると、手数料を支払ってまで不動産会社提携ローンを使うメリットは、あまりない、と考えることもできます。 店頭申し込みと比較しよう 不動産会社提携ローンを検討していても、銀行店頭での直接申し込みもしてみましょう。どちらも金利の差がなければ、直接申し込みのほうが手数料分だけ総支払額は低く抑えられます。金利が提携ローンのほうが低ければ、手数料を支払っても提携ローンのほうが安いかもしれません。 また、提携ローンは申し込める金利タイプが決まっていたりして、自分のニーズとは異なっていることもあります。そうした意味でも、直接銀行に足を運んで、店頭で住宅ローンを聞いて、比較してみるのは大事です。 提携ローンしか利用できない? 大規模な分譲マンションなどでは、説明会で提携ローンの申し込みを求められることもあります。そう言われると、物件を購入するには、提携ローンしか利用できないと思い込んでいる人もいますが、そのようなケースはほぼありません。 ごく一部にはそうしたケースもあるかもしれませんが、ほとんどの場合、どの銀行のどの住宅ローンで借り入れしても良いことになっています。 提携ローンだからといって、必ずしも有利とは限らないのですから、提携ローン以外のローンも含めて、自分にとって使いやすく、有利なものを選ぶべきです。 勤務先提携ローンも探そう 会社員の方の場合、自分の勤務先会社が、銀行提携のローンを設定していることもあります。これを金融業界では「職域ローン」と呼んでいます。内容はさまざまですが、店頭で通常借りるより金利が低くなっていたり、保証料が安くなっていることもあります。 職域ローンには、不動産会社提携ローンのような紹介手数料はありません。そのため、不動産会社の提携ローンよりは安くなるでしょう。手続の代行は期待できませんが、職場で申し込みができたりするので、その点では便利です。 ということで、住宅ローンを組むときは、職域ローン(勤務先提携ローン)、不動産会社提携ローン、店頭申し込み、の3つを比較しましょう。マンションを買うとなったら、まずは勤め先に、金融機関との提携住宅ローンがないか、人事部や総務部、労働組合などに聞いてみましょう。

人口減少でマンション価格は下落するのか?

日本はこれから人口減少社会に突入します。となると家は余っていきますから、マンションの価格相場も下落していく、という考え方があります。はたして、この考え方は正しいのでしょうか? 不動産価格は二極化している 最近のマンション価格動向の大きな特徴は、地域による不動産価格の二極化です。たとえば、人口が集中する首都圏であっても、人気のない沿線の郊外では、いくら広告を打っても売れないマンションが増えています。建物が完成し、入居も始まっているのに、売れ残りの残戸がはけないのです。 一方、人気のある沿線で、都心に近いエリアでは、こうした状況は起きておらず、建物の完成を待たずに売れてしまう物件も数多くあります。都心のタワーマンションなどは、高い部屋から売れていく場合も少なくありません。 購入限度額で頭打ちになる 不動産業界では、各エリアごとに「購入限度額」がはっきりした形で存在します。たとえば、Aという沿線では、4000万円以上になると急に物件が売れなくなる、というような現象です。 個人の不動産の購入限度額は、「年収の5倍」というのが相場です。自分がマンションに支払える限度額は自分が理解していますから、それを超えてマンションを買おう、という人は少数ですし、そもそもローンが通りません。 そのため、デベロッパーがいくら高いマンションを供給しても、そのエリアの年収相場からかけ離れた物件というのは売れないのです。これが「購入限度額」を形成します。 今後、日本で急激なインフレが起こる兆候はありません。国民の給与水準が上がる気配もありません。そうしたなかで、人口が減っていくということは、購入限度額の高いエリアが少しずつ減っていくことになります。そうなると、マンション価格も頭打ちになります。 外国人の購入需要は増加 ただ、世の中には高給取りは必ず存在しますし、富裕層も存在し続けます。そして、不動産価格は、需要と供給で決まります。供給の少ない人気エリアでは、一定の富裕層が不動産を求め続けますので、値崩れは起こりにくいと言えます。 とくに東京都心部では、外国人の不動産購入需要が増加していますので、今後も不動産価格が大きく下がることは考えにくいのも事実です。 いっぽう、人気沿線以外の郊外では、マンション価格の下落傾向は続くでしょう。資産を守る目的でマンションを買うのなら、とくに立地には気をつけて、人気沿線で購入した方がいいでしょう。

リフォーム

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

リノベーション済みマンションを避けるべき、たった1つで、最大の理由

中古マンションで最近多く見かけるのが、「室内リノベーション済み」マンションです。中古物件を業者が購入し、内装のリフォームなどを施して、「リノベーション済み」として販売しているのです。こうしたマンションは、おすすめでしょうか。それとも、避けるべきなのでしょうか。 結論は「おすすめしない」 中古マンションでは、たいてい、前の住人の生活の痕跡が残っているものです。リノベーション済み物件は、そうした痕跡をまっさらに消してしまっていて、買ってすぐに気持ちよく住めます。なかには、新築マンションかと見まがうようなきれいな内装にしていることすらあります。 では、こうした「リノベーション済みマンション」を購入することは正解なのでしょうか。 答えは「おすすめしない」です。 リノベマンションを避けるべき理由 その理由は、たった1つ。割高だからです。 リノベーションマンションは、リノベーション費用が思いっきり上乗せされています。リノベ業者は「プロがやっているので、素人のお客さんが頼むより安くリノベできるのです」などという決まり文句を使います。しかし、そんなことは、まずありません。 リノベーション業者が発注すると、たしかに効率的な発注はできます。そのため、無駄なコストを生じさせませんので、素人よりも多少安くすることは可能でしょう。 しかし、リノベーションを実際に行うのは職人さんであり、その人件費は個人で発注しても業者が発注しても大きくは変わりません。キッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備も、リノベ業者だけが格安で買えるわけではありません。 結局、リノベーション費用は、素人がやっても業者がやってもそれほどの差にはなりません。業者がやると、多少安くはできますが、そのぶんリノベ業者の手数料が思いっきり上乗せされます。その結果、リノベ済みマンションは、割高な価格設定になっていることが多いのです。 1500万円も上乗せ 筆者が実際に見た例を申し上げましょう。都内の3LDKマンションの例です。最初に個人が5400万円で売りに出していた物件を、リノベ業者が4800万円で購入し、リノベーション(というかリフォーム程度)を施した上で、6300万円で販売していました。 5400万円で販売していたマンションを600万円も値切って買ったあげくに、リノベ費用を1500万円も上乗せしているのです。そのリノベの内容は、筆者が見た限り、素人がリフォーム業者に依頼したとしても、せいぜい400万円程度で行える内容です。 つまり、素人が5400万円の「売値」で購入したとしても、5800万円で手に入れることが出来る程度の内装のマンションを、6300万円で売っているわけです。買う側から見れば、500万円、約1割も割高になります。 リノベ済み物件はもったいない ちなみに、そのリノベ-ションは、壁紙を張り替えて、ユニットバスとトイレを入れ替え、あとは念入りにハウスクリーニングをした程度です。ユニットバスとトイレも、安物ではありませんが、標準的なランクの設備でした。プロが上手に発注したら、300万円もかからない内容です。 もし個人がそのマンションをリノベ前の状況で買ったとして、6200万円あれば、キッチンや洗面台も入れ替えて、フローリングも貼り変えることができるでしょう。キッチンやユニットバスも、ちょっと上等なものにできます。 金額的な面もさることながら、自分の思い通りのリフォームができないという点からも、このリノベーション済み物件を買うのは、いかにももったいないです。 「割高」で「それなり」 このように、リノベーション業者の販売するマンションは、率直にいって「割高」ですし、あつらえられた設備も「それなり」です。 リノベーションの内容も、必ずしも購入者が求める内容で行われているとは限りません。「新築そっくり」にする必要もないのに、何でも設備を交換して、費用を上乗せしている可能性もあります。 逆に、もっと設備を入れ替えてもいいのに、古い設備を「見た目」だけきれいにして販売していることもあります。上記のように、そもそも「リノベーション」といえるほどの内容を行っていないケースすらあります。 また、あまり想像したくはないのですが、欠陥が隠蔽されている可能性もあります。リノベ前に見たらわかるような穴やヒビなどが、表面上、壁紙を張り替えてきれいにされていたりすることもあります。 「リノベーション業者」が悪徳というつもりはありません。良心的な業者が適正な利益を乗せているだけだったとしても、個人で買ってリフォームする方が、安く確実なリノベーションができる、ということです。

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