マンションの間取りは、大きく分けて「センターイン」と「田の字」の2種類があります。高級マンションで使われるのはセンターインですが、それぞれのメリット、デメリットを考えてみましょう。
センターインが良いと言われる理由
マンションの良い間取りは「センターイン住戸」と言われます。これは、玄関を住戸の奥行き中間付近に設けた間取りです。
中間に玄関があると、各居室への廊下が短くてすみます。そのため、廊下面積を少なくし、リビングや寝室といった居室面積を広くとることができます。
また、リビング、キッチンなどの「パブリック部分」と、寝室・子ども部屋などの「プライベート部分」を分離することもできます。これを「PP分離」ということもあります。
さらに、角部屋以外でも、外部に面するバルコニーを2面設けることが可能になります。間取りをうまく配置すれば、キッチンから玄関横へ「勝手口」を設けることもできるのです。
センターイン住戸のデメリットは、建設費が高くなること。工事が多少複雑になるため、田の字型に比べて建設費が4~5%高くなります。それは当然販売価格に反映されます。とはいえ、面積あたり単価が5%高くなっても、廊下が短ければ利用できる室内面積も広くなるので、コスト的にはそんなに気にしなくてもいいでしょう。
田の字型は「中洋室」が課題
田の字型住戸は、住戸間口の中間に玄関があり、廊下が居室内を貫く形で配置されている間取りです。玄関から見て一番奥がリビングで、廊下を挟んで居室や洗面所などが田の字型に配置されているので、この名があります。
田の字型には「縦長リビング」と「横長リビング」があります。縦長リビングは、リビングと並ぶ形でバルコニー側に居室がある形。横長リビングは、リビングがバルコニー側いっぱいに広がっていて、バルコニーと外廊下側の中間に居室が設けられます。この部屋は「中洋室」(和室なら「中和室」)と呼ばれます。
田の字型住戸での欠点は、縦長リビングの奥側(通常はダイニングエリア)や「中洋室」の、採光が悪いという点です。とくに「中洋室」はエアコンの設置ができない場合が多く、空調を使う場合はリビング側のものを使うことになり、経済的ではありません。
また、田の字型住戸は、その形状からして、どうしても廊下が長くなります。そのため、専有面積の少なからぬ部分が廊下に食われてしまい、実質的に利用できる面積が少なくなってしまうという欠点もあります。
プライバシー性をどう考えるか
田の字型がセンターイン型に比べて優れている点はあまりありません。強いて言えば、リビング隣の部屋のプライバシー性が低いため、ここを子ども部屋にしたら親の目が届きやすい、という程度でしょうか。
マンションというと、プライバシー性ばかりが優先されますが、逆にプライバシー性で劣ることをメリットと考えることができれば、田の字住戸にも救いがあるといえるかもしれません。