基礎知識

「庭付き一戸建て」より「タワーマンション」が優れている理由

少し前まで、日本人のマイホーム観は、「庭付き一戸建て」が理想とされていました。住宅購入の最終目標が庭付き一戸建て、というわけです。でも、最近はタワーマンションを好む人も大勢います。 どちらがいいのかは、購入者の好みやライフスタイルによります。でも、将来を見通して合理的に考えれば、タワーマンションが優れているでしょう。 庭付き一戸建てを新興住宅地で買うと? 庭付き一戸建ての最大の問題点は、広い面積を必要とすること。そうすると、便利な立地であればあるほど、価格はとんでもなく高くなります。お金持ちならいいでしょうが、そうでない人が庭付き一戸建てを買おうとすると、駅からバスに乗らなければならないような場所でしか買えません。 たとえば、丘の上の新興住宅地。そういうニュータウンに一戸建てを買う人も多いのですが、高齢になったときに住むのに不便です。30年も経てば、同じように不便を感じた近隣住民が駅チカのマンションに転居し始めたりして、新興住宅地は空き家が増えていきます。 そうすると、近くにあったスーパーが閉まり、バスの便も減らされます。徐々に地価も下落。売るに売れなくなって、生活も不便で困り果てる、というようなことが、実際に現在の日本で起きています。 タワーマンションは高齢者に優しい それに比べれば、都心のタワーマンションは高齢者に優しいです。バリアフリーで、スーパーやコンビニも近くにあり便利。管理人が常駐し、ちょっとした用事が頼めます。やはり、年を取った人にとっては、タワーマンションはおすすめです。 「土地付きの一戸建てのほうが、マンションより資産価値がある」と信じている人もいます。でも、考えてみてください。ニュータウンの一戸建てと、駅チカのタワーマンション、どちらが売りやすいですか? 言葉を換えれば、どちらを買いたいと思う人が多いでしょうか? 当然、タワーマンションです。売りやすい資産のほうが価値があるのはいうまでもありません。 もちろん、人気沿線の駅チカに庭付き一戸建てを買えるなら、そのほうが価値があるでしょう。でも、そういう一戸建ては、億単位の価格がしますので、普通の人には現実的ではありません。 育児なら郊外の一戸建てもいいが 子育てをする場合は、都心部のタワーマンションよりは、緑の多い郊外の一戸建てがいい、という人もいるでしょう。 それは否定しませんが、資産として考えた場合、あるいは若いときや中高年になったときの住みやすさでは、タワーマンションのほうが有利です。要するに、年齢や生活様式によって、必要とする住居は異なる、ということです。 「郊外の庭付き一戸建てが理想」というのは、人生のワンシーンで思うこと。人生のタイミングに合わせて、住み替えていきましょう。

マンション購入のリスクと、リスク軽減方法を考える

マンション購入にはさまざまなリスクがあります。もっとも大きいのが値下がりリスク。そのほか、地震リスクもありますし、欠陥マンションをつかまされるのもリスクといえるでしょう。ここでは、そうしたマンションのさまざまなリスクを考えてみましょう。 最大のリスクは「値下がり」 マンション最大のリスクは「値下がり」です。たとえば、4000万円のマンションを購入して、20年後に2000万円でしか売れなかったら、20年で2000万円も値下がりしたことになります。1年あたり100万円。毎月9万円ほどです。 マンションを所有すれば管理費や修繕積立金がかかりますし、固定資産税も課されます。住宅ローンを組んでいれば、その利子もかかるでしょう。それらをあわせて月4万円と仮定すると、さらに960万円も支出していたことになりますので、そのマンションのために、3,000万円近い支出を出したことになります。 もし、同等のマンションを月10万円で借りることができていたならば、20年で2,400万円です。つまり、マンションを購入することで、20年で600万円も「損」を出したことになります。 マンションを購入すると、こうした「損害」を被る可能性があります。これがマンション購入のリスクです。 自然災害もリスク そのほかのリスクとしては、自然災害があげられます。大地震でマンションが崩壊することもありますし、大雨で洪水に襲われる可能性もあります。東日本大震災では、震源から遠く離れた首都圏でも液状化被害があり、マンションの価値が大きく損なわれました。 災害でなくても、欠陥マンションをつかまされるリスクもあります。建て替えにならないような小さな欠陥でも、それがあるために売却できなくなることもありえます。 マンションの立地や構造によっても生活面のリスクが生じることもあります。エレベータのないマンションなら、高齢になったときに住みにくくなるリスクがあります。駅までのバスが廃止になったり本数が減ったりして、利用しにくくなるリスクもあるでしょう。近所のスーパーが閉店することだってリスクです。 相続のリスクもあります。相続時に分割できないマンションは、相続人同士の争いを招く可能性があります。 リスクを小さくするには? こうしたリスクをゼロにすることはできませんが、小さくすることは可能です。それは、資産価値の高いマンションを購入することです。 では、資産価値の高いマンションとはどういうマンションでしょうか。資産価値にはさまざまな側面や考え方がありますが、マンションの資産価値のほとんどは立地で決まります。つまり、立地のいいマンションを買えばいいのです。 立地のいいマンションなら、不要になったときに売りやすいですし、地震などの自然災害を受けたとしても買い手がつくものです。立地のいいマンションは、地震で崩壊しても、区分所有権の売買でそれなりの値が付くくらいです。 こうして考えると、マンションを購入するときに「立地のいい物件を選ぶ」ということがいかに重要かがおわかりいただけると思います。

高齢になるほど住まいを借りにくくなる? 「持ち家」を一つは持っておきたい最大の理由

「年をとると家を借りにくくなるから、持ち家をかっておいたほうがいい」というアドバイスも聞くことがあります。これは本当なのでしょうか? 高齢者は部屋で亡くなる確率が高い 一般の賃貸住宅で高齢者が家を借りることは、正直言って難しいです。理由はいくつかありますが、高齢者は部屋で亡くなる確率が若者よりはるかに高いのが、最大の理由です。身もふたもない話ですが、高齢者が若年者より「死にやすい」のは人間の真実なので、こればかりはどうにもなりません。 大家さんの立場としては、部屋で人が死んだ場合、次に貸しにくくなります。そのため、大家さんは高齢者に部屋を貸すのをいやがるのです。 保証人の問題もある また、高齢者は病気で入院する可能性も高いですし、入院すると長期になりやすく、部屋の管理も悪くなります。 そのほか、高齢者は収入が限られるので、家賃が滞ると回収できる見込みが少なく、かといって追い出すわけにもいきません。 こうした理由で、どうせ貸すなら若い世代か、せいぜい中年までがよく、年金生活のお年寄りは避けたい、というのが多くの大家の本音です。 高齢になるにつれ、保証人を捜しにくくなるという問題もあります。職のある子どもがいれば保証人になってくれるでしょうが、子どもいない方は、高齢になるにつれ保証人の問題で家を借りにくくなっていきます。 住む家が全くなくなることはない とはいえ、最近は空き家が日本全国で増えていますので、借り手の付きにくいマンションなどでは、高齢者に貸してくれることも増えているようです。また、収入が少ないなら公営住宅に入ることもできます。ですから、高齢になって持ち家がなかったとしても、住む家が全くない、ということはありません。 ただ、住みやすい立地の質の高い住居を高齢者が借りるのは難しい、というのは事実ですし、今後も大きく変わる見込みはありません。住みやすいところに住み続けたいなら、終の棲家を自分で確保しておいたほうが安心です。

市街化区域と市街化調整区域の違い

分譲マンションは「市街化区域」に建てられています。「市街化調整区域」に建てられているマンションは、基本的にはありません。ですから、市街化区域と市街化調整区域の違いを知らなくても、マンションを買う分には問題ないのですが、不動産の知識として知っておくといいでしょう。 建物が建てられるのは市街化区域 日本の国土を不動産的に大きく分けると、「都市計画区域内」と「都市計画区域外」の2つがあります。都市計画区域は3つに分けられます。「市街化区域」と「市街化調整区域」「非線引都市計画区域」です。 このうち、建物を建てられるのが「市街化区域」です。市街化区域には用途地域が12種類定められています。それについては、こちらをご覧ください。 市街化調整区域の価値は低い 「市街化区域」は建物が建てられる場所、ということで覚えておけばいいのですが、問題は「市街化調整区域」です。市街化調整区域であっても、一部地域では用途地域が定められている場合がありますが、非常に限定的です。ほとんどは原則として建物を建てることができません。 もちろん、物理的に建物を建てようと思えば建てることはできます。しかし、法律上の建築許可を取れませんので、建てたところで違法建築になってしまいます。そのため、不動産として売買することは、きわめて困難になります。 結局、市街化調整区域は、原則として建物が建てられませんので、資材置き場や駐車場としてしか使えません。そのため、不動産としての価値は低くなります。

機械式駐車場と自走式駐車場のメリットとデメリットを比較する。イチバン人気は地下駐車場の平置型

クルマを持っている人にとって気がかりなのが、マンションの駐車場の形態。自走式で地上の区画に置ける「平置駐車場」を望む人が多いですが、立地のいいマンションになるほど機械式の「立体駐車場」が多くなります。そのメリットとデメリットを比較してみましょう。 メリットが多いのは自走式 自走式の平置駐車場にもいくつかタイプがありますが、都市部のマンションなら、地下か1階に駐車エリアを配置していることが多いです。郊外のマンションなら、建物横の敷地に屋根なしの平置き駐車場を配置していることもあります。 自走式の最大のメリットは、余計な機械操作がなく、クルマに乗るための作業が簡単なこと。マンションの出入口を出て、自分の駐車区画まで歩いて乗るだけです。そのため、クルマを所有するマンション購入検討者には、平置型駐車場がイチバン人気です。 ただ、自分の駐車区画がマンションの出入口から近ければ便利ですが、遠いとクルマに乗るとき長く歩かねばならないので、やや不便です。そのため、出入口から遠くなるほど駐車場代を安くしている管理組合もあります。時間をとるかお金を取るか、よく考えて駐車場を選びたいところです。 地下駐車場や建物1階の駐車場は、屋根があるのも大きなメリットです。天候が悪くても雨具なしでクルマに乗れますし、クルマが傷みにくいという長所もあります。また、地下駐車場は管理が行き届いているので、愛車が盗難にあったり、いたずらの被害を受けるリスクも低いです。 一方、自走式でも屋根なしの屋外型駐車場だと、クルマは雨に打たれ日光にもさらされますので、クルマが傷みやすいというデメリットがあります。雨が降っていたら乗るときにも大変ですし、地下に比べると盗難などの被害にも遭いやすいでしょう。 多数のクルマを収納するなら機械式 機械式駐車場はタイプがいくつかありますが、マンションの場合は、2段か3段に積み上げられた形で、上下左右にクルマを移動させる形が一般的です。それぞれのブロックごとにリモコンがあり、出庫時にはそれを操作します。 機械式駐車場のメリットは、狭い敷地に多数のクルマを収納できること。そのため、多くの希望者に駐車区画を行き渡らせることができます。 それと、風雨にさらされないので、クルマが傷みにくいことメリットでしょうか。とはいえ、それ以外には、利用者個人にメリットは見当たりません。 デメリットは出庫時に時間がかかること。レールぴったりに車庫入れする必要があるため、車庫入れが苦手な人にはストレスにもなるでしょう。また、子どもがいたら機械が動くとき目を離せないことなどがあります。 さらに、機械式駐車場は、大規模修繕時のメンテナンス費用が高いという難点もあります。クルマの高さの制限もあるので、車高の高いクルマは入れられない場合もあります。デメリットだらけですね。 自走式の平置型が一番 結局のところ、駐車場は、自走式の平置型が一番です。さらにいえば、地下駐車場はセキュリティ上からも、クルマの保存の面からも、悪天候でも使いやすいという点からも、最も優れています。そのため、選べるなら地下駐車場の平置き型自走式駐車場が一番でしょう。 次が屋外の平置型駐車場、最後が機械式の立体駐車場です。立体駐車場でもタワー型のように上下が大きくなるほど出し入れに時間がかかりますので、できれば2層か3層程度が望ましいでしょう。

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お金と税金

住宅ローンはいくら借りられるの? 借入可能額の上限は「年収の5倍」とは限らない

自分はいったい住宅ローンでいくら借りられるのか。マンション購入を考える上で、真っ先に考えなければならないポイントです。これを「借入可能額」といいます。マンションを購入しようと考えたら、まずは借入可能額を見定めましょう。 返済比率35%が基準 「借入可能額」は「年収の5倍」と言われることが多いですが、実際は少し異なります。借入可能額の上限は、おおざっぱにいって、会社員・公務員は年間の住宅ローン返済額が、年収の35%に収まる金額です。つまり、返済比率35%です。 同じ金額を借りるにしても、ローンの期間を長くすれば、返済比率は低くなります。しかし、中高年の場合は、ローンの期間を長くするにも限度があります。たとえば、60歳の人が35年ローンを組むことはできません。 ローンの返済時年齢は、最も長くても70歳程度。できることなら60歳までに完済できる期間に設定しましょう。その借り入れ期間で、返済比率が35%に収まる金額が住宅ローンの借入可能額です。 自営業の場合は、返済比率がもう少し低くなり、だいたい20%で見積もられます。そのため、自営業者は収入に比べて高い金額のローンが組みにくくなります。 40歳なら年収5倍説は正しい 「ローンは年収の5倍まで」という説を聞いたことがある方も多いでしょう。これは返済比率を35%に収める場合、だいたい年収の5倍程度までしか借りられない、という意味では正しいです。 しかし、たとえば年齢60歳の人は年収5倍のローンは組めません。40歳以下の人なら、「年収5倍説」は正しいですし、若ければ6倍~7倍まで借りることも可能です。でも、借りられることと、返せることは別ですので、あまり大きな住宅ローンはおすすめしません。

住宅ローンの「三大疾病保障付き」や「八大疾病保障付き」のおすすめは? ローン免除の基準を確認しよう!

住宅ローンの契約を結ぶとき、加入が義務づけられるのが団体信用生命保険。最近はがん保障付きや三大疾病保障付き、八大疾病保障付きなども見かけるようになってきました。こうした保障付きローンはおすすすめなのでしょうか? 住宅ローンは「死んだらチャラ」 住宅ローンで加入が義務づけられる団体信用生命保険は、ローン返済者が死亡した場合や失明などの重病が回復不能になった場合に、ローン返済が免除になります。死んだらローンはチャラで、後に残された家族はそこに住み続けることができる、というわけです。 この団信は、銀行の住宅ローンでは加入が義務づけられますが、とくに保険料は不要。住宅ローンの費用のなかに含まれています。住宅金融支援機構の「フラット35」では別に保険料が必要で、金額は借入期間などにより異なりますが、借入1,000万円につき35,000円くらいです。 三大疾病保障特約とは? 最近増えている三大疾病保障特約付きは、死亡した場合だけでなく、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾病にかかった場合に債務が免除になるという保障です。つまり、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかったら、死んでなくてもローンがチャラになります。 三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中ですが、これに加えて、高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎といった病気にかかった場合も、ローンがチャラになるという保障もあります。七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などと名付けられていて、特約内容は銀行によって異なります。 こうした疾病保障特約は、ふつうの団信とは違って保険料が別途がかかります。その金額は銀行によって異なり、住宅ローン金利に加え+0.25~0.3%くらいが主流。1,000万円の住宅ローン債務につき、毎年2.5~3万円の保険料がかかることになります。 返済免除の条件を確認 これを高いとみるか安いとみるかは、具体的な保障内容によって違ってきます。 たとえば、がんといってもさまざまで深刻さも異なります。ある銀行では「上皮内ガン、大腸の粘膜内ガン、膀胱・尿路・乳管等で発生する非浸潤ガンなど、ガンが浸潤していない状態は、お支払の対象外となります」と書いています。つまり、がんになったら全てローン返済免除、というわけではありません。 とあるネット系の銀行では、8大疾病保障特約で「3つの特定疾病(がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中)または5つの重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により就業不能状態となり、その状態となった日からその日を含めて12ヵ月を経過した日の翌日午前0時までその状態が継続した場合」のみ、ローン返済が免除になる、とあります。 就業不能状態が12ヶ月も続いていて、その後回復するというのはなかなか想像しづらいです。ほとんどの場合、就業不能状態が12ヶ月も続けば、命に関わってしまうでしょう。あまりいい書き方ではありませんが、就業不能が12ヶ月も続けば、多くの場合「重病が回復不能」か、死ぬことになるので、ふつうの団信でもケアされるわけです。 実際、あなたの身近に、12ヶ月間休職して、その後回復した人がいますか? そのくらいレアなケースのみ保障するので、保険としてはアテにしないほうがいいでしょう。 ということで、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約については、あまりおすすめしません。どうしても入りたい人は、もう少し保障の範囲が広い医療保険に、別で加入した方がいいでしょう。

マンションの「価格未定」はなぜ起こるのか

最近の新築マンションで増えているのが「価格未定」の物件。着工するはるか前ならいざ知らず、モデルルームがオープンしているというのに「価格未定」を掲げているマンションすらあります。そんな時期まで価格が全く決まっていないわけはありません。なぜ、こんなことになっているのでしょうか? 間取り図に価格が表示されていない! 新規分譲マンションのホームページにある「物件概要」や「間取り図」。かつては、ここに価格が表示されているのが一般的でした。しかし、最近は価格を表示せず「価格未定」としているケースが少なくありません。 すでにできあがっているマンションで「即入居可」の物件ですら「価格未定」とされている場合があります。 こうした新築マンションの「価格未定」は、デベロッパーにとって集客の手口の一つです。購入検討者はホームページやチラシをみるだけでは価格がわからないので、モデルルームや販売事務所に行かなければ、そのマンションの値段を知ることができません。 モデルルームに行っても値段がわからない ところが、まだ建築中のマンションの場合、モデルルームに行っても価格未定の場合が増えています。モデルルームで値段を尋ねても、正式な価格表は渡してもらえず、正式な価格は「検討中」と言われたりします。 価格帯だけを示した表を渡してくれる販売事務所もありますが、なかには「予定価格表」を見せてくれるものの、持ち帰りは不可で、「メモするだけにしてください」と言われる場合も。マンションという超高額な買い物のなのに、肝心の価格をなかなか教えてもらえないのです。 販売会社が値段を決めきれていない これは、価格を出し惜しみしていると言うよりは、マンション販売会社が価格を決め切れていない、ということが原因です。 最近のマンション販売では、モデルルームが完成してもすぐには一般公開せず、その不動産会社に「会員登録」した会員にのみ告知し、来場してもらいます。 そして、モデルルームに来てくれた会員におおまかな「予定価格」を口頭で伝え、反応をみて価格を精査します。あるいは、モデルルームへの来場率を確認して、だいたいの価格を決めます。一般客にモデルルームオープンを告知するのは、この後です。 一般客がモデルルームに来はじめると、このときは「予定価格」や「価格帯」を知らせます。同時に、来訪客の想定価格も聞き出し、「予定価格」がそれとかけ離れていたら、再検討します。そうして、部屋ごとに細かく百万円、十万円単位の値付けをしていきます。 こうした段階を踏んで、正式な「価格表」を作成し、最終的にモデルルームの来場者に渡すのです。 値引き販売をしやすいように ところが、これで終わりではありません。正式な価格表で販売開始したものの、契約率が悪い場合があります。そのときは、値引き販売をすることがあります。そのため、ホームページ上では「価格未定」の表記を続けるのです。すでに契約済みの購入者にばれないようにするためです。 マンションが完成してからも「価格未定」の場合もあります。完成したものの、完売していない場合、業者はさらなる値引きをしてでも売り切ろうとします。そのときにも、正式な価格を公式発表せずに「予定価格を伝えたうえで10%値引きする」という複雑な過程を踏む場合もあります。 提示された金額で判断しよう こうなると、値引いたのか、もとの価格を安くしたのか、よくわかりません。そう、最終的には「正規価格がいくらだかわからなくする」というのも、価格未定が多くはびこる理由なのです。 マンションは値引き販売をするとブランドイメージが傷つきますし、先に契約した人から不満も出ます。そのため、価格公表をする戸数はなるべく絞っておき、非公式な価格から割り引いて公式価格にして販売する、という手法をとろうとするのです。 複雑ですが、購入者としては、「値引き交渉をした上で、提示された金額が妥当かどうか判断する」クセを付ければいいでしょう。

マンションの資産価値とは何か?

マンションを購入するときに、「資産価値」を気にする人は少なくありません。でも、「資産価値」とは何を指すのか、じつは曖昧です。ここでは、マンション購入時に考慮すべき「資産価値」について考えてみましょう。 将来高く売れるマンション 資産価値とは、直接的には「マンションの値段」を指します。3,000万円で流通しているマンションなら、3,000万円が資産価値です。 ただ、マンションを購入するときに考慮する「資産価値」は、少し意味が違います。「将来的に値下がりしにくい」ことを「資産価値」と表現していることが多いです。 不動産業界的には、資産価値の高いマンションとは「将来売るときに、買ったときより高く売れるか、値下がり幅が小さいマンション」を指します。あるいは「人に貸したときに得られる賃料利回りが高いマンション」です。つまり、「値下がりしにくさ」と「貸したときの賃料の高さ」が資産価値なのです。 「価格」とは関係ない この「資産価値」はマンションの「価格」とは関係ありません。この点は、とても大事です。 たとえば、現在5000万円のマンションで、10年後に4000万円になっていそうな物件と、現在3000万円で、10年後でも3000万円で売れそうな物件なら、後者のほうが「資産価値が高い」といえます。 後者は10年間値段が下がらないのに対し、前者は10年間で1000万円も価値が下がるのですから、「5000万円のマンションより3000万円のマンションのほうが資産価値が高い」といえるのです。 マンションの価格が上がるか下がるかの予測は、必ずしも当たるとは限りません。でも、立地や設備を見れば、ある程度は見通せます。 賃料利回りが高いマンション もう一つの賃料利回りが高いマンションについても触れましょう。賃料利回りとは、5000万円のマンションを年500万円で貸せたら利回り10%である、という意味です。 現在の日本では、マンションの賃料利回りは5%程度が相場で、都心では3~4%くらいのこともあります。「5000万円の価格で年250万円で貸せるマンション(利回り5%)」と「3000万円の価格で年300万円で貸せるマンション(利回り10%)」となら、後者のほうが資産価値が高いと言えます。

人口減少でマンション価格は下落するのか?

日本はこれから人口減少社会に突入します。となると家は余っていきますから、マンションの価格相場も下落していく、という考え方があります。はたして、この考え方は正しいのでしょうか? 不動産価格は二極化している 最近のマンション価格動向の大きな特徴は、地域による不動産価格の二極化です。たとえば、人口が集中する首都圏であっても、人気のない沿線の郊外では、いくら広告を打っても売れないマンションが増えています。建物が完成し、入居も始まっているのに、売れ残りの残戸がはけないのです。 一方、人気のある沿線で、都心に近いエリアでは、こうした状況は起きておらず、建物の完成を待たずに売れてしまう物件も数多くあります。都心のタワーマンションなどは、高い部屋から売れていく場合も少なくありません。 購入限度額で頭打ちになる 不動産業界では、各エリアごとに「購入限度額」がはっきりした形で存在します。たとえば、Aという沿線では、4000万円以上になると急に物件が売れなくなる、というような現象です。 個人の不動産の購入限度額は、「年収の5倍」というのが相場です。自分がマンションに支払える限度額は自分が理解していますから、それを超えてマンションを買おう、という人は少数ですし、そもそもローンが通りません。 そのため、デベロッパーがいくら高いマンションを供給しても、そのエリアの年収相場からかけ離れた物件というのは売れないのです。これが「購入限度額」を形成します。 今後、日本で急激なインフレが起こる兆候はありません。国民の給与水準が上がる気配もありません。そうしたなかで、人口が減っていくということは、購入限度額の高いエリアが少しずつ減っていくことになります。そうなると、マンション価格も頭打ちになります。 外国人の購入需要は増加 ただ、世の中には高給取りは必ず存在しますし、富裕層も存在し続けます。そして、不動産価格は、需要と供給で決まります。供給の少ない人気エリアでは、一定の富裕層が不動産を求め続けますので、値崩れは起こりにくいと言えます。 とくに東京都心部では、外国人の不動産購入需要が増加していますので、今後も不動産価格が大きく下がることは考えにくいのも事実です。 いっぽう、人気沿線以外の郊外では、マンション価格の下落傾向は続くでしょう。資産を守る目的でマンションを買うのなら、とくに立地には気をつけて、人気沿線で購入した方がいいでしょう。

リフォーム

リフォームで使える「キッチン」の費用と相場。安くておすすめのキッチンは?

マンションでも一戸建てでも、リフォームするときに悩むのがキッチン。各社から多くのシステムキッチンが販売されてて、どれも一長一短に見えてしまいます。ここでは、リフォーム向けのキッチンをご紹介。費用、相場とおすすめを解説しましょう。 どんなキッチンメーカーがあるの? まず、キッチンの最大手はどこでしょうか。答えはLIXIL。サンウェーブとINAXなどが合併して経営統合した結果、システムキッチンシェアの3割を占めています。次がタカラスタンダードで、LIXIL誕生までは長年キッチン史上首位を占めてきた老舗です。以下、3位クリナップ、4位パナソニックと続きます。 そのほかのキッチンメーカーとしては、水回りに強いTOTO、給湯器に強いノーリツ、YAMAHAの系統を引くトクラス、旧日立系で現在はヤマダ電機グループのハウステックといった会社があります。最近はニトリやIKEAなどの家具小売店もシェアを伸ばしています。 キッチンの最低価格はどのくらい? システムキッチンの価格はベースとなる「本体価格」に「オプション」を組み入れた総額です。「本体価格」だけならそれほど高くはなく、格安キッチンなら10万円台でも一通り揃います。 たとえば、ニトリのキッチンなら、幅2560mmで19万9000円のものが販売されていますが、ガスコンロやレンジフード、引き出しなどのフロアキャビネットや、頭上のウォールキャビネットもこの値段に含まれています。これに食洗機を付けると24万9000円になります。 これで十分といえば十分で、実際、ファミリー向けの賃貸マンションでは、こうした10万円台のキッチンが備えられていることもよくあります。10万円台のキッチンで大丈夫?なんて声も聞きますが、きちんと施工されれば20-30年は持ちますので、心配する必要はありません。 価格相場をつかもう! ただ、分譲マンションで自分専用のキッチンで、もっと使いやすいものを、となると、もう少しいいブランドのものを選びたくなりますし、さまざまなオプションを付けたくなります。 マンションリフォームの価格相場をつかむのにわかりやすいのが、クリナップです。クリナップは「S.S.」「クリンレディ」「rakuera(ラクエラ)」「コルティ」という4つの性格付けの異なるブランドのキッチンを販売しています。 まず「S.S.」は最高級ブランド。質の高いステンレスを使った高品質キッチンで、幅2550mm(以下同)の参考価格が99万4550円。次のクリンレディはオールステンレスながら手頃な価格を実現した物で、参考価格が63万8000円。ラクエラは木製キッチンで49万2800円。コルティは幅1800mmのコンパクトキッチンで30万9700円となっています。 ラクエラを例に取ると、最低価格は49万2800円ですが、扉に使う素材で異なります。鏡面仕上げの「グランドシリーズ」という扉を使うと55万9800円になり、マット仕上げや光沢仕上げは安くなります。さらに使う木材によって「コンフォートシリーズ」は50万9800円と少し高くなります。 49万2800円は、最もグレードの低い「シンシアシリーズ」という扉を使った場合です。扉による価格差は結構大きく、クリンレディで高い扉を付けると、S.S.の安い扉を付けた場合より高くなってしまいます。 大手メーカーは基本価格50万円が相場 タカラスタンダードやクリナップといった大手メーカーの場合、主力ブランドの基本プランは、2550mmで50万円前後に設定されています。したがって、大手システムキッチンの相場価格は、基本プランなら50万円前後と考えていいでしょう。 ただ、これはあくまで定価で、実際に施工する業者によって卸値は異なります。たとえば、上記ラクエラの場合、格安キッチンとして検索すると、15万円前後の価格を見つけることができます。つまり、6割~7割も値下げしているのです。 ニトリやIKEAなどの格安キッチンの場合は、15~20万円前後の価格設定が相場で、値引きは基本的にはありません。つまり、大手キッチンの安値ブランドや小売店の格安ブランドのキッチンは、基本プランで15~20万円程度が実勢価格の相場といえます。 オプションを付けると高くなる ただし、システムキッチンを基本プランで購入する人はあまりいません。食洗機を入れたり、引き出しを増やしたり、シンクの形を変えたり、ワークトップの素材を変えたりします。こうしたオプションによってキッチンの値段は基本価格の倍くらいになることもあります。 扉の色や素材によって大きく価格が変わることは前述しましたが、メーカーにとっては、基本価格は安くしながら、オプションで利益を得るというのが一つの戦略なのです。 オプションを付けた総額はいくらくらいなの? という質問を受けることもありますが、千差万別としか言いようがありません。定価ベースでいうなら、基本価格の1.5倍くらいが総額になるようなオプションを付ける人が多いです。 食洗機を付け、シンクやレンジフードや水栓を少しいいのに変えて、引き出しも増やしたりすると、そのくらいの価格になります。つまり、定価ベースで70~80万円くらいが相場と考えればいいでしょう。 どのくらい値下げしてくれる? 値下げ後の価格に関しても千差万別ですが、大手メーカーの主力ブランドの場合、2割~3割引程度と考えておくといいでしょう。インターネットを検索すると半額くらいの格安価格を提示している会社もありますが、そこまで値引いてくれることは、実際にはあまりありません。 値引いてくれたとしても、そのぶん施工費用に上乗せされることもありますので、表面上の価格にこだわるよりも、総工費を見たほうがいいでしょう。 キッチンのおすすめブランドは? おすすめブランドは、一概にはいえませんが、ホーローが好きならタカラスタンダードの「リテラ」、ステンレスがいいならクリナップの「クリンレディ」、木製の場合はLIXILの「リシェル」あたりがスタンダードです。これらのブランドを選んでおけば、大きな失敗はないでしょう。 トリプルワイドレンジがいいなら、パナソニック「リビングステーション」。高級キッチンならトクラスの「ベリー」、手頃な価格ならノーリツの「レシピア」も人気が出ています。組み合わせキッチンならIKEAの「メトード」。格安キッチンなら、ニトリはコストパフォーマンス基本性能に優れているといえます。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

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