基礎知識

「売主」と「販売代理」はどう違うのか

新築分譲マンションを購入する際に気をつけてほしいのが、「売主」です。このとき、「売主」にくわえ、「販売代理」という名称も記載されていることがあります。「売主」と販売代理では、全く立場が違うので、注意しましょう。 信用度を上げる手法 分譲マンションの業界では、「売主」に知名度やブランド力がない場合、「販売代理」に三井不動産や野村不動産といった大手を使い、信用度を上げるという手法を取ることがあります。 しかし、販売代理というのは、あくまでもマンションの販売を売主に代わって行う、というだけです。大事なのは売主です。 ですので、「販売代理」に三井や三菱、住友、野村などの大手が入っていて、「売主」がそれより格下の企業だった場合、「この売主は、自分の信用度に自信がないのだなあ」と筆者などは思ってしまいます。 なぜ売主が大事なのか なぜ売主が大事なのでしょうか。それは、売主がしっかりした物件は、中古マンションになっても信用度が高く、売りやすいからです。 マンション業界に参入して間もない売主のマンションの場合、間取りは設計事務所に丸投げし、建設はゼネコンに丸投げし、販売は販売代理に丸投げ、というケースもあります。実名はあげませんが、知名度のあるインフラ系の大手企業でも、マンション業界では日が浅い場合、こうした事例はよくあります。 こうした売主のマンションでは、購入後にトラブルがあったときなどのアフターケアが、大手デベロッパーより劣るケースがあります。劣る、というより、適切に対応できないこともあります。大手デベロッパーがすばらしいとは限りませんが、少なくとも、実績面では一定水準を保ってきているのが大手ですが、それと同等の対応を新興企業が行うのは難しいです。 マンションという高額商品では、製造者=売主の信用度はとても大切です。それは、ご自身が住むにも大切ですし、将来売却する際にも大事です。

マンションの「遮音等級」の見方。「L-55」とか「D-50」はどういう意味?

最近のマンションで重視されるのは「遮音性」。上の階で走り回ってもうるさくないとか、大声を出しても隣に聞こえないとか、そういう遮音性能が大事です。では、これはどこを見たらわかるのでしょうか。 床はLL-50が標準的 遮音性能は、床L、壁はDで示されます。どちらも基準は50です。ややこしいのは、Lは小さい方がよく、Dは大きいほうがいい、という点です。 たとえば、床の遮音性は、L-40なら気配は感じてもほとんど感じない程度。L-45はスプーンを落とすとかなり聞こえるが、人の歩行音は意識しない程度。L-50はいすを引きずる音や歩行音が小さく聞こえる程度です。 L-55になると、歩行音が聞こえ、いすをひきずる音が激しく聞こえる。L-60となると、スリッパで歩く音までよく聞こえる、という程度です。 床の衝撃音に関してはLH(重量衝撃音)とLL(計量衝撃音)に分けられます。床衝撃音の指標として、一番使われやすいのがはLL値です。最近はLL-50以上のマンションがほとんどで、LL-55以下の物件はかなり少なくなっています。 マンションを購入する基準としては、LL-55あれば十分で、LL-50なら優れている、と考えればいいでしょう。新築マンションはLL-50以上が標準的です。 壁はD-50が標準的 壁の衝撃音D値は、D-40だとピアノの音がはっきりわかり、隣戸の生活行為がある程度わかる。D-50は、隣戸の会話がほとんど聞こえず、日常生活で気兼ねなく暮らせます。 D-55だと隣戸の気配も感じず、D-60はカラオケパーティーを行っても問題ない、という程度です。 近年のマンションでは、D-50が標準的で、遮音のしっかりしているマンションはD-55やD-60となっています。ピアノの防音室がD-55くらいですので、D-55のマンションがあれば、子どもがピアノを習っても周囲に気にせず練習ができる、という感じです。 スラブは床板20cm、壁18cmが目安 モデルルームに行くと、コンクリートブロックのような見本がおいてあります。これは壁などの厚さを示す実物見本で、「スラブ」といいます。スラブについては、床板で20センチ以上、隣戸との壁で18センチ以上あることを目安にしましょう。 間取りを見るときは、隣戸の水回りと自戸の寝室が隣接していないかも確認しておきます。水回りと接している部屋は、水音がどうしても響きます。できるだけ寝室と水回りは離れていたほうがいいでしょう。

「子どもを産む前に家を買うべきではない」は本当か? 家族構成が確定する前の購入リスクを検討する

「マンションを買うなら、子どもを産み終わり、家族構成が最終決定してからがいい」という意見があります。これは本当なのでしょうか? 子どもが何人産まれるかを待っていたら、かなり年をとってしまうかもしれません。 家計の逼迫がリスクに 子どもが産まれて、新しい家族が増えると、そのぶん広い家に住みたくなるものです。ですから、家族構成が最終決定する前に家を買ってしまうと、新しい家族が産まれたときにまた家を買い直さなければならなくなる可能性があります。 ただ、家計に余力があれば、家を買い直すこと自体は大きな問題ではありません。問題は、家を買い直すことができないくらい、家計が逼迫してしまう可能性があることです。 というのも、子どもが産まれる前の家計というのは、長い人生においてもっともゆとりがあります。その事実に気づかないで、子どもがいない状態の経済状態を前提に家を買ってしまうと、あとで住宅ローンの返済に苦しむことがあるのです。 子供が増えていくと家計に余裕がなくなる 子どもが産まれると、それまでかからなかった家計支出が生じます。おむつ代、ミルク代から始まって、教育費や食費は年齢が上がるにつれかさんでいきます。1人だけなら耐えられても、2人、3人と子ども増えていくと、食べさせていくだけでやっと、ということになりかねません。 また、夫婦二馬力で働いている人は、その収入を前提に住宅を買う場合があります。でも、子どもが産まれたら妻が仕事を続けるのは大変ですし、1人ならまだしも、2人、3人となると、仕事と家庭の両立は難しくなります。そうなると、二馬力前提の住宅ローン返済計画は破綻してしまいます。 その意味でも、やはり家族構成が固まり、将来の家計収入の見通しが立ってから家を買った方が確実性は高いといえます。 一馬力で返せるローンを組めばいい とはいえ、上記のことをすべて勘案したうえで、家族構成が固まる前にマンションを買うという選択肢も、もちろんあります。夫の収入だけで返せる範囲の金額でローンを組み、子どもが2人いても大丈夫なくらいの広い家を買えるなら問題ないともいえるでしょう。 家を買うなら、若いときに買ったほうが有利な点が多いのも、また事実です。返済計画と面積に十分余裕を持ったマンションなら、子供が生まれる前に買ってしまってもいいでしょう。狭いマンション、高すぎるマンションを避ければいいだけです。

住宅ローンを組むとき、手元にいくら資金を残しておくべきか。病気や怪我にも備えられる預金を

住宅ローンを組むとき、手元にいくら資金を残しておくかは悩みどころ。金利を考えるとローンの総額は抑えたいですが、貯金をすべてはたいてマンションを購入してしまうと、万一の事態に対応できなくなります。ある程度の金額は手元に置いておくべきですが、それはどのくらいが適度なのでしょうか? 購入後にもお金がかかる マンションを購入して、いざ住もう、というときには、さまざまなお金がかかります。引っ越し代は当然として、家具を揃えたりカーテンなどインテリアを整えたり、細かい日用品を購入したりすることもあるでしょう。中古マンションを購入した場合は、ハウスクリーニングやリフォーム代もかさみます。 したがって、マンションを買うときは、購入後、手元にある程度のお金が残るように住宅ローンを借りなければなりません。 年間生活費の1年分 一般的に、手元に残しておくべき金額は、年間の生活費1年分といわれます。月々の食費や日用品費、被服費、教育費、レジャー代などはもちろん、住宅ローンの支払いや住宅諸経費も含めて、月々にかかる金額を計算し、その12ヶ月分を目安に手元に残すのです。 たとえば、住宅ローンや管理費など含めて、月25万円が生活にかかると見込まれれば、300万円は手元にあったほうがいいでしょう。リフォーム代や家具代などは、この金額とは別に用意します。 転職のチャンスが訪れるかも? 人生には予想外のことが起こります。病気やけがで入院することもありますし、失業で収入がなくなるかもしれません。あるいは、転職の機会が訪れるかもしれません。手元資金が乏しいため会社をやめられず、転職のチャンスを逃すなどということのないようにしたいものです。 親の介護も要注意です。介護費用もかかりますが、介護のために頻繁に実家に帰るとなると、その交通費が負担になることもあります。注意したいものです。 こうした備えとして、1年分の生活費は銀行預金に残しておきましょう。

マンションの資産価値を決める要素

「マンションの資産価値とは何か」という記事で、マンションの資産価値とは「値下がりしにくさ」と「貸した場合の賃料利回りの高さ」であることを述べました。 では、マンションの資産価値を決める要素は何でしょうか。言葉を換えれば、資産価値の高いマンションを買うには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか。 資産価値を決める3つの要素 結論から言ってしまうと、資産価値を決める要素は以下の3つです。 ・立地 ・タイミング ・購入価格 マンションは立地が全て 興味深い統計があります。首都圏の場合、平均すると70平米のマンションは年100万円ずつ値下がりする、というもの。これは、立地を問わず、どこでもだいたい同じなのです。 都心の70平米のマンションは新築で1億円くらいはしますので、100万円値下がりしても1%程度の値下がり率です。一方、郊外では3000万円くらいで70平米のマンションが買えます。それが100万円値下がりすると、3パーセントの値下がり幅です。 すなわち、立地のいいマンションのほうが、価格は高くても値下がり率は低く、「値下がりしにくいマンション」といえるのです。 都心で物件価格が高いほど、マンションは値下がりしにくく、資産価値が高いと言えます。「マンションは立地が全て」といいますが、こういう意味なのです。 タイミングも大切 次に、タイミング。不動産には相場の波があり、需要が多ければ値上がりし、少なければ値下がりします。 当然ですが、値下がりした「底」のタイミングで買えば、価格の下落の可能性は小さくなります。「底」のタイミングで購入したマンションは、あなたにとって資産価値の高いマンションとなります。 逆に、相場の高いときに購入すると、どんなに立地の優れたマンションでも、資産価値を維持するのは難しくなります。立地の悪いマンションならなおさらで、大損する可能性もあるでしょう。 安く買うことが大事 さいごが、購入価格です。相場の高いときであっても、上手に値切ることができたりして安く買えれば、資産価値は維持されやすいでしょう。 「不動産に掘り出し物はない」という人もいますが、実際には、同じ時期に同じような物件でも、10%くらいの価格差は新築・中古問わず発生しています。 3割、4割安いような「掘り出し物」はそうそうありませんが、1割程度でも安く買えれば、資産価値にとってはプラスになります。安く買うことは、資産価値の維持には重要です。

建物を知る

立地

比較検討

22,878ファンいいね
3,912フォロワーフォロー
0購読者購読
- Advertisement -

Most Popular

お金と税金

マンションを買ったら住居費専用口座を作ろう。管理費・修繕積立金の支払いもその口座から!

マンションを購入することになったら、住居費専用の口座も作りましょう。サラリーマンなら給与振り込みの一部をその口座に指定。マンション管理費や修繕積立金もその口座にまとめます。「収入と支出」を一口座にまとめることで、住居費関連の収支がはっきりわかるようになります。 ローン返済額より多めに振り込む 給与振り込み先を2口座に分けて設定できる会社名なら、住宅ローン借入先の金融機関の口座をその一つにします。振り込み金額は、月々のローン返済額と管理費・修繕積立金より、少し多めに設定しましょう。2口座に設定できない場合は、自分で金額を決めて預け入れします。 多めに預け入れた金額は、徐々に積み上がっていきます。それを使って、年に1度の固定資産税を、この口座から支払います。また、住宅ローン減税の還付金も、この口座に入れるといいでしょう。そうすれば、住居費に関する収支が一つの口座で見えてきます。 固定資産税を支払ってもまだ残ったお金は、繰り上げ返済の原資にしましょう。ある程度まとまった金額がたまったら、繰り上げ返済してローンを減らします。 返済金額変更に備える 変動金利にしている場合は、積み上がった金額をそのままにしておいたり、定期預金に預けたりするのも得策。変動金利は5年に1回、月々の返済金額の変更がありますので、それに備えるお金にします。そうすれば、毎月の返済額が増えた場合でも、積立金からある程度補填できます。 共働きの場合は、夫婦で住居費専用口座にお互い入金する、という形にするのもいいでしょう。夫婦の住居費負担額のはっきりしますし、繰り上げ返済の原資が貯まりやすくなります。 電気やガス代なども同一口座にする人がいますが、あまり賛成はしません。電気・ガスは住居費とは性格が異なりますので、できれば違う口座にしたほうがいいでしょう。

中古マンションの値段はどうやって決められるのか

中古マンションは売り主が個人がほとんどです。個人が売りたいときに売るので、物件が出るタイミングはバラバラで、そのため価格の「相場」はわかりにくいものです。 実際のところ、中古マンションの価格は、売り主が「この価格で売りたい」という、希望販売価格です。その前段階として、仲介する不動産業者が、「査定」をします。 中古マンションの「査定」の方法 査定の方法はさまざまですが、一般的には、築年数や駅からの距離などの条件の近いマンションの最近の取引価格を調査するのが最初でせう。それを参考に、売却対象のマンションの坪単価を査定し、当該住戸の面積に応じて値付けします。 このとき、階数の上下や方角、ルーフバルコニーや専用庭の有無などによって微調整するのは、新築マンションと同じです。 査定の範囲は、上下20%くらいの幅があります。3000万円が中心価格の場合、2700万円~3300万円、といった形で査定します。そうした査定を受けたうえで、売主と仲介業者が協議して販売価格を決めます。 販売価格は売り主によって異なる 販売価格には、売り主の意向が強く反映されますので、売主の都合により価格が異なります。「早く売りたい」という場合は控えめな値付けになりますし、慌てて売ろうとしていない場合は、強気の価格を設定して、反応をみたりします。 販売開始して、反応が悪かったりしたら、価格を再設定、つまり値下げします。購入者の立場としては、最初は「高いな」と思った物件でも、少し待てば値が下がってくることもあるわけです。 立地や階数などで条件のいい住戸は、多少高めの値付けでもすぐに売れてしまいます。また、割安な住戸も購入希望者がすぐに現れます。 大規模マンションの場合は「競争」も 購入希望者と売主の間では、値段交渉が行われるのが一般的です。ただ、割安な物件の場合は、売主は値段交渉に応じず「この価格で買わないなら、次の人に」と、別の人と交渉してしまう場合もあります。 こうしたやりとりを経て、最終的に売主と購入希望者が金額で合意すれば、それがその中古マンションの価格となります。 大規模マンションの場合は、同時期に似たような条件の住戸が売りに出されることもあります。そういう場合は、売主側に「競争」が生まれて、比較的安く買えることもあります。 情報を早くキャッチすることが大切 中古物件を安く買うコツは、なんらかの事情で価格設定が低くなっている物件を狙うことです。そうした物件を、他の購入希望者より早く見つければ、安く買える可能性が高くなります。そのためには、中古物件を扱う不動産業者のメルマガなどに登録し、いち早く情報をキャッチすることが大事です。 強気の価格設定の物件を狙うときは、とにかく待つことです。3000万円が適正な物件が3300万円で売りに出されていた場合、すぐに交渉しても、安くしてもらえないことがあります。 でも、売れなければ、売主は価格を下げてきます。少し時間が経って、値段を下げたときがねらい目です。値段を下げたと言うことは、売る気が強くなってきたと言うことですから、買う側も安く買えるチャンスといえます。 適正価格を自分で判断する いずれにしろ、大切なのは、このマンションの適正価格はいくらなのか、を自分で判断し、売主の事情を考慮しながら上手に交渉することです。 適正価格とは、資産価値を維持しやすい価格のことです。将来的に「この価格で買っておけば、将来大きな損をすることはないだろう」という価格が、購入者再度の適正価格といえます。 中古マンションには、ときどきとんでもなく「高い」値付けもありますし、不動産業者はそれを「適正」と言い張ることもあります。したがって、買うときは自分の価値基準の判断が大切です。

コロナショックでマンション価格はどう変わるか

コロナショックでマンション販売に急ブレーキがかかっています。景気の悪化にともない、販売価格も値下がりしていくのでしょうか。考えてみましょう。 マンション販売に急ブレーキ コロナショックで、新築分譲マンション販売に急ブレーキがかかっています。理由は簡単で、モデルルームなどでの対面販売が規制されたからです。また、景況感も急速に悪化してきており、先の見通しがわからない状況で、住宅ローンを組む人も減っており、それが分譲マンション販売に陰を落としています。 ここ数年、新築マンション価格は上昇をを続けてきました。不動産経済研究所によれば、2019年の首都圏分譲マンションの1戸当たりの平均価格は5,980万円、面積当たりの単価は87.9万円/m2に達しています。2012年は平均価格4,540万円、平均単価65万円/m2でしたので、7年間で約1.3倍の販売価格となり、平均単価は約1.4倍に上昇していることになります。 新築価格に引っ張られる形で、中古マンションの成約価格も上昇を続けてきました。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2012年の中古マンションの平均成約価格は2,500万円、平均単価38万円/m2でしたが、2019年の平均成約価格は3,220万円、平均単価は53万円/m2と、いずれも1.4倍となっています。 不動産価格の「平均」は立地条件などを無視していますので、平均がすべてを表しているわけではありません。そういう前提ですが、ざっくりといってしまうと、7年前に5,000万円で買えていた新築マンションが7,000万円に。3,000万円で買えていた中古マンションが4,200万円になったわけです。恐ろしいばかりの値上がりです。 マンションは暴落しない しかし、ここへきて、「コロナショック」が不動産市況を襲っています。新型コロナウイルス感染症の拡大による世界経済の混乱で、景気はリセッション入りが確実視されています。マンションの販売価格にも影響を及ぼさずにはいられません。 ただ、過去の例を見てみると、リセッション入りした直後に不動産価格が暴落したケースというのは見当たりません。たとえばバブル経済がピークを付けた1990年以降も、不動産価格はある程度の値を保ちましたし、リーマンショックの時も同じです。新築に限っていえば、平均価格は1~2割程度下がることはあるものの、株のような大暴落にはなりません。 マンション価格がすぐに暴落しない理由はいくつかありますが、最大の理由はマンション価格は数年かかる一連のプロジェクトであり、景況感がすぐに反映されない、という点でしょう。土地の仕入れ値や建築費が高騰したなかで動き出したプロジェクトは、そうそう安値販売できないのです。 「買う人がいなければ値下げするしかないのでは?」という考えもあろうかと思います。それは確かにそうですが、実際は値下げするのではなく、供給を絞ることで調整をします。大手デベロッパーは経営体力がありますので、安値販売するくらいなら供給を絞って値を保つ道を選びます。新築マンションを必要としている人はいつでも一定数いるので、供給さえ絞れば値下げをする必要はなくなるのです。 かつては、中小のデベロッパーが運転資金ほしさに値下げすることもありました。しかし、最近の分譲マンションは大手デベロッパーがメインになっていて、経営体力に乏しい会社は少なくなっています。そうした事情もあり、新築マンションの投げ売りは構造的に生じにくくなっているという指摘もあります。 買い急ぐ必要はない 実は、「供給を絞る」という状況は、コロナショック以前から生じています。2019年頃からマンション市場は明らかな過熱感があり、発売戸数は減少してきているのです。どんどん上昇する価格に、買い手の需要がついていけず、契約率は低下傾向でした。 そうしたトレンドのなかで、コロナショックが起きたこともあり、新築マンション供給は絞られていくでしょう。価格的にも当面の天井をつけたといってよく、今後は緩やかに値下がりしていくでしょう。 とはいえ、新築マンションは適地が限られてきており、とくに都心など人気エリアでは、デベロッパーが売り急いでいる雰囲気は感じられず、値下げの情報も聞きません。 明らかな価格低下が起こるとすれば、郊外立地でしょう。郊外の新築分譲マンションは、買い急ぐ必要はありません。 また、今後、不動産の過熱感が収まった後に取得した土地が開発されるようになると、新築マンションの価格も下がっていくとみられます。それには短くても2~3年かかるでしょうから、じっくり待つといいいでしょう。どの程度下がるかは見通せませんが、立地によっては1割程度の値下がりはあり得るでしょう。 中古マンション特有の事情 一方、中古マンションの価格はどうでしょうか。中古マンション価格は新築マンション価格の影響を受けますが、まったく同じではありません。その理由はいくつかありますが、大きいのは住宅ローンの残債です。 マンションを売却する人の多くは住宅ローンの残債を抱えています。そのため、残債以上の価格で売ろうとし、そうでなければ売る判断を先送りします。結果として、築年数の新しいマンションほど値を保ちやすいのです。実際、リーマンショックの後も、築浅の中古マンション価格は大きくは下がりませんでした。 要するに、中古マンションが出回りやすいのは高く売れる景気のいいときで、逆に景気が悪くなると、「今売る必要はない」と考える人や、残債で売るに売れない人が抱え込むので、中古マンションの流通が絞られます。結果として、築浅中古マンションは供給が維持され、値下がりしにくくなるのです。 築年数の古い中古マンションに関しては、リフォーム済物件が増えていることが、価格が下がりくい理由となっています。業者がリフォームした物件は、買値より2割程度高く売られることが多く、結果として中古マンション価格を底支えしています。 もちろん、景気が悪くなれば、経済的な事情で状態のいいマンションを手放す人も出てきますので、手頃で良質な物件が出てきやすいタイミングでもあることは事実です。とくに、リセッションの入口は「早めに売っておこう」と考える人もいますので、質のいい物件の買い時ではあります。 ただし、いい物件はすぐ売れるのが中古マンションの特徴です。お目当てのエリアの情報には目を光らせておくといいでしょう。

財形って役に立つの? サラリーマンの頭金作りの王道だけれど、低金利下では意味がない。

サラリーマンの方なら、会社に「財形」の制度がある人も多いでしょう。「財形住宅貯蓄」という名称で、住宅取得に関するお金を貯める場合に、一定金額まで利子が非課税になるものです。昔は、マンションなどを購入するときの頭金作りの王道とされました。 が、今でも役に立つのでしょうか? 目的別に3つの財形 財形とは、勤労者財産形成貯蓄制度のこと。サラリーマンの勤務先が、銀行などと提携して、給与やボーナスから天引きでお金を貯蓄してくれる制度です。 財形は目的別に3種類あります。「住宅」「年金」「その他」です。それぞれ「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」「一般財形貯蓄」という名称です。 財形の最大のメリットは、利子が元利合計で550万円まで非課税である、という点。普通の預貯金では利子に20%の税金がかかりますが、住宅財形と年金財形は、合算して元利550万円まで非課税になるのです。 また、住宅財形の場合、財形貯蓄を1年以上継続して、積立金額が50万円以上になると、積立金額の10倍(最高4000万円)まで、住宅取得に必要なお金を低利で借りることができます(全体の80%まで)。これを「財形住宅融資」といい、財形のメリットとされてきました。 金利が高ければ有利だが 金利が高い局面なら、住宅財形はなかなか有利な制度です。ただ、現在のような低金利下では、正直、それほどメリットはありません。利子に課税されないといっても、低金利では利子自体が非常に少ないので、課税されてもされなくてもせいぜい数十円や数百円の差にしかなりません。銀行の定期預金と比べて、大差ありません。 財形住宅融資にしても、最近は銀行の10年固定金利よりも金利が高かったりします。となると、金利面や税金面から財形の優位性は失われてきているのが実情です。 貯められない人にはいい制度 あとは、給与天引きをどう考えるかです。給与から一定金額が毎月差し引かれて貯蓄に回されるというのは、お金を貯めるにはいい制度でしょう。貯蓄が苦手な人には素晴らしい制度といえなくもありません。 でも、自分で計画的に貯められる人にはどうでもいい話ですし、財形は、いざ使うときに、お金を引き出す手続きがちょっと面倒というデメリットもあります。自動的に積み立てるなら、銀行の積立貯金でも似た効果が得られます。 ということで、現在の低金利下において、住宅財形は銀行の定期預金と比べて大きなメリットはありません。財形が無駄だとはいいませんが、銀行の積立貯金のほうが使いやすくて便利でしょう。

マンションを買うときは「出口戦略」を大事にする

マンションの資産価値を維持するには、購入時から出口戦略を意識することが大事です。出口戦略とは、将来、そのマンションを手放すときのことを考える、ということです。 誰がそのマンションを買ってくれるのか 人生にはさまざまなシーンがあり、ずっと住みたいと思っていたマンションでも、売ったり貸しに出したりしなければならなくなるときがあります。そういうときに、すんなり売ったり貸したりできるように、購入時から考慮しておく必要があります。 そのために大事なことは、将来、「誰がそのマンションを買ってくれるのか」「誰が借りてくれるのか」をイメージしておくことです。 育児エリアでは大規模マンション たとえば、小さい子どもが集まりやすいエリアでは、大規模マンションのほうが売りやすいでしょう。なぜなら、キッズルームや広い中庭などの共用施設が充実していて、子育てしやすそうに見えるからです。 ペットを飼えるマンションも人気です。なかでも、「大型犬」が飼えるマンションはあまりありませんので、一定の需要ががあります。もちろん、大型犬を飼う人はそれほど多くありませんが、「他にはない特徴がある」ということが、マンションでは大事なのです。 都心なら芸能人向け物件も 都心限定ですが、大型車の入るマンションも人気があります。都心では、マンションの駐車場は不足していて、大型車対応となると、さらに少ないです。そのため、富裕層のニーズがあるのです。 同様に、セキュリティのきわめて高いマンションは、芸能人のニーズがあります。「芸能人なんてほとんどいないじゃん」と思うなかれ。借りる人、買う人は1人いればいいのです。芸能人の集まる東京都心部なら、物件に希少価値があれば売れていきます。 他とは違う特徴があるか。そのエリアに適したマンションになっているか。そのエリアで、そのマンションをほしがる人が一定数いるか。こうしたことを考慮するのが「出口戦略」です。販売相手がいることが、マンションの売却を終えるのに重要なのです。

リフォーム

リフォームで使える「キッチン」の費用と相場。安くておすすめのキッチンは?

マンションでも一戸建てでも、リフォームするときに悩むのがキッチン。各社から多くのシステムキッチンが販売されてて、どれも一長一短に見えてしまいます。ここでは、リフォーム向けのキッチンをご紹介。費用、相場とおすすめを解説しましょう。 どんなキッチンメーカーがあるの? まず、キッチンの最大手はどこでしょうか。答えはLIXIL。サンウェーブとINAXなどが合併して経営統合した結果、システムキッチンシェアの3割を占めています。次がタカラスタンダードで、LIXIL誕生までは長年キッチン史上首位を占めてきた老舗です。以下、3位クリナップ、4位パナソニックと続きます。 そのほかのキッチンメーカーとしては、水回りに強いTOTO、給湯器に強いノーリツ、YAMAHAの系統を引くトクラス、旧日立系で現在はヤマダ電機グループのハウステックといった会社があります。最近はニトリやIKEAなどの家具小売店もシェアを伸ばしています。 キッチンの最低価格はどのくらい? システムキッチンの価格はベースとなる「本体価格」に「オプション」を組み入れた総額です。「本体価格」だけならそれほど高くはなく、格安キッチンなら10万円台でも一通り揃います。 たとえば、ニトリのキッチンなら、幅2560mmで19万9000円のものが販売されていますが、ガスコンロやレンジフード、引き出しなどのフロアキャビネットや、頭上のウォールキャビネットもこの値段に含まれています。これに食洗機を付けると24万9000円になります。 これで十分といえば十分で、実際、ファミリー向けの賃貸マンションでは、こうした10万円台のキッチンが備えられていることもよくあります。10万円台のキッチンで大丈夫?なんて声も聞きますが、きちんと施工されれば20-30年は持ちますので、心配する必要はありません。 価格相場をつかもう! ただ、分譲マンションで自分専用のキッチンで、もっと使いやすいものを、となると、もう少しいいブランドのものを選びたくなりますし、さまざまなオプションを付けたくなります。 マンションリフォームの価格相場をつかむのにわかりやすいのが、クリナップです。クリナップは「S.S.」「クリンレディ」「rakuera(ラクエラ)」「コルティ」という4つの性格付けの異なるブランドのキッチンを販売しています。 まず「S.S.」は最高級ブランド。質の高いステンレスを使った高品質キッチンで、幅2550mm(以下同)の参考価格が99万4550円。次のクリンレディはオールステンレスながら手頃な価格を実現した物で、参考価格が63万8000円。ラクエラは木製キッチンで49万2800円。コルティは幅1800mmのコンパクトキッチンで30万9700円となっています。 ラクエラを例に取ると、最低価格は49万2800円ですが、扉に使う素材で異なります。鏡面仕上げの「グランドシリーズ」という扉を使うと55万9800円になり、マット仕上げや光沢仕上げは安くなります。さらに使う木材によって「コンフォートシリーズ」は50万9800円と少し高くなります。 49万2800円は、最もグレードの低い「シンシアシリーズ」という扉を使った場合です。扉による価格差は結構大きく、クリンレディで高い扉を付けると、S.S.の安い扉を付けた場合より高くなってしまいます。 大手メーカーは基本価格50万円が相場 タカラスタンダードやクリナップといった大手メーカーの場合、主力ブランドの基本プランは、2550mmで50万円前後に設定されています。したがって、大手システムキッチンの相場価格は、基本プランなら50万円前後と考えていいでしょう。 ただ、これはあくまで定価で、実際に施工する業者によって卸値は異なります。たとえば、上記ラクエラの場合、格安キッチンとして検索すると、15万円前後の価格を見つけることができます。つまり、6割~7割も値下げしているのです。 ニトリやIKEAなどの格安キッチンの場合は、15~20万円前後の価格設定が相場で、値引きは基本的にはありません。つまり、大手キッチンの安値ブランドや小売店の格安ブランドのキッチンは、基本プランで15~20万円程度が実勢価格の相場といえます。 オプションを付けると高くなる ただし、システムキッチンを基本プランで購入する人はあまりいません。食洗機を入れたり、引き出しを増やしたり、シンクの形を変えたり、ワークトップの素材を変えたりします。こうしたオプションによってキッチンの値段は基本価格の倍くらいになることもあります。 扉の色や素材によって大きく価格が変わることは前述しましたが、メーカーにとっては、基本価格は安くしながら、オプションで利益を得るというのが一つの戦略なのです。 オプションを付けた総額はいくらくらいなの? という質問を受けることもありますが、千差万別としか言いようがありません。定価ベースでいうなら、基本価格の1.5倍くらいが総額になるようなオプションを付ける人が多いです。 食洗機を付け、シンクやレンジフードや水栓を少しいいのに変えて、引き出しも増やしたりすると、そのくらいの価格になります。つまり、定価ベースで70~80万円くらいが相場と考えればいいでしょう。 どのくらい値下げしてくれる? 値下げ後の価格に関しても千差万別ですが、大手メーカーの主力ブランドの場合、2割~3割引程度と考えておくといいでしょう。インターネットを検索すると半額くらいの格安価格を提示している会社もありますが、そこまで値引いてくれることは、実際にはあまりありません。 値引いてくれたとしても、そのぶん施工費用に上乗せされることもありますので、表面上の価格にこだわるよりも、総工費を見たほうがいいでしょう。 キッチンのおすすめブランドは? おすすめブランドは、一概にはいえませんが、ホーローが好きならタカラスタンダードの「リテラ」、ステンレスがいいならクリナップの「クリンレディ」、木製の場合はLIXILの「リシェル」あたりがスタンダードです。これらのブランドを選んでおけば、大きな失敗はないでしょう。 トリプルワイドレンジがいいなら、パナソニック「リビングステーション」。高級キッチンならトクラスの「ベリー」、手頃な価格ならノーリツの「レシピア」も人気が出ています。組み合わせキッチンならIKEAの「メトード」。格安キッチンなら、ニトリはコストパフォーマンス基本性能に優れているといえます。

リノベーション済みマンションを避けるべき、たった1つで、最大の理由

中古マンションで最近多く見かけるのが、「室内リノベーション済み」マンションです。中古物件を業者が購入し、内装のリフォームなどを施して、「リノベーション済み」として販売しているのです。こうしたマンションは、おすすめでしょうか。それとも、避けるべきなのでしょうか。 結論は「おすすめしない」 中古マンションでは、たいてい、前の住人の生活の痕跡が残っているものです。リノベーション済み物件は、そうした痕跡をまっさらに消してしまっていて、買ってすぐに気持ちよく住めます。なかには、新築マンションかと見まがうようなきれいな内装にしていることすらあります。 では、こうした「リノベーション済みマンション」を購入することは正解なのでしょうか。 答えは「おすすめしない」です。 リノベマンションを避けるべき理由 その理由は、たった1つ。割高だからです。 リノベーションマンションは、リノベーション費用が思いっきり上乗せされています。リノベ業者は「プロがやっているので、素人のお客さんが頼むより安くリノベできるのです」などという決まり文句を使います。しかし、そんなことは、まずありません。 リノベーション業者が発注すると、たしかに効率的な発注はできます。そのため、無駄なコストを生じさせませんので、素人よりも多少安くすることは可能でしょう。 しかし、リノベーションを実際に行うのは職人さんであり、その人件費は個人で発注しても業者が発注しても大きくは変わりません。キッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備も、リノベ業者だけが格安で買えるわけではありません。 結局、リノベーション費用は、素人がやっても業者がやってもそれほどの差にはなりません。業者がやると、多少安くはできますが、そのぶんリノベ業者の手数料が思いっきり上乗せされます。その結果、リノベ済みマンションは、割高な価格設定になっていることが多いのです。 1500万円も上乗せ 筆者が実際に見た例を申し上げましょう。都内の3LDKマンションの例です。最初に個人が5400万円で売りに出していた物件を、リノベ業者が4800万円で購入し、リノベーション(というかリフォーム程度)を施した上で、6300万円で販売していました。 5400万円で販売していたマンションを600万円も値切って買ったあげくに、リノベ費用を1500万円も上乗せしているのです。そのリノベの内容は、筆者が見た限り、素人がリフォーム業者に依頼したとしても、せいぜい400万円程度で行える内容です。 つまり、素人が5400万円の「売値」で購入したとしても、5800万円で手に入れることが出来る程度の内装のマンションを、6300万円で売っているわけです。買う側から見れば、500万円、約1割も割高になります。 リノベ済み物件はもったいない ちなみに、そのリノベ-ションは、壁紙を張り替えて、ユニットバスとトイレを入れ替え、あとは念入りにハウスクリーニングをした程度です。ユニットバスとトイレも、安物ではありませんが、標準的なランクの設備でした。プロが上手に発注したら、300万円もかからない内容です。 もし個人がそのマンションをリノベ前の状況で買ったとして、6200万円あれば、キッチンや洗面台も入れ替えて、フローリングも貼り変えることができるでしょう。キッチンやユニットバスも、ちょっと上等なものにできます。 金額的な面もさることながら、自分の思い通りのリフォームができないという点からも、このリノベーション済み物件を買うのは、いかにももったいないです。 「割高」で「それなり」 このように、リノベーション業者の販売するマンションは、率直にいって「割高」ですし、あつらえられた設備も「それなり」です。 リノベーションの内容も、必ずしも購入者が求める内容で行われているとは限りません。「新築そっくり」にする必要もないのに、何でも設備を交換して、費用を上乗せしている可能性もあります。 逆に、もっと設備を入れ替えてもいいのに、古い設備を「見た目」だけきれいにして販売していることもあります。上記のように、そもそも「リノベーション」といえるほどの内容を行っていないケースすらあります。 また、あまり想像したくはないのですが、欠陥が隠蔽されている可能性もあります。リノベ前に見たらわかるような穴やヒビなどが、表面上、壁紙を張り替えてきれいにされていたりすることもあります。 「リノベーション業者」が悪徳というつもりはありません。良心的な業者が適正な利益を乗せているだけだったとしても、個人で買ってリフォームする方が、安く確実なリノベーションができる、ということです。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

新着記事

Must Read