基礎知識

マンション「15階建て」と「14階建て」のメリットとデメリット

マンションの階数で「15階建てよりも14階建てのほうがいい」という議論がよくきかれます。高さ制限のあるなかでマンションを建設する場合に、1階あたりの階高が高いほうがいいマンションだ、という考え方です。でも、これって正しいのでしょうか? 「15階建て」「14階建て」それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう。 15階建ては階高が低い マンションでは15階建てと14階建てが多いです。その理由はいくつかありますが、一番大きな理由は非常用エレベーターの設置義務だといわれています。 建築基準法では、高さ31mまでとそれを超える4階部分までの建物であれば、非常用エレベーターを設置しなくてもよいとされます。一般に、高さ31mとは、10階か11階に該当します。つまり、高さ31mが10階ならば、全部で14階建てのマンションとなり、11階ならば全部で15階建てとなります。 マンションの階高(1フロアあたりの高さ)は、3m程度が理想といわれます。しかし、階高3mとするには、高さ31mで10階までしか入りません。逆に11階を高さ31mに収めようとすれば、階高を低くしなければなりません。そのため、15階建てのマンションは、どうしても階高が低くなります。 マンションの階高は、低いよりは高い方がいいです。高いほうがリフォームの際の自由度もありますし、部屋が広々としています。階高が大きいことは、14階建てマンションのメリットといえるでしょう。 15階建ては敷地に余裕が出る? ただ、15階建てにもメリットはあります。マンションを建てる際には、容積率の範囲内でしか建てられません。容積率をめいっぱい利用して建てる場合、15階建てにすればマンション全体の天地が高くなりますので、マンション全体の平面(建物の建築面積)は小さくなります。逆に、14階で容積率をめいっぱい利用する場合、15階建てよりも平面は大きくなります。 そのため、15階建ては14階建てよりも、敷地に対して余裕ができます。余裕があれば、建物の形を決める際の設計の自由度が高まりますし、敷地利用の選択肢も増えます。たとえば、中庭の面積を広くすることができたりしますし、南向きの部屋を増やすことが可能になることもあるわけです。 また、15階建てにすれば、1戸あたりの建築原価も小さくできますから、結果として分譲価格も安くできます。「安くできる」からデベロッパーが「安く売る」とは限りませんが、購入者としては安く買える可能性が高まるわけです。 高級感を求めるときは14階建て 階高という視点からみれば、15階建ては14階建てよりデメリットが大きいのは事実です。でも、階高に少し目をつぶれば、少し安い価格でマンションが手に入り、固定資産税もちょびっとだけ安くなるわけです。 いちがいに「15階建てが14階建てより悪い」とは限りません。ただ、マンションに高級感を求める場合は、15階建てを購入するときは注意しましょう。14階建てのほうが、階高が高いだけに天井が高く、高級感では満足度が高そうです。

住宅ローンを組むとき、手元にいくら資金を残しておくべきか。病気や怪我にも備えられる預金を

住宅ローンを組むとき、手元にいくら資金を残しておくかは悩みどころ。金利を考えるとローンの総額は抑えたいですが、貯金をすべてはたいてマンションを購入してしまうと、万一の事態に対応できなくなります。ある程度の金額は手元に置いておくべきですが、それはどのくらいが適度なのでしょうか? 購入後にもお金がかかる マンションを購入して、いざ住もう、というときには、さまざまなお金がかかります。引っ越し代は当然として、家具を揃えたりカーテンなどインテリアを整えたり、細かい日用品を購入したりすることもあるでしょう。中古マンションを購入した場合は、ハウスクリーニングやリフォーム代もかさみます。 したがって、マンションを買うときは、購入後、手元にある程度のお金が残るように住宅ローンを借りなければなりません。 年間生活費の1年分 一般的に、手元に残しておくべき金額は、年間の生活費1年分といわれます。月々の食費や日用品費、被服費、教育費、レジャー代などはもちろん、住宅ローンの支払いや住宅諸経費も含めて、月々にかかる金額を計算し、その12ヶ月分を目安に手元に残すのです。 たとえば、住宅ローンや管理費など含めて、月25万円が生活にかかると見込まれれば、300万円は手元にあったほうがいいでしょう。リフォーム代や家具代などは、この金額とは別に用意します。 転職のチャンスが訪れるかも? 人生には予想外のことが起こります。病気やけがで入院することもありますし、失業で収入がなくなるかもしれません。あるいは、転職の機会が訪れるかもしれません。手元資金が乏しいため会社をやめられず、転職のチャンスを逃すなどということのないようにしたいものです。 親の介護も要注意です。介護費用もかかりますが、介護のために頻繁に実家に帰るとなると、その交通費が負担になることもあります。注意したいものです。 こうした備えとして、1年分の生活費は銀行預金に残しておきましょう。

モデルルームを見るときのポイントと注意点。「設計者の配慮」が行き届いているかを、メジャー持参で確認しよう!

マンションのモデルルームはとてもきれいに整っています。こんな夢のような生活をしたい! とつい考えてしまいがち。でも、少し冷静になって! モデルルームを見るときのポイントを簡単にまとめてみましょう。 部屋の正確な広さを把握しよう まず、モデルルームに入って見るときには、メジャーを持参しましょう。モデルルームは色彩や置く家具を工夫して、部屋を広く見せているからです。惑わされないように、現実にどのくらいの広さなのか、メジャーで計測して確認しましょう。 できることなら、モデルルームに来る前に、自分がいま住んでいる家のリビングや寝室の広さをメジャーで測ってくるといいでしょう。当日比較しやすくなります。 モデルルーム見学は、できることならモデルルームがオープンするピーク時期にあわせます。ピーク時期は、新春、ゴールデンウィーク、シルバーウィークの年3回。この時期にまとめてモデルルーム巡りをしてみると、目が肥えてきて比較がしやすくなります。短期間に集中してみたほうが、見る目が養われるということです。 実際の建設地を見に行こう モデルルームは、通常、マンションとは異なった場所に設定されます。その場合、モデルルームに行く前に、実際のマンションの建設地を訪れてみるべきです。そのほうが、モデルルームで説明を受けるときのイメージが沸きます。たいていは、モデルルームのほうが現実のマンションよりいい立地にあります。現実の立地を先に知っておくことも大事です。 もし本気で買おうと検討するなら、モデルルームを訪れた後、最寄駅からマンションの建設地まで、時間や曜日を変えて歩いてみましょう。夜は人が少ないとか、夜になると変な店が出るとか、日曜日は観光客がやってきてうるさいとか、平日昼間は近所で荷下ろしが多いとか、その町のさまざまな側面がわかります。 訪問するのは、平日、休日の昼と夜。つまり計4回は最低行ってみましょう。さらに、平日の朝の通勤・通学風景なども見ておくと、実際に生活が始まったときのイメージが沸きやすいです。 トイレやドアの構造もチェック モデルルーム見学では、設計者の配慮が行き届いているかも確認したいところ。たとえば、トイレにあるトイレットペーパーのホルダーの位置。右にある場合と左にある場合がありますが、左にあるほうが使用量が少なくなり家計に優しいことが知られています。 利き腕が右の人が多いので、右側にペーパーホルダーがあると、つい紙を使いすぎてしまうのですね。そのため、トイレットペーパーホルダーは左側、というのが住宅建築の常識です。 ドアの開き方もチェック。トイレのドアは、万一トイレ内で倒れた場合に出やすいよう、外に引く形になっているのが常識。お風呂の場合は、ドアについたしずくが外で垂れないよう、内側に引く形が常識。部屋のドアは、開いたときにドアノブが柱を傷つけたりしないように工夫されているのが常識。ドアを開いたときに固定する金具があるものです。 こうした常識が守られていない場合、守れないような特別な事情があるのか、それとも設計者の配慮が足らないだけなのか、きちんと確認しておきましょう。一時が万事で、設計者の配慮が足らない物件は、選ばないほうが吉です。

機械式駐車場と自走式駐車場のメリットとデメリットを比較する。イチバン人気は地下駐車場の平置型

クルマを持っている人にとって気がかりなのが、マンションの駐車場の形態。自走式で地上の区画に置ける「平置駐車場」を望む人が多いですが、立地のいいマンションになるほど機械式の「立体駐車場」が多くなります。そのメリットとデメリットを比較してみましょう。 メリットが多いのは自走式 自走式の平置駐車場にもいくつかタイプがありますが、都市部のマンションなら、地下か1階に駐車エリアを配置していることが多いです。郊外のマンションなら、建物横の敷地に屋根なしの平置き駐車場を配置していることもあります。 自走式の最大のメリットは、余計な機械操作がなく、クルマに乗るための作業が簡単なこと。マンションの出入口を出て、自分の駐車区画まで歩いて乗るだけです。そのため、クルマを所有するマンション購入検討者には、平置型駐車場がイチバン人気です。 ただ、自分の駐車区画がマンションの出入口から近ければ便利ですが、遠いとクルマに乗るとき長く歩かねばならないので、やや不便です。そのため、出入口から遠くなるほど駐車場代を安くしている管理組合もあります。時間をとるかお金を取るか、よく考えて駐車場を選びたいところです。 地下駐車場や建物1階の駐車場は、屋根があるのも大きなメリットです。天候が悪くても雨具なしでクルマに乗れますし、クルマが傷みにくいという長所もあります。また、地下駐車場は管理が行き届いているので、愛車が盗難にあったり、いたずらの被害を受けるリスクも低いです。 一方、自走式でも屋根なしの屋外型駐車場だと、クルマは雨に打たれ日光にもさらされますので、クルマが傷みやすいというデメリットがあります。雨が降っていたら乗るときにも大変ですし、地下に比べると盗難などの被害にも遭いやすいでしょう。 多数のクルマを収納するなら機械式 機械式駐車場はタイプがいくつかありますが、マンションの場合は、2段か3段に積み上げられた形で、上下左右にクルマを移動させる形が一般的です。それぞれのブロックごとにリモコンがあり、出庫時にはそれを操作します。 機械式駐車場のメリットは、狭い敷地に多数のクルマを収納できること。そのため、多くの希望者に駐車区画を行き渡らせることができます。 それと、風雨にさらされないので、クルマが傷みにくいことメリットでしょうか。とはいえ、それ以外には、利用者個人にメリットは見当たりません。 デメリットは出庫時に時間がかかること。レールぴったりに車庫入れする必要があるため、車庫入れが苦手な人にはストレスにもなるでしょう。また、子どもがいたら機械が動くとき目を離せないことなどがあります。 さらに、機械式駐車場は、大規模修繕時のメンテナンス費用が高いという難点もあります。クルマの高さの制限もあるので、車高の高いクルマは入れられない場合もあります。デメリットだらけですね。 自走式の平置型が一番 結局のところ、駐車場は、自走式の平置型が一番です。さらにいえば、地下駐車場はセキュリティ上からも、クルマの保存の面からも、悪天候でも使いやすいという点からも、最も優れています。そのため、選べるなら地下駐車場の平置き型自走式駐車場が一番でしょう。 次が屋外の平置型駐車場、最後が機械式の立体駐車場です。立体駐車場でもタワー型のように上下が大きくなるほど出し入れに時間がかかりますので、できれば2層か3層程度が望ましいでしょう。

マンション購入の手続きの流れをまとめてみた。モデルルーム見学から契約、入居まで

新築マンションを購入するなら、その手続きの流れを最初に理解しておくことが大切。購入申込から引き渡しを受けて実際に入居するまでは、長い道のりが待っています。わかりやすくご説明しましょう。 情報収集 まずは新築マンションの物件情報を集めます。インターネットの住宅情報サイトで希望条件を登録しておけば、定期的に新規分譲開始のマンションの情報をメールで送ってくれます。あわせて、駅に置いてある無料の住宅情報誌などもチェック。 モデルルーム見学 多くの新築マンションは、建物が完成する前に販売を開始します。しかし、買う方にとっては、建物ができていない段階ではイメージが湧きません。そこで、不動産会社は、実際の建物内装を模した「モデルルーム」を設置します。 モデルルームでは、代表的な間取りの住戸の室内を再現しています。内装の雰囲気や仕上げ、設備などをチェックできます。設計図面など重要な情報を閲覧することもできます。モデルルームは販売事務所も兼ねていますので、価格などの情報を知ることができます。 モデルルームは一つだけでなく、希望条件に近い物件なら、なるべくたくさん見て回りましょう。 購入申込 気に入ったマンションが見つかれば、購入を申し込みます。「購入申込書」を不動産会社に提出します。これは契約ではありませんから、提出後、どんな理由でも「やめる」ことができます。購入申し込み段階でのキャンセルにはキャンセル料はかかりません。 住宅ローンを利用する場合は、購入申込を行った段階で、仮審査を受けておくといいでしょう。自分で銀行を回って審査を受けてもいいですし、不動産会社の紹介で受けることもできます。 抽選 購入申込は、部屋ごとに行います。同じ部屋に複数の申込者があれば、抽選となります。当たれば、実際に購入へと進みます。抽選で当たっても、この段階なら辞退することもできます。 重要事項説明 抽選も終わり、いよいよ本当に購入する、という段階で重要事項説明に進みます。これは、法律に定められた一定の項目について、宅地建物取引主任者という国家資格を持った担当者が、書面に基づいて説明するものです。 説明日の前に、あらかじめ重要事項説明書のコピーをもらっておいて、家で読んでおくといいでしょう。不明点があれば、あらかじめ担当者に確認しておきます。 契約 重要事項説明書の朗読が終わったら、契約です。契約は重要事項説明の当日に行われるのが一般的ですが、日を改めることもできます。契約日の前に、あらかじめ契約書のコピーをもらっておいて、事前に読んでおき、不明点があれば前日までに確認しておきましょう。 契約書の内容を確認した後、署名と捺印を行います。この際、手付金を支払います。手付金は事前に銀行振り込みのこともあります。 いったん契約書にサインすると、キャンセルする場合に違約金が必要になります。違約金の金額は、かなり大きいのでご注意を。 住宅ローン申込 契約が成立したら、住宅ローンの申込を行います。実際に融資が行われるのは建物完成後ですが、この段階で申し込んで本審査を受けておきます。住宅ローンの本審査には収入を証明する書類など、書類がたくさん必要で、時間もかかります。 完成を待つ 契約が完了し、住宅ローンを申し込んで本審査を通れば、一段落。あとは建物の完成を待ちます。数ヶ月から1年以上待つこともあります。 入居説明会 建物の完成、引き渡しが近づくと、管理についての説明や、オプションの申込を行う入居説明会が開かれます。引き渡しから引っ越し、入居後の疑問などを尋ねることができます。 内覧会 建物工事が一通り終わると、内覧会です。各住戸の内部について購入者が確認することができます。不具合があれば、ここで指摘し、修繕してもらいます。建物チェックの専門家を同行する人も増えています。 決済・引き渡し 決済日はローンの実行日です。ローンを実行してもらい、不動産会社に残金を支払うと、カギの引き渡しがあります。この瞬間から、購入した部屋を自由に使うことができます。 登記 最後が所有権の登記です。登記は法律的に「この部屋はあなたのもの」であることを認証する作業です。司法書士が代行して行うのが一般的です。 登記が終了すれば、名実ともに、そのマンションの部屋はあなたのものになります。引っ越しは登記が終了する前でも行えます。

建物を知る

立地

比較検討

22,878ファンいいね
3,912フォロワーフォロー
0購読者購読
- Advertisement -

Most Popular

お金と税金

マンション購入のリスクと、リスク軽減方法を考える

マンション購入にはさまざまなリスクがあります。もっとも大きいのが値下がりリスク。そのほか、地震リスクもありますし、欠陥マンションをつかまされるのもリスクといえるでしょう。ここでは、そうしたマンションのさまざまなリスクを考えてみましょう。 最大のリスクは「値下がり」 マンション最大のリスクは「値下がり」です。たとえば、4000万円のマンションを購入して、20年後に2000万円でしか売れなかったら、20年で2000万円も値下がりしたことになります。1年あたり100万円。毎月9万円ほどです。 マンションを所有すれば管理費や修繕積立金がかかりますし、固定資産税も課されます。住宅ローンを組んでいれば、その利子もかかるでしょう。それらをあわせて月4万円と仮定すると、さらに960万円も支出していたことになりますので、そのマンションのために、3,000万円近い支出を出したことになります。 もし、同等のマンションを月10万円で借りることができていたならば、20年で2,400万円です。つまり、マンションを購入することで、20年で600万円も「損」を出したことになります。 マンションを購入すると、こうした「損害」を被る可能性があります。これがマンション購入のリスクです。 自然災害もリスク そのほかのリスクとしては、自然災害があげられます。大地震でマンションが崩壊することもありますし、大雨で洪水に襲われる可能性もあります。東日本大震災では、震源から遠く離れた首都圏でも液状化被害があり、マンションの価値が大きく損なわれました。 災害でなくても、欠陥マンションをつかまされるリスクもあります。建て替えにならないような小さな欠陥でも、それがあるために売却できなくなることもありえます。 マンションの立地や構造によっても生活面のリスクが生じることもあります。エレベータのないマンションなら、高齢になったときに住みにくくなるリスクがあります。駅までのバスが廃止になったり本数が減ったりして、利用しにくくなるリスクもあるでしょう。近所のスーパーが閉店することだってリスクです。 相続のリスクもあります。相続時に分割できないマンションは、相続人同士の争いを招く可能性があります。 リスクを小さくするには? こうしたリスクをゼロにすることはできませんが、小さくすることは可能です。それは、資産価値の高いマンションを購入することです。 では、資産価値の高いマンションとはどういうマンションでしょうか。資産価値にはさまざまな側面や考え方がありますが、マンションの資産価値のほとんどは立地で決まります。つまり、立地のいいマンションを買えばいいのです。 立地のいいマンションなら、不要になったときに売りやすいですし、地震などの自然災害を受けたとしても買い手がつくものです。立地のいいマンションは、地震で崩壊しても、区分所有権の売買でそれなりの値が付くくらいです。 こうして考えると、マンションを購入するときに「立地のいい物件を選ぶ」ということがいかに重要かがおわかりいただけると思います。

一生賃貸のメリットとデメリット

住宅情報誌を読んでいると、「とにかく家を買おう」みたいな話でうんざりすることがあります。家を買うのは大きなことですし、さまざまなリスクを伴います。それよりも、一生賃貸でいいのでは? それじゃ何かまずいの? という疑問が浮かんでくるでしょう。 では、一生賃貸ではまずいのでしょうか。どんなデメリットがあるのでしょうか。あるいは、一生賃貸にはどんなメリットがあるのでしょうか。 一生賃貸のメリット 一生賃貸のメリットは、一にも二にも「身軽である」という点です。住んでいる家がイヤになったり、家族が増えたり減ったりしたときに気軽に転居できます。家を購入してしまったら、引っ越しすると家を貸すか売るかという大きな手間がかかりますが、そうした心配がありません。 地震や火事など、災害のリスクも小さくなります。持ち家の場合、家を買った後に地震がきたら巨額の借金が残ったうえに、住む家はなくなるという悲劇に見舞われます。賃貸では、地震で住んでいたマンションが壊れたら、賃貸契約を解消して違う家に住めばいいだけです。 一生賃貸のデメリット 一方、一生賃貸のデメリットは大きく分けて二つあります。一つは「連帯保証人」の問題です。賃貸物件を借りるにはほとんどの場合、連帯保証人が必要です。若いうちは両親がいるから大丈夫、と思っていても、将来どうなるかわかりません。歳を取ると親しい身内は他界してしまい、連帯保証人を頼める相手が減っていきます。その場合に、家を借りたくても借りられない、という事態に陥ることがあります。とくに、子供がいない人は要注意です。 最近は、保証会社を利用する形で連帯保証人を免除してもらえる物件も出てきていますが、保証料のぶんだけ負担が増えてしまいます。 もう一つのデメリットは「家賃の支払い」の問題です。持ち家なら、住宅ローンが終われば家賃は要りません。マンションの場合は管理費や積立金がかかりますが、家賃に比べれば小さな額です。 家賃の負担は、老後の年金生活では重くなります。それをずっと支払い続けることができるかどうかはわかりません。家賃負担が重くなって引っ越そうとすると、「連帯保証人」の問題にぶちあたります。 すなわち、「連帯保証人」と「家賃の支払い」の二つが、老後に賃貸を借りる際のデメリットとしてのしかかってくるのです。 一生賃貸と持ち家と、どちらが得? 金銭的な問題だけならば、賃貸と持ち家のどちらが得か、とは一概にいえません。計算のしかたによって結果は異なります。おおざっぱにいえば、「どちらも大差ない」といえます。 「誰にも追い出されない住める家」を持っていると、安心感は違います。一方で、そのぶん住宅ローンも組むのですから、「多額の借金がある」という不安感もセットです。また、不良物件を買ってしまって、売るに売れなくなり、住むにも住みにくい、なんてことになることだってあります。その意味では博打です。 どちらが得か、という問いに答えはありません。もし買うのなら、手が届く範囲で、余力のあるローンを組めば、安心感が不安感に勝るでしょう。

中古マンションの値段はどうやって決められるのか

中古マンションは売り主が個人がほとんどです。個人が売りたいときに売るので、物件が出るタイミングはバラバラで、そのため価格の「相場」はわかりにくいものです。 実際のところ、中古マンションの価格は、売り主が「この価格で売りたい」という、希望販売価格です。その前段階として、仲介する不動産業者が、「査定」をします。 中古マンションの「査定」の方法 査定の方法はさまざまですが、一般的には、築年数や駅からの距離などの条件の近いマンションの最近の取引価格を調査するのが最初でせう。それを参考に、売却対象のマンションの坪単価を査定し、当該住戸の面積に応じて値付けします。 このとき、階数の上下や方角、ルーフバルコニーや専用庭の有無などによって微調整するのは、新築マンションと同じです。 査定の範囲は、上下20%くらいの幅があります。3000万円が中心価格の場合、2700万円~3300万円、といった形で査定します。そうした査定を受けたうえで、売主と仲介業者が協議して販売価格を決めます。 販売価格は売り主によって異なる 販売価格には、売り主の意向が強く反映されますので、売主の都合により価格が異なります。「早く売りたい」という場合は控えめな値付けになりますし、慌てて売ろうとしていない場合は、強気の価格を設定して、反応をみたりします。 販売開始して、反応が悪かったりしたら、価格を再設定、つまり値下げします。購入者の立場としては、最初は「高いな」と思った物件でも、少し待てば値が下がってくることもあるわけです。 立地や階数などで条件のいい住戸は、多少高めの値付けでもすぐに売れてしまいます。また、割安な住戸も購入希望者がすぐに現れます。 大規模マンションの場合は「競争」も 購入希望者と売主の間では、値段交渉が行われるのが一般的です。ただ、割安な物件の場合は、売主は値段交渉に応じず「この価格で買わないなら、次の人に」と、別の人と交渉してしまう場合もあります。 こうしたやりとりを経て、最終的に売主と購入希望者が金額で合意すれば、それがその中古マンションの価格となります。 大規模マンションの場合は、同時期に似たような条件の住戸が売りに出されることもあります。そういう場合は、売主側に「競争」が生まれて、比較的安く買えることもあります。 情報を早くキャッチすることが大切 中古物件を安く買うコツは、なんらかの事情で価格設定が低くなっている物件を狙うことです。そうした物件を、他の購入希望者より早く見つければ、安く買える可能性が高くなります。そのためには、中古物件を扱う不動産業者のメルマガなどに登録し、いち早く情報をキャッチすることが大事です。 強気の価格設定の物件を狙うときは、とにかく待つことです。3000万円が適正な物件が3300万円で売りに出されていた場合、すぐに交渉しても、安くしてもらえないことがあります。 でも、売れなければ、売主は価格を下げてきます。少し時間が経って、値段を下げたときがねらい目です。値段を下げたと言うことは、売る気が強くなってきたと言うことですから、買う側も安く買えるチャンスといえます。 適正価格を自分で判断する いずれにしろ、大切なのは、このマンションの適正価格はいくらなのか、を自分で判断し、売主の事情を考慮しながら上手に交渉することです。 適正価格とは、資産価値を維持しやすい価格のことです。将来的に「この価格で買っておけば、将来大きな損をすることはないだろう」という価格が、購入者再度の適正価格といえます。 中古マンションには、ときどきとんでもなく「高い」値付けもありますし、不動産業者はそれを「適正」と言い張ることもあります。したがって、買うときは自分の価値基準の判断が大切です。

住宅ローンの返済額は、手取り給与の何%までにしておくべき?「30%以内」は限界値。20%程度に収めるべし

マンションを購入するとき、住宅ローンの支払額は月々の給与の何%までにするべきでしょうか。よく言われるのは、手取り給与の30%以内に収めるべし、というものです。その根拠はどこにあるのでしょうか。 なぜ「30%」なの? 住居費を収入の何%に収めるべきか、というのは、年収の総額によって異なります。年収400万円~600万円くらいの家庭の場合で、手取り月収の30%程度、というのが安全とされます。年収がもっと高いなら割合を高めても大丈夫ですが、それでも30%は一つの目安です。 なぜ、30%なのでしょうか。それは、他の家計支出とのかねあいです。たとえば、食費は収入の10~18%くらいかかるのが一般的。水道光熱費など公共料金が5~11%、通信費が3~5%、こどもがいる家庭なら教育費で10%、生命保険など保険類が5~10%くらいが標準的です。 管理費など諸経費を含めた金額 このほか、被服費、レジャー費、日用雑貨などでお金が出ていきます。もちろん多少の貯蓄も必要。こうして考えると、住居費に支出できる割合は手取り収入の20~25%が健全な水準、という計算になります。給料がよければもう少し割合を高めても大丈夫ですが、それでも限界値は30%くらいです。 このとき、住居費とは住宅ローンの返済額だけではありません。マンションの管理費、修繕積立金、固定資産税、駐車代も含めます。こうした諸費用は数万円に上りますので、軽んじてはいけません。月々負担できる住居費とは「住宅ローン返済額+諸経費」の総額で、それが手取り収入の30%未満に収まるようにしていきましょう。住居費を給与の30%以下に収めるべきならば、住宅ローンは25%程度にしておくべき、というわけです。

独身女性がマンションを買うときは、ここに注意!「1LDKで十分」と決めつけないほうがいいですよ!

最近は独身女性がマンションを買うことも増えています。毎月家賃を払うのはばからしいので、独身であっても不動産を購入することは、選択として悪くありません。このときの注意点をまとめてみましょう。 2LDK、50平米以上がおすすめ まず、独身女性がマンションを買うとき、30~40平米台、1LDK程度のマンションを選びがちです。予算の関係もありますし、1人で住むならこの程度で十分、という考え方からです。でも、せっかく買うなら、もう少し広く、50平米、2LDK程度の広さのマンションを選んだほうがいいでしょう。 その理由はいくつかあります。まず、登記簿面積ベースで50平米以上であれば、税制上の優遇措置が受けやすいこと。住宅ローン減税が受けられるのも50平米以上ですし、不動産取得税でも有利です。 登記簿面積ベースは広告などの不動産間取図の面積(壁芯面積)より数平米小さくなりますので、ご注意を。不動産業者の間取図で57平米以上あれば問題ありません。 また、少し広めのマンションなら、将来結婚などで同居相手ができたときに、そのまま住み続けられます。さらに、不要になって売るときも、50平米、2LDK以上のマンションのほうが売りやすいという現実もあります。 賃貸に出すにもハードルが では、賃貸に出すとしたら? じつは、住宅ローンを組んで買ったマンションは、不要になったからといって、そのまま賃貸に出せるとは限りません。なぜなら、住宅ローンは「買った人が住む」という前提で金利が安く設定されているので、賃貸に出したら住宅ローンを借り続けることができなくなり、金利が上がったり、全額返済を求められたりすることもあるのです。ですから、「使わなくなったら賃貸に出そう」と安易に考えない方がいいでしょう。 結局、独身女性であっても、買うなら50平米以上の2LDK以上のマンションがおすすめです。 予算上それだけ払えない、という場合は、30平米前後の1LDKにします。価格的にはワンルームのほうがいいのですが、ワンルームマンションは、すでに供給過剰なので、将来売却しにくくなる可能性があり、おすすめしません。 30平米前後の狭い1LDKは、価格が安いわりに、ワンルームより売ったり貸したりするには都合がいいでしょう。1LDKでも40平米前後になると、価格がそれなりにするわりに、上記のように税制面などで不利なので、こちらもおすすめしません。

リフォーム

リフォーム済みマンションはやっぱり高すぎる、と実感した話

筆者は中古物件をウォッチしていますが、そのなかで最近気になるのが、リフォーム済みマンションの価格です。最近、高騰しすぎています。 5,400万円が6,500万円に たとえば、東京23区内城南エリアで、最近出た中古マンションA。築20年の約60平米で、当初の売値は5,400万円でした。このときは「居住中」でした。 この中古マンションAは、やがて売却済みになり、数ヶ月後に同じ部屋が「リフォーム済み物件」として、6,500万円で販売されていました。差額は1,100万円にものぼります。5,400万円で販売中のリフォーム前物件を、リノベーション業者が購入してリフォームし、1,100万円も価格を上乗せして販売しているわけです。 オープンルームをしていたのでのぞいてみたところ、若干の間取り変更があり、フローリングは張り替えられ、ユニットバス、トイレ、キッチンも入れ替えてありました。いわゆるフルリフォームです。 ユニットバスなどはメーカー品の標準タイプです。おおざっぱに見積もって、リフォーム価格は400~500万円程度でした。個人がこのリフォームを発注したとしても、600万円あれば十分できるでしょう。 1割は割高 つまり、個人が中古マンションAを購入し、自分でフルリフォームしたとしても、6,000万円あれば可能です。「リフォーム済み物件」は、500万円も割高なのです。 実際のところ、当初の中古マンションを購入する場合は、100万円程度の値引きはできるでしょうから、それを考えれば600万円も割高なわけです。実勢価格に比べて1割程度は割高ということになります。 手間賃と考えても高すぎる もちろん、リフォーム済みマンションにはメリットもあります。何よりも、買ってすぐ住めるというのは大きなメリットです。それに、自分でリフォームをする場合は、とんでもなく手間がかかります。その手間を省いてくれた価格が600万円、と考えれば……、やっぱり高すぎますね。 だいたい、自分でリフォームすると言っても、「三井のリフォーム」といった大手リフォーム会社に丸投げすれば、手間はそれほどかかりません。三井のリフォームはお高いリフォーム会社ですが、それでもこの程度のリフォームで、手数料を600万円も取りません。 それに、自分でリフォームすれば、住宅設備を好きなようにアレンジできます。600万円あれば、キッチンの最高級品を入れてもおつりが来るでしょう。 とにもかくにも、リフォーム済みマンションは、やっぱり損です。中古マンションの売買は、「居住中」の中古物件を買って、自分でリフォーム手配をするのが一番お得です。

リノベーション済みマンションを避けるべき、たった1つで、最大の理由

中古マンションで最近多く見かけるのが、「室内リノベーション済み」マンションです。中古物件を業者が購入し、内装のリフォームなどを施して、「リノベーション済み」として販売しているのです。こうしたマンションは、おすすめでしょうか。それとも、避けるべきなのでしょうか。 結論は「おすすめしない」 中古マンションでは、たいてい、前の住人の生活の痕跡が残っているものです。リノベーション済み物件は、そうした痕跡をまっさらに消してしまっていて、買ってすぐに気持ちよく住めます。なかには、新築マンションかと見まがうようなきれいな内装にしていることすらあります。 では、こうした「リノベーション済みマンション」を購入することは正解なのでしょうか。 答えは「おすすめしない」です。 リノベマンションを避けるべき理由 その理由は、たった1つ。割高だからです。 リノベーションマンションは、リノベーション費用が思いっきり上乗せされています。リノベ業者は「プロがやっているので、素人のお客さんが頼むより安くリノベできるのです」などという決まり文句を使います。しかし、そんなことは、まずありません。 リノベーション業者が発注すると、たしかに効率的な発注はできます。そのため、無駄なコストを生じさせませんので、素人よりも多少安くすることは可能でしょう。 しかし、リノベーションを実際に行うのは職人さんであり、その人件費は個人で発注しても業者が発注しても大きくは変わりません。キッチンやユニットバス、トイレといった住宅設備も、リノベ業者だけが格安で買えるわけではありません。 結局、リノベーション費用は、素人がやっても業者がやってもそれほどの差にはなりません。業者がやると、多少安くはできますが、そのぶんリノベ業者の手数料が思いっきり上乗せされます。その結果、リノベ済みマンションは、割高な価格設定になっていることが多いのです。 1500万円も上乗せ 筆者が実際に見た例を申し上げましょう。都内の3LDKマンションの例です。最初に個人が5400万円で売りに出していた物件を、リノベ業者が4800万円で購入し、リノベーション(というかリフォーム程度)を施した上で、6300万円で販売していました。 5400万円で販売していたマンションを600万円も値切って買ったあげくに、リノベ費用を1500万円も上乗せしているのです。そのリノベの内容は、筆者が見た限り、素人がリフォーム業者に依頼したとしても、せいぜい400万円程度で行える内容です。 つまり、素人が5400万円の「売値」で購入したとしても、5800万円で手に入れることが出来る程度の内装のマンションを、6300万円で売っているわけです。買う側から見れば、500万円、約1割も割高になります。 リノベ済み物件はもったいない ちなみに、そのリノベ-ションは、壁紙を張り替えて、ユニットバスとトイレを入れ替え、あとは念入りにハウスクリーニングをした程度です。ユニットバスとトイレも、安物ではありませんが、標準的なランクの設備でした。プロが上手に発注したら、300万円もかからない内容です。 もし個人がそのマンションをリノベ前の状況で買ったとして、6200万円あれば、キッチンや洗面台も入れ替えて、フローリングも貼り変えることができるでしょう。キッチンやユニットバスも、ちょっと上等なものにできます。 金額的な面もさることながら、自分の思い通りのリフォームができないという点からも、このリノベーション済み物件を買うのは、いかにももったいないです。 「割高」で「それなり」 このように、リノベーション業者の販売するマンションは、率直にいって「割高」ですし、あつらえられた設備も「それなり」です。 リノベーションの内容も、必ずしも購入者が求める内容で行われているとは限りません。「新築そっくり」にする必要もないのに、何でも設備を交換して、費用を上乗せしている可能性もあります。 逆に、もっと設備を入れ替えてもいいのに、古い設備を「見た目」だけきれいにして販売していることもあります。上記のように、そもそも「リノベーション」といえるほどの内容を行っていないケースすらあります。 また、あまり想像したくはないのですが、欠陥が隠蔽されている可能性もあります。リノベ前に見たらわかるような穴やヒビなどが、表面上、壁紙を張り替えてきれいにされていたりすることもあります。 「リノベーション業者」が悪徳というつもりはありません。良心的な業者が適正な利益を乗せているだけだったとしても、個人で買ってリフォームする方が、安く確実なリノベーションができる、ということです。

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

新着記事

Must Read