基礎知識

はじめてのマンション選びは何から始める? 予算確保と情報収集が大事

初めてマンションを購入する場合、何から始めたらいいのでしょうか? マンションがほしいと思ったら、まずは予算確保と情報収集が大事です。ご説明しましょう。 「希望エリア」「間取り」「予算」を明確に 「まずはモデルルームを見に行こう」というのはやめた方がいいでしょう。雰囲気に流されてしまい、自分がどういう住居を必要としているのか、見えなくなってしまう可能性があるからです。 最初にすべきことは、自分が住居に求める条件をリストアップすることから。とくに、「希望エリア」「間取り」「予算」の3つは明確にしておく必要があります。「希望エリア」は広めにとっておいたほうが物件が見つかりやすくなります。 間取りもある程度は柔軟性を持たせて探していいのですが、後で間取りを変えるわけにはいかないkとおが多いので、「3LDKなら3LDK」と譲れないポイントは確認しておきます。「予算」は、住宅ローンの返済可能額を計算したうえで、厳しめに見積もっておくべきでしょう。 最低でも5件は物件を見る 続いて情報収集です。今はインターネットで希望条件を登録しておくと、条件に見合った物件が出てきたらメールなどで知らせてくれるサービスがありますので、積極的に利用しましょう。 希望の物件が出たら、新築ならモデルルームへ、中古なら当該物件の内見へ出かけます。 このとき注意すべきなのは、最初から希望ど真ん中の物件を狙うのではなく、希望より少し予算が低かったり高かったり、立地が良かったり悪かったりする物件から見ていくこと。つまり幅を見ることです。それにより、自分の希望条件が、どこまで現実的なのかがわかるようになります。 最初に見た物件で決めたくなりますが、じっと我慢。最低でも5件は見るようにしましょう。そうすることで、自分の見る目も養われます。20件でも30件でもいいので、見られる限りは見るに超したことはありません。 実印や印鑑証明の準備もしておく この物件、と決めたら、不動産会社に伝えて申し込みをします。申込証拠金を支払い、ローンシミュレーションをしてもらい、重要事項説明を受けて売買契約を結びます。その後、ローンの手配をして、残金の支払いをし、物件の引き渡しを受け、入居という流れになります。 この間、早くても1ヶ月、新築の場合は竣工を待つので1年以上かかることもあります。 売買契約や引き渡し時の書類には、実印や印鑑証明が必要。期間が短い場合はあわただしくなりますので、実印や印鑑証明などの準備はお早めに。

資産価値からみた「買ってはいけないマンション」。旧耐震、メゾネット、コーポラティブは避ける

マンションは立地が重要で、資産価値の8割は立地で決まるといってもいいでしょう。とはいうものの、立地だけでマンションを選ぶのもおすすめしません。 「旧耐震」は資産価値が低い 買ってはいけないマンションの筆頭格は「旧耐震」です。築年数の古いリノベーションマンションなどが該当します。 リノベーションとは、間取りまで変えるような大幅なリフォームのことです。リノベーションをすること自体は問題ないのですが、あまりに古いマンションは耐震性能が劣るため、資産価値が低いのです。 具体的には、1981年以前に完成したマンションは旧耐震ですから、立地が良くても資産価値の観点からは買うべきではありません。1982年~1984年頃に完成したマンションも、旧耐震のものが含まれることがありますので、確認しましょう。 耐震補強を行っている場合は? 旧耐震のマンションでも、耐震診断で新しいマンションと同程度の耐震性能を持つと診断されているものもあります。また、必要な耐震補強を行っていることもあり、大丈夫と判断されることもあります。 しかし、自分がそう判断しても、他人も同じように判断してくれるとは限りません。旧耐震というだけでマイナスのイメージを持ち、購入を避ける人もいるのです。そういう人が多いと、マンションの資産価値は低くなります。 こうした理由から、資産価値という側面でみると、やはり旧耐震はおすすめできません。 メゾネットはマンションの「メリット」を活かせない また、メゾネット形式も、「買ってはいけないマンション」の一つです。メゾネット形式とは、マンションの区分住戸が二層に分かれていて、住戸内部に階段があるタイプのマンションです。一戸建てに似ているこということで、一時期人気が出ましたが、最近は減少しています。 なぜ、メゾネット形式は「買ってはいけない」のでしょうか。それは、マンションの「メリット」を活かしていないからです。 マンションの常識とは、床がフラットで、バリアフリーが徹底されている点です。新しいマンションの多くは、外部からロビーに入り、住戸の玄関を経て、リビング、各居室に至るまで、ほとんど段差がありません。なぜそうなっているかというと、そういう住戸を好む人が多いからです。 人間工学的にも、人は上下の移動よりも平面の移動を「ラク」と考えます。バリアフリーがメリットのマンションに、それを阻害する階段を持ち込む時点で、資産価値には不利に働きます。 そのため、中古マンション市場でも、メゾネットは売れにくいことが知られています。長屋形式のマンションも、同様な理由で避けた方がいいでしょう。 コーポラティブはイメージが見劣り コーポラティブ形式のマンションも要注意です。コーポラティブとは、不動産会社が分譲するマンションを買うのではなく、個人が集まって一緒に土地を買い、建物のプランニングや工事の発注などを行うものです。 実際には設計事務所などの「プロ」が入ってコーディネートしますが、間取りや内装などを好みにあわせて自由に設計できるというメリットがあります。 こうしたマンションは、どうしても規模が小さくなり、全体で数戸~十数戸になってしまいます。そのため、管理費や修繕積立金が割高にならざるを得ません。 また、新しいうちはいいのですが、デベロッパー分譲のマンションに比べ、古くなるにつれてイメージが見劣りします。そのため、資産価値は低く見積もられがちで、中古で売却する際の下落率が低くなりやすいです。

持ち家と賃貸、マンションに住むならどっちが有利?「永遠の議論」を再検討してみた

マンションを買う際に、永遠のテーマといえるのが、「持ち家と賃貸、どっちが有利か」という点。一戸建てならともかく、マンションを買うのなら、分譲物件を購入しなくても、賃貸物件で十分じゃないか、とう声もたしかにあります。実際はどちらが有利なのでしょうか。「永遠の議論」を再検討してみました。 居住性では分譲マンションに軍配 一般論として、持ち家、つまり分譲マンションは、賃貸マンションより住宅設備が高いグレードになっています。建物の構造を見ても、地震対策のしっかりした頑丈な作りの物件は、分譲マンションに多いといえます。分譲マンションは最低50年は住み続けることを前提に設計されていますので、使いやすく快適性な設備が整えられています。 これに対し、賃貸マンションは、20~30年で投資を回収し、その後取り壊すことまで考慮に入れて作られていますので、過剰に頑丈な構造にはなっていませんし、設備もほどほどに収めてしまっています。したがって、居住性では分譲マンションに軍配が上がります。 一方、賃貸のメリットは、なんといっても転居の自由度が高いという点。仕事や子どもの事情にあわせて引っ越ししやすいというのは大きなアドバンテージでしょう。分譲マンションを購入してしまった場合、そう簡単には転居ができなくなります。 金銭面では互角 お金の面では、それほど大きな差はありません。住宅会社などのシミュレーションを見ても、一生涯の総支出額では、賃貸も持ち家購入も同じようなものです。ですので、単に支払い金額でみるならば、お好きなほうを選べばいいといえます。 分譲マンションを購入した場合、売却時に利益が出ることがあります。とくに、東京都心など立地のいいマンションは、大きな利益が出やすいので、「家賃を払わずにすんだ上に、売ったら儲かった」ということもあります。こうなれば、マンション購入派有利ですね。 しかし、逆に売却時に損失が出ることもあります。というより、マンションは消耗品の側面がありますので、売ったら損が出る可能性のほうが高いです。でも、その損失額が、家賃相当額を上回るとは限りません。家賃を支払い続けるより、マンションを買って売った方が安かった、というケースもあります。この点でも、ケースバイケースで、一概にはいえません。 住宅ローンを組むことのメリット・デメリット 分譲マンションを購入した場合の間違いないメリットは、住宅ローンの支払いを終えたら、住宅コストが劇的に低くなる点。管理費や修繕積立金、税金などを払い続ける必要ありますが、老後の住居費負担はぐっと下がるでしょう。 住宅ローンを組むこと自体にもメリットがあります。住宅ローンを組むと、団体信用生命保険に半強制的に入りますので、家計を支える人が万一死亡した場合、ローンが保険で完済されます。そのため、夫の死亡時に家族に家が残ります。賃貸では、家計を支える人が死亡した場合、逆に家賃負担に耐えられず引っ越すことになるかもしれません。 また、住宅ローンを組むと、多額の借金に向き合わざるを得ないので、家計をしっかり整えることができるというのも隠れたメリットです。「そんなの性格によるんじゃないか」という声もありそうですが、日本人はたいていまじめなので、住宅ローンを抱えたとたんに無駄遣いが収まったりします。これも、持ち家のメリットといえるでしょう。 大災害は大きなリスク 持ち家にはリスクもあります。地震などの大災害が起きて、住んでいるマンションに大きな被害が起きた場合です。賃貸なら退去すれば済みますが、持ち家はそうはいきません。マンションの修繕などの大問題に立ち向かわなければならなくなります。そんな大災害が起きなくても、マンションは50~60年経てば、建て替えを議論しなければならなくなりますが、一筋縄ではいきません。 また、マンションは共同住宅ですので、たとえば管理費を滞納する人が増えたり、空き室が増えたりしていくと、やがて劣化していく可能性もあります。そうしたマンションは管理も悪くて住みづらくなりますが、売るにも売れず「不良資産」となってしまいます。そうした不良資産を抱えてしまうリスクも、分譲マンション購入にはあるわけです。 結局のところ、分譲か賃貸かに、明確な結論はありません。その人の仕事の状況やライフスタイル、価値観に依る部分が大きいといえるでしょう。

中古マンションの建築年代別の特徴。マンションはこう進化した

中古マンションを買うときに気になるのは建築年代。「旧耐震」「新耐震」といったおおざっぱなくくりだけでなく、年代別の特徴と、マンションの進化について知っておきましょう。 1970年代 一般向けのマンション販売が本格化したのは、1970年代です。この頃は旧耐震構造で、コンクリートの床(スラブ)の厚さが12~15cmと、現在の標準(20cm)に比べて薄いものでした。この時代の物件は、今の物件に比べると、見た目にもコンクリートの貧弱さが伝わってくるものがあります。 直床、直天井が常識で、電気配線や照明器具のソケットはコンクリートに埋め込まれていました。配水管は下階の天井裏を通るのが一般的で、床の仕上げにはクッション材も入っておらず、遮音性も低くなっています。天井高は2.5m程度の物件が多く、躯体天井高と室内天井高が同じ、というのも珍しくありませんでした。 エアコンが一般的でない時代でしたので、外壁の吸気口やエアコン用のスリーブ(穴)がないのが一般的でした。火災報知器も法令で義務化されていない時代でしたので、竣功時は付いていませんでした。 間取りは「振り分け」といわれる2DKや3DKが主流。振り分けとは、キッチンやDKからそれぞれの居室への入口が分かれており、動線が各部屋に振り分けられている物件のことです。玄関を入るとキッチンがあり、その奥に居室が二つ並んでいる、というような間取りが多い時代でした。 1980年代 1980年代に入ると、間取りが多様化していきます。「田の字型」と呼ばれる現在も一般的な間取りが普及する一方、ワイドスパン、センターイン方式といったコストの高い間取りが高級マンションを中心に導入されていきます。設備面ではオートロックや住宅情報盤などが広まったのが、1980年代です。 構造面では、新耐震基準になり建物が頑丈になりました。スラブは18cm程度が標準的となり、配水管は自室の水回りの床下に通すようになりました。そのため、リビングとキッチン、お風呂に段差が生じることが多く、住戸内でのフルフラットは実現していません。 1990年代 1990年代は前半のバブル景気時と後半の不況時で特徴が異なります。バブル時は見た目を競うような物件が多く、室内に大理石を使うなど豪華な物件が流行しました。土地の高騰の影響で、専有面積は圧縮する傾向でした。狭い専有面積のなか、室内の見た目が広くなるように、苦肉の策としてクローゼットを設けなかったりといった、実用的には難のある物件も少なくありません。 その反省からか、1990年代後半になると、機能重視の物件が増えていきます。1990年代からは、見た目ではなく実際の居住面積が広くなり、間取りも多様化していきます。共用部も充実し、宅配ロッカーが標準化されたものもこの頃で、キッズルームや読書室などを設ける物件も出てきました。システムキッチンなど住宅設備も着実に進化していきます。 スラブ厚が20cmが標準的になったのも、1990年代後半です。バブル期のマンションよりも遮音性が重視されるようになりました。バリアフリーの重要性が認識されたのもこの時期からで、室内や共用部に段差のない物件が増えていきます。 一方で、この頃はまだ階高も低く、天井の小梁が室内にせり出したりといった圧迫感のある住戸も少なくありませんでした。二重床、二重天井が意識されるのも、もう少し後のことです。 2000年代 2000年代になると、マンションの品質が安定していきます。その理由は2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によるところが大きいです。同法では、構造耐力上主要な部分について売主による瑕疵担保責任が10年に延長されました。その結果、大手はもちろん、中小デベロッパーの物件でも、品質管理が徹底していきました。 スラブは20cmが標準的となり、22cmの物件も見かけるようになりました。室内の小梁をなくすボイドスラブの採用も増えていきました。二重床、二重天井も広まり、階高は3mが標準的になっていきます。住戸内の給水管が鉄管・先分岐工法から樹脂管のヘッダー工法に変わったのもこの頃からです。光回線などインターネット接続に対応した物件が増えてくるのも2000年代以降です。 2000年代は土地価格が低迷していて、バブルの不良債権処理でマンション用地の供給が多かった時代です。そのため、比較的低価格で高機能なマンションが建設された時期でもありました。 時代背景を理解したマンション購入を このように、マンションは建築時期によって特徴が異なり、当然新しいほど進化しています。品質管理という目に見えにくい部分も含めると、新しい物件のほうが品質が高い傾向にあるのは間違いありません。 中古マンションでは1970年代の物件が非常に安いですが、旧耐震という耐久性の問題に加え、給排水管をはじめとしたメンテナンスに不安があります。それに対し、新耐震となった1980年代後半以降の物件は、マンションの持続性にも一定の配慮がされています。 マンションの機能が大幅に上がったのは、1990年代後半からです。バリアフリーに配慮したマンションが普及するのもこの頃からです。そう考えると、永住目的でマンションを買うなら1990年代後半以降の物件がおすすめとなりますが、そのぶん、この時代以降の中古マンションは人気があり、立地のいい物件はとくに値下がり率が低くなっています。 このように、マンションの「築年数」は単に古さを示すだけではなく、建設された時代のトレンドも示しています。そうした時代背景を理解してマンションを購入するといいでしょう。

機械式駐車場と自走式駐車場のメリットとデメリットを比較する。イチバン人気は地下駐車場の平置型

クルマを持っている人にとって気がかりなのが、マンションの駐車場の形態。自走式で地上の区画に置ける「平置駐車場」を望む人が多いですが、立地のいいマンションになるほど機械式の「立体駐車場」が多くなります。そのメリットとデメリットを比較してみましょう。 メリットが多いのは自走式 自走式の平置駐車場にもいくつかタイプがありますが、都市部のマンションなら、地下か1階に駐車エリアを配置していることが多いです。郊外のマンションなら、建物横の敷地に屋根なしの平置き駐車場を配置していることもあります。 自走式の最大のメリットは、余計な機械操作がなく、クルマに乗るための作業が簡単なこと。マンションの出入口を出て、自分の駐車区画まで歩いて乗るだけです。そのため、クルマを所有するマンション購入検討者には、平置型駐車場がイチバン人気です。 ただ、自分の駐車区画がマンションの出入口から近ければ便利ですが、遠いとクルマに乗るとき長く歩かねばならないので、やや不便です。そのため、出入口から遠くなるほど駐車場代を安くしている管理組合もあります。時間をとるかお金を取るか、よく考えて駐車場を選びたいところです。 地下駐車場や建物1階の駐車場は、屋根があるのも大きなメリットです。天候が悪くても雨具なしでクルマに乗れますし、クルマが傷みにくいという長所もあります。また、地下駐車場は管理が行き届いているので、愛車が盗難にあったり、いたずらの被害を受けるリスクも低いです。 一方、自走式でも屋根なしの屋外型駐車場だと、クルマは雨に打たれ日光にもさらされますので、クルマが傷みやすいというデメリットがあります。雨が降っていたら乗るときにも大変ですし、地下に比べると盗難などの被害にも遭いやすいでしょう。 多数のクルマを収納するなら機械式 機械式駐車場はタイプがいくつかありますが、マンションの場合は、2段か3段に積み上げられた形で、上下左右にクルマを移動させる形が一般的です。それぞれのブロックごとにリモコンがあり、出庫時にはそれを操作します。 機械式駐車場のメリットは、狭い敷地に多数のクルマを収納できること。そのため、多くの希望者に駐車区画を行き渡らせることができます。 それと、風雨にさらされないので、クルマが傷みにくいことメリットでしょうか。とはいえ、それ以外には、利用者個人にメリットは見当たりません。 デメリットは出庫時に時間がかかること。レールぴったりに車庫入れする必要があるため、車庫入れが苦手な人にはストレスにもなるでしょう。また、子どもがいたら機械が動くとき目を離せないことなどがあります。 さらに、機械式駐車場は、大規模修繕時のメンテナンス費用が高いという難点もあります。クルマの高さの制限もあるので、車高の高いクルマは入れられない場合もあります。デメリットだらけですね。 自走式の平置型が一番 結局のところ、駐車場は、自走式の平置型が一番です。さらにいえば、地下駐車場はセキュリティ上からも、クルマの保存の面からも、悪天候でも使いやすいという点からも、最も優れています。そのため、選べるなら地下駐車場の平置き型自走式駐車場が一番でしょう。 次が屋外の平置型駐車場、最後が機械式の立体駐車場です。立体駐車場でもタワー型のように上下が大きくなるほど出し入れに時間がかかりますので、できれば2層か3層程度が望ましいでしょう。

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お金と税金

「新築マンションは買わないほうがいい」は本当か?

不動産評論家のなかには、「新築マンションは買わない方がいい」という人も少なくありません。その理由は、新築マンションは値下がりしやすいから、というもの。 あるいは「新築マンションは、建物ができあがる前に買うので、リスクが高いから」という人がいます。こうした意見は、正しいのでしょうか? 新築プレミアムは8% 新築マンションの価格には、売り主である不動産会社(デベロッパー)の利益が上乗せされています。そこにいったん人が住むと、その利益分が剥がれ落ちる形で、評価額が下がります。剥がれ落ちた利益分こそが「新築」のプレミアムで、「誰も住んだことのない住戸に住む」ことの対価といえます。 この「新築プレミアム」は、だいたい価格の8%程度と言われています。新築マンションの1年後の価格下落率の平均をとると、だいたいそのくらいになるから、ということのようです。5,000万円のマンションなら、370万円が「新築ならではのプレミアム分」ということになります。 1年後に8%下がった価格は、その後、毎年2%くらいずつ下がります。これは建物の経年劣化による価格下落です。下落幅は年を経るごとに縮小していき、築20~30年を経ると、価格はほとんど下がらなくなります。 青田売りのリスク また、新築マンションは、「青田売り」といって、建物が完成する前に販売されます。できあがった建物が、イメージと違う、ということもよくありますが、キャンセルするには高額のキャンセル料がかかり、あとの祭りです。 こうしたことが、「マンションを買うなら、新築ではなく中古をおすすめする」という専門家の発言の理由です。 新築にも大きなメリットが ただ、新築には、大きなメリットがあります。それは「好きな住戸を選べる」ということ。抽選に当たりさえすれば、最上階でも角部屋でも選び放題です。 そもそも、人気エリアのマンションは供給が少なく、中古物件もあまり出てきません。そうしたエリアで中古マンションを探そうとしても、好きな建物や好きな部屋は選べません。「7階くらいの南向けの部屋が売りに出ないかな」なんて思っても、そうそう都合良いタイミングでは買えないのです。 「築10年の中古マンション」は少ない 中古をおすすめする人は、「築10年のマンションを買うのがいい」とよく言います。でも、そういわれても、築10年の中古マンションはあまりありません。新築を買って10年で売りに出す人はそれほど多くありません。そのため、築10年のマンションは出物が少なく、人気エリアではそんなに安くはありませんし、市況によっては値上がりしていることすらあるほどです。 人気エリア以外では、築10年のマンションはたいてい値下がりしていますが、逆に言うと、安くなった中古マンションを買うと言うことは、値下がりエリアで10年後に築20年のマンションを抱え込んでしまうわけです。それはそれで不安ですよね。 ということで、経済的な側面だけ見れば、新築より中古にメリットが多いのは事実です。でも、そう都合のよい中古物件がない、というのもまた事実なのです。

2018年下期マンション市場予測。消費税増税前の需要拡大つづく

分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛けるトータルブレインが、2018年下期の市場動向を予測したレポートを発表しました。 単純な構図に変化 同レポートでは、2018年上期のマンション市場を以下のように分析しました。 (1)販売戸数はわずかに増える。郊外が大幅増。 (2)郊外の価格上昇傾向は継続。2012年から35%上昇。 (3)販売は低調。埼玉・千葉など郊外が苦戦。 (4)在庫は4年連続増加。販売がスローペースに。 2018年上期に首都圏で新たに売り出されたマンションは287物件で、前年同期より6物件増。売れ行きは「好調」28%(前年同期28%)、「まずまず」51%(同50%)、「苦戦」21%(同21%)と、前年並みです。つまり、マンション市況に大きな変化はありません。 ただ、東京23区と都下の売れ行きが低下しています。マンション市場相場が高止まりしており、その影響が販売スピードの低下をもたらしています。 都心の好立地物件と郊外の割安感のある物件の販売は好調です。一方で、中途半端な都心立地の高値チャレンジ物件や、駅力が弱く割安感のない郊外物件は販売に苦戦しています。 つまり、これまでのような「都心=好調、郊外=苦戦」の単純な構図が変化し始めているわけです、都心でも割高物件は敬遠されますし、郊外でも駅力の強い立地の物件などは人気があります。 消費税アップを意識 2018年下期のマンション市場は、2019年10月の消費税率アップを意識したものになります。供給ペースは上がり、とくに郊外を中心に供給が活発化しそうです。年間の供給件数は4万戸程度に回復すると予測しています。 供給ペースが上がる一方で、売れ行きは順調とはいえず、販売期間の長期化が進んでいます。このため、完成済み物件の販売も増えそうです。 郊外物件は売れ行きが好転しているものの、沿線力・駅力・駅近・商業施設至近、需給バランス・割安価格の組み合わせにより、販売状況は変化しています。 購入する立場としては、都心物件は高値づかみに注意し、立地のいい郊外物件は早めに動いた方が良さそうです。

住宅ローンの「三大疾病保障付き」や「八大疾病保障付き」のおすすめは? ローン免除の基準を確認しよう!

住宅ローンの契約を結ぶとき、加入が義務づけられるのが団体信用生命保険。最近はがん保障付きや三大疾病保障付き、八大疾病保障付きなども見かけるようになってきました。こうした保障付きローンはおすすすめなのでしょうか? 住宅ローンは「死んだらチャラ」 住宅ローンで加入が義務づけられる団体信用生命保険は、ローン返済者が死亡した場合や失明などの重病が回復不能になった場合に、ローン返済が免除になります。死んだらローンはチャラで、後に残された家族はそこに住み続けることができる、というわけです。 この団信は、銀行の住宅ローンでは加入が義務づけられますが、とくに保険料は不要。住宅ローンの費用のなかに含まれています。住宅金融支援機構の「フラット35」では別に保険料が必要で、金額は借入期間などにより異なりますが、借入1,000万円につき35,000円くらいです。 三大疾病保障特約とは? 最近増えている三大疾病保障特約付きは、死亡した場合だけでなく、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾病にかかった場合に債務が免除になるという保障です。つまり、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかったら、死んでなくてもローンがチャラになります。 三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中ですが、これに加えて、高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎といった病気にかかった場合も、ローンがチャラになるという保障もあります。七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などと名付けられていて、特約内容は銀行によって異なります。 こうした疾病保障特約は、ふつうの団信とは違って保険料が別途がかかります。その金額は銀行によって異なり、住宅ローン金利に加え+0.25~0.3%くらいが主流。1,000万円の住宅ローン債務につき、毎年2.5~3万円の保険料がかかることになります。 返済免除の条件を確認 これを高いとみるか安いとみるかは、具体的な保障内容によって違ってきます。 たとえば、がんといってもさまざまで深刻さも異なります。ある銀行では「上皮内ガン、大腸の粘膜内ガン、膀胱・尿路・乳管等で発生する非浸潤ガンなど、ガンが浸潤していない状態は、お支払の対象外となります」と書いています。つまり、がんになったら全てローン返済免除、というわけではありません。 とあるネット系の銀行では、8大疾病保障特約で「3つの特定疾病(がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中)または5つの重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により就業不能状態となり、その状態となった日からその日を含めて12ヵ月を経過した日の翌日午前0時までその状態が継続した場合」のみ、ローン返済が免除になる、とあります。 就業不能状態が12ヶ月も続いていて、その後回復するというのはなかなか想像しづらいです。ほとんどの場合、就業不能状態が12ヶ月も続けば、命に関わってしまうでしょう。あまりいい書き方ではありませんが、就業不能が12ヶ月も続けば、多くの場合「重病が回復不能」か、死ぬことになるので、ふつうの団信でもケアされるわけです。 実際、あなたの身近に、12ヶ月間休職して、その後回復した人がいますか? そのくらいレアなケースのみ保障するので、保険としてはアテにしないほうがいいでしょう。 ということで、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約については、あまりおすすめしません。どうしても入りたい人は、もう少し保障の範囲が広い医療保険に、別で加入した方がいいでしょう。

マンションの「価格未定」はなぜ起こるのか

最近の新築マンションで増えているのが「価格未定」の物件。着工するはるか前ならいざ知らず、モデルルームがオープンしているというのに「価格未定」を掲げているマンションすらあります。そんな時期まで価格が全く決まっていないわけはありません。なぜ、こんなことになっているのでしょうか? 間取り図に価格が表示されていない! 新規分譲マンションのホームページにある「物件概要」や「間取り図」。かつては、ここに価格が表示されているのが一般的でした。しかし、最近は価格を表示せず「価格未定」としているケースが少なくありません。 すでにできあがっているマンションで「即入居可」の物件ですら「価格未定」とされている場合があります。 こうした新築マンションの「価格未定」は、デベロッパーにとって集客の手口の一つです。購入検討者はホームページやチラシをみるだけでは価格がわからないので、モデルルームや販売事務所に行かなければ、そのマンションの値段を知ることができません。 モデルルームに行っても値段がわからない ところが、まだ建築中のマンションの場合、モデルルームに行っても価格未定の場合が増えています。モデルルームで値段を尋ねても、正式な価格表は渡してもらえず、正式な価格は「検討中」と言われたりします。 価格帯だけを示した表を渡してくれる販売事務所もありますが、なかには「予定価格表」を見せてくれるものの、持ち帰りは不可で、「メモするだけにしてください」と言われる場合も。マンションという超高額な買い物のなのに、肝心の価格をなかなか教えてもらえないのです。 販売会社が値段を決めきれていない これは、価格を出し惜しみしていると言うよりは、マンション販売会社が価格を決め切れていない、ということが原因です。 最近のマンション販売では、モデルルームが完成してもすぐには一般公開せず、その不動産会社に「会員登録」した会員にのみ告知し、来場してもらいます。 そして、モデルルームに来てくれた会員におおまかな「予定価格」を口頭で伝え、反応をみて価格を精査します。あるいは、モデルルームへの来場率を確認して、だいたいの価格を決めます。一般客にモデルルームオープンを告知するのは、この後です。 一般客がモデルルームに来はじめると、このときは「予定価格」や「価格帯」を知らせます。同時に、来訪客の想定価格も聞き出し、「予定価格」がそれとかけ離れていたら、再検討します。そうして、部屋ごとに細かく百万円、十万円単位の値付けをしていきます。 こうした段階を踏んで、正式な「価格表」を作成し、最終的にモデルルームの来場者に渡すのです。 値引き販売をしやすいように ところが、これで終わりではありません。正式な価格表で販売開始したものの、契約率が悪い場合があります。そのときは、値引き販売をすることがあります。そのため、ホームページ上では「価格未定」の表記を続けるのです。すでに契約済みの購入者にばれないようにするためです。 マンションが完成してからも「価格未定」の場合もあります。完成したものの、完売していない場合、業者はさらなる値引きをしてでも売り切ろうとします。そのときにも、正式な価格を公式発表せずに「予定価格を伝えたうえで10%値引きする」という複雑な過程を踏む場合もあります。 提示された金額で判断しよう こうなると、値引いたのか、もとの価格を安くしたのか、よくわかりません。そう、最終的には「正規価格がいくらだかわからなくする」というのも、価格未定が多くはびこる理由なのです。 マンションは値引き販売をするとブランドイメージが傷つきますし、先に契約した人から不満も出ます。そのため、価格公表をする戸数はなるべく絞っておき、非公式な価格から割り引いて公式価格にして販売する、という手法をとろうとするのです。 複雑ですが、購入者としては、「値引き交渉をした上で、提示された金額が妥当かどうか判断する」クセを付ければいいでしょう。

資産価値を保ちやすいマンションとは? 駅から近くて日当たりが良いのが大事!

マンションを購入するとき、大切にしたいのが資産価値。自分が「このマンションは素晴らしい!」と思っても、他人から見て「今ひとつ」と思われたら、資産価値は高くなりません。自分の価値観とともに、第三者の価値観も大切にしておきましょう。 マンションの資産価値とは? マンションの資産価値とは、売却時や賃貸時にどの程度の値が付くかを指します。資産価値の高いマンションとは、買いたい人が多いマンション。あるいは、借りたい人が多いマンションです。 買いたい人が多ければ、マンションの値段が上がります。借りたい人が多ければ、高い値付けで賃貸に回せます。東京都港区のマンションの資産価値が高いのは、買いたい人、借りたい人が多いからです。 同じマンションでも、新築のほうが資産価値が高いです。駅からの距離は遠いよりは近い方がいいでしょう。周辺環境は騒がしいよりも静かなほうがよく、もちろん治安がいいエリアほど資産価値は高くなります。 このように、マンションの資産価値を構成する要素はたくさんあります。さまざまな要素が複雑に絡み合って、マンションの資産価値を構成していきます。 資産価値の構成要素 マンションの資産価値を形作る主な要素を挙げてみましょう。 1 駅からの距離(近い方が価値が高い) 2 駅の利便性(人気路線や急行停車駅ほど価値が高い) 3 町並み(高級住宅地や、利便性のいい商業地は価値が高い) 4 広さ(広い方が価値が高い) 5 間取り(使いやすいか、採光がよいかなど) 6 日当たり(南向きが価値が高い場合が多い) 7 眺望(海が見える、夜景がきれいなど) 8 管理(清掃が行き届いているか、積立金が足りているかなど) 9 分譲会社(大手デベロッパーを好む人は多い) 10 建設会社(大手ゼネコン施工を好む人は多い) 11 共有施設(施設によって評価は変わる) このほかにも、たとえば駐車場がどれだけあるか、立体駐車場か平面駐車場か、といったことや、ディスポーザーの有無、宅配ロッカーの数、共有施設、管理人の常駐時間など、細かなことが影響していきます。 一つ一つの要素は小さなことに見えても、こうした要素がすべて優れているマンションは、値段が高くても売れていきますし、賃貸に出したら借り手がつきやすいです。つまり、小さな積み重ねが資産価値を形成していくのです。 なぜ資産価値が大事なのか 自分が気に入れば、資産価値なんてどうでもいい、と思う人もいるでしょう。しかし、予期せぬ転勤や、子どもの教育、親の介護などで、引っ越しを余儀なくされることはあります。その場合、資産価値の高いマンションなら売ることも容易ですが、資産価値が低いとそうはいきません。 そのため、買うのなら、マンションの立地から管理に至るまで、資産価値という観点からきちんとチェックすることが大事なのです。 最も大事なのは立地 とはいうものの、資産価値でもっとも大事なのは、立地です。人気路線の人気駅から徒歩圏内のマンションなら、ほかの要素が全部いまひとつでも、それなりの資産価値になります。逆に、他の要素がすべて素晴らしくても、鉄道駅から離れた不便な立地だと、資産価値には限界があります。 あるいは、駅から少し離れていても、東京都港区や鎌倉市、京都市中京区といった、ブランド価値の高いエリアは、やはり資産価値は高くなります。一方、駅から近くても、ブランド価値の低いエリアは、資産価値が低くなります。 日当たりは立地についで大事です。日当たりのいい南向きのマンションは需要が多いので、資産価値が高くなります。南向きでなくても、眺望がいいマンションは評価が高いです。タワーマンションの上層階では南向きが暑いから敬遠される、などの例外はありますが、おおむね南向きで日当たりが良く、眺望も開けているマンションが資産価値が高いでしょう。 駅から近くて日当たりのいい物件を買っておくことが、何より大事といえます。 大手分譲は資産価値が高い? 分譲会社や建設会社の名前は、新築販売時には値段に影響しますが、中古市場ではそれほど大きな価値を持ちません。大手デベロッパーで有名ゼネコン施工の中古マンションが売りやすいのは確かですが、立地がよければ、分譲会社の名前など関係なく売れます。逆に、「大手分譲だから中古でも売れる」ということは、あまり考えられません。 共有施設は充実しているほうが良いですが、そのぶん管理費が高くなるなら、マイナス要素になるケースもあります。ジャグジーやスポーツジムがマンション内にあった場合、「余計なコストがかかる」と敬遠されることもあります。ゲストルームやキッズスペース程度なら、あったほうが資産価値は上がるでしょう。

リフォーム

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

リフォームで使える「キッチン」の費用と相場。安くておすすめのキッチンは?

マンションでも一戸建てでも、リフォームするときに悩むのがキッチン。各社から多くのシステムキッチンが販売されてて、どれも一長一短に見えてしまいます。ここでは、リフォーム向けのキッチンをご紹介。費用、相場とおすすめを解説しましょう。 どんなキッチンメーカーがあるの? まず、キッチンの最大手はどこでしょうか。答えはLIXIL。サンウェーブとINAXなどが合併して経営統合した結果、システムキッチンシェアの3割を占めています。次がタカラスタンダードで、LIXIL誕生までは長年キッチン史上首位を占めてきた老舗です。以下、3位クリナップ、4位パナソニックと続きます。 そのほかのキッチンメーカーとしては、水回りに強いTOTO、給湯器に強いノーリツ、YAMAHAの系統を引くトクラス、旧日立系で現在はヤマダ電機グループのハウステックといった会社があります。最近はニトリやIKEAなどの家具小売店もシェアを伸ばしています。 キッチンの最低価格はどのくらい? システムキッチンの価格はベースとなる「本体価格」に「オプション」を組み入れた総額です。「本体価格」だけならそれほど高くはなく、格安キッチンなら10万円台でも一通り揃います。 たとえば、ニトリのキッチンなら、幅2560mmで19万9000円のものが販売されていますが、ガスコンロやレンジフード、引き出しなどのフロアキャビネットや、頭上のウォールキャビネットもこの値段に含まれています。これに食洗機を付けると24万9000円になります。 これで十分といえば十分で、実際、ファミリー向けの賃貸マンションでは、こうした10万円台のキッチンが備えられていることもよくあります。10万円台のキッチンで大丈夫?なんて声も聞きますが、きちんと施工されれば20-30年は持ちますので、心配する必要はありません。 価格相場をつかもう! ただ、分譲マンションで自分専用のキッチンで、もっと使いやすいものを、となると、もう少しいいブランドのものを選びたくなりますし、さまざまなオプションを付けたくなります。 マンションリフォームの価格相場をつかむのにわかりやすいのが、クリナップです。クリナップは「S.S.」「クリンレディ」「rakuera(ラクエラ)」「コルティ」という4つの性格付けの異なるブランドのキッチンを販売しています。 まず「S.S.」は最高級ブランド。質の高いステンレスを使った高品質キッチンで、幅2550mm(以下同)の参考価格が99万4550円。次のクリンレディはオールステンレスながら手頃な価格を実現した物で、参考価格が63万8000円。ラクエラは木製キッチンで49万2800円。コルティは幅1800mmのコンパクトキッチンで30万9700円となっています。 ラクエラを例に取ると、最低価格は49万2800円ですが、扉に使う素材で異なります。鏡面仕上げの「グランドシリーズ」という扉を使うと55万9800円になり、マット仕上げや光沢仕上げは安くなります。さらに使う木材によって「コンフォートシリーズ」は50万9800円と少し高くなります。 49万2800円は、最もグレードの低い「シンシアシリーズ」という扉を使った場合です。扉による価格差は結構大きく、クリンレディで高い扉を付けると、S.S.の安い扉を付けた場合より高くなってしまいます。 大手メーカーは基本価格50万円が相場 タカラスタンダードやクリナップといった大手メーカーの場合、主力ブランドの基本プランは、2550mmで50万円前後に設定されています。したがって、大手システムキッチンの相場価格は、基本プランなら50万円前後と考えていいでしょう。 ただ、これはあくまで定価で、実際に施工する業者によって卸値は異なります。たとえば、上記ラクエラの場合、格安キッチンとして検索すると、15万円前後の価格を見つけることができます。つまり、6割~7割も値下げしているのです。 ニトリやIKEAなどの格安キッチンの場合は、15~20万円前後の価格設定が相場で、値引きは基本的にはありません。つまり、大手キッチンの安値ブランドや小売店の格安ブランドのキッチンは、基本プランで15~20万円程度が実勢価格の相場といえます。 オプションを付けると高くなる ただし、システムキッチンを基本プランで購入する人はあまりいません。食洗機を入れたり、引き出しを増やしたり、シンクの形を変えたり、ワークトップの素材を変えたりします。こうしたオプションによってキッチンの値段は基本価格の倍くらいになることもあります。 扉の色や素材によって大きく価格が変わることは前述しましたが、メーカーにとっては、基本価格は安くしながら、オプションで利益を得るというのが一つの戦略なのです。 オプションを付けた総額はいくらくらいなの? という質問を受けることもありますが、千差万別としか言いようがありません。定価ベースでいうなら、基本価格の1.5倍くらいが総額になるようなオプションを付ける人が多いです。 食洗機を付け、シンクやレンジフードや水栓を少しいいのに変えて、引き出しも増やしたりすると、そのくらいの価格になります。つまり、定価ベースで70~80万円くらいが相場と考えればいいでしょう。 どのくらい値下げしてくれる? 値下げ後の価格に関しても千差万別ですが、大手メーカーの主力ブランドの場合、2割~3割引程度と考えておくといいでしょう。インターネットを検索すると半額くらいの格安価格を提示している会社もありますが、そこまで値引いてくれることは、実際にはあまりありません。 値引いてくれたとしても、そのぶん施工費用に上乗せされることもありますので、表面上の価格にこだわるよりも、総工費を見たほうがいいでしょう。 キッチンのおすすめブランドは? おすすめブランドは、一概にはいえませんが、ホーローが好きならタカラスタンダードの「リテラ」、ステンレスがいいならクリナップの「クリンレディ」、木製の場合はLIXILの「リシェル」あたりがスタンダードです。これらのブランドを選んでおけば、大きな失敗はないでしょう。 トリプルワイドレンジがいいなら、パナソニック「リビングステーション」。高級キッチンならトクラスの「ベリー」、手頃な価格ならノーリツの「レシピア」も人気が出ています。組み合わせキッチンならIKEAの「メトード」。格安キッチンなら、ニトリはコストパフォーマンス基本性能に優れているといえます。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

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