基礎知識

新築マンションの「設計図書」はどう見るか? モデルルームでチェックすべきポイントを簡単解説。

新築マンションを買うときに必ず訪れるのがモデルルーム。きれいなインテリアに惑わされがちですが、必ずチェックすべきなのは「設計図書」(セッケイズショ)という図面です。設計図書とは、建物を建てるときに必要な設計関係の図面一式をまとめたもので、マンションの販売センターには必ず備え付けられています。 ただ、この設計図書、かなり専門的。きちんと見るには相当な時間がかかります。ここでは、短時間でチェックできるポイントを簡単にまとめました。 地質調査書 デベロッパーがマンションを建てるとき、地面に穴を掘って地質を調査します。これを「ボーリング調査」といいます。地質調査書は、ボーリング調査の結果を示すものです。 ここでチェックすべきなのは「N値」。N値は、土の硬さの程度を示したもので、数字が大きいほど硬い土です。 N0は非常に軟らかく軟弱な土で、数値が上がるにつれ硬い土になっていき、N50が最大です。N50以上の地層もN50で示します。 N50であれば重い構造物でも支えることができます。したがって、高層ビルやタワーマンションでは、杭をN50の深さまで掘り、建物の基礎とするのです。 そのため、地盤をチェックするには、N50が地下どのくらいの深さにあるかをみるとわかります。一概にはいえませんが、おおむね深さ35m以内にこの層(N値50以上)があれば、優れた地盤と考えていいでしょう。 配置図 敷地全体に建物がどう配置されているかを示すのが「配置図」です。敷地の境界、建物の方位と位置関係がわかります。購入を検討している部屋の向きが正確にわかりますし、ベランダから隣地までの距離なども数字で確認しておきます。 タイプ別平面図 住戸のタイプ別に、間取りを詳しく表示したものが「タイプ別平面図」です。購入を検討している住戸の間取りを確認すると同時に、上下左右の間取りも必ず確認しましょう。 寝室の上がリビングだったり、隣が水回りスペースだったりすると、寝るときに気になるかもしれません。できるだけ、寝室の上は寝室、水回りの上と横は水回り、という間取りがいいでしょう。 矩計図 矩計図は、「かなばかりず」と読みます。矩計図とは、各階の垂直方向の寸法を仕様を描いたものです。マンションの一部を切断して、寸法などを細かく記入した詳細な断面図です。 矩計図でわかることはいくつかありますが、重要なのは階高です。階高とは、コンクリートの床から上階のコンクリートの床までの高さのこと。高級マンションほど階高が大きくなる傾向があります。 そのほか、購入を検討している住戸について、室内の天井高、床と天井の仕上げなどを確認します。最近のマンションなら、二重床、二重天井になっていることが多いですし、そのほうがいいでしょう。階高は2900ミリ以上あれば安心です。 展開図 展開図とは、各住戸の周囲の壁を室内側から横から見て描いた図です。壁の仕上げやドア、窓の位置、寸法、仕様などがわかります。ドアや窓の形などが一目でわかりますので、イメージ通りか確認しておきましょう。 床伏図、梁伏図 真上から見下ろした図面を「伏図」と呼びます。床の状態を描いたものを「床伏図」、梁の状態を描いたものを「梁伏図」といいます。 床伏図は、床の仕上げ材を剥いで上から見た図面で、床の構造を示します。梁伏図は、軸組の様子を示します。マンションの床の厚さや梁の位置を確認します。スラブ(床のコンクリート)で段差がある場合(段差スラブ)、将来のリフォームに影響します。 特記仕様書 図面に記載されていない材料や施工方法、仕上げなどで、注意すべき点を記載したリストが「特記仕様書」です。重要な項目が書かれていることが多いので、必ず目を通しましょう。 いろんな図面を何度も見る 設計図書を読み解くカギは、「いろんな図面を何度も見ること」。 モデルルームに行ったときに、上記のポイントだけでも絞って見ていくと、だんだんその内容の差異がわかるようになっていきます。すると、「このマンションは高級仕様だな」とか「このマンションはコストを切り詰めているな」などということも、なんとなくわかっていきます。 コストを切り詰めるのが悪いわけではありません。コストを切り詰めたマンションなら、その分価格が安ければいいわけです。つまり、価格相応のマンションかどうかを見極めるのに、設計図書を読み解く力が必要になってくるのです。 もちろん、設計図書は、価格を知るための手がかりだけではなく、遮音性能や修繕のしやすさ、バリアフリー対応など、さまざまなことを教えてくれます。自分が重視するポイントに対応しているマンションかを、知ることができる図面なのです。

「大規模マンション」と「小規模マンション」のメリット、デメリットを比較する

マンション選びで好みが分かれるのが「大規模マンション」か「小規模マンション」か。同じマンションと言っても大規模と小規模では設備や使い勝手に大きな差が出ます。それぞれの特徴と、メリット、デメリットをご紹介。 設備・サービス重視なら大規模マンション まず、大規模マンションの特徴は、共用設備が充実していて、管理人も常駐すること。高コストな共用設備や人件費を大勢の住民でシェアするので、一人あたりにすると少額で人を雇ったりできるのです。フィットネスクラブやゲストルームを擁する大規模マンションもありますが、これも大規模ならではです。 小規模マンションでは、こうした共用設備を維持することはできませんし、管理人も常駐時間が制限されてしまいます。そのため、マンションに「共用設備やサービス」を期待する人は、大規模マンションがいいでしょう。 大規模マンションでは、共用スペースに庭や公園があり、ちょっとした散歩をしたり、子供を遊ばせたりすることができます。小規模マンションにはそういうものはありません。 中古市場でも、大規模マンションは人気があります。大規模マンションは管理がしっかりしているイメージがあるので、中古市場でも値崩れしにくいのです。 シンプルさなら小規模マンション しかし、共用設備なんていらないし、管理人だって不要、とお考えの方もいるでしょう。そんな方は、無駄な管理費を払わなくていいシンプルな小規模マンションがおすすめです。 小規模マンションでは、管理組合の役員がしょっちゅう回ってくるという特徴があります。管理組合には、最低4人程度の役員が必要なので、40世帯のマンションで10年に1回。実際は、賃貸に出してしまってそのマンションに住んでない人が出てくると、さらに役回りは増えます。 役員は面倒ですが、そのぶん顔がわかるようになる、というメリットもあります。小さいマンションのほうが管理組合の意思統一がはっきりして、機動的に動けるという人もいます。また、居住者同士で知り合いになりやすいので、マンション内の人間関係も円滑になりますし、不審者の対応などの治安も良くなります。 小規模マンションのメリットとして、さまざまな動線が短い、という点も挙げられます。自転車置き場、駐車場、ゴミ捨て場などが近く、通勤・通学の動線上にあるので便利。また、エントランスと敷地出入り口まで近いので、道路に出るのもすぐ。エレベーターの待ち時間も短いです。マンション内の移動時間が少なくて済むのは、小規模マンションの魅力と言えます。 中古マンションの売りやすさについても、小規模マンションにはメリットがあります。というのも、大規模マンションは同時期に大量の購入者がいるため、中古で同じ築年数の同じ間取りの部屋が同時に売りに出されたりします。そのため、タイミングによっては、同じマンションの売り主がライバルになり、意外と高値で売りにくい場合もあります。小規模マンションでは、そういう可能性は低くなります。

不動産業者との付き合い方3原則

マンションを購入するときに付き合わなければならないのが不動産業者。新築の場合は売主であるデベロッパー、中古の場合は仲介業者で、どちらも不動産業者です。マンション購入では、この不動産業者をどう使いこなすかが重要になります。ここでは、不動産業者との付き合い方の原則をご紹介しましょう。 「よい物件情報を引き出す意識」を持とう 最近はインターネットを検索すればさまざまなマンション販売情報が手に入ります。ただ、すべての情報がインターネットに載っているわけではありませんし、インターネット掲載前の情報を握っているのが不動産業者です。上手に付き合って、よい物件情報を引き出すという意識を持ちましょう。 不動産業者に対して、尊大な態度を取る方もいます。でも、きちんとした対応をして、相手を尊重する態度を取る方が、不動産業者もいい情報を優先して送ってくれたり、便宜を図ってくれたりするものです。ビジネスマナーとして当然ですが、不動産業者相手でも、礼をもって接しましょう。 これが大原則で、以下に不動産業者との付き合い方3原則をご紹介。 原則1 きちんと返事を返す 不動産業者に自分が求める条件を伝えると、相手はメールなどでさまざまな情報を送ってくれます。そのほとんどは、自分の希望とは合わないものだと思います。先方もそれを承知のうえで、とりあえず手持ちの情報を一通り送ることもあります。 そうしたときにも、「こんなつまらない物件を送ってきて!」などと怒って無視するのはNG。「この物件は予算オーバーなのでダメ」「この駅は希望外」「もっと駅に近い物件がいい」など、きちんと理由を説明して返事を返しましょう。 理由を説明するのが面倒なら、「どの物件も最初に伝えた条件と違う」という程度のことでもかまいません。とにかく、「返事をする」というのが大事なのです。 不動産業者も、たくさんの顧客を相手にしています。すべての顧客に同じように接することはできません。「返事をする」という基本的なマナーを持っている顧客に、優先的に情報を流してくれるようになるものです。そうすれば、いい物件が出たときに、真っ先に紹介してくれるようになるでしょう。(逆にいうと、返事すらしない顧客が非常に多い、ということです)。 原則2 急いで買う姿勢を見せない モデルルームなどを見学したり、中古物件で内覧をしたときに、アンケートを書く機会があります。こうしたときに、「良い物件があればすぐに買いたい」といった積極的な回答をするのは避けた方がいいでしょう。 アンケートの記入時は「とくに急いで買うつもりはない」と書きます。実際の会話でも、「1年以上かかってもいいから、ゆっくり多くの物件を見て、気に入ったものがあれば買うかも知れない」という趣旨にしておきます。 「すぐに買いたい」と回答してしまうと、不動産業者の熱が入りすぎ、電話攻勢を受けたりして、うんざりします。本当に緊急に買う必要があるならともかく、そうでない場合、営業電話は3回も受ければイヤになり、不動産業者との関係性が悪くなります。それは長い目で見た場合、あなたにとってもいいことではないですし、もちろん不動産業者にもメリットはありません。 ゆっくりと1年かけていい物件があれば買うから、気長に付き合って欲しい、という態度を示すのが良策です。そうすれば、不動産会社も、顧客リストにあなたの名前を入れて、必要なときに情報を送ってくれるようになるでしょう。 原則3 不動産業者のクルマに乗らない 実際にマンションを見に行くとき、物件までは自分の足で歩いていくことをおすすめします。不動産業者は、クルマに乗せて何件も見せたりすることもありますが、「こんなに何件も見せてもらったら、すぐに決めないと悪いなあ」などという気持ちになってしまうもの。そういう気持ちになると、不動産業者のペースになります。ですから、不動産業者のクルマには乗らないことです。 また、物件を見るときは、駅からの距離や雰囲気をつかむことも大事です。クルマで行けば、遠い距離も近く感じますし、治安の悪さなどがあっても肌で感じることができません。「駅から歩いて物件まで行くこと」も内覧のうち、と考えるといいでしょう。

住宅ローンの選び方の3つのポイント。初心者向けに基礎から解説

住宅ローンを選ぶとき、ポイントとなるのは「金利」「諸費用」「返済方法」です。住宅ローンの選び方とは、この3つのポイントの選び方と言い換えることもできます。初心者向けに基礎から解説しましょう。 固定金利か変動金利か 住宅ローンを選ぶときに、多くの人が真っ先に注目するのは金利です。もちろん、金利は安いに越したことがないのですが、それだけで決めるわけにもいきません。「金利タイプ」にも注目しましょう。 金利タイプは2つあります。一つは固定金利型で、返済期間中金利がずっと変わらないものです。もう一つは変動金利型で、こちらは返済期間中に金利が変わることがあります。 固定金利と変動金利を比べると、固定金利のほうが金利(利率)は高くなっています。ですから、目先の金利を低くしたいなら変動金利を選びます。しかし、変動金利は、たとえば最初は1%だったのに、返済期間中に5%くらいになる可能性もあります。そうしたら、金利負担は5倍になり、返済が苦しくなります。そんなリスクがあるのが変動金利型です。 固定金利は金利変動リスクはありませんが、そのぶん、金利はもともとやや高めです。しばらく低金利が続くと考えれば変動金利、将来的に金利が上がっていくと考えれば固定金利を選ぶ、というのが基本的な考え方です。 とはいうものの、将来の金利動向を予測するのはプロでも難しいのも事実。そのため、実際には、返済余力の大きい方、万一金利が急騰した場合に繰り上げ返済などが可能な方は、変動金利を選びます。 一方、返済余力に乏しく、一杯一杯で借りる人は、固定金利にしましょう。そのほうが、万一の金利変動時に破綻を防げます。 諸費用は繰り上げ返済手数料に注目 住宅ローンを借りるときは、さまざまな諸費用がかかります。代表的なのは保証料、さらに融資実行の手数料、そして保険料等です。なかでも、保証料は負担が多いので、きちんと確認しておきます。大手銀行ではこれらの諸費用は横並びなのであまり気にしなくていいですが、ネット銀行では保証料の金額にはばらつきがあります。 繰り上げ返済の手数料についても、各金融機関で異なります。最近はネットを使えば無料、という銀行が多いですが、固定金利では有料にしている会社もあります。繰り上げ返済を考えている人は、手数料がかからない形で気軽に繰り上げ返済できる銀行を選ぶといいでしょう。 元利均等返済か元金均等返済か 最後の返済方法は、おもに「元利均等返済」か「元金均等返済」かです。元利均等返済は、毎月同じ金額を返済していく方法です。つまり、ローンの返済額は毎月同じです。一般的には、元利均等を選ぶ方が多いです。 一方、元金均等返済は、同じ元金を毎月返済していく、という形です。元金は返済するにつれ減っていくので、月を追うごとに金利も減っていきます。そのため、元金均等返済は、最初の返済時に返済額が最も多く、毎月ローン返済額が少なくなっています。 ローンを実行した直後のお金のないときに、一番返済額が多いので、余力のある方以外には選びにくい返済方法です。そのため、元金均等返済を選ぶ人は多くはありません。ただ、元本が毎月一定額減っていくというのは、家計リスク管理上は優れているので、あえて元金均等返済を選ぶ人もいます。

モデルルームを見るときのポイントと注意点。「設計者の配慮」が行き届いているかを、メジャー持参で確認しよう!

マンションのモデルルームはとてもきれいに整っています。こんな夢のような生活をしたい! とつい考えてしまいがち。でも、少し冷静になって! モデルルームを見るときのポイントを簡単にまとめてみましょう。 部屋の正確な広さを把握しよう まず、モデルルームに入って見るときには、メジャーを持参しましょう。モデルルームは色彩や置く家具を工夫して、部屋を広く見せているからです。惑わされないように、現実にどのくらいの広さなのか、メジャーで計測して確認しましょう。 できることなら、モデルルームに来る前に、自分がいま住んでいる家のリビングや寝室の広さをメジャーで測ってくるといいでしょう。当日比較しやすくなります。 モデルルーム見学は、できることならモデルルームがオープンするピーク時期にあわせます。ピーク時期は、新春、ゴールデンウィーク、シルバーウィークの年3回。この時期にまとめてモデルルーム巡りをしてみると、目が肥えてきて比較がしやすくなります。短期間に集中してみたほうが、見る目が養われるということです。 実際の建設地を見に行こう モデルルームは、通常、マンションとは異なった場所に設定されます。その場合、モデルルームに行く前に、実際のマンションの建設地を訪れてみるべきです。そのほうが、モデルルームで説明を受けるときのイメージが沸きます。たいていは、モデルルームのほうが現実のマンションよりいい立地にあります。現実の立地を先に知っておくことも大事です。 もし本気で買おうと検討するなら、モデルルームを訪れた後、最寄駅からマンションの建設地まで、時間や曜日を変えて歩いてみましょう。夜は人が少ないとか、夜になると変な店が出るとか、日曜日は観光客がやってきてうるさいとか、平日昼間は近所で荷下ろしが多いとか、その町のさまざまな側面がわかります。 訪問するのは、平日、休日の昼と夜。つまり計4回は最低行ってみましょう。さらに、平日の朝の通勤・通学風景なども見ておくと、実際に生活が始まったときのイメージが沸きやすいです。 トイレやドアの構造もチェック モデルルーム見学では、設計者の配慮が行き届いているかも確認したいところ。たとえば、トイレにあるトイレットペーパーのホルダーの位置。右にある場合と左にある場合がありますが、左にあるほうが使用量が少なくなり家計に優しいことが知られています。 利き腕が右の人が多いので、右側にペーパーホルダーがあると、つい紙を使いすぎてしまうのですね。そのため、トイレットペーパーホルダーは左側、というのが住宅建築の常識です。 ドアの開き方もチェック。トイレのドアは、万一トイレ内で倒れた場合に出やすいよう、外に引く形になっているのが常識。お風呂の場合は、ドアについたしずくが外で垂れないよう、内側に引く形が常識。部屋のドアは、開いたときにドアノブが柱を傷つけたりしないように工夫されているのが常識。ドアを開いたときに固定する金具があるものです。 こうした常識が守られていない場合、守れないような特別な事情があるのか、それとも設計者の配慮が足らないだけなのか、きちんと確認しておきましょう。一時が万事で、設計者の配慮が足らない物件は、選ばないほうが吉です。

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お金と税金

「財閥系マンションは安い」という意外な理由

財閥系の大手不動産会社(デベロッパー)のマンションは価格が高いというイメージがあります。これは正しい場合もありますが、正しくない場合もあります。思わぬ「お得物件」が出やすいのも財閥系の大手不動産会社。その理由を解説しましょう。 財閥系は土地を相場額で仕入れやすい マンションの価格をおおざっぱに分類すると「土地代」+「建設費」+「デベロッパーの利益」で構成されます。このなかで、価格にもっとも影響するのが土地代です。売り主の不動産会社としては、土地を安く購入することができれば、利益を確保しやすく、販売価格を無理に高く設定しない傾向があります。 こういう視点で見ると、有利なのは三井、三菱といった財閥系の不動産会社です。財閥系の会社は、さまざまな取引関係から、競争入札を経ずに土地を購入できるケースが多いからです。 競争入札をすれば、価格は高くなりやすいですが、こうした「指名売り」では、相場並みで購入できます。不動産相場が上昇基調のときは、分譲時には割安に土地を確保していたことになります。仕入れが安ければ、販売額も安くできるのです。 販売関係に負担をかけないため 大手不動産会社の多くは、製販統合といって、販売部門と分譲部門が同じ会社です。その場合、あまり無理な価格設定をすると、販売部門に負担がかかります。このため、価格設定時には、社内の力関係が影響します。 販売部門に負担をかけすぎると、社内関係がギクシャクするので、安く購入した土地のマンションでは、相場程度に販売価格を抑えることが多いという現実があります。結果として、「財閥系なのにお手頃」というマンションが出現することがあるのです。 「財閥系だから安い」とも限らない ただ、すべてのマンションがこうした「お手頃」というわけではありません。財閥系でも土地の仕入れ価格が高い場合ももちろんありますし、強気の価格設定をする場合もあります。 ですから「財閥系だから安い」と思いこむのも間違いです。「財閥系でも、リーズナブルなマンションが販売されることもある」ということを頭に入れておきましょう。 こうしたマンションと対極にあるのが、複数のデベロッパーが売主として名を連ねる大規模開発マンションです。こうした「ジョイントベンチャー物件」は、各売り主がそれぞれ利益をあげられるような価格設定になっているため、「割安感」がみられる物件はごく少数です。

独身女性がマンションを買うときは、ここに注意!「1LDKで十分」と決めつけないほうがいいですよ!

最近は独身女性がマンションを買うことも増えています。毎月家賃を払うのはばからしいので、独身であっても不動産を購入することは、選択として悪くありません。このときの注意点をまとめてみましょう。 2LDK、50平米以上がおすすめ まず、独身女性がマンションを買うとき、30~40平米台、1LDK程度のマンションを選びがちです。予算の関係もありますし、1人で住むならこの程度で十分、という考え方からです。でも、せっかく買うなら、もう少し広く、50平米、2LDK程度の広さのマンションを選んだほうがいいでしょう。 その理由はいくつかあります。まず、登記簿面積ベースで50平米以上であれば、税制上の優遇措置が受けやすいこと。住宅ローン減税が受けられるのも50平米以上ですし、不動産取得税でも有利です。 登記簿面積ベースは広告などの不動産間取図の面積(壁芯面積)より数平米小さくなりますので、ご注意を。不動産業者の間取図で57平米以上あれば問題ありません。 また、少し広めのマンションなら、将来結婚などで同居相手ができたときに、そのまま住み続けられます。さらに、不要になって売るときも、50平米、2LDK以上のマンションのほうが売りやすいという現実もあります。 賃貸に出すにもハードルが では、賃貸に出すとしたら? じつは、住宅ローンを組んで買ったマンションは、不要になったからといって、そのまま賃貸に出せるとは限りません。なぜなら、住宅ローンは「買った人が住む」という前提で金利が安く設定されているので、賃貸に出したら住宅ローンを借り続けることができなくなり、金利が上がったり、全額返済を求められたりすることもあるのです。ですから、「使わなくなったら賃貸に出そう」と安易に考えない方がいいでしょう。 結局、独身女性であっても、買うなら50平米以上の2LDK以上のマンションがおすすめです。 予算上それだけ払えない、という場合は、30平米前後の1LDKにします。価格的にはワンルームのほうがいいのですが、ワンルームマンションは、すでに供給過剰なので、将来売却しにくくなる可能性があり、おすすめしません。 30平米前後の狭い1LDKは、価格が安いわりに、ワンルームより売ったり貸したりするには都合がいいでしょう。1LDKでも40平米前後になると、価格がそれなりにするわりに、上記のように税制面などで不利なので、こちらもおすすめしません。

住宅ローンの「三大疾病保障付き」や「八大疾病保障付き」のおすすめは? ローン免除の基準を確認しよう!

住宅ローンの契約を結ぶとき、加入が義務づけられるのが団体信用生命保険。最近はがん保障付きや三大疾病保障付き、八大疾病保障付きなども見かけるようになってきました。こうした保障付きローンはおすすすめなのでしょうか? 住宅ローンは「死んだらチャラ」 住宅ローンで加入が義務づけられる団体信用生命保険は、ローン返済者が死亡した場合や失明などの重病が回復不能になった場合に、ローン返済が免除になります。死んだらローンはチャラで、後に残された家族はそこに住み続けることができる、というわけです。 この団信は、銀行の住宅ローンでは加入が義務づけられますが、とくに保険料は不要。住宅ローンの費用のなかに含まれています。住宅金融支援機構の「フラット35」では別に保険料が必要で、金額は借入期間などにより異なりますが、借入1,000万円につき35,000円くらいです。 三大疾病保障特約とは? 最近増えている三大疾病保障特約付きは、死亡した場合だけでなく、がんや急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な疾病にかかった場合に債務が免除になるという保障です。つまり、がん、急性心筋梗塞、脳卒中にかかったら、死んでなくてもローンがチャラになります。 三大疾病はがん、急性心筋梗塞、脳卒中ですが、これに加えて、高血圧、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎といった病気にかかった場合も、ローンがチャラになるという保障もあります。七大疾病保障特約、八大疾病保障特約などと名付けられていて、特約内容は銀行によって異なります。 こうした疾病保障特約は、ふつうの団信とは違って保険料が別途がかかります。その金額は銀行によって異なり、住宅ローン金利に加え+0.25~0.3%くらいが主流。1,000万円の住宅ローン債務につき、毎年2.5~3万円の保険料がかかることになります。 返済免除の条件を確認 これを高いとみるか安いとみるかは、具体的な保障内容によって違ってきます。 たとえば、がんといってもさまざまで深刻さも異なります。ある銀行では「上皮内ガン、大腸の粘膜内ガン、膀胱・尿路・乳管等で発生する非浸潤ガンなど、ガンが浸潤していない状態は、お支払の対象外となります」と書いています。つまり、がんになったら全てローン返済免除、というわけではありません。 とあるネット系の銀行では、8大疾病保障特約で「3つの特定疾病(がん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中)または5つの重度慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により就業不能状態となり、その状態となった日からその日を含めて12ヵ月を経過した日の翌日午前0時までその状態が継続した場合」のみ、ローン返済が免除になる、とあります。 就業不能状態が12ヶ月も続いていて、その後回復するというのはなかなか想像しづらいです。ほとんどの場合、就業不能状態が12ヶ月も続けば、命に関わってしまうでしょう。あまりいい書き方ではありませんが、就業不能が12ヶ月も続けば、多くの場合「重病が回復不能」か、死ぬことになるので、ふつうの団信でもケアされるわけです。 実際、あなたの身近に、12ヶ月間休職して、その後回復した人がいますか? そのくらいレアなケースのみ保障するので、保険としてはアテにしないほうがいいでしょう。 ということで、三大疾病保障特約や八大疾病保障特約については、あまりおすすめしません。どうしても入りたい人は、もう少し保障の範囲が広い医療保険に、別で加入した方がいいでしょう。

「マンションを買うなら親の退職前にすべし」。これって本当?

マンションや一戸建ての住宅を購入するタイミングは難しいもの。自分の子どもができたら、なんて考えていると、親が退職してしまった後になることもあります。でも、「できれば不動産購入は親の退職前のほうがいい」という人もいます。その理由を考えてみましょう。 賃貸の保証人がいなくなる! まだ20代や30代の方は、親御さんが現役で仕事をしている、という人もいるでしょう。その場合、ご自身が賃貸マンションを借りるのは容易なはず。なぜなら、親御さんが保証人になってくれるからです。 でも、親御さんが退職してしまうと、賃貸マンションを借りるときに保証人になれないことがあります。不動産保証人は「就労収入」があることを条件とされることが多いからです。早い話、年金生活の人は保証人になれないケースがあるのです。 そうなると、転居などで賃貸マンションを新たに借りるのが面倒になります。兄弟など他に保証人になってくれる人がいる場合は問題ありませんが、そうでない場合、保証会社を使ったりしなければならず、余分な出費を強いられます。 そのため、できることならマンションは親の退職前に買ってしまったほうがいい、という理由です。 親からの贈与を受けやすい もう一つの理由として、親の退職前なら、親からの資金援助を受けやすい、という点も挙げられます。住宅購入のために親から贈与を受ける場合、一定金額まで所得税が非課税になるという制度もあります。 こうした制度は、親御さんが亡くなってしまうと使えなくなります。親御さんが健在で、できれば仕事のあるうちにマンションを購入した方がいい、というのには、こうした理由があるとされます。 兄弟がいて住宅資金の心配がなければいつでもよい ただ、言い方を変えれば、この程度の理由に過ぎません。 兄弟がいて保証人の心配がなく、住宅資金を全額自分で出せる方は、親御さんの事情に関わりなく適切なタイミングでマンションを購入すればよいでしょう。

家賃並みでマンションを買えるのか?

マンション販売のチラシを見ると、「家賃並みの返済額でマンションが買えます!」なんて表現に出会うことがあります。この言葉に心を動かされる人も多いのですが、はたして本当なのでしょうか。 家賃並みの支払いでも家は買える 実際に、家賃並みの住宅ローン返済額で家を買うことはできなくはありません。しかし、チラシには以下のような「カラクリ」が含まれていますので注意しましょう。 カラクリ1 返済期間が35年で設定されている 住宅ローンは、返済期間が長くなるほど、毎月の返済額が減ります。住宅ローンの最長は35年ですので、35年返済にすれば毎月の返済額は非常に小さくなります。3500万円の住宅ローンを借りて、仮に利子がゼロとすれば、毎年100万円ずつ返せばいいことになります。すると毎月8万円程度で、家賃並みの返済額になります。 カラクリ2 ボーナス返済が設定されている カラクリ1の「35年ローン」で、さらに「ボーナス返済」まで盛り込めば、さらに毎月の返済額がちいさくなります。上記の例で、「ボーナス時25万円返済」と設定すると、毎月の返済額はさらに半減。利子を考慮しなければ、計算上は毎月の返済額はたった毎月4万円程度になります。。 カラクリ3 変動型金利で設定されている カラクリ1、2の「35年ローンでボーナス払い」で、さらに金利を低く見積もります。それが「変動型金利」です。現在の変動型金利は年1%未満ですから、月々の返済額も少なく抑えられます。上記の例なら、「3500万円を借りても、月々5~6万円の返済額」になることでしょう。たしかに、「家賃並みの返済額」といえますね。 落とし穴はありまくりです! さて、上記の「カラクリ1、2、3」を読んで、「そんなのあり得ないじゃん」と気づいた方は、もうこの下を読む必要はありません。気づかなかった人は、きちんと読んでください。 「家賃並み」という言葉にご用心 まず、返済期間35年というのは、30歳でローンを組んだとしても、返済終了が65歳です。40歳で組んだら75歳です。ということで、30歳であっても定年後までローン返済が残ることになりますので、非現実的です。 つぎに、ボーナス返済を設定すると、勤務する会社の業績が傾いたときに悲劇が起こります。ボーナスは、極端な話ゼロになることもあります。それに、家賃には「ボーナス払い」はありませんよね? なら、住宅ローンを「家賃並み返済」というのなら、ボーナス払いを計算に入れるのはおかしなはなしです。 最後に、変動金利型の場合、現在は金利が低くても、将来は金利が跳ね上がる可能性があります。現在1%で借りても10年後には10%になっているかもしれません。そうすると、利子の支払いが10倍にもなるのです。そのとき、金利負担に耐えられるかはわかりません。 変動金利がいけないとはいわないですが、35年もの長期ローンでは避けるべきです。長期ローンの場合は、全期間固定金利で計算しましょう。そうなると、金利は変動金利の3~4倍になるはずです。 つまり、「35年変動金利のボーナス払い」の住宅ローンで計算して「家賃並み」といっても、信じてはいけません。せいぜい、「25年固定金利3%ボーナス払いなし」程度の前提で計算したものでなければ、「家賃並み」という言葉に説得力はありません。

リフォーム

リフォーム済みマンションはやっぱり高すぎる、と実感した話

筆者は中古物件をウォッチしていますが、そのなかで最近気になるのが、リフォーム済みマンションの価格です。最近、高騰しすぎています。 5,400万円が6,500万円に たとえば、東京23区内城南エリアで、最近出た中古マンションA。築20年の約60平米で、当初の売値は5,400万円でした。このときは「居住中」でした。 この中古マンションAは、やがて売却済みになり、数ヶ月後に同じ部屋が「リフォーム済み物件」として、6,500万円で販売されていました。差額は1,100万円にものぼります。5,400万円で販売中のリフォーム前物件を、リノベーション業者が購入してリフォームし、1,100万円も価格を上乗せして販売しているわけです。 オープンルームをしていたのでのぞいてみたところ、若干の間取り変更があり、フローリングは張り替えられ、ユニットバス、トイレ、キッチンも入れ替えてありました。いわゆるフルリフォームです。 ユニットバスなどはメーカー品の標準タイプです。おおざっぱに見積もって、リフォーム価格は400~500万円程度でした。個人がこのリフォームを発注したとしても、600万円あれば十分できるでしょう。 1割は割高 つまり、個人が中古マンションAを購入し、自分でフルリフォームしたとしても、6,000万円あれば可能です。「リフォーム済み物件」は、500万円も割高なのです。 実際のところ、当初の中古マンションを購入する場合は、100万円程度の値引きはできるでしょうから、それを考えれば600万円も割高なわけです。実勢価格に比べて1割程度は割高ということになります。 手間賃と考えても高すぎる もちろん、リフォーム済みマンションにはメリットもあります。何よりも、買ってすぐ住めるというのは大きなメリットです。それに、自分でリフォームをする場合は、とんでもなく手間がかかります。その手間を省いてくれた価格が600万円、と考えれば……、やっぱり高すぎますね。 だいたい、自分でリフォームすると言っても、「三井のリフォーム」といった大手リフォーム会社に丸投げすれば、手間はそれほどかかりません。三井のリフォームはお高いリフォーム会社ですが、それでもこの程度のリフォームで、手数料を600万円も取りません。 それに、自分でリフォームすれば、住宅設備を好きなようにアレンジできます。600万円あれば、キッチンの最高級品を入れてもおつりが来るでしょう。 とにもかくにも、リフォーム済みマンションは、やっぱり損です。中古マンションの売買は、「居住中」の中古物件を買って、自分でリフォーム手配をするのが一番お得です。

「リノベーション」や「リフォーム」は個人で行うと高くなるのか

室内リノベーション済みマンションが売れている理由の一つに、「リノベーションやリフォームを個人ですると、高くつく」という都市伝説があります。 こうした都市伝説を逆手にとって、リノベ業者は「プロは個人よりも安くリノベーションできるので、リノベマンションはお得だ」などと売り込むのです。 でも、本当に、リノベーションやリフォームは、素人が個人で行うと高くなるのでしょうか。 リノベ・リフォームの価格の中身 リノベーションやリフォームの値段は、おおざっぱにいって、以下の内容で構成されてます。 ・設備費(ユニットバス、キッチン、フローリングなどの住宅設備) ・材料費(間取り変更をするときなどの木材など) ・人件費(職人さんの人件費) ・管理費(リノベーション業者の人件費) ・設計費(設計士が付く場合) このうち、ユニットバスなどの住宅設備は、不動産業者が大量発注すれば、定価の半額程度で仕入れることもできます。ただ、個別のリノベでは大量発注できないので、せいぜい4割引~半額程度です。個人で購入しても、リフォームを依頼する業者を通せば3割引程度にはなりますので、それほど大差はありません。 それ以外のコストも、個人で発注したら高く付く、という性格のものではありません。要するに、個人でリフォームする場合も、リノベ済みマンションを買うのにも「業者の利益」をなるべく払わないのが、安く買うコツです。その意味で、リノベ業者の利益が乗っている中古マンションは、どうしても割高になるのです。 素人のリフォームが割高になる理由 ただ、素人のリフォームが割高になる理由もあります。まず、リノベ業者のかわりに「リフォーム業者」に依頼するのですから、その手数料がかかります。上記の「管理費」という分類です。これがだいたい5~12%程度かかります。大手リフォーム業者に依頼すると、この管理費が高いため、リノベ業者に頼むのと変わらない価格になったりします。 また、発注主(個人)はリノベ・リフォームに慣れていないので、工事が始まってから仕様変更をしたりします。途中で気が変わったり、大事なことに気づいたりするので、追加工事が発生し、価格が高くなってしまうのです。 逆にいえば、必要最小限のリフォームを手頃な業者に依頼して、念入りに検討して行えば、個人でリノベーション、リフォームしても、それほど高くはならないはずです。

直床、直天井、二重床、二重天井のメリットデメリット

マンションを購入するとき、広さ(床面積)を気にする人は多いと思います。でも、高さ(天井高)を気にする人はそれほど多くありません。床が「直床」か「二重床」かを気にする人となると、さらに減ってしまいます。でも、「直床」か「二重床」かは、とても重要です。 直床・直天井と二重床・二重天井の違い 直床とは、床のスラブ(コンクリート)に直接フローリングなどの仕上げ材を貼るものです。直天井とは、天井のスラブ(上階の床スラブ)に直接クロスなどを貼って天井にするものです。これに対し、スラブとの間に空間を設けるのが二重床、二重天井です。 一般に、二重床・二重天井は、直床・直天井よりも遮音性能が高く、水回りや電気配線を動かすリフォームがしやすいとされています。これは、マンションに長く住むには非常に重要なポイントです。子どもがいる家庭などでは、直床は「どんどん」という音が下階に響きやすいので、それがストレスやトラブルになったりすることがあります。 しかし、最近のマンションで、「二重床・二重天井」を備えているマンションは多くありません。多いのは「直床・二重天井」の物件です。逆に「直床・直天井」の物件は、最近はほとんどありません。ですので、現在の新築マンション事情は「二重天井は常識」と考えて、ポイントを「床」に絞って確認すればいいでしょう。 階高を低くして全体の高さを抑える ではなぜ、直床仕様のマンションが多いのでしょうか。答えは簡単で、直床仕様なら階高(1階あたりの高さ)を13cm~23cm程度下げることができるからです。階高が低ければ、建物全体の高さを低くすることができますので、同じ高さなら工事費を安く上げることができます。 上述したように、マンションの「広さ」を気にする人は多いですが、「高さ」を気にする人はそれほど多くないので、デベロッパーとしては階高を低くしてコストを下げるのです。コストを下げれば、マンションの建設費を圧縮できます。 マンションの建設費を圧縮できれば、分譲価格も安くできる理屈です。ですから、直床マンションであっても、そのぶん価格が安ければ納得、といえなくもありません。 直床だからダメというわけではない 直床は遮音性が劣ると書きましたが、直床に最高遮音性能のフローリングを貼れば、性能の低い二重床よりも遮音性が高くなる、という専門家もいます。マンションの管理規約で、遮音性能が高いフローリングを必須としているマンションなら、直床でも遮音性で二重床にひけをとらない、というわけです。 一言で「二重床」といっても種類はさまざまで、安い施工のものもあります。そうした「安物二重床」に比べると、高性能遮音フローリングの直床がのほうが、たとえば衝撃音に強かったりするわけです。 リフォーム時に関しても、直天井は制約が大きくなりますが、直床はそれほどでもない、という人もいます。二重床も種類によっては間取り変更が難しいなどの制約を受ける場合もあるようです。 二重床は、その性質上、耐荷重では直床に劣る場合もあります。ぎっしり本を並べた本棚をいくつも置きたい方は、直床のほうが安心といえるかもしれません。 古い中古物件で二重床は少ない 新築物件を買うのなら、二重床が直床よりベターである可能性は高いでしょう。しかし、中古物件を購入する際は、築年数が古くなるほど、二重床物件が少なくなるので、直床を避けていては中古マンションそのものを買えなくなってしまいます。 そのため、中古物件では、直床というだけで拒否するのではなく、直床を承知した上で買うかどうかを判断すればいいと思います。 「直床・直天井」は避けた方が無難 直床が完全に悪いというわけではないのは、上述したとおりです。さらに直床には、広さの割に安く作れる、というメリットもあります。直床のデメリットを知ったうえで安く買うのなら問題ありません。 子どもがいない家庭なら、階下への気兼ねもそれほど大きくないでしょうし、直床マンションを安く買う、という選択肢はあっていいと思います。 「直床・直天井」の物件は、中古であっても考えものです。床も天井も両方「直」の場合は、リフォーム時の制約が大きくなります。よほど立地などが魅力的でないのなら、避けた方が無難です。

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