基礎知識

2021年、首都圏マンションは30%の供給増に。注目物件は?

2021年の首都圏の新築マンション販売個数は、30%程度増えそう。新型コロナ感染症は広がりを見せていますが、マンション販売は堅調です。 埼玉県が48%増 不動産経済研究所によりますと、2021年の首都圏の新築マンションの発売戸数は、2020年に比べ31.1%増の3万2000戸と見込まれています。2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行で前年比20%減でしたが、2021年は回復しそう。都心部では引き続きタワーマンションの供給が続く一方、郊外物件も活況になりそうです。 地域別にみると、東京23区は前年比30.8%増の1万4000戸。都下が25.0%増、神奈川県が34.6%増、埼玉県が48.1%増、千葉県が17.6%増で、全エリアで発売が増える見通しです。 注目物件は? 新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、在宅勤務が徐々に定着。そのため、2020年は在宅勤務に向いた広めの郊外物件を探す動きが強まっていました。 この流れは2021年も続く見通しです。郊外で注目の大型物件は、東京建物などによる「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘 ブルーミングレジデンス」。京王線の聖蹟桜ケ丘駅から徒歩4分の、33階建て免震タワーです。 都心物件の人気も根強く続きます。都心では、三井不動産の高級マンション「パークコート千代田四番町」「パークコート神宮北参道 ザ タワー」あたりが注目でしょうか。 新型コロナ感染症の収束は見えませんが、新築マンションは堅調に供給されていきそうです。

マンション「駅徒歩●分」はどんな速度で計ってる? 1分=80mだけれど、そんな早く歩けない!

マンションの販売広告でよく見るのが、「駅徒歩●分」の広告。この「徒歩」って誰の基準で計っているのでしょうか? 男と女では歩く速度は違いますし、子どもと大人ならもっと違いますよね? 答えをいうと、徒歩1分=80メートルと換算しています。つまり、徒歩5分なら約400メートルです。 車は1分400メートル 不動産広告の「徒歩●分」というのは、「徒歩所要時間」といいます。徒歩1分=80メートルの計算になります。ちなみに、クルマの場合は、車1分=400メートルです。バスは実際にかかる時刻表上の所要時間で表示されます。 徒歩の場合、1分未満の端数が生じたときは、1分として計算します。そのため、徒歩5分は321メートル~400メートル、という幅があります。この距離は、直線距離ではなく、実際の道のりに即して計測されます。 起点の駅は改札口ではない 起点となる駅の位置は改札口やホームではなく、駅の出入口です。地上駅の場合は改札口と出入口は近いことが多いですが、地下鉄の場合は注意が必要。道路に出ている地下鉄の出入口から改札口まで2~3分かかることもありますし、改札口からホームまで2~3分かかることもあります。 終点となるマンションの位置も、エントランスではなく敷地の出入口です。大規模物件の場合は、敷地出入口から自分の棟の建物出入口まで、さらに時間がかかることもあります。 また、途中の信号待ちの時間などは考慮されません。坂道も無関係。上り坂なら平地より徒歩の時間がかかるはずですが、そういうことは考慮されていません。 時速4.8kmで歩ける? こうした理由があるので、マンションの「徒歩●分」は、実際にかかる距離と乖離する場合が少なくありません。不動産の広告では「徒歩5分」となっているのに、歩いてみたら7分かかった、なんてことは当たり前で、エレベーター待ちの時間まで含めると、「徒歩所要時間」の倍くらいかかることもあります。 そもそも、本当に80メートルを1分で歩けるのか、という疑問もあります。80mを徒歩1分とすると、時速4.8kmとなります。徒歩で不可能な速度ではありませんが、普通の人は時速4.8kmは「早足」だと思います。 正確を期したいなら、自分で距離を測ることです。最近はグーグルマップで道路距離を測ることができますので、測定してみましょう。正確な距離がわかるはずです。 グーグルマップでも徒歩所要時間が表示されますが、これも1km80mで計測されています。実際に歩いてどのくらいかかるかは、自分の足で確認してみたほうがいいでしょう。

市街化区域と市街化調整区域の違い

分譲マンションは「市街化区域」に建てられています。「市街化調整区域」に建てられているマンションは、基本的にはありません。ですから、市街化区域と市街化調整区域の違いを知らなくても、マンションを買う分には問題ないのですが、不動産の知識として知っておくといいでしょう。 建物が建てられるのは市街化区域 日本の国土を不動産的に大きく分けると、「都市計画区域内」と「都市計画区域外」の2つがあります。都市計画区域は3つに分けられます。「市街化区域」と「市街化調整区域」「非線引都市計画区域」です。 このうち、建物を建てられるのが「市街化区域」です。市街化区域には用途地域が12種類定められています。それについては、こちらをご覧ください。 市街化調整区域の価値は低い 「市街化区域」は建物が建てられる場所、ということで覚えておけばいいのですが、問題は「市街化調整区域」です。市街化調整区域であっても、一部地域では用途地域が定められている場合がありますが、非常に限定的です。ほとんどは原則として建物を建てることができません。 もちろん、物理的に建物を建てようと思えば建てることはできます。しかし、法律上の建築許可を取れませんので、建てたところで違法建築になってしまいます。そのため、不動産として売買することは、きわめて困難になります。 結局、市街化調整区域は、原則として建物が建てられませんので、資材置き場や駐車場としてしか使えません。そのため、不動産としての価値は低くなります。

耐震マンション、制震マンション、免震マンションの違いを理解しよう。似た言葉でも全く違う

マンションを買うときに、よく目にするのが「耐震構造」と「免震構造」。耐震マンション、免震マンションともいいますが、どういう仕組みで、どういう違いなのでしょうか。わかりやすく比較してみましょう。 建物自体の損壊を防ぐ目的に変わりなし 耐震構造とは、梁や柱など躯体を頑丈に作ることで、建物を地震に強くするものです。「地震に耐える頑丈な構造」と理解すればいいでしょう。 いっぽう免震構造とは、建物をゴムの上にのせることで衝撃を吸収し、地震の揺れを軽減するものです。「地震の揺れを免れる構造」と理解すればいいでしょう。地震が起こると、マンションの箱全体がそっくり揺れるので、建物に地震の力が伝わりにくくなります。 制震構造は、地震によって生じた揺れを打ち消す装置(ダンパー)を、建物に組み込んだ仕組みです。建物下部が左に揺れたら、建物上部は右に反って、建物全体の揺れを逃します。 耐震、制震、免震のいずれも、建物自体の損壊を防ぐことに変わりはありません。免震には、さらに「建物内の揺れを軽くする」という利点があります。免震の場合は、家具の店頭なども最小限に食い止めることができます。 免震が優れているが そのため、3つのうちどれが一番優れているか、という視点で見ると、免震構造に軍配が上がります。しかし、そのぶん免震構造は価格がお高め。そのため導入しているマンションも一部にとどまります。 コストが安いのは耐震構造です。耐震構造でも、現在の法令に準拠したものならば、東日本大震災クラスの揺れにも耐えられます。

マンションを買うなら新築か中古か。正解はないけれど、それぞれの選び方は押さえておこう

マンション選びは新築がいいのでしょうか。中古がいいのでしょうか。予算が無制限なら新築マンションを買えばいい、という意見もあるでしょうが、そんな人はごく少数。限られた予算のなかで、自分に必要な立地や広さ、間取りなどを確保するには、新築と中古を両方視野に入れて、メリット、デメリットを勘案して購入したほうがいいでしょう。 新築マンションの魅力 まず、新築マンションの魅力は、なんといってもきれいなうえ、最新の便利な設備が用意されていること。広いリビングに機能的な間取り、高くてすっきりした天井、床暖房や浴室乾燥機、ディスポーザーなども設置されています。共用設備には宅配ボックスがあり、インターフォンも録画機能付き、大規模マンションなら来客設備などがあったりします。 また、新築マンションは建ったばかりなので、老朽化や建て替えの心配が当面要らない、というのも魅力でしょう。ただし、完成前の物件を買うことになるので、買う前にできあがった建物を見ることができない、という問題点もあります。完成後の新築マンションを買える場合もありますが、限られます。 中古マンションの魅力 一方、中古マンションの魅力は、何よりもお安いこと。同エリアの新築マンションと比較した場合、築浅でも2割程度は安いですし、築30年ともなれば半額以下のことも珍しくありません。同じ予算なら、より便利で立地のいい場所のマンションを買うことができるでしょう。 また、すでに建っているマンションなので、建物をじっくり見て購入することができます。傾いたマンションなどの欠陥住宅を避けやすいのは、中古マンションの大きなメリットです。 中古マンションのもう一つの魅力として、新築が建たないようなエリアでも購入できる、という点です。たとえば東京の山手線内にはこれからマンションが新築可能な魅力的な立地が、もうあまり残されていません。でも、中古なら、そんな立地でも物件が見つけられます。 「山手線の駅から近くて、日当たりが良くて、間取りが広くて……」なんて希望を抱いていたら、新築マンションなんてなかなか手に入りません。でも、既存の中古物件なら、良い出物があるかもしれません。

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お金と税金

一生賃貸のメリットとデメリット

住宅情報誌を読んでいると、「とにかく家を買おう」みたいな話でうんざりすることがあります。家を買うのは大きなことですし、さまざまなリスクを伴います。それよりも、一生賃貸でいいのでは? それじゃ何かまずいの? という疑問が浮かんでくるでしょう。 では、一生賃貸ではまずいのでしょうか。どんなデメリットがあるのでしょうか。あるいは、一生賃貸にはどんなメリットがあるのでしょうか。 一生賃貸のメリット 一生賃貸のメリットは、一にも二にも「身軽である」という点です。住んでいる家がイヤになったり、家族が増えたり減ったりしたときに気軽に転居できます。家を購入してしまったら、引っ越しすると家を貸すか売るかという大きな手間がかかりますが、そうした心配がありません。 地震や火事など、災害のリスクも小さくなります。持ち家の場合、家を買った後に地震がきたら巨額の借金が残ったうえに、住む家はなくなるという悲劇に見舞われます。賃貸では、地震で住んでいたマンションが壊れたら、賃貸契約を解消して違う家に住めばいいだけです。 一生賃貸のデメリット 一方、一生賃貸のデメリットは大きく分けて二つあります。一つは「連帯保証人」の問題です。賃貸物件を借りるにはほとんどの場合、連帯保証人が必要です。若いうちは両親がいるから大丈夫、と思っていても、将来どうなるかわかりません。歳を取ると親しい身内は他界してしまい、連帯保証人を頼める相手が減っていきます。その場合に、家を借りたくても借りられない、という事態に陥ることがあります。とくに、子供がいない人は要注意です。 最近は、保証会社を利用する形で連帯保証人を免除してもらえる物件も出てきていますが、保証料のぶんだけ負担が増えてしまいます。 もう一つのデメリットは「家賃の支払い」の問題です。持ち家なら、住宅ローンが終われば家賃は要りません。マンションの場合は管理費や積立金がかかりますが、家賃に比べれば小さな額です。 家賃の負担は、老後の年金生活では重くなります。それをずっと支払い続けることができるかどうかはわかりません。家賃負担が重くなって引っ越そうとすると、「連帯保証人」の問題にぶちあたります。 すなわち、「連帯保証人」と「家賃の支払い」の二つが、老後に賃貸を借りる際のデメリットとしてのしかかってくるのです。 一生賃貸と持ち家と、どちらが得? 金銭的な問題だけならば、賃貸と持ち家のどちらが得か、とは一概にいえません。計算のしかたによって結果は異なります。おおざっぱにいえば、「どちらも大差ない」といえます。 「誰にも追い出されない住める家」を持っていると、安心感は違います。一方で、そのぶん住宅ローンも組むのですから、「多額の借金がある」という不安感もセットです。また、不良物件を買ってしまって、売るに売れなくなり、住むにも住みにくい、なんてことになることだってあります。その意味では博打です。 どちらが得か、という問いに答えはありません。もし買うのなら、手が届く範囲で、余力のあるローンを組めば、安心感が不安感に勝るでしょう。

資産価値を保ちやすいマンションとは? 駅から近くて日当たりが良いのが大事!

マンションを購入するとき、大切にしたいのが資産価値。自分が「このマンションは素晴らしい!」と思っても、他人から見て「今ひとつ」と思われたら、資産価値は高くなりません。自分の価値観とともに、第三者の価値観も大切にしておきましょう。 マンションの資産価値とは? マンションの資産価値とは、売却時や賃貸時にどの程度の値が付くかを指します。資産価値の高いマンションとは、買いたい人が多いマンション。あるいは、借りたい人が多いマンションです。 買いたい人が多ければ、マンションの値段が上がります。借りたい人が多ければ、高い値付けで賃貸に回せます。東京都港区のマンションの資産価値が高いのは、買いたい人、借りたい人が多いからです。 同じマンションでも、新築のほうが資産価値が高いです。駅からの距離は遠いよりは近い方がいいでしょう。周辺環境は騒がしいよりも静かなほうがよく、もちろん治安がいいエリアほど資産価値は高くなります。 このように、マンションの資産価値を構成する要素はたくさんあります。さまざまな要素が複雑に絡み合って、マンションの資産価値を構成していきます。 資産価値の構成要素 マンションの資産価値を形作る主な要素を挙げてみましょう。 1 駅からの距離(近い方が価値が高い) 2 駅の利便性(人気路線や急行停車駅ほど価値が高い) 3 町並み(高級住宅地や、利便性のいい商業地は価値が高い) 4 広さ(広い方が価値が高い) 5 間取り(使いやすいか、採光がよいかなど) 6 日当たり(南向きが価値が高い場合が多い) 7 眺望(海が見える、夜景がきれいなど) 8 管理(清掃が行き届いているか、積立金が足りているかなど) 9 分譲会社(大手デベロッパーを好む人は多い) 10 建設会社(大手ゼネコン施工を好む人は多い) 11 共有施設(施設によって評価は変わる) このほかにも、たとえば駐車場がどれだけあるか、立体駐車場か平面駐車場か、といったことや、ディスポーザーの有無、宅配ロッカーの数、共有施設、管理人の常駐時間など、細かなことが影響していきます。 一つ一つの要素は小さなことに見えても、こうした要素がすべて優れているマンションは、値段が高くても売れていきますし、賃貸に出したら借り手がつきやすいです。つまり、小さな積み重ねが資産価値を形成していくのです。 なぜ資産価値が大事なのか 自分が気に入れば、資産価値なんてどうでもいい、と思う人もいるでしょう。しかし、予期せぬ転勤や、子どもの教育、親の介護などで、引っ越しを余儀なくされることはあります。その場合、資産価値の高いマンションなら売ることも容易ですが、資産価値が低いとそうはいきません。 そのため、買うのなら、マンションの立地から管理に至るまで、資産価値という観点からきちんとチェックすることが大事なのです。 最も大事なのは立地 とはいうものの、資産価値でもっとも大事なのは、立地です。人気路線の人気駅から徒歩圏内のマンションなら、ほかの要素が全部いまひとつでも、それなりの資産価値になります。逆に、他の要素がすべて素晴らしくても、鉄道駅から離れた不便な立地だと、資産価値には限界があります。 あるいは、駅から少し離れていても、東京都港区や鎌倉市、京都市中京区といった、ブランド価値の高いエリアは、やはり資産価値は高くなります。一方、駅から近くても、ブランド価値の低いエリアは、資産価値が低くなります。 日当たりは立地についで大事です。日当たりのいい南向きのマンションは需要が多いので、資産価値が高くなります。南向きでなくても、眺望がいいマンションは評価が高いです。タワーマンションの上層階では南向きが暑いから敬遠される、などの例外はありますが、おおむね南向きで日当たりが良く、眺望も開けているマンションが資産価値が高いでしょう。 駅から近くて日当たりのいい物件を買っておくことが、何より大事といえます。 大手分譲は資産価値が高い? 分譲会社や建設会社の名前は、新築販売時には値段に影響しますが、中古市場ではそれほど大きな価値を持ちません。大手デベロッパーで有名ゼネコン施工の中古マンションが売りやすいのは確かですが、立地がよければ、分譲会社の名前など関係なく売れます。逆に、「大手分譲だから中古でも売れる」ということは、あまり考えられません。 共有施設は充実しているほうが良いですが、そのぶん管理費が高くなるなら、マイナス要素になるケースもあります。ジャグジーやスポーツジムがマンション内にあった場合、「余計なコストがかかる」と敬遠されることもあります。ゲストルームやキッズスペース程度なら、あったほうが資産価値は上がるでしょう。

マンションの資産価値とは何か?

マンションを購入するときに、「資産価値」を気にする人は少なくありません。でも、「資産価値」とは何を指すのか、じつは曖昧です。ここでは、マンション購入時に考慮すべき「資産価値」について考えてみましょう。 将来高く売れるマンション 資産価値とは、直接的には「マンションの値段」を指します。3,000万円で流通しているマンションなら、3,000万円が資産価値です。 ただ、マンションを購入するときに考慮する「資産価値」は、少し意味が違います。「将来的に値下がりしにくい」ことを「資産価値」と表現していることが多いです。 不動産業界的には、資産価値の高いマンションとは「将来売るときに、買ったときより高く売れるか、値下がり幅が小さいマンション」を指します。あるいは「人に貸したときに得られる賃料利回りが高いマンション」です。つまり、「値下がりしにくさ」と「貸したときの賃料の高さ」が資産価値なのです。 「価格」とは関係ない この「資産価値」はマンションの「価格」とは関係ありません。この点は、とても大事です。 たとえば、現在5000万円のマンションで、10年後に4000万円になっていそうな物件と、現在3000万円で、10年後でも3000万円で売れそうな物件なら、後者のほうが「資産価値が高い」といえます。 後者は10年間値段が下がらないのに対し、前者は10年間で1000万円も価値が下がるのですから、「5000万円のマンションより3000万円のマンションのほうが資産価値が高い」といえるのです。 マンションの価格が上がるか下がるかの予測は、必ずしも当たるとは限りません。でも、立地や設備を見れば、ある程度は見通せます。 賃料利回りが高いマンション もう一つの賃料利回りが高いマンションについても触れましょう。賃料利回りとは、5000万円のマンションを年500万円で貸せたら利回り10%である、という意味です。 現在の日本では、マンションの賃料利回りは5%程度が相場で、都心では3~4%くらいのこともあります。「5000万円の価格で年250万円で貸せるマンション(利回り5%)」と「3000万円の価格で年300万円で貸せるマンション(利回り10%)」となら、後者のほうが資産価値が高いと言えます。

マンションを買うときは「出口戦略」を大事にする

マンションの資産価値を維持するには、購入時から出口戦略を意識することが大事です。出口戦略とは、将来、そのマンションを手放すときのことを考える、ということです。 誰がそのマンションを買ってくれるのか 人生にはさまざまなシーンがあり、ずっと住みたいと思っていたマンションでも、売ったり貸しに出したりしなければならなくなるときがあります。そういうときに、すんなり売ったり貸したりできるように、購入時から考慮しておく必要があります。 そのために大事なことは、将来、「誰がそのマンションを買ってくれるのか」「誰が借りてくれるのか」をイメージしておくことです。 育児エリアでは大規模マンション たとえば、小さい子どもが集まりやすいエリアでは、大規模マンションのほうが売りやすいでしょう。なぜなら、キッズルームや広い中庭などの共用施設が充実していて、子育てしやすそうに見えるからです。 ペットを飼えるマンションも人気です。なかでも、「大型犬」が飼えるマンションはあまりありませんので、一定の需要ががあります。もちろん、大型犬を飼う人はそれほど多くありませんが、「他にはない特徴がある」ということが、マンションでは大事なのです。 都心なら芸能人向け物件も 都心限定ですが、大型車の入るマンションも人気があります。都心では、マンションの駐車場は不足していて、大型車対応となると、さらに少ないです。そのため、富裕層のニーズがあるのです。 同様に、セキュリティのきわめて高いマンションは、芸能人のニーズがあります。「芸能人なんてほとんどいないじゃん」と思うなかれ。借りる人、買う人は1人いればいいのです。芸能人の集まる東京都心部なら、物件に希少価値があれば売れていきます。 他とは違う特徴があるか。そのエリアに適したマンションになっているか。そのエリアで、そのマンションをほしがる人が一定数いるか。こうしたことを考慮するのが「出口戦略」です。販売相手がいることが、マンションの売却を終えるのに重要なのです。

人口減少でマンション価格は下落するのか?

日本はこれから人口減少社会に突入します。となると家は余っていきますから、マンションの価格相場も下落していく、という考え方があります。はたして、この考え方は正しいのでしょうか? 不動産価格は二極化している 最近のマンション価格動向の大きな特徴は、地域による不動産価格の二極化です。たとえば、人口が集中する首都圏であっても、人気のない沿線の郊外では、いくら広告を打っても売れないマンションが増えています。建物が完成し、入居も始まっているのに、売れ残りの残戸がはけないのです。 一方、人気のある沿線で、都心に近いエリアでは、こうした状況は起きておらず、建物の完成を待たずに売れてしまう物件も数多くあります。都心のタワーマンションなどは、高い部屋から売れていく場合も少なくありません。 購入限度額で頭打ちになる 不動産業界では、各エリアごとに「購入限度額」がはっきりした形で存在します。たとえば、Aという沿線では、4000万円以上になると急に物件が売れなくなる、というような現象です。 個人の不動産の購入限度額は、「年収の5倍」というのが相場です。自分がマンションに支払える限度額は自分が理解していますから、それを超えてマンションを買おう、という人は少数ですし、そもそもローンが通りません。 そのため、デベロッパーがいくら高いマンションを供給しても、そのエリアの年収相場からかけ離れた物件というのは売れないのです。これが「購入限度額」を形成します。 今後、日本で急激なインフレが起こる兆候はありません。国民の給与水準が上がる気配もありません。そうしたなかで、人口が減っていくということは、購入限度額の高いエリアが少しずつ減っていくことになります。そうなると、マンション価格も頭打ちになります。 外国人の購入需要は増加 ただ、世の中には高給取りは必ず存在しますし、富裕層も存在し続けます。そして、不動産価格は、需要と供給で決まります。供給の少ない人気エリアでは、一定の富裕層が不動産を求め続けますので、値崩れは起こりにくいと言えます。 とくに東京都心部では、外国人の不動産購入需要が増加していますので、今後も不動産価格が大きく下がることは考えにくいのも事実です。 いっぽう、人気沿線以外の郊外では、マンション価格の下落傾向は続くでしょう。資産を守る目的でマンションを買うのなら、とくに立地には気をつけて、人気沿線で購入した方がいいでしょう。

リフォーム

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

リフォームで使える「キッチン」の費用と相場。安くておすすめのキッチンは?

マンションでも一戸建てでも、リフォームするときに悩むのがキッチン。各社から多くのシステムキッチンが販売されてて、どれも一長一短に見えてしまいます。ここでは、リフォーム向けのキッチンをご紹介。費用、相場とおすすめを解説しましょう。 どんなキッチンメーカーがあるの? まず、キッチンの最大手はどこでしょうか。答えはLIXIL。サンウェーブとINAXなどが合併して経営統合した結果、システムキッチンシェアの3割を占めています。次がタカラスタンダードで、LIXIL誕生までは長年キッチン史上首位を占めてきた老舗です。以下、3位クリナップ、4位パナソニックと続きます。 そのほかのキッチンメーカーとしては、水回りに強いTOTO、給湯器に強いノーリツ、YAMAHAの系統を引くトクラス、旧日立系で現在はヤマダ電機グループのハウステックといった会社があります。最近はニトリやIKEAなどの家具小売店もシェアを伸ばしています。 キッチンの最低価格はどのくらい? システムキッチンの価格はベースとなる「本体価格」に「オプション」を組み入れた総額です。「本体価格」だけならそれほど高くはなく、格安キッチンなら10万円台でも一通り揃います。 たとえば、ニトリのキッチンなら、幅2560mmで19万9000円のものが販売されていますが、ガスコンロやレンジフード、引き出しなどのフロアキャビネットや、頭上のウォールキャビネットもこの値段に含まれています。これに食洗機を付けると24万9000円になります。 これで十分といえば十分で、実際、ファミリー向けの賃貸マンションでは、こうした10万円台のキッチンが備えられていることもよくあります。10万円台のキッチンで大丈夫?なんて声も聞きますが、きちんと施工されれば20-30年は持ちますので、心配する必要はありません。 価格相場をつかもう! ただ、分譲マンションで自分専用のキッチンで、もっと使いやすいものを、となると、もう少しいいブランドのものを選びたくなりますし、さまざまなオプションを付けたくなります。 マンションリフォームの価格相場をつかむのにわかりやすいのが、クリナップです。クリナップは「S.S.」「クリンレディ」「rakuera(ラクエラ)」「コルティ」という4つの性格付けの異なるブランドのキッチンを販売しています。 まず「S.S.」は最高級ブランド。質の高いステンレスを使った高品質キッチンで、幅2550mm(以下同)の参考価格が99万4550円。次のクリンレディはオールステンレスながら手頃な価格を実現した物で、参考価格が63万8000円。ラクエラは木製キッチンで49万2800円。コルティは幅1800mmのコンパクトキッチンで30万9700円となっています。 ラクエラを例に取ると、最低価格は49万2800円ですが、扉に使う素材で異なります。鏡面仕上げの「グランドシリーズ」という扉を使うと55万9800円になり、マット仕上げや光沢仕上げは安くなります。さらに使う木材によって「コンフォートシリーズ」は50万9800円と少し高くなります。 49万2800円は、最もグレードの低い「シンシアシリーズ」という扉を使った場合です。扉による価格差は結構大きく、クリンレディで高い扉を付けると、S.S.の安い扉を付けた場合より高くなってしまいます。 大手メーカーは基本価格50万円が相場 タカラスタンダードやクリナップといった大手メーカーの場合、主力ブランドの基本プランは、2550mmで50万円前後に設定されています。したがって、大手システムキッチンの相場価格は、基本プランなら50万円前後と考えていいでしょう。 ただ、これはあくまで定価で、実際に施工する業者によって卸値は異なります。たとえば、上記ラクエラの場合、格安キッチンとして検索すると、15万円前後の価格を見つけることができます。つまり、6割~7割も値下げしているのです。 ニトリやIKEAなどの格安キッチンの場合は、15~20万円前後の価格設定が相場で、値引きは基本的にはありません。つまり、大手キッチンの安値ブランドや小売店の格安ブランドのキッチンは、基本プランで15~20万円程度が実勢価格の相場といえます。 オプションを付けると高くなる ただし、システムキッチンを基本プランで購入する人はあまりいません。食洗機を入れたり、引き出しを増やしたり、シンクの形を変えたり、ワークトップの素材を変えたりします。こうしたオプションによってキッチンの値段は基本価格の倍くらいになることもあります。 扉の色や素材によって大きく価格が変わることは前述しましたが、メーカーにとっては、基本価格は安くしながら、オプションで利益を得るというのが一つの戦略なのです。 オプションを付けた総額はいくらくらいなの? という質問を受けることもありますが、千差万別としか言いようがありません。定価ベースでいうなら、基本価格の1.5倍くらいが総額になるようなオプションを付ける人が多いです。 食洗機を付け、シンクやレンジフードや水栓を少しいいのに変えて、引き出しも増やしたりすると、そのくらいの価格になります。つまり、定価ベースで70~80万円くらいが相場と考えればいいでしょう。 どのくらい値下げしてくれる? 値下げ後の価格に関しても千差万別ですが、大手メーカーの主力ブランドの場合、2割~3割引程度と考えておくといいでしょう。インターネットを検索すると半額くらいの格安価格を提示している会社もありますが、そこまで値引いてくれることは、実際にはあまりありません。 値引いてくれたとしても、そのぶん施工費用に上乗せされることもありますので、表面上の価格にこだわるよりも、総工費を見たほうがいいでしょう。 キッチンのおすすめブランドは? おすすめブランドは、一概にはいえませんが、ホーローが好きならタカラスタンダードの「リテラ」、ステンレスがいいならクリナップの「クリンレディ」、木製の場合はLIXILの「リシェル」あたりがスタンダードです。これらのブランドを選んでおけば、大きな失敗はないでしょう。 トリプルワイドレンジがいいなら、パナソニック「リビングステーション」。高級キッチンならトクラスの「ベリー」、手頃な価格ならノーリツの「レシピア」も人気が出ています。組み合わせキッチンならIKEAの「メトード」。格安キッチンなら、ニトリはコストパフォーマンス基本性能に優れているといえます。

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