基礎知識

ヴィンテージマンションとは何か?

ヴィンテージマンションという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。なんとなく「高価なマンション」というイメージを持っているかもしれませんが、実際はどんなマンションを指すのでしょうか。 古いけれど価値あるマンション 「ヴィンテージ」とは、本来はワインに使われていた言葉です。10年以上前に作られたワインのうち、当たり年のワインを「ヴィンテージワイン」と呼んでいるのです。そこから意味が広がり、いまでは「ヴィンテージ」とう言葉は、「特定の年に作られた良いもの」や、「古いけれど価値のあるもの」といった広い意味で使われています。 では、ヴィンテージマンションとは、どういう意味なのでしょうか。それは、単に売り出されたときの値段が高いだけでなく、築年数が経っても価値が下がらず、むしろ上がっているようなマンションを指します。 ヴィンテージマンションでは、管理が行き届いていることも条件です。いくら高級でも、管理の悪いマンションはヴィンテージにはなれません。 「広尾ガーデンヒルズ」が代表格 日本の代表的なヴィンテージマンションとして、真っ先に名が上がるのが、「広尾ガーデンヒルズ」です。「広尾ガーデンヒルズ」は地下鉄日比谷線の広尾駅から徒歩5分という抜群の立地にあり、緑に囲まれた落ち着いた雰囲気を持つ分譲マンションです。 敷地内全体のデザインが統一されており、建物は管理が行き届き、並木と緩やかな高台の勾配が独特の高級感を醸しています。このマンションが特別であることに異を唱える人はあまりいません。 すでに築30年を超えますが、いまだに人気は衰えず、値段も下がりません。まさに、日本を代表するヴィンテージマンションといえるでしょう。 ヴィンテージマンションの条件をまとめてみると ヴィンテージマンションの条件をまとめてみましょう。 ・ブランドエリアにある。 ・エントランスがしっかりしており、庭や建物にも特別感がある。 ・一定規模がある。 ・地元で愛されている。 ・管理が徹底している。 ・修繕計画がきちんと実行されている。 ・住民のコミュニティがしっかりしている。 「広尾ガーデンヒルズ」に匹敵するようなヴィンテージマンションは日本ではほとんどありません。ただ、そこまでではないにしろ、ブランドエリアにあり、誰もがほしがるようなマンションは、ヴィンテージマンションになる可能性があります。 まとめると、ヴィンテージマンションは「オーナーが所有していることに誇りを持てるか」が重要なのかもしれません。

隣地の空き地・駐車場にどんな高さが建設可能か予測する。高いビルやマンションが建てば日照・眺望が悪くなる

マンションを購入するときに注意したいのが、隣地。とくに、メイン採光部となる窓の前の隣地がどういう状態かは、よくよく確認したほうがいいでしょう。空き地になっていたら要注意。そこにどんな建物が建つ可能性があるかを、予測しておかなければなりません。 空き地、駐車場は要注意 マンションの隣地が空き地の場合、「何か建ったら日当たりが悪くなるのでは?」と心配する人は多いです。心配は当然で、隣地にどんな建物が建つ可能性があるかは、マンション購入前にチェックしなければならない重要項目です。 空き地でなくても、駐車場も要注意。駐車場は空き地を一時的に活用しているだけの場合もあるからです。 すでに隣地に建物が建っていても、より大きなビルやマンションに建て替わる可能性もあります。その場合、南側なら日照に大きな影響がでますし、東側、西側では太陽位置が低いだけに日当たりへの心配があります。 北側は日照の影響はありませんが、目の前に高いビルが建てば、眺望が悪くなるのは間違いありません。眺望が悪くなれば、当然資産価値も下がります。 どのくらいの建物が建つか? では、隣地にどんな建物が建つか、予測する方法はあるのでしょうか。 まずは、隣地の容積率と建ぺい率、高さ規制を確認します。容積率や建ぺい率が高ければ、高いビルやマンションが建つ可能性があります。一方、容積率や建ぺい率が低ければ、そんなに高い建物は建てられません。 具体的に、どのくらいの高さのビルやマンションが建つ可能性があるかを知る方法はあるのでしょうか。建設できるビルの高さは、容積率、建ぺい率、隣接する道路幅、高さ規制などさまざまな条件で決められますので、一概にはいえません。 ごくおおざっぱにいえば、たとえば容積率が300%なら5~6階の建物が建つ可能性があります。500%の場所なら7~8階建てのビルが建つ可能性はあります。絶対高さ規制が設定されているエリアだと、それ以上の高さのビルは原則として建てられません。 同じエリアでも、隣接する道路幅が広い土地ほど、高いビルが建つ可能性があります。大通り沿いには高いマンションが建ち並んでいますが、それは高さに対する規制が緩いからです。 用途地域を確認しよう ...

マンションは「南向きがいい」は本当か?

マンション購入時に気になるのは「方角」。住戸の方角で人気が高いのは日当たりの良い南向き、次が東向きです。当然、方角は価格に反映します。 南向きは昼間の熱を夜に放散 マンションで人気の南向き。日中に長い時間太陽の光が差しますから、部屋は明るいですし、冬は暖かいです。 マンションはコンクリートでできています。南向きの部屋では、日中の太陽熱をコンクリートが吸収し、夜になって外気温が下がると、その熱が室内に放散されます。そのため、冬は夜でも暖かく、外が0度でも室内は暖房なしで10度以上の気温だったりします。 一方、夏も昼間の太陽熱が夜に室内に放散されるのは同じです。そのため、真夏の夜はエアコンなしでは夜眠れなくなる、という人もいます。昼間留守にしていると、日中は部屋を閉め切っているため、夜は居室全体が蒸し風呂のようになっていることもあります。 とくに、タワーマンションの上層階の南向きは、夏の暑さはかなり厳しいです。 東向きより西向き? となると、南向きよりも、適度に日が当たる東向きや西向きのほうが良い、という考え方も出てきます。東向きと西向きでは、人気があるのは東向きですが、これは午前の日当たりか、午後の日当たりかという差になります。 「早起きするなら東向き」「西日はきつい」という意見が強く、東向きのほうが西向きより人気です。そのため、価格は西向きのほうが安いです。日の当たる時間に大差はありませんから、西向きのほうが割安な分、選ぶなら西向きがいい、という考え方もあります。 北向きは日当たりが全くありません。そのため、夏は涼しく、冬は寒いという特徴があります。北向き住戸は人気がありませんが、そのぶん北向きは価格が圧倒的に安いです。 また、北向きは日が差さない分、景色を見るのに適しています。そのため、タワーマンションの中上層階では北向きも意外に人気がありますし、子供がいない方なら、北向きでOK、という人も多いようです。 マンションは風通しも大事 北向きの不安点は、日当たりがないと部屋がカビてくるのではないか、ということです。これに関しては、日当たりと湿気にはあまり相関関係はなく、北向きの部屋だからカビやすいという事実はありません。 カビを防ぐには湿気がこもらないようにすることが大事です。そのためには、風通しを良くすることです。マンションは密閉性が高いため、湿気がこもりやすいという性質があります。そのため、風通しは大事です。 風通しの良いマンションとは、異なる二方向(北と南、西と北、など)に外気に面した窓があるマンションです。同じ方向に窓が二つあっても風通しは得られませんし、一方の窓が内廊下に面していても、やはり風通しは良くありません。

「大規模マンション」と「小規模マンション」のメリット、デメリットを比較する

マンション選びで好みが分かれるのが「大規模マンション」か「小規模マンション」か。同じマンションと言っても大規模と小規模では設備や使い勝手に大きな差が出ます。それぞれの特徴と、メリット、デメリットをご紹介。 設備・サービス重視なら大規模マンション まず、大規模マンションの特徴は、共用設備が充実していて、管理人も常駐すること。高コストな共用設備や人件費を大勢の住民でシェアするので、一人あたりにすると少額で人を雇ったりできるのです。フィットネスクラブやゲストルームを擁する大規模マンションもありますが、これも大規模ならではです。 小規模マンションでは、こうした共用設備を維持することはできませんし、管理人も常駐時間が制限されてしまいます。そのため、マンションに「共用設備やサービス」を期待する人は、大規模マンションがいいでしょう。 大規模マンションでは、共用スペースに庭や公園があり、ちょっとした散歩をしたり、子供を遊ばせたりすることができます。小規模マンションにはそういうものはありません。 中古市場でも、大規模マンションは人気があります。大規模マンションは管理がしっかりしているイメージがあるので、中古市場でも値崩れしにくいのです。 シンプルさなら小規模マンション しかし、共用設備なんていらないし、管理人だって不要、とお考えの方もいるでしょう。そんな方は、無駄な管理費を払わなくていいシンプルな小規模マンションがおすすめです。 小規模マンションでは、管理組合の役員がしょっちゅう回ってくるという特徴があります。管理組合には、最低4人程度の役員が必要なので、40世帯のマンションで10年に1回。実際は、賃貸に出してしまってそのマンションに住んでない人が出てくると、さらに役回りは増えます。 役員は面倒ですが、そのぶん顔がわかるようになる、というメリットもあります。小さいマンションのほうが管理組合の意思統一がはっきりして、機動的に動けるという人もいます。また、居住者同士で知り合いになりやすいので、マンション内の人間関係も円滑になりますし、不審者の対応などの治安も良くなります。 小規模マンションのメリットとして、さまざまな動線が短い、という点も挙げられます。自転車置き場、駐車場、ゴミ捨て場などが近く、通勤・通学の動線上にあるので便利。また、エントランスと敷地出入り口まで近いので、道路に出るのもすぐ。エレベーターの待ち時間も短いです。マンション内の移動時間が少なくて済むのは、小規模マンションの魅力と言えます。 中古マンションの売りやすさについても、小規模マンションにはメリットがあります。というのも、大規模マンションは同時期に大量の購入者がいるため、中古で同じ築年数の同じ間取りの部屋が同時に売りに出されたりします。そのため、タイミングによっては、同じマンションの売り主がライバルになり、意外と高値で売りにくい場合もあります。小規模マンションでは、そういう可能性は低くなります。

新築マンションの「設計図書」はどう見るか? モデルルームでチェックすべきポイントを簡単解説。

新築マンションを買うときに必ず訪れるのがモデルルーム。きれいなインテリアに惑わされがちですが、必ずチェックすべきなのは「設計図書」(セッケイズショ)という図面です。設計図書とは、建物を建てるときに必要な設計関係の図面一式をまとめたもので、マンションの販売センターには必ず備え付けられています。 ただ、この設計図書、かなり専門的。きちんと見るには相当な時間がかかります。ここでは、短時間でチェックできるポイントを簡単にまとめました。 地質調査書 デベロッパーがマンションを建てるとき、地面に穴を掘って地質を調査します。これを「ボーリング調査」といいます。地質調査書は、ボーリング調査の結果を示すものです。 ここでチェックすべきなのは「N値」。N値は、土の硬さの程度を示したもので、数字が大きいほど硬い土です。 N0は非常に軟らかく軟弱な土で、数値が上がるにつれ硬い土になっていき、N50が最大です。N50以上の地層もN50で示します。 N50であれば重い構造物でも支えることができます。したがって、高層ビルやタワーマンションでは、杭をN50の深さまで掘り、建物の基礎とするのです。 そのため、地盤をチェックするには、N50が地下どのくらいの深さにあるかをみるとわかります。一概にはいえませんが、おおむね深さ35m以内にこの層(N値50以上)があれば、優れた地盤と考えていいでしょう。 配置図 敷地全体に建物がどう配置されているかを示すのが「配置図」です。敷地の境界、建物の方位と位置関係がわかります。購入を検討している部屋の向きが正確にわかりますし、ベランダから隣地までの距離なども数字で確認しておきます。 タイプ別平面図 住戸のタイプ別に、間取りを詳しく表示したものが「タイプ別平面図」です。購入を検討している住戸の間取りを確認すると同時に、上下左右の間取りも必ず確認しましょう。 寝室の上がリビングだったり、隣が水回りスペースだったりすると、寝るときに気になるかもしれません。できるだけ、寝室の上は寝室、水回りの上と横は水回り、という間取りがいいでしょう。 矩計図 矩計図は、「かなばかりず」と読みます。矩計図とは、各階の垂直方向の寸法を仕様を描いたものです。マンションの一部を切断して、寸法などを細かく記入した詳細な断面図です。 矩計図でわかることはいくつかありますが、重要なのは階高です。階高とは、コンクリートの床から上階のコンクリートの床までの高さのこと。高級マンションほど階高が大きくなる傾向があります。 そのほか、購入を検討している住戸について、室内の天井高、床と天井の仕上げなどを確認します。最近のマンションなら、二重床、二重天井になっていることが多いですし、そのほうがいいでしょう。階高は2900ミリ以上あれば安心です。 展開図 展開図とは、各住戸の周囲の壁を室内側から横から見て描いた図です。壁の仕上げやドア、窓の位置、寸法、仕様などがわかります。ドアや窓の形などが一目でわかりますので、イメージ通りか確認しておきましょう。 床伏図、梁伏図 真上から見下ろした図面を「伏図」と呼びます。床の状態を描いたものを「床伏図」、梁の状態を描いたものを「梁伏図」といいます。 床伏図は、床の仕上げ材を剥いで上から見た図面で、床の構造を示します。梁伏図は、軸組の様子を示します。マンションの床の厚さや梁の位置を確認します。スラブ(床のコンクリート)で段差がある場合(段差スラブ)、将来のリフォームに影響します。 特記仕様書 図面に記載されていない材料や施工方法、仕上げなどで、注意すべき点を記載したリストが「特記仕様書」です。重要な項目が書かれていることが多いので、必ず目を通しましょう。 いろんな図面を何度も見る 設計図書を読み解くカギは、「いろんな図面を何度も見ること」。 モデルルームに行ったときに、上記のポイントだけでも絞って見ていくと、だんだんその内容の差異がわかるようになっていきます。すると、「このマンションは高級仕様だな」とか「このマンションはコストを切り詰めているな」などということも、なんとなくわかっていきます。 コストを切り詰めるのが悪いわけではありません。コストを切り詰めたマンションなら、その分価格が安ければいいわけです。つまり、価格相応のマンションかどうかを見極めるのに、設計図書を読み解く力が必要になってくるのです。 もちろん、設計図書は、価格を知るための手がかりだけではなく、遮音性能や修繕のしやすさ、バリアフリー対応など、さまざまなことを教えてくれます。自分が重視するポイントに対応しているマンションかを、知ることができる図面なのです。

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お金と税金

「新築マンションは買わないほうがいい」は本当か?

不動産評論家のなかには、「新築マンションは買わない方がいい」という人も少なくありません。その理由は、新築マンションは値下がりしやすいから、というもの。 あるいは「新築マンションは、建物ができあがる前に買うので、リスクが高いから」という人がいます。こうした意見は、正しいのでしょうか? 新築プレミアムは8% 新築マンションの価格には、売り主である不動産会社(デベロッパー)の利益が上乗せされています。そこにいったん人が住むと、その利益分が剥がれ落ちる形で、評価額が下がります。剥がれ落ちた利益分こそが「新築」のプレミアムで、「誰も住んだことのない住戸に住む」ことの対価といえます。 この「新築プレミアム」は、だいたい価格の8%程度と言われています。新築マンションの1年後の価格下落率の平均をとると、だいたいそのくらいになるから、ということのようです。5,000万円のマンションなら、370万円が「新築ならではのプレミアム分」ということになります。 1年後に8%下がった価格は、その後、毎年2%くらいずつ下がります。これは建物の経年劣化による価格下落です。下落幅は年を経るごとに縮小していき、築20~30年を経ると、価格はほとんど下がらなくなります。 青田売りのリスク また、新築マンションは、「青田売り」といって、建物が完成する前に販売されます。できあがった建物が、イメージと違う、ということもよくありますが、キャンセルするには高額のキャンセル料がかかり、あとの祭りです。 こうしたことが、「マンションを買うなら、新築ではなく中古をおすすめする」という専門家の発言の理由です。 新築にも大きなメリットが ただ、新築には、大きなメリットがあります。それは「好きな住戸を選べる」ということ。抽選に当たりさえすれば、最上階でも角部屋でも選び放題です。 そもそも、人気エリアのマンションは供給が少なく、中古物件もあまり出てきません。そうしたエリアで中古マンションを探そうとしても、好きな建物や好きな部屋は選べません。「7階くらいの南向けの部屋が売りに出ないかな」なんて思っても、そうそう都合良いタイミングでは買えないのです。 「築10年の中古マンション」は少ない 中古をおすすめする人は、「築10年のマンションを買うのがいい」とよく言います。でも、そういわれても、築10年の中古マンションはあまりありません。新築を買って10年で売りに出す人はそれほど多くありません。そのため、築10年のマンションは出物が少なく、人気エリアではそんなに安くはありませんし、市況によっては値上がりしていることすらあるほどです。 人気エリア以外では、築10年のマンションはたいてい値下がりしていますが、逆に言うと、安くなった中古マンションを買うと言うことは、値下がりエリアで10年後に築20年のマンションを抱え込んでしまうわけです。それはそれで不安ですよね。 ということで、経済的な側面だけ見れば、新築より中古にメリットが多いのは事実です。でも、そう都合のよい中古物件がない、というのもまた事実なのです。

東京のマンション価格がピークを超えたことを断言しよう。不動産下落局面の「買い時」はいつか?

東京のマンション価格が、ピークを超えました。これまでも「そろそろ天井じゃないかな?」という意見は出ていましたし、筆者もそう思っていましたが、ついに「断言」してもいい段階に到達しました。その理由を書いていきましょう。 世界で利上げが本格化 マンション価格が天井を付けた、そう判断する理由はなんでしょうか。それは、世界で利上げが本格化したことです。とくに、米ドルの利上げのピッチが上がってきたことは、大きな情勢変化です。 「海外の利上げなんて関係ないじゃん?」と思っている人は、金利が住宅販売に及ぼす影響を軽視しすぎています。世界的に利上げがトレンドになり始めたことは、日本の住宅市況に大きく影響します。 それは、日本の最近のマンションバブルの担い手は誰だったか、を考えればわかるでしょう。海外の投資家です。 これまで、海外の投資家は、世界的な低金利でめぼしい投資先が見当たらず、日本の不動産に投資してきたという背景があります。しかし、世界で利上げが始まったいま、投資先は広がり始めています。 海外投資家が日本の不動産へ投資しつづける可能性は、少しずつ減ってきているとみるべきでしょう。というよりも、日本の不動産を売り、海外の別の投資先にお金を回す動きが活発化するとみられます。 2017年に入り、中国で海外送金の規制が厳しくなったことも、マンション販売に影を落としています。新築タワーマンションを爆買いしてきた中国勢の勢いが衰え、湾岸エリアのタワーマンションの売れ方が鈍ってきているという話も耳に入ってきました。 黒田総裁の任期切れも目前 そして、日本では、黒田東彦日銀総裁の任期が見えてきました。過激な金融緩和で超低金利を導いてきた黒田総裁は、2018年3月が任期です。インフレターゲットを掲げながら実現できなかった黒田総裁の続投は微妙です。安倍政権が続く限り黒田総裁は続投しそうですが、交代の可能性を指摘する人も少なくありません。 実際のところ、日本にこれ以上の金融緩和余地は乏しく、異常なマイナス金利は経済への悪影響が指摘されはじめました。そのため、誰が次期日銀総裁になっても、金融引き締めに転じなければならない状況になっていると思います。 現在の超低金利は、そう長くは続かないでしょう。大幅な利上げは当面ないと思いますが、マイナス金利はいつまでも続けられる政策ではありません。 海外が利上げに踏み切る中、日本だけが超低金利政策を続ければ、円安がどんどん進んでしまいます。ある程度の円安は日本経済にとってプラスですが、進みすぎると国民の購買力低下につながり、国が貧乏になってしまいます。そうなると政治不安が起きるので、そう遠くない時期に利上げは訪れるとみたほうがよさそうです。 住宅ローン金利が上がると… 利上げとは、すなわり住宅ローンの金利アップを意味します。金利が上がれば、購入できる不動産の上限価格は下がります。 それでもサラリーマンのお給料が増えていれば、問題ないのですが、国内労働者の実質賃金は頭打ちで、高額な不動産を購入できる世帯は限られています。買い手が減ればマンション価格はじりじりと値を下げて行かざるを得ません。 実際、最近の新築マンションの値付けを見ていても、これまでとは違って、デベロッパーに慎重な姿勢が見て取れます。従来以上に分譲期をずらし、事前調査を綿密にして、手探りで価格を決めています。 都心の超人気エリアのマンションは別として、郊外など、立地に多少の難のある物件は、じわじわと価格を下げている様子もうかがえます。具体的な物件名を挙げるのは避けますが、「値付け失敗で売れていなさそう」というマンションもいくつかあります。 買い急がないこと! では、これからマンションを買おうとしている人は、どういうスタンスで望めばいいでしょうか。 それは、買い急がないこと、に尽きます。 そもそも、日本は人口減少という大きなトレンドにいます。したがって、マンションを急いで買う理由はないのですが、それでも、家庭の事情などで、なるべく早く買いたいとお考えの方も多いと思います。 そういう方も、マンションを購入するときは、しっかりと値段交渉をして、新築であれ中古であれ、買い急がないことです。 好物件が出やすい 不動産価格がピークを付けた時期は、いい中古マンションを手に入れる絶好のタイミングでもあります。というのも、マンションの値下がり開始局面では、好物件が出てきやすいからです。「まだ上がるだろう」と虎の子物件を抱えていた人が、「これから下がるなら売ってしまおう」という姿勢に転じるのです。こうした物件は、マンション不況で値段が下がりきっているときにはあまり出てきません。 その意味で、中古マンションを狙う方は、絶好の買い時ともいえます。いい物件が出てきたらすぐに連絡し、多少の値引きをしてもらって買うのがいいでしょう。 駅に近い好物件は、不動産不況になっても大きくは値崩れはしないので、「値段が下がりきるまで」なんて思っていると、なかなか買えません。決断が大事な時期です。 まとめると、新築物件は買い急ぐ必要はない。 中古物件も、基本的には値下がり待ちで良い。 エキチカの好物件は、買い時である。 ということです。

マンションも「見た目」が9割? 第一印象を大切に

中古マンションを買う人、あるいは借りる人は、物件の前に立って、あるは部屋の中に入って、数秒のうちに「お、これはいいな」「いまひとつだな」という判断を下すと言われています。数分ではありません。「数秒」です。 値段とは関係ない つまり、マンション売却の賃貸においては、第一印象、見た目が大事なのです。重要度が9割か8割かはなんともいえませんが、最初の印象が悪いと、それをひっくり返すのは至難の業です。逆に、最初の印象がいいと、多少の難点には目をつぶってもらえます。 これは、マンションの値段とはあまり関係がありません。高かろうが安かろうが「いいな」と思ってもらうことが大事なのです。 逆に言うと、第一印象がいい物件ほど、売るのも貸すのも有利、ということになります。結果として、第一印象がいい物件は、資産価値が維持されやすくなります。 「中身」も大事だけれど ですから、あなたがマンションを買うときも、第一印象を大切にすべきでしょう。第一印象は、「外見が格好いい」「内装がきれい」「よく手入れされている」「高級感がある」といったようなことです。 買った後にこれらを変更するのは難しい場合もあるので、買う前に「見た目」を大事にして物件選びをするべきです。 もちろん、見た目じゃないよ、「中身」だよ、という意見もあると思います。「中身」、つまり実用性に優れた物件は、多少見た目が悪くても資産価値は維持されるかもしれません。 でも、中身が優れている上に、見た目もいい物件のほうが、より資産価値は高くなるでしょう。

「マンションを買うなら親の退職前にすべし」。これって本当?

マンションや一戸建ての住宅を購入するタイミングは難しいもの。自分の子どもができたら、なんて考えていると、親が退職してしまった後になることもあります。でも、「できれば不動産購入は親の退職前のほうがいい」という人もいます。その理由を考えてみましょう。 賃貸の保証人がいなくなる! まだ20代や30代の方は、親御さんが現役で仕事をしている、という人もいるでしょう。その場合、ご自身が賃貸マンションを借りるのは容易なはず。なぜなら、親御さんが保証人になってくれるからです。 でも、親御さんが退職してしまうと、賃貸マンションを借りるときに保証人になれないことがあります。不動産保証人は「就労収入」があることを条件とされることが多いからです。早い話、年金生活の人は保証人になれないケースがあるのです。 そうなると、転居などで賃貸マンションを新たに借りるのが面倒になります。兄弟など他に保証人になってくれる人がいる場合は問題ありませんが、そうでない場合、保証会社を使ったりしなければならず、余分な出費を強いられます。 そのため、できることならマンションは親の退職前に買ってしまったほうがいい、という理由です。 親からの贈与を受けやすい もう一つの理由として、親の退職前なら、親からの資金援助を受けやすい、という点も挙げられます。住宅購入のために親から贈与を受ける場合、一定金額まで所得税が非課税になるという制度もあります。 こうした制度は、親御さんが亡くなってしまうと使えなくなります。親御さんが健在で、できれば仕事のあるうちにマンションを購入した方がいい、というのには、こうした理由があるとされます。 兄弟がいて住宅資金の心配がなければいつでもよい ただ、言い方を変えれば、この程度の理由に過ぎません。 兄弟がいて保証人の心配がなく、住宅資金を全額自分で出せる方は、親御さんの事情に関わりなく適切なタイミングでマンションを購入すればよいでしょう。

「ミックスローン」のメリット、デメリット。住宅ローンを二つに分けて、返済期間をずらすと効果的

住宅ローンを選ぶときに、悩むのが「変動か固定か」という点。それぞれメリットデメリットがあり、選択に頭を抱えます。じゃあ、二つとも!というのが「ミックスローン」。住宅ローンを二つに分ければ、変動と固定を両方選択できます。そのメリット、デメリットを見てみましょう。 ミックスローンとは 住宅ローンの変動金利は安いですが、金利が上昇したら支払額が上がる可能性があります。一方、固定金利は高いですが、将来の金利動向に関わらず、支払額を一定にすることができます。どちらにするか迷うところですが、住宅ローンを2つに分け、1本を変動金利、1本を固定金利にする、という方法があります。これを「ミックスローン」といいます。 ミックスローンにすると、金利上昇という変動のリスクは減りますが、金利が低いという変動のメリットも減ってしまいます。また、支払額が変わらないという固定のメリットも減ってしまいます。変動と固定にローンを分けることは、それぞれのリスクとメリットを両方減らすことになります。 返済期間に差を付ける ローンを2つに分ける場合、返済期間を同じにする必要はありません。返済期間をずらすこともできます。返済期間に差を付けることが、ミックスローンを活用するコツです。 たとえば、子どもがいる家庭は、教育費がかさむピーク時が必ずあります。そのときに住宅ローンの支払い額を下げるわけにいかないので、一時的に家計は苦しくなり、赤字に陥ることもあります。 教育費のピークは15歳~22歳です。はじめからわかっていますので、ローンを2本に分けて、計画的に、教育費のピーク時のローン返済負担を軽くするように設定するのです。 借入金額も違う額にする 2つに分けるなら、借入金額も同じにする必要はありません。たとえば、3,000万円のローンを組むのなら、1,000万円と2,000万円の2本にローンを分けて、1,000万円は子どもの大学入学前に完済する計画にしてみます。 すると、教育費のピーク時には、1本を完済し、残りが1本になっているので、返済負担が減っています。 退職後までローンの返済が続く場合も、やはりローンを2本に分けておくといいでしょう。2本にして、1本は退職までに完済させ、もう1本は年金生活でも払いきれる返済に設定しておきます。返済額に応じて、ローンの比率を変えます。 繰り上げ返済で期間を短縮しようと目論んでいる人も多いでしょう。その場合も、2本に分けてあれば、より少額で繰り上げ返済が可能になります。2本に分けることで、返済計画をより機動的にできるというメリットがあるのです。 諸費用が高くなる ローンを2つに分けることと、変動・固定をミックスにすることは別です。2本とも変動にしてもいいですし、2本とも固定にしてもいいでしょう。2本に分けることは、返済不能に陥るリスクを減らすための施策であり、金利をミックスにすることは、金利変動のリスク(上がるにしろ、下がるにしろ)を減らすための施策です。 ローンを2本に分けることの明確なデメリットは、諸費用が増えることです。住宅ローンを組む場合、契約を2つに分けて行う必要があるため、登記費用などが余分にかかります。したがって、契約書の印紙代や抵当権設定費用が2倍かかります。結果として、5~10万円は余計にかかることになります。

リフォーム

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

リノベーション済みマンションを避けるべき、たった1つで、最大の理由

中古マンションで最近多く見かけるのが、「室内リノベーション済み」マンションです。中古物件を業者が購入し、内装のリフォームなどを施して、「リノベーション済み」として販売しているのです。こうしたマンションは、おすすめでしょうか。それとも、避けるべきなのでしょうか。 結論は「おすすめしない」 中古マンションでは、たいてい、前の住人の生活の痕跡が残っているものです。リノベーション済み物件は、そうした痕跡をまっさらに消してしまっていて、買ってすぐに気持ちよく住めます。なかには、新築マンションかと見まがうようなきれいな内装にしていることすらあります。 では、こうした「リノベーション済みマンション」を購入することは正解なのでしょうか。 答えは「おすすめしない」です。 リノベマンションを避けるべき理由 その理由は、たった1つ。割高だからです。 リノベーションマンションは、リノベーション費用が思いっきり上乗せされています。リノベ業者は「プロがやっているので、素人のお客さんが頼むより安くリノベできるのです」などという決まり文句を使います。しかし、そんなことは、まずありません。 リノベーション業者が発注すると、たしかに効率的な発注はできます。そのため、無駄なコストを生じさせませんので、素人よりも多少安くすることは可能でしょう。 しかし、リノベーションを実際に行うのは職人さんであり、その人件費は個人で発注しても業者が発注しても大きくは変わりません。キッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備も、リノベ業者だけが格安で買えるわけではありません。 結局、リノベーション費用は、素人がやっても業者がやってもそれほどの差にはなりません。業者がやると、多少安くはできますが、そのぶんリノベ業者の手数料が思いっきり上乗せされます。その結果、リノベ済みマンションは、割高な価格設定になっていることが多いのです。 1500万円も上乗せ 筆者が実際に見た例を申し上げましょう。都内の3LDKマンションの例です。最初に個人が5400万円で売りに出していた物件を、リノベ業者が4800万円で購入し、リノベーション(というかリフォーム程度)を施した上で、6300万円で販売していました。 5400万円で販売していたマンションを600万円も値切って買ったあげくに、リノベ費用を1500万円も上乗せしているのです。そのリノベの内容は、筆者が見た限り、素人がリフォーム業者に依頼したとしても、せいぜい400万円程度で行える内容です。 つまり、素人が5400万円の「売値」で購入したとしても、5800万円で手に入れることが出来る程度の内装のマンションを、6300万円で売っているわけです。買う側から見れば、500万円、約1割も割高になります。 リノベ済み物件はもったいない ちなみに、そのリノベ-ションは、壁紙を張り替えて、ユニットバスとトイレを入れ替え、あとは念入りにハウスクリーニングをした程度です。ユニットバスとトイレも、安物ではありませんが、標準的なランクの設備でした。プロが上手に発注したら、300万円もかからない内容です。 もし個人がそのマンションをリノベ前の状況で買ったとして、6200万円あれば、キッチンや洗面台も入れ替えて、フローリングも貼り変えることができるでしょう。キッチンやユニットバスも、ちょっと上等なものにできます。 金額的な面もさることながら、自分の思い通りのリフォームができないという点からも、このリノベーション済み物件を買うのは、いかにももったいないです。 「割高」で「それなり」 このように、リノベーション業者の販売するマンションは、率直にいって「割高」ですし、あつらえられた設備も「それなり」です。 リノベーションの内容も、必ずしも購入者が求める内容で行われているとは限りません。「新築そっくり」にする必要もないのに、何でも設備を交換して、費用を上乗せしている可能性もあります。 逆に、もっと設備を入れ替えてもいいのに、古い設備を「見た目」だけきれいにして販売していることもあります。上記のように、そもそも「リノベーション」といえるほどの内容を行っていないケースすらあります。 また、あまり想像したくはないのですが、欠陥が隠蔽されている可能性もあります。リノベ前に見たらわかるような穴やヒビなどが、表面上、壁紙を張り替えてきれいにされていたりすることもあります。 「リノベーション業者」が悪徳というつもりはありません。良心的な業者が適正な利益を乗せているだけだったとしても、個人で買ってリフォームする方が、安く確実なリノベーションができる、ということです。

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