基礎知識

マンション購入のリスクと、リスク軽減方法を考える

マンション購入にはさまざまなリスクがあります。もっとも大きいのが値下がりリスク。そのほか、地震リスクもありますし、欠陥マンションをつかまされるのもリスクといえるでしょう。ここでは、そうしたマンションのさまざまなリスクを考えてみましょう。 最大のリスクは「値下がり」 マンション最大のリスクは「値下がり」です。たとえば、4000万円のマンションを購入して、20年後に2000万円でしか売れなかったら、20年で2000万円も値下がりしたことになります。1年あたり100万円。毎月9万円ほどです。 マンションを所有すれば管理費や修繕積立金がかかりますし、固定資産税も課されます。住宅ローンを組んでいれば、その利子もかかるでしょう。それらをあわせて月4万円と仮定すると、さらに960万円も支出していたことになりますので、そのマンションのために、3,000万円近い支出を出したことになります。 もし、同等のマンションを月10万円で借りることができていたならば、20年で2,400万円です。つまり、マンションを購入することで、20年で600万円も「損」を出したことになります。 マンションを購入すると、こうした「損害」を被る可能性があります。これがマンション購入のリスクです。 自然災害もリスク そのほかのリスクとしては、自然災害があげられます。大地震でマンションが崩壊することもありますし、大雨で洪水に襲われる可能性もあります。東日本大震災では、震源から遠く離れた首都圏でも液状化被害があり、マンションの価値が大きく損なわれました。 災害でなくても、欠陥マンションをつかまされるリスクもあります。建て替えにならないような小さな欠陥でも、それがあるために売却できなくなることもありえます。 マンションの立地や構造によっても生活面のリスクが生じることもあります。エレベータのないマンションなら、高齢になったときに住みにくくなるリスクがあります。駅までのバスが廃止になったり本数が減ったりして、利用しにくくなるリスクもあるでしょう。近所のスーパーが閉店することだってリスクです。 相続のリスクもあります。相続時に分割できないマンションは、相続人同士の争いを招く可能性があります。 リスクを小さくするには? こうしたリスクをゼロにすることはできませんが、小さくすることは可能です。それは、資産価値の高いマンションを購入することです。 では、資産価値の高いマンションとはどういうマンションでしょうか。資産価値にはさまざまな側面や考え方がありますが、マンションの資産価値のほとんどは立地で決まります。つまり、立地のいいマンションを買えばいいのです。 立地のいいマンションなら、不要になったときに売りやすいですし、地震などの自然災害を受けたとしても買い手がつくものです。立地のいいマンションは、地震で崩壊しても、区分所有権の売買でそれなりの値が付くくらいです。 こうして考えると、マンションを購入するときに「立地のいい物件を選ぶ」ということがいかに重要かがおわかりいただけると思います。

住宅の用途地域の違いをわかりやすく解説。「第一種住居地域」と「第二種住居地域」の違いは?

不動産の広告を見ていると、「第一種住居地域」だとか、「商業地域」といった文字が出てきます。「住居地域」なら住宅地、商業地域なら商業地なのだろう、くらいのことはわかりますが、「一種」と「二種」の違いなど、わかりにくい点もあります。わかりやすく解説していきましょう。 用途地域とは? こうした地域区分けを「用途地域」といいます。そのエリアで建てることのできる建物や、営業できる商店などを区分けするルールです。用途地域を見れば、そのエリアにどんな種類の建物が建てられるのか、どんな店が営業可能か、などがわかりますので、エリアの住環境がわかりますし、将来の町並みの予想もつきやすいです。 また、現地マンションの隣に大きな空き地がある場合や古い建物がある場合、将来、そこに新たな建物が建つ可能性がありますが、用途地域を確認すれば、どんなものが建てられるかのイメージが湧きやすくなります。 なお、用途地域は建物の用途を規制するルールですから、建物高さや建ぺい率、容積率を規制するものではありません。ただし、建ぺい率と容積率は、用途地域ごとに設定されていて、住宅の良好な環境を保護すべき地域ほど、これらの制限は厳しくなっています。また、どんな高さの建物が建てられるかは、隣接する道路の広さなどによっても異なります。 低層住居専用地域 用途地域で規制がもっとも厳しいのが、「第一種低層住居専用地域」。これは、小規模な住宅のほか、学校や老人ホーム、診療所などだけが建てられる地域です。建ぺい率は30~60%、容積率は50~200%。マンションも建てることはできますが、3階建て程度の低層マンションまでになります。絶対高さ規制が導入されていて、地盤面より高さ10~12mくらいまでに制限されています。 第一種低層住居専用地域は、住宅地としては落ち着いていますが、一定規模以上の店舗は作れませんので、コンビニエンスストアすら立地できません。そのため、広いエリアが第一種低層住宅専用地域に指定されている場合、エリア中心に住んでいると、買い物が不便な場合があります。 「第二種低層住居専用地域」も低層住宅しか建てられないことは同じですが、広めの店舗や飲食店などの立地が認められます。ただ実際には、第二種低層住居専用地域は、あまり存在しません。 中高層住居専用地域 「第一種中高層住居専用地域」は、低層住居専用地域で建てられる用途に加え、病院や大学、500平方メートルまでの一定の店舗なども認められます。建ぺい率は低層住居専用地域と同じですが、容積率は100~300%と緩くなります。 絶対高さ制限がないため、容積率に応じた中高層マンションが建てられます。コンビニや小さなスーパーなら立地できますし、そこそこ利便性のある住宅地といえます。ただし、南側に空き地があると、高いマンションが建って日照が減ったりしますので、注意が必要です。 「第二種中高層住居専用地域」は、第一種中高層住居専用地域の用途に加え、1500平方メートルまでの一定の店舗や事務所も認められます。住環境と利便性のバランスのとれた地域といえます。 ここまでが、「住居専用地域」です。次に「住居地域」について説明しましょう。「専用」の二文字がとれると、どんな違いが起こるのでしょうが。 住居地域 まず、「第一種住居地域」は、大規模な店舗・事務所の立地を制限する住宅地とされ、住宅のほか、3000平方メートルまでの店舗や事務所、ホテル、旅館などが建てられます。50平米以下の小さな工場も建てられます。建ぺい率は60%、容積率は200~400%と、第一種中高層住居専用地域よりも緩くなっています。このため、第一種住居地域は、第一種中高層住居専用地域よりも高く大きなマンションを建てることができます。 「第二種住居地域」は、第一種住居地域の用途のほか、パチンコ店やカラオケ店の立地も認められます。「住居地域」という名称ですが、商業的な用途にも使えるエリアです。建ぺい率、容積率は第一種住居地域と同じです。 準住居地域は、上記に加え、営業用の倉庫や小規模な自動車修理工場、劇場、映画館も認められます。ただ、実際に指定されている地域はあまりありません。 ここまでが「住居地域」系です。同じ住居地域でも、「第一種低層住居専用地域」と「準住居地域」では、用途の範囲が全く違うことがおわかりいただけましたでしょうか。 商業地域 以下、商業地域について説明します。駅に近いマンションでは商業地域に立地していることも少なくありません。 「近隣商業地域」は、近隣の住宅地に日用品などを供給する目的の商業地域です。郊外駅近くでは商店街が形成されていることもあります。建ぺい率は80%と高くなますが、容積率は200~400%と住居地域並です。このため、店舗などは中低層の商業施設が主になります。 「商業地域」は、その名の通り、商業が主目的のエリアです。店舗、事務所などの業務利便の増進を図る地域で、主要駅周辺などが指定され、多くのビルが建ち並びます。一定の工場を除けばほとんどの用途の建築物を建てることができます。建ぺい率は80%、容積率は200~1000%です。 商業地域は、商業目的のエリアのため、基本的に住環境は重視されません。風俗店の営業も可能ですし、日影規定など日照権を保護する規定の適用もかなり緩いです。そのため、商業地域の場合は、隣にどんな大型の建物が建つかわからないし、日照が遮られても文句がいえない、ということもあります。南側が商業地域の土地は、とくに注意しましょう。 商業地域だからといって住宅地に向かないわけではなく、その利便性の高さから、最近は中高層のマンションが建つケースが少なくありません。用途が広く使いやすい地域なので、地価が高くなりやすいといえます。 工業地域 最後に、工業地域について説明しましょう。近年は、工業地域でもマンションが建てられるケースが増えています。 「準工業地域」は、環境に大きな影響を与えない工場立地を主目的としたエリアです。昔ながらの町工場などが集まっている場所がよく指定されています。再開発などで、準工業地域に住宅やマンションが建つことも多いです。 準工業地域は、一定の風俗営業店や一部の大規模工場を除き、さまざまな用途の建物を建てることができます。再開発エリアでは、一見住宅地に見えても、準工業地域だったりすることもあります。建ぺい率は60%、容積率は200~400%と、商業地域よりも厳しくなっています。 「工業地域」は、工場立地を目的としたエリアです。そのため、どんな工場でも建てることができます。一方、学校や病院、ホテル、映画館などは建てられません。つまり、こうした施設からは離れてしまいます。建ぺい率、容積率は準工業地域と同じです。 住宅を建てることは認められているので、マンションが建設されることもあります。近年は、工業地域でも大規模再開発でマンションができたりします。しかし、環境に影響を与えるような工場が立地できるエリアですから、どんな工場が建つかわからない場所である、ということは認識しておきましょう。 最後に、「工業専用地域」がありますが、ここは住宅は建てられませんので、省略します。 二地域にまたがる場合 マンションは大きな建物なので、敷地が複数の住居地域にまたがる場合があります。その場合、全体の占める面積が大きいほうの用途が、建物全体に適用されます(容積率や建ぺい率は面積に応じて按分されます)。 商業地と第一種低層住居地域が隣接している場合は、こういう「またがり」を使った大規模マンションが建設される可能性もあります。南側に商業地域がある場合、こうした制度を利用して大規模マンションが近くに立つこともありますので、頭に入れておきましょう。 自分の目的にあったエリアのマンションを買おう さて、ここまでいろいろ書きましたが、どのエリアがもっともマンションに適しているのでしょうか? 静かな住環境を重視する人は、第一種低層住居専用地域のマンションがいいでしょう。一方、利便性を重視するなら、商業地域のマンションがいいかもしれません。 将来的な資産価値の維持を考えるなら、用途が広い商業地域のマンションが有利という考え方をする人もいるようです。その意味では、準工業地域のマンションも用途は広いです。ただ、環境があまりに悪い場所は資産価値にも悪影響を及ぼします。 第一種低層住居専用地域は、良質な住環境から将来も資産価値が高いという考え方もあります。しかし、人口減少の時代においては、人が減りやすいエリアともいえます。周囲から人が減って閑散とすれば、マンションの資産価値は著しく落ちていきます。そのため、第一種低層住居専用だからといって安心しないほうがいいでしょう。

家賃並みでマンションを買えるのか?

マンション販売のチラシを見ると、「家賃並みの返済額でマンションが買えます!」なんて表現に出会うことがあります。この言葉に心を動かされる人も多いのですが、はたして本当なのでしょうか。 家賃並みの支払いでも家は買える 実際に、家賃並みの住宅ローン返済額で家を買うことはできなくはありません。しかし、チラシには以下のような「カラクリ」が含まれていますので注意しましょう。 カラクリ1 返済期間が35年で設定されている 住宅ローンは、返済期間が長くなるほど、毎月の返済額が減ります。住宅ローンの最長は35年ですので、35年返済にすれば毎月の返済額は非常に小さくなります。3500万円の住宅ローンを借りて、仮に利子がゼロとすれば、毎年100万円ずつ返せばいいことになります。すると毎月8万円程度で、家賃並みの返済額になります。 カラクリ2 ボーナス返済が設定されている カラクリ1の「35年ローン」で、さらに「ボーナス返済」まで盛り込めば、さらに毎月の返済額がちいさくなります。上記の例で、「ボーナス時25万円返済」と設定すると、毎月の返済額はさらに半減。利子を考慮しなければ、計算上は毎月の返済額はたった毎月4万円程度になります。。 カラクリ3 変動型金利で設定されている カラクリ1、2の「35年ローンでボーナス払い」で、さらに金利を低く見積もります。それが「変動型金利」です。現在の変動型金利は年1%未満ですから、月々の返済額も少なく抑えられます。上記の例なら、「3500万円を借りても、月々5~6万円の返済額」になることでしょう。たしかに、「家賃並みの返済額」といえますね。 落とし穴はありまくりです! さて、上記の「カラクリ1、2、3」を読んで、「そんなのあり得ないじゃん」と気づいた方は、もうこの下を読む必要はありません。気づかなかった人は、きちんと読んでください。 「家賃並み」という言葉にご用心 まず、返済期間35年というのは、30歳でローンを組んだとしても、返済終了が65歳です。40歳で組んだら75歳です。ということで、30歳であっても定年後までローン返済が残ることになりますので、非現実的です。 つぎに、ボーナス返済を設定すると、勤務する会社の業績が傾いたときに悲劇が起こります。ボーナスは、極端な話ゼロになることもあります。それに、家賃には「ボーナス払い」はありませんよね? なら、住宅ローンを「家賃並み返済」というのなら、ボーナス払いを計算に入れるのはおかしなはなしです。 最後に、変動金利型の場合、現在は金利が低くても、将来は金利が跳ね上がる可能性があります。現在1%で借りても10年後には10%になっているかもしれません。そうすると、利子の支払いが10倍にもなるのです。そのとき、金利負担に耐えられるかはわかりません。 変動金利がいけないとはいわないですが、35年もの長期ローンでは避けるべきです。長期ローンの場合は、全期間固定金利で計算しましょう。そうなると、金利は変動金利の3~4倍になるはずです。 つまり、「35年変動金利のボーナス払い」の住宅ローンで計算して「家賃並み」といっても、信じてはいけません。せいぜい、「25年固定金利3%ボーナス払いなし」程度の前提で計算したものでなければ、「家賃並み」という言葉に説得力はありません。

マンションの資産価値を決める要素

「マンションの資産価値とは何か」という記事で、マンションの資産価値とは「値下がりしにくさ」と「貸した場合の賃料利回りの高さ」であることを述べました。 では、マンションの資産価値を決める要素は何でしょうか。言葉を換えれば、資産価値の高いマンションを買うには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか。 資産価値を決める3つの要素 結論から言ってしまうと、資産価値を決める要素は以下の3つです。 ・立地 ・タイミング ・購入価格 マンションは立地が全て 興味深い統計があります。首都圏の場合、平均すると70平米のマンションは年100万円ずつ値下がりする、というもの。これは、立地を問わず、どこでもだいたい同じなのです。 都心の70平米のマンションは新築で1億円くらいはしますので、100万円値下がりしても1%程度の値下がり率です。一方、郊外では3000万円くらいで70平米のマンションが買えます。それが100万円値下がりすると、3パーセントの値下がり幅です。 すなわち、立地のいいマンションのほうが、価格は高くても値下がり率は低く、「値下がりしにくいマンション」といえるのです。 都心で物件価格が高いほど、マンションは値下がりしにくく、資産価値が高いと言えます。「マンションは立地が全て」といいますが、こういう意味なのです。 タイミングも大切 次に、タイミング。不動産には相場の波があり、需要が多ければ値上がりし、少なければ値下がりします。 当然ですが、値下がりした「底」のタイミングで買えば、価格の下落の可能性は小さくなります。「底」のタイミングで購入したマンションは、あなたにとって資産価値の高いマンションとなります。 逆に、相場の高いときに購入すると、どんなに立地の優れたマンションでも、資産価値を維持するのは難しくなります。立地の悪いマンションならなおさらで、大損する可能性もあるでしょう。 安く買うことが大事 さいごが、購入価格です。相場の高いときであっても、上手に値切ることができたりして安く買えれば、資産価値は維持されやすいでしょう。 「不動産に掘り出し物はない」という人もいますが、実際には、同じ時期に同じような物件でも、10%くらいの価格差は新築・中古問わず発生しています。 3割、4割安いような「掘り出し物」はそうそうありませんが、1割程度でも安く買えれば、資産価値にとってはプラスになります。安く買うことは、資産価値の維持には重要です。

定期借地権マンションは得か損か? 資産価値は低いが、50年後に解体が決まっているのはメリット

定期借地権とは、一定期間の借地権のことです。定期借地権付きマンション(定借マンション)とは、定期借地の上に建てられたマンションです。借地期間が終了したら建物を壊し、土地を更地にして地主に返還しなければなりません。 定借マンションでも、建物は区分所有者が所有権を持っています。一方、土地は買わずに借りるだけなので、分譲価格に土地代が含まれません。そのため、安いのが特徴です。 いったい、定期借地権マンションは、得なのか損なのでしょうか? 検証してみましょう。 土地付きマンションより2~4割安い 定期借地権付きマンションの魅力は、なんと言っても価格。土地を買わずに借りるだけなので、通常の土地付きマンションより2~4割くらい安いです。ただし、入居時には土地の保証金が必要で、月々の借地料の支払いもあります。借地料は場所によって異なりますが、50年間となると総額数百万円になります。一方で、土地の固定資産税はかかりません。 定期借地権は最低50年と決められていますので、定期借地権付きマンションも50年の借地権付きが一般的です。ですから、新築の場合、最低50年は済むことができます。 担保価値は低い 定期借地権付きマンションでは、購入時の価格に土地代が含まれません。そのぶん、分譲価格や中古価格が安くなります。安くて買いやすいのはいいですが、住宅ローンを組むときに、マンションの担保価値が低いのは注意点。土地部分に担保価値がないためです。 借地期間が終わったら、マンションは解体して更地にし、地主に返還しなければなりません。解体費用は、毎月積み立てます。そのため、定借マンションでは、管理費、修繕積立金とは別に、解体準備基金という積立金も毎月かかります。 50年後に、積み立てたお金でマンションを解体して、残金などは精算します。50年後に必ず更地にしなければならないとは限らず、契約条件によっては借地権を延長できることもあります。 老朽化リスクがない 定期借地権付きマンションをどう評価するかは、意見が分かれます。 「居住の終わり」が見えているので、ある意味安心、という声もあります。というのも、土地付きマンションでは老朽化とともに建て替えの問題が生じ、建て替えできない場合はスラム化したマンションを所有し続けなければならなくなる、といったリスクがあります。定期借地権付きマンションは解体が決まっていますので、そうしたリスクがありません。 定期借地権ではなく、一般借地権のマンションと比べるとどうでしょうか。一般借地権マンションは、解体費用を積み立てていない場合が多いので、老朽化したときにどうするか、という問題が生じます。定期借地権付きマンションでは、解体費用を積み立てているので、老朽化のリスクから逃れることができます。 売却が年々難しくなる 定期借地権付きマンションは、土地がないだけに資産価値では見劣りします。 とくに、借地権の残りが短くなると、売却しようにも価格がかなり低くなることが予想されます。借地権が0年になれば、資産価値が事実上ゼロになりますから、その時期が近づくにつれ売却じたいが、年々難しくなります。 「終の棲家」にならない 人が住宅を購入する理由の一つに、「終の棲家を手に入れる」という考え方があります。定借マンションがその条件を満たすかは疑問です。 人間の寿命は人によって違いますが、長ければ100歳まで生きることもあります。そのため、定期借地権を50歳で買えば、「死ぬまで住める」といえるでしょう。 しかし、たとえば30歳で購入すれば、80歳で住みかを失うリスクがあります。そう考えると、50歳以下で定期借地権付きマンションを買うのは、あまりおすすめできません。 残存期間が短くなっても補修できるか? こうした声を反映してか、最近は借地権の設定期間を長くした定期借地権住宅も出てきました。60年や75年などです。借地期間75年となると、25歳で買っても100歳まで住むことができますから、ほとんどの場合、「死ぬまで住める」ことになります。 とはいえ、たとえば築50年をすぎた段階で、建物が老朽化が目立ってきたときに、あと25年の所有期間のために大規模修繕をするかどうか、という問題が浮上するかもしれません。定借期間を延ばしたら延ばしたで、建物の補修という大問題が生じてしまうのです。 定借マンションの問題点として、借地権残存期間が短くなるにつれ、補修が行き届かなくなりやすいという点が挙げられます。築50年くらいなら心配なくとも、築60年や築70年となると、どうなるかわかりません。 買うなら都心部 こうして考えると、定期借地権付き住宅は、賃貸住宅に超長期で契約するのに似ています。あえて書けば、定期借地権付き住宅は「資産」ではありません。住宅の「長期利用権」にすぎません。 それでも都心部の交通至便な定借マンションなら、たとえ築45年になっても「利用したい」と考える人はいるでしょうから、使い道はあります。貸すことができれば、期限いっぱいまで無価値にはなりません。 私見ですが、定期借地権住宅を買うのなら、交通至便な都心部に限る、といえるでかもしれません。

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お金と税金

一生賃貸のメリットとデメリット

住宅情報誌を読んでいると、「とにかく家を買おう」みたいな話でうんざりすることがあります。家を買うのは大きなことですし、さまざまなリスクを伴います。それよりも、一生賃貸でいいのでは? それじゃ何かまずいの? という疑問が浮かんでくるでしょう。 では、一生賃貸ではまずいのでしょうか。どんなデメリットがあるのでしょうか。あるいは、一生賃貸にはどんなメリットがあるのでしょうか。 一生賃貸のメリット 一生賃貸のメリットは、一にも二にも「身軽である」という点です。住んでいる家がイヤになったり、家族が増えたり減ったりしたときに気軽に転居できます。家を購入してしまったら、引っ越しすると家を貸すか売るかという大きな手間がかかりますが、そうした心配がありません。 地震や火事など、災害のリスクも小さくなります。持ち家の場合、家を買った後に地震がきたら巨額の借金が残ったうえに、住む家はなくなるという悲劇に見舞われます。賃貸では、地震で住んでいたマンションが壊れたら、賃貸契約を解消して違う家に住めばいいだけです。 一生賃貸のデメリット 一方、一生賃貸のデメリットは大きく分けて二つあります。一つは「連帯保証人」の問題です。賃貸物件を借りるにはほとんどの場合、連帯保証人が必要です。若いうちは両親がいるから大丈夫、と思っていても、将来どうなるかわかりません。歳を取ると親しい身内は他界してしまい、連帯保証人を頼める相手が減っていきます。その場合に、家を借りたくても借りられない、という事態に陥ることがあります。とくに、子供がいない人は要注意です。 最近は、保証会社を利用する形で連帯保証人を免除してもらえる物件も出てきていますが、保証料のぶんだけ負担が増えてしまいます。 もう一つのデメリットは「家賃の支払い」の問題です。持ち家なら、住宅ローンが終われば家賃は要りません。マンションの場合は管理費や積立金がかかりますが、家賃に比べれば小さな額です。 家賃の負担は、老後の年金生活では重くなります。それをずっと支払い続けることができるかどうかはわかりません。家賃負担が重くなって引っ越そうとすると、「連帯保証人」の問題にぶちあたります。 すなわち、「連帯保証人」と「家賃の支払い」の二つが、老後に賃貸を借りる際のデメリットとしてのしかかってくるのです。 一生賃貸と持ち家と、どちらが得? 金銭的な問題だけならば、賃貸と持ち家のどちらが得か、とは一概にいえません。計算のしかたによって結果は異なります。おおざっぱにいえば、「どちらも大差ない」といえます。 「誰にも追い出されない住める家」を持っていると、安心感は違います。一方で、そのぶん住宅ローンも組むのですから、「多額の借金がある」という不安感もセットです。また、不良物件を買ってしまって、売るに売れなくなり、住むにも住みにくい、なんてことになることだってあります。その意味では博打です。 どちらが得か、という問いに答えはありません。もし買うのなら、手が届く範囲で、余力のあるローンを組めば、安心感が不安感に勝るでしょう。

中古マンションの値段はどうやって決められるのか

中古マンションは売り主が個人がほとんどです。個人が売りたいときに売るので、物件が出るタイミングはバラバラで、そのため価格の「相場」はわかりにくいものです。 実際のところ、中古マンションの価格は、売り主が「この価格で売りたい」という、希望販売価格です。その前段階として、仲介する不動産業者が、「査定」をします。 中古マンションの「査定」の方法 査定の方法はさまざまですが、一般的には、築年数や駅からの距離などの条件の近いマンションの最近の取引価格を調査するのが最初でせう。それを参考に、売却対象のマンションの坪単価を査定し、当該住戸の面積に応じて値付けします。 このとき、階数の上下や方角、ルーフバルコニーや専用庭の有無などによって微調整するのは、新築マンションと同じです。 査定の範囲は、上下20%くらいの幅があります。3000万円が中心価格の場合、2700万円~3300万円、といった形で査定します。そうした査定を受けたうえで、売主と仲介業者が協議して販売価格を決めます。 販売価格は売り主によって異なる 販売価格には、売り主の意向が強く反映されますので、売主の都合により価格が異なります。「早く売りたい」という場合は控えめな値付けになりますし、慌てて売ろうとしていない場合は、強気の価格を設定して、反応をみたりします。 販売開始して、反応が悪かったりしたら、価格を再設定、つまり値下げします。購入者の立場としては、最初は「高いな」と思った物件でも、少し待てば値が下がってくることもあるわけです。 立地や階数などで条件のいい住戸は、多少高めの値付けでもすぐに売れてしまいます。また、割安な住戸も購入希望者がすぐに現れます。 大規模マンションの場合は「競争」も 購入希望者と売主の間では、値段交渉が行われるのが一般的です。ただ、割安な物件の場合は、売主は値段交渉に応じず「この価格で買わないなら、次の人に」と、別の人と交渉してしまう場合もあります。 こうしたやりとりを経て、最終的に売主と購入希望者が金額で合意すれば、それがその中古マンションの価格となります。 大規模マンションの場合は、同時期に似たような条件の住戸が売りに出されることもあります。そういう場合は、売主側に「競争」が生まれて、比較的安く買えることもあります。 情報を早くキャッチすることが大切 中古物件を安く買うコツは、なんらかの事情で価格設定が低くなっている物件を狙うことです。そうした物件を、他の購入希望者より早く見つければ、安く買える可能性が高くなります。そのためには、中古物件を扱う不動産業者のメルマガなどに登録し、いち早く情報をキャッチすることが大事です。 強気の価格設定の物件を狙うときは、とにかく待つことです。3000万円が適正な物件が3300万円で売りに出されていた場合、すぐに交渉しても、安くしてもらえないことがあります。 でも、売れなければ、売主は価格を下げてきます。少し時間が経って、値段を下げたときがねらい目です。値段を下げたと言うことは、売る気が強くなってきたと言うことですから、買う側も安く買えるチャンスといえます。 適正価格を自分で判断する いずれにしろ、大切なのは、このマンションの適正価格はいくらなのか、を自分で判断し、売主の事情を考慮しながら上手に交渉することです。 適正価格とは、資産価値を維持しやすい価格のことです。将来的に「この価格で買っておけば、将来大きな損をすることはないだろう」という価格が、購入者再度の適正価格といえます。 中古マンションには、ときどきとんでもなく「高い」値付けもありますし、不動産業者はそれを「適正」と言い張ることもあります。したがって、買うときは自分の価値基準の判断が大切です。

マンションの資産価値を決める要素

「マンションの資産価値とは何か」という記事で、マンションの資産価値とは「値下がりしにくさ」と「貸した場合の賃料利回りの高さ」であることを述べました。 では、マンションの資産価値を決める要素は何でしょうか。言葉を換えれば、資産価値の高いマンションを買うには、どういう点に気を付ければいいのでしょうか。 資産価値を決める3つの要素 結論から言ってしまうと、資産価値を決める要素は以下の3つです。 ・立地 ・タイミング ・購入価格 マンションは立地が全て 興味深い統計があります。首都圏の場合、平均すると70平米のマンションは年100万円ずつ値下がりする、というもの。これは、立地を問わず、どこでもだいたい同じなのです。 都心の70平米のマンションは新築で1億円くらいはしますので、100万円値下がりしても1%程度の値下がり率です。一方、郊外では3000万円くらいで70平米のマンションが買えます。それが100万円値下がりすると、3パーセントの値下がり幅です。 すなわち、立地のいいマンションのほうが、価格は高くても値下がり率は低く、「値下がりしにくいマンション」といえるのです。 都心で物件価格が高いほど、マンションは値下がりしにくく、資産価値が高いと言えます。「マンションは立地が全て」といいますが、こういう意味なのです。 タイミングも大切 次に、タイミング。不動産には相場の波があり、需要が多ければ値上がりし、少なければ値下がりします。 当然ですが、値下がりした「底」のタイミングで買えば、価格の下落の可能性は小さくなります。「底」のタイミングで購入したマンションは、あなたにとって資産価値の高いマンションとなります。 逆に、相場の高いときに購入すると、どんなに立地の優れたマンションでも、資産価値を維持するのは難しくなります。立地の悪いマンションならなおさらで、大損する可能性もあるでしょう。 安く買うことが大事 さいごが、購入価格です。相場の高いときであっても、上手に値切ることができたりして安く買えれば、資産価値は維持されやすいでしょう。 「不動産に掘り出し物はない」という人もいますが、実際には、同じ時期に同じような物件でも、10%くらいの価格差は新築・中古問わず発生しています。 3割、4割安いような「掘り出し物」はそうそうありませんが、1割程度でも安く買えれば、資産価値にとってはプラスになります。安く買うことは、資産価値の維持には重要です。

住宅ローンの「三大疾病保障付き」や「八大疾病保障付き」のおすすめは? ローン免除の基準を確認しよう!

住宅ローンの契約を結ぶとき、加入が義務づけられるのが団体信用生命保険。最近はがん保障付きや三大疾病保障付き、八大疾病保障付きなども見かけるようになってきました。こうした保障付きローンはおすすすめなのでしょうか? 住宅ローンは「死んだらチャラ」 住宅ローンで加入が義務づけられる団体信用生命保険は、ローン返済者が死亡した場合や失明などの重病が回復不能になった場合に、ローン返済が免除になります。死んだらローンはチャラで、後に残された家族はそこに住み続けることができる、というわけです。 この団信は、銀行の住宅ローンでは加入が義務づけられますが、とくに保険料は不要。住宅ローンの費用のなかに含まれています。住宅金融支援機構の「フラット35」では別に保険料が必要で、金額は借入期間などにより異なりますが、借入1,000万円につき35,000円くらいです。 三大疾病保障特約とは? 最近増えている三大疾病保障特約付きは、死亡した場合だけでなく、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾病にかかった場合に債務が免除になるという保障です。つまり、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかったら、死んでなくてもローンがチャラになります。 三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中ですが、これに加えて、高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎といった病気にかかった場合も、ローンがチャラになるという保障もあります。七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などと名付けられていて、特約内容は銀行によって異なります。 こうした疾病保障特約は、ふつうの団信とは違って保険料が別途がかかります。その金額は銀行によって異なり、住宅ローン金利に加え+0.25~0.3%くらいが主流。1,000万円の住宅ローン債務につき、毎年2.5~3万円の保険料がかかることになります。 返済免除の条件を確認 これを高いとみるか安いとみるかは、具体的な保障内容によって違ってきます。 たとえば、がんといってもさまざまで深刻さも異なります。ある銀行では「上皮内ガン、大腸の粘膜内ガン、膀胱・尿路・乳管等で発生する非浸潤ガンなど、ガンが浸潤していない状態は、お支払の対象外となります」と書いています。つまり、がんになったら全てローン返済免除、というわけではありません。 とあるネット系の銀行では、8大疾病保障特約で「3つの特定疾病(がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中)または5つの重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により就業不能状態となり、その状態となった日からその日を含めて12ヵ月を経過した日の翌日午前0時までその状態が継続した場合」のみ、ローン返済が免除になる、とあります。 就業不能状態が12ヶ月も続いていて、その後回復するというのはなかなか想像しづらいです。ほとんどの場合、就業不能状態が12ヶ月も続けば、命に関わってしまうでしょう。あまりいい書き方ではありませんが、就業不能が12ヶ月も続けば、多くの場合「重病が回復不能」か、死ぬことになるので、ふつうの団信でもケアされるわけです。 実際、あなたの身近に、12ヶ月間休職して、その後回復した人がいますか? そのくらいレアなケースのみ保障するので、保険としてはアテにしないほうがいいでしょう。 ということで、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約については、あまりおすすめしません。どうしても入りたい人は、もう少し保障の範囲が広い医療保険に、別で加入した方がいいでしょう。

マンションを買ったら住居費専用口座を作ろう。管理費・修繕積立金の支払いもその口座から!

マンションを購入することになったら、住居費専用の口座も作りましょう。サラリーマンなら給与振り込みの一部をその口座に指定。マンション管理費や修繕積立金もその口座にまとめます。「収入と支出」を一口座にまとめることで、住居費関連の収支がはっきりわかるようになります。 ローン返済額より多めに振り込む 給与振り込み先を2口座に分けて設定できる会社名なら、住宅ローン借入先の金融機関の口座をその一つにします。振り込み金額は、月々のローン返済額と管理費・修繕積立金より、少し多めに設定しましょう。2口座に設定できない場合は、自分で金額を決めて預け入れします。 多めに預け入れた金額は、徐々に積み上がっていきます。それを使って、年に1度の固定資産税を、この口座から支払います。また、住宅ローン減税の還付金も、この口座に入れるといいでしょう。そうすれば、住居費に関する収支が一つの口座で見えてきます。 固定資産税を支払ってもまだ残ったお金は、繰り上げ返済の原資にしましょう。ある程度まとまった金額がたまったら、繰り上げ返済してローンを減らします。 返済金額変更に備える 変動金利にしている場合は、積み上がった金額をそのままにしておいたり、定期預金に預けたりするのも得策。変動金利は5年に1回、月々の返済金額の変更がありますので、それに備えるお金にします。そうすれば、毎月の返済額が増えた場合でも、積立金からある程度補填できます。 共働きの場合は、夫婦で住居費専用口座にお互い入金する、という形にするのもいいでしょう。夫婦の住居費負担額のはっきりしますし、繰り上げ返済の原資が貯まりやすくなります。 電気やガス代なども同一口座にする人がいますが、あまり賛成はしません。電気・ガスは住居費とは性格が異なりますので、できれば違う口座にしたほうがいいでしょう。

リフォーム

マンションのお風呂のサイズ「1418」「1317」などの数字の意味。適当な広さは?

分譲マンションの幸せのひとつは、広めのお風呂(浴室)にあります。マンションのユニットバスのサイズは、「1220」などといった数字4桁で示されます。このサイズの意味は、幅と奥行きの長さ。では、どのくらいのサイズが適当なのでしょうか? マンションで多いのは「1418」 マンションのお風呂の広さは、間取り図に書かれている4桁の数字でわかります。ファミリー向けマンションでもっとも多いのは「1418」といつサイズ。これは幅が1.4メートル、奥行きが1.8メートルという意味です。60平米~80平米のマンションでよく使われているユニットバスのサイズです。 これより少し狭いのが、「1317」というサイズ。幅が1.3メートル、奥行きが1.7メートルです。昔はこのサイズが標準で、いまでも60平米以下のマンションでよく使われているサイズです。さらに小さいユニットバスの規格として「1216」や「1116」があり、ワンルームマンションとなると「1016」くらいの極小浴室もあります。 広いマンションでは「1620」 一般のマンションで一番広い浴室サイズは「1620」。90平米を超える広い専有面積のマンションではこの浴室サイズが使われてることが多いです。幅1.6メートル、奥行き2.0メートルということで、長辺が2メートルありますので、足をゆったり伸ばせる広いお風呂に入れます。 大事な点として、このサイズは浴室サイズを示すものであり、湯船のサイズとは異なります。実際のところ、1620でも1418でも、置かれている湯船のサイズにはそれほど大きな違いはありません。というのも、あまりに湯船が大きいと、使うお湯の量も増えて不経済だからです。 1620サイズでは、湯船より体を洗うスペースがやや広めにとられていて、ゆったりと体を洗うことができます。 もちろん、広い湯船がご希望なら、オプションでつけることはできますし、リフォームすることも可能です。ただ、1418サイズのお風呂があれば足を伸ばしてゆったり湯船に浸かることはできるので、多くの人には十分なサイズです。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

リフォーム済みマンションはやっぱり高すぎる、と実感した話

筆者は中古物件をウォッチしていますが、そのなかで最近気になるのが、リフォーム済みマンションの価格です。最近、高騰しすぎています。 5,400万円が6,500万円に たとえば、東京23区内城南エリアで、最近出た中古マンションA。築20年の約60平米で、当初の売値は5,400万円でした。このときは「居住中」でした。 この中古マンションAは、やがて売却済みになり、数ヶ月後に同じ部屋が「リフォーム済み物件」として、6,500万円で販売されていました。差額は1,100万円にものぼります。5,400万円で販売中のリフォーム前物件を、リノベーション業者が購入してリフォームし、1,100万円も価格を上乗せして販売しているわけです。 オープンルームをしていたのでのぞいてみたところ、若干の間取り変更があり、フローリングは張り替えられ、ユニットバス、トイレ、キッチンも入れ替えてありました。いわゆるフルリフォームです。 ユニットバスなどはメーカー品の標準タイプです。おおざっぱに見積もって、リフォーム価格は400~500万円程度でした。個人がこのリフォームを発注したとしても、600万円あれば十分できるでしょう。 1割は割高 つまり、個人が中古マンションAを購入し、自分でフルリフォームしたとしても、6,000万円あれば可能です。「リフォーム済み物件」は、500万円も割高なのです。 実際のところ、当初の中古マンションを購入する場合は、100万円程度の値引きはできるでしょうから、それを考えれば600万円も割高なわけです。実勢価格に比べて1割程度は割高ということになります。 手間賃と考えても高すぎる もちろん、リフォーム済みマンションにはメリットもあります。何よりも、買ってすぐ住めるというのは大きなメリットです。それに、自分でリフォームをする場合は、とんでもなく手間がかかります。その手間を省いてくれた価格が600万円、と考えれば……、やっぱり高すぎますね。 だいたい、自分でリフォームすると言っても、「三井のリフォーム」といった大手リフォーム会社に丸投げすれば、手間はそれほどかかりません。三井のリフォームはお高いリフォーム会社ですが、それでもこの程度のリフォームで、手数料を600万円も取りません。 それに、自分でリフォームすれば、住宅設備を好きなようにアレンジできます。600万円あれば、キッチンの最高級品を入れてもおつりが来るでしょう。 とにもかくにも、リフォーム済みマンションは、やっぱり損です。中古マンションの売買は、「居住中」の中古物件を買って、自分でリフォーム手配をするのが一番お得です。

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